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ブラック監査法人からの脱出

会計士による政治・経済評論

世界経済の動向202210

2022-10-19 21:40:22 | 世界経済
エコノミスト10/18にイギリスの
ポンド急落のニュースがありました。
きっかけは新しく首相に就任したトラス首相が
9/23に発表した減税法案です。
現在イギリスでもインフレが進んでいますが
これに伴い中央銀行は金融引き締めを行っています。
しかし、今回の減税で金融緩和のようになり
中央銀行の方針と真逆の政策になるほか
減税のために国債の発行が31兆円必要となり
国の借金が増えることによる財政悪化が見込まれます。
そこでイギリス売り=ポンド売り、国債が加速し
1ポンド=1.035ドルまで急落し
過去最安値を更新しました。

国債は利回りが上昇すると割引現在価値
表されるため、下落することになります。
逆に言えば、債券価格が暴落すると
金利は大きく上昇し、4.53%まで上がりました。
さすがに市場の混乱を回避するため
中央銀行は28日に国債の無制限買い入れを決め
10/3には高所得者向けの減税部分を取りやめ
その後事実上の減税撤回でやっと収束しました。
さらに、トラス首相は全面撤回して謝罪し、
財務大臣は辞任に追い込まれています。
日本のニュースを見ていると日本だけが
金融政策の失敗で円安になって苦しんでいるかの
ように錯覚してしまいますが、
ドル高(円などの自国通貨安)で苦しんでいるのは
イギリスでもユーロでも同じです。

この結果、IMFは世界経済の見通しを下方修正し
2.7%としています。
また2022年と23年の経済成長
日本は1.7%と1.6%と予想し、
アメリカは1.6と1.0、イギリスは3.6と0.3
ドイツは1.5と-0.3、フランスは2.5と0.7
中国は3.2と4.4です。
つまり、軒並み日本よりも成長が鈍化し
ウクライナ戦争でロシアにガスのパイプラインを
止められたドイツに至ってはマイナス成長です。
中国もこれまで10%近い成長を続けてきましたが
その半分以下になってしまっています。

特に14日に発表された米の消費者物価(CPI)
8.2%と8月の8.3%と同程度となり
予想を少し上回っただけなのに、
ドルは大きく買われました。
市場は未だアメリカのインフレは止まらず、
FRBは利上げを続けると予想し、
結果円などほかの通貨は売られています。
ドル/円については32年ぶりの円安水準です。



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世界経済の動向202209

2022-09-24 20:29:38 | 世界経済
今週は中央銀行ウィークと呼ばれるように
イングランド銀行は0.5%
インドネシア中央銀行は0.5%
ノルウェー中央銀行は0.5%
フィリピン中央銀行は0.5%
ベトナム中央銀行は1%
南アフリカ中央銀行は0.75%
の利上げが決定されました。
逆に1%利下げをしたのは
トルコ中央銀行です。

また、スイス中央銀行は日銀と同じ
マイナス金利政策を行っていましたが
0.75%の利上げでプラスの金利政策に
切り替わりました。
そんな中注目のアメリカのFRBは21日に
0.75%の利上げを決定しています。
事前には1%の利上げ予想も若干ありましたが
予想通りではあるものの、
その後のパウエル議長の講演が
さらなる利上げを示唆したことから
NYダウは522ドルの下落となりました。

その翌日22日は日銀の政策決定会合でしたが
事前の予想通り、これまでの金融緩和の
維持が発表されました。
これをもとに黒田日銀総裁の記者会見を
行ったのですが、その記者会見直後に
日本の財務省が為替介入に踏み切ったことで
146円ほどだったドル/円が
141円を割るところまでいきました。
金曜の終わりには143円ほどに戻っています。

日銀や日本政府、財務省は直近で
過度な為替変動は問題だとして
為替介入の姿勢を見せていましたが
これはポーズだけでアメリカなどの
合意が得られず無理だろうとされていました。
しかし、14日には介入直前にやる
市場関係者に為替市場の動向を聞く
レートチェックが行われたと報道され
最終的に22日に介入を行うことになりました。



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日銀の政策決定会合202208

2022-08-07 11:37:41 | 世界経済
前回記載したように、
先月、日銀の政策決定会合で現状維持が
決められてから2週間ほどたちました。
これについて日銀の政策に多くの批判があり
馬鹿なエコノミストなどはますます円安は続き
1ドル=150円やそれ以上になると言っていましたが
実際には8/2に一時130.5円まで
円高になる場面がありました。

すでに私は何回か記載していますが
WTIが1バレル120ドルほどをピークに
100ドル割れまできているように
一旦加熱した投資の揺り戻しが来ています。
これは単に市場が一方方向に過熱しているだけなので
日銀の政策のせいでもなく
したがって、日銀が何もしなくても
勝手に円高方向に戻ってきます。
先週はNHKの日曜午前の討論で
学習院大学の教授が日銀擁護をする一方、
つい最近まで日銀の審議委員だった
野村総研の木内氏などは日銀批判をしていました。
しかし、上記の通り日銀批判は全くの的外れなのです。
このように専門家と言われる人でも
適当なことを言うので多くの人が混乱します。

