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ブラック監査法人からの脱出

会計士による政治・経済評論

サハリン2

2022-07-08 22:16:20 | 世界経済
エコノミスト7/12に
止まらない資源高として
特集が組まれていました。
この記事が残念なことは
すでに資源高などピークアウトの
兆しが出ていることです。
例えば原油先物市場のWTI
1バレル130ドルを付けたあと
下落していて直近では7日に
100ドル割れまで行きました。

金価格も1トロイオンス
2,000ドル近くまで行きましたが
直近では1,800ドルを割り込んでいます。
このほかにも注意して記事を読まないと
フェイクニュースがあるので
騙されてしまう可能性があります。
もちろん、正しい内容もあり
例えば、日本における石油のロシア依存度
2.8%や天然ガス依存度3.4%は正しいです。

記事では日本のLNG輸入量
年間7,500万トンあるそうですが
うち600万トンはロシアのサハリンからなので
これが停止すれば代替先を探さなければ
いけないと書かれています。
ちょうどこれについてニュースがあり
プーチン大統領はサハリン2の権益を
ロシア企業に無償譲渡する大統領令に
署名したという内容でした。
サハリン2の出資割合はすでに撤退を決めている
イギリスのシェルが27.5%-1株
三井物産が12.5%、三菱商事が10%
残り50%+1株がロシア企業という構成です。

つまり今回の大統領令は
日本企業を狙い撃ちにした
ロシアに経済制裁をする
日本への対抗策ということです。
日本では他人の財産を急によこせ
というのは考えられませんが
ロシアはこれで日本を揺さぶっています。
これにより三井物産、三菱商事の株は
10%近く下落しており、さらには
丸紅と伊藤忠商事が出資している
サハリン1についても同じようなことを
検討していると発表されており
注意が必要です。
 





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参議院選挙2022④

2022-07-06 22:23:31 | 世界経済
今回選挙の争点の1つが消費税減税です。
与党が現状維持のままなのに対し
野党は消費税の減額や撤廃を主張しています。
与党の主張は消費税は社会保障費に限定され
安定財源であることから
これをいじることは考えていないというのに対し
野党は物価高対策や景気対策のために
期間を限定してでも減税すべきというものです。

与党の社会保障費に限定されている
というのは全部が限定されていないはずなので
少し違うかもしれません。
しかし、減税すればその多くの部分で
社会保障費が不足し、
国債の増発などをしなければいけないことは
明らかだと思います。
これで得をするのは誰かといえば高齢者です。

高齢者は年金収入が多く、
給与が上がって収入が増えることはないので
減税はそのまま利益となります。
他方で、若者は一時的には減税の恩恵を受けられても
最終的に国債の増発により国の借金が増えるため
そのツケを将来にわたって払わなければなりません
つまり、若者から高齢者への資金移転で
これぞシルバー民主主義という感じです。
しかし、本来は高齢者に富が集中しており
その富を若い世代にどうやって回すかが問題で
消費意欲の高い若者にお金を回して
消費させた方が経済が活性化すべきだと思います。

このため、祖父や祖母が孫などに贈与した場合
贈与税の一部免除などが設定されているわけです。
なのに、若者から高齢者に資金を移動させるのは
逆効果と考えられます。
また、現在若者が貯蓄をする理由として
将来不安というものが大きな割合を占めますが
国の借金の増加は将来不安を増大させるものです。
れいわの山本代表などは、消費税廃止により
毎日が10%offで消費が増える、そうなれば
景気も良くなって税収も増えると言っていますが
日本人はそんなにバカではありません。

また、一旦下げた消費税を
上げられるのかということも問題です。
野党は選挙のたびに減税などを主張するので
期限付きで消費税を減税・廃止しても
その期限がくれば、何かと理由をつけて
消費税を上げない理由を訴えてきます。
そうなれば、永遠と国の借金が増え続け
将来不安→消費の減少→景気低迷から抜け出せません。
物価が2%しか上がっていないのに
どうして消費税を8~10%下げる対策が必要なのか
しっかりとした説明が必要であり
選挙での票目当ての主張は辞めてもらいたいものです。
物価高のため10万円の給付などもってのほかです。



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アメリカの力

2022-06-22 22:53:08 | 世界経済
エコノミスト6/21に
ドルの没落と称して
アメリカの衰退に関する記事がありました。
衰退を示すものとして、1つは外貨準備
30年前は80%がドルを外貨準備としていたのが
近年では60%ほどしか外貨準備として
保有されていないとしています。
2つ目にコロナショックによりFRB
金融緩和を実施し、債券を購入して
市場にドルを供給し続けていましたが
この債券価格が金利の上昇により下落し
3月末時点で42兆円の含み損となっているそうです。

ウクライナ戦争によりアメリカの地位が
さらに下がったという見方もあるようですが
個人的にはアメリカの力を見せつけられた
というのが感想です。
まず相対的な問題としてロシアの軍事力が
あれほど弱かったとは知られていなかったため
やはりアメリカが凄いことがわかりました。
また、ロシアの資産凍結のように
アメリカは今回金融の力を見せつけたことで、当分の間
中国などは台湾へ侵攻できなくなったと思われます。

