

全国から寄付された書籍を受け入れ被災地に届ける活動を続けているボランティア団体【Hon for Japan】。主催者である青葉区在住の佐藤浩幸氏を知り、自宅の倉庫にあった本を車に積み受け入れ窓口になっている多賀城の空テナントを訪ねてみた。10坪ほどの店舗にはジャンル別に仕分けられたダンボールが山積みになっていて、時折宅配業者が全国各地から送れられてくる本を配達にやってくる。聞けば、提供者には毎週土曜日の午前指定配達での発送をお願いしているそう。なるほど、これなら自分のできる範囲での被災地支援が可能なんだな、と納得。と、いうのも僕は以前、自営で古本屋を経営していたので本を集めて持っていくという作業がとてつもなく重労働だということを骨身に染みて知っているからだ。なにせ、この不景気で日本中で古本屋が店を閉めていて、全国に店舗展開しているような大手の店でも閉店した店の在庫の引き取りが断られてしまう。つまり倉庫でデットストックになっている本を集めれば、僕のような元本職の人間が昔のツテで単純に集めるだけなら10万冊くらいならすぐに集まるだろう。ところが本というヤツは運搬が厄介で、例えばコンビニでよく見かける配送トラックでに雑誌であれば荷台のハコにギッチリと詰め込んでも(過積載か否かは別として)走行に支障はないが、文庫やハードカバー、コミック単行本となるとそうはいかない。腰くらいの高さまで積むくらいが関の山。それ以上積んだら過積載どころか、ブレーキをかけても止まらなくなってしまう。実は閉店した古本屋でデットストックが放置されてしまう理由の一つはこの運送コストにある。ましてや、古本屋を経営すれば買取在庫が常に10万冊以上抱えているのが普通であるが、実は古本屋で店頭に並んでいる本は200坪の店舗も15坪の店舗でもタイトル数でカウントすると大差がない。2万タイトルを超えると残りはすべていわゆる“ダブリ”ということになり、在庫をいくら増やしてもタイトル数に変化がなくなってしまうのだ。つまり、閉店した古本屋の在庫をいくら集めたところで結果的には同タイトルの本が増えていくことにしかならずあまり意味がないのである。少々、前フリが長くなってしまったが、僕は主催者の佐藤氏の話を聞いて『なるほど、こんな方法があったのか』と感心してしまった。この方法であれば在庫がダブる冊数にはそう簡単には到達することはないだろうし、運搬コストもハネ上がることもない。結果的に一番効率の良い形になっている。本集めのプロでない方の発想だからできること。できる範囲で活動しているからこそ可能なこと。なんの事はない、被災地支援というものに定義なんてないのだ。よくボランティアをしている人をみると“お金持ちだからできるんだろう”なんてことを言う方がいるが、そんなことはまったくない。被災地で出来る事は既存の概念ではなく、与えられた条件下で何が出来るかを考えることが重要なのだ。
【何かしたいと思うが、金もヒマもないので何も出来ない】
そんな風に考えている方は頭を使ってみて下さい。きっと何かが起こります。
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