エコノミスト10/18にイギリスの
ポンド急落のニュースがありました。
きっかけは新しく首相に就任したトラス首相が
9/23に発表した減税法案です。
現在イギリスでもインフレが進んでいますが
これに伴い中央銀行は金融引き締めを行っています。
しかし、今回の減税で金融緩和のようになり
中央銀行の方針と真逆の政策になるほか
減税のために国債の発行が31兆円必要となり
国の借金が増えることによる財政悪化が見込まれます。
そこでイギリス売り=ポンド売り、国債が加速し
1ポンド=1.035ドルまで急落し
過去最安値を更新しました。
国債は利回りが上昇すると割引現在価値で
表されるため、下落することになります。
逆に言えば、債券価格が暴落すると
金利は大きく上昇し、4.53%まで上がりました。
さすがに市場の混乱を回避するため
中央銀行は28日に国債の無制限買い入れを決め
10/3には高所得者向けの減税部分を取りやめ
その後事実上の減税撤回でやっと収束しました。
さらに、トラス首相は全面撤回して謝罪し、
財務大臣は辞任に追い込まれています。
日本のニュースを見ていると日本だけが
金融政策の失敗で円安になって苦しんでいるかの
ように錯覚してしまいますが、
ドル高(円などの自国通貨安)で苦しんでいるのは
イギリスでもユーロでも同じです。
この結果、IMFは世界経済の見通しを下方修正し
2.7%としています。
また2022年と23年の経済成長を
日本は1.7%と1.6%と予想し、
アメリカは1.6と1.0、イギリスは3.6と0.3
ドイツは1.5と-0.3、フランスは2.5と0.7
中国は3.2と4.4です。
つまり、軒並み日本よりも成長が鈍化し
ウクライナ戦争でロシアにガスのパイプラインを
止められたドイツに至ってはマイナス成長です。
中国もこれまで10%近い成長を続けてきましたが
その半分以下になってしまっています。
特に14日に発表された米の消費者物価(CPI)は
8.2%と8月の8.3%と同程度となり
予想を少し上回っただけなのに、
ドルは大きく買われました。
市場は未だアメリカのインフレは止まらず、
FRBは利上げを続けると予想し、
結果円などほかの通貨は売られています。
ドル/円については32年ぶりの円安水準です。