海外取引などをしたりしている人は
わかると思いますが、やはりドルの力は強く
取引する場合にはドル決済しか認められません
これはユーロや円では絶対に取引できないことからも
明らかだと思います。
そのドル資金を凍結されることが
いかにロシアを苦しめているか理解した方がいいでしょう。
そして、これも相対的なことですが、
ロシアに天然ガスなどを依存していたEUは
かなりエネルギー面で脆弱なことが露呈されました。

他方で、アメリカはシェール革命以降
最大の産油国となっており、
今回ロシアからの輸入を止めたEUなどが
アメリカから調達することになったことで
新たな収入源を手にすることに成功しました。
コロナからの回復もアメリカよりも影響が
軽かった日本よりも早い状況です。
冒頭の債券に関する42兆円の含み損というのも
債券は満期になれば額面で返済されるため
特に問題にはならないはずです。
記事では金価格が1トロイオンス=1,850ドルほどで
高い水準となっており、
ドルの衰退が進めば3,000ドルにトライするのも
荒唐無稽ではないとしていますが、
金にお金が集まる理由の1つはドルを凍結された
ロシアが金を購入しているからという考えもあり
必ずしもドルが衰退しているからではないと思います。
実際に円安は進んでおり、ユーロ安も進んでいます。





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世界経済の動向202206

2022-06-19 00:47:16 | 世界経済
16日にアメリカのFOMCが開かれ
0.75%の利上げが行われました。
これまで市場との対話を重視していた
パウエルFRB議長でしたが、
FOMCの1週間前はブラックアウト期間として
FOMCに関する発言をすることができない中
14日ごろから急に0.5%の利上げではなく
0.75%の利上げのうわさが広まりました。
通常は0.25%ずつの利上げが行われるものの、
今回は0.5%の利上げが予想されていましたが
0.75%の利上げは27年ぶりのサプライズでした。

理由としては10日に発表された
消費者物価指数(CPI)が8.6%と
40年ぶりの高さになったことで
インフレを抑え込もうとしたためです。
しかし、急激な金利上昇は景気を冷やします。
日本ではゼロ金利政策に疑問が起きていますが
普通に考えて半年で1%以上の金利が上がれば
住宅ローンなどに大きな影響が出ます。
実際にアメリカの住宅着工件数は減ってきており
FOMC直後の株価はNYダウが303ドル高でしたが
翌日には741ドル安となりました。

これを受けて通常利上げをすれば
上昇するはずの長期金利(10年など)が
将来の経済停滞を見越して下落しました。
日本でも馬鹿な自称専門家が
アメリカは金利を上げし、日本はゼロ金利のままで
差は開く一方のため、為替も円安が止まらない
などと説明していましたが、
ドル/円は135円から一時131円台まで
円高になりました。
17日の日銀の政策決定会合を受けて
その後また円安方向に行ってはいますが
逆イールドという言葉があるように
短期的には金利が上がっても
長期的には景気後退の可能性で金利は
下がることがあり、以前記載したように
永遠に円安が続くことはありません。

したがって、円安がずっと続くようなことを
コメントしている人は専門家ではありません。
もっとも、短期的にはインフレ抑制のため
各国が利上げをしており、
スイスは0.5%の利上げ、英国も0.25%利上げ
ヨーロッパのECBも7月には
0.25%利上げを見込んでします。





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世界経済の動向202205②

2022-05-23 19:00:33 | 世界経済
前回はアメリカの金利のピークアウトや
原油の値段はピークアウトで
円を売ってドルを買う動きが反転してきている
という話をしました。
実際に日本の経常収支
投資収益(海外に投資し利子や配当を
受け取る収益)の拡大により
経常赤字になりかけていたものが
経常黒字幅を伸ばす方向へと反転しました。

また、このような投資収益は、
そのまま、円に換算されることなく
海外投資に回されると言われていますが、
円安となっているため円に両替する動きがあり
131円から127円まで円高になっています。
ダイヤモンドの記事ではソニーであれば
円安になると半導体事業は利益が上がるが
ゲーム事業は利益が下がるとしています。
そして円安メリットを受けられる企業は
自動車産業などごくわずかで
そのトヨタやSUBARUなどであっても、
原材料価格が円安により上昇しているため
減益要因になりうるとしています。

しかし、考えなければいけないのは
円安になった今でもこれまでと同じ生産体制を
永遠に続けることはないということです。
つまり、10年前は1ドル100円を切っていたため
なるべく円高の状況でも利益が出るような
生産体制(海外に工場を多く所有する)と変えました。
そうであるならば、今度は円安のメリットを得られるよう
海外の工場を日本に移転させるなど対策を
打てばいいだけのことです。

いろいろなところで指摘されているように
日本では相対的にモノの値段が下がっています。
しかし、これは同時に相対的に人件費も
下がっているということ意味しており
これまで安い労働力を求めて中国
さらにはベトナムへ生産拠点を移してきましたが
日本に生産拠点を戻すやり方にすればいいだけです。
そして、企業はエコノミストや経済雑誌の記者が
考えているほど馬鹿ではありません。
アメリカの金利が永遠に続く、
現在の生産体制が永遠に続くなどと
おかしな妄想をするのはやめてもらいたいものです。





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