▲ヤエヤマノボタン 2021年5月22日 石垣市 於茂登岳登山口
▲ヒカゲヘゴ 2021年5月22日 石垣市 於茂登岳登山口
▲於茂登岳登山口小広場
▲林道から見える自衛隊ミサイル基地建設現場 2021年5月22日
▲名蔵ダムのそばに立つ台湾農業者入植顕頌碑と水牛像
車で於茂登岳登山口に行った。「於茂登山登山道➡」の看板の先で車を降りて歩く。
ヤエヤマノボタン(八重山野牡丹)、学名Bredia yaeyamensis (Matsum.) H.L.Li。石垣島・西表島に分布するノボタン科ハシカンボク属の常緑低木。花弁は4枚。はじめリュウキュウノボタンかと思ったが、リュウキュウノボタンはノボタン科ノボタン属、花弁が5枚だ。
ヒカゲヘゴ(日影杪欏)、学名Cyathea lepifera、方言名ヒグ、マヤーフィグ、バラピ、ヘゴ科ヘゴ属の常緑木生シダ。梅雨期の湿った林間に新葉をどんどん伸ばして大きく広げようとしている。古い葉が枯れ落ちて、葉柄の跡が幹に模様を作っていくのがおもしろい。
しばらく歩くと小広場に来た。ここまでの登山道は整備されていて歩きやすいが、この先は「山道」のようだ。頂上までは約1時間とのこと。ただし今日は登山はしない。誰かが「於茂登岳に登るのは冬がいいよ。春夏は暑すぎるし、ハブもいっぱい出るしねー。」と言っていたから。
於茂登岳は沖縄県で一番高い(525m)山で、石垣島の中央にどっしりとそびえる緑豊かな山だ。この山の中腹から宮良川と名蔵川が流れ出る。於茂登岳がたっぷりと含んだ地下水は、島の飲料水・生活用水と田畑を潤す農業用水の源だ。「山道」の入口には「水源かん水保安林」の看板が立ち、手前には「農」と表示されたマンホールの蓋のような円盤が埋まっている。地下に農業用水の配管とバルブがあるのかもしれない。
ここから先は行かないで車に戻り、林道をたどって名蔵ダムに向う。名蔵ダムの畔には、台湾農業者入植顕頌碑と水牛像が立っている。顕頌碑には、1935年(昭和10年)に台湾の大同パイングループが石垣島名蔵・嵩田地区に大同拓殖株式会社を設立し、60戸330人が台湾から入植してパイン生産を成功させ、1938年初めて缶詰を本土に出荷したことが刻まれている。水牛は「1933年に台湾からの移民により農耕用に30頭が導入された」とある。パイン生産だけでなく石垣島の農業を大きく飛躍させた移民の人たちの努力に敬意を感じる。
名蔵ダムへの林道の途中では、「ガンガン、ガンガン、ガンガン」と連続する大きな音が鳴り響いていた。木々の隙間から覗くと、自衛隊基地の造成中の現場が下の方に見えた。重機で硬い岩を砕く音だ。近隣の人たちもカンムリワシも、この騒音には悩まされているに違いない。
自衛隊ミサイル基地建設の問題点は、もちろん環境破壊だけではない。ミサイルを配備するということは「標的」になるということであるし、「戦場」となるということだ。奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島、与那国島を繋ぐ琉球弧にミサイル基地配備が進んでいる。このことを、琉球弧の住民だけでなく、もっと多くの人たちが知って考えてほしいと思う。
<参考文献・URL>
『琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』
《琉球弧の軍事基地化に反対するネットワーク》
《今、自衛隊の在り方を問う!》