もちろん、今回の円高傾向も一時的なもので
再度円安になる可能性はありますが、
一喜一憂せずに冷静に批評すべきだと思います。
直近でも円高に加えて物価高についても
日銀批判が行われていました。
この物価高に対応し、健全で安定的な経済成長を
するためには賃金の引き上げが必要となりますが
日銀が賃金の引上げを誘導する政策は持っていません。
どちらかといえば、これは政府側が
賃金の上昇させた企業に減税措置を行うなどの
財政政策が必要となってきます。

これに対し、労使間の賃金交渉が行われ
全国の最低賃金の平均額
昨年より31円高い961円で決着しました。
当然賃金が上がれば労働者は喜びますが
これもいろいろと考えなくてはいけないことがあります。
例えば、韓国では経済音痴の文政権の時に
最低賃金を大幅に引き上げました。
その結果起きたことは中小企業が賃金上昇に耐えられず
多く人を解雇したことから失業率が高くなり
特に若者に対して影響が出た結果
今回のような政権交代となりました。

日本ではそこまで解雇はされないはずですが
その代わり130万円の壁が存在します。
これはパート主婦が夫の扶養家族になる場合の
基準となる年収で、この範囲内で働きたい人は多くいます。
時給が上がれば、単純に労働時間を減らさなければならず
ただでさえ、コロナで外国人労働者が入国できない中
少子高齢化で労働力不足が懸念される中、
アルバイトは雇えず、パートの労働時間も減らしたら
結局そのしわ寄せは正社員に来ることになります。





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世界経済の動向202207

2022-07-29 21:54:15 | 世界経済
28日にアメリカのFOMCが開かれ
0.75%の利上げが決定されました。
前回に引き続き0.75%の利上げで
すでにアメリカの金利は2.5%になっています。
前回はFOMCの1週間前はブラックアウト期間として
FOMCに関する発言をすることができない中
急に0.5%の利上げ予想ではなく0.75%の利上げの
うわさが広がり、実際に0.75%となっていました。
今回も一部で1%の利上げがうわさされていましたが
0.75%の利上げにとどまりました。

その後パウエルFRB議長の会見などを受け、
NYダウは436ドル高と大幅な上昇となりました。
これを受けて日経平均も前日の27,700円ほどから
300円ほど高い28,000円を超えて始まりましたが
一時は50円安となり結局99円高で終了しました。
理由としては為替が1ドル=137円だったものが
FOMCの結果を受けて135円台まで円高になったことです。
最近日経平均はNYダウより堅調に推移していましたが
その理由が円安だったことがこれで明らかになりました。

馬鹿な経済評論家が悪い円安を主張し続けていますが
結局は円安は日本経済全体としてはプラス
株価も堅調となっており、今回のように円高になると
株価を下落方向にしてしまいます。
他方で、日本とは違いアメリカのドルが強く
自国通貨が安いと困るのが新興国です。
例えば、2022/1を基準とするとトルコリラ
20%以上も通貨安となっています。
チリのペソも19%ほどの通貨安、
韓国ウォンやタイバーツで10%ほど安く
南アフリカランドやインドルピーでも
7%ほど安くなっています。

韓国は日本同様に輸出が多いため
通貨安はプラスに働きますが、
現在の物価高に通貨安の影響も受けるため
上記の国々は日本よりもはるかに苦しい
物価高に悩まされています。
これらを受けてIMFが発表した世界の見通しでは
3.2%成長へと下方修正されました。
先進国の経済見通しも2%ほどに修正され、
アメリカではGDPがマイナス0.9%と
2四半期連続の下落となり、
リセッションと言われています。

日銀決定会合のところなどで紹介したように
リセッションでも物価の上昇は止まっておらず
スイスでも15年ぶりに利上げに踏み切ったほか、
カナダは1%利上げ、オーストラリアは0.5%の利上げ
ヨーロッパのECBでも0.5%の利上げをしています。
今後の予定としては8月の終わりにジャクソンホール
FOMCは9/21,11/2,12/14に行われ
それぞれ0.25%か0.5%の利上げが見込まれています。





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日銀の政策決定会合202207

2022-07-25 21:44:42 | 世界経済
21日に日銀の政策決定会合が行われ
現状維持の決定がなされました。
黒田総裁は日本が金利を少し上げただけで
円安が止まるようなものとは考えられない
と一部で期待されていた金利上昇が
今の円安に効果的ではないというコメントをしました。
これにより24年ぶりの円安となる
139円まで円安が進みましたが、
直近では136円まで円高となっています。
また、日銀が0.25%で国債を買い入れているのに
無理やり金利を上げようと画策した
一部のヘッジファンドが大損をすることになりました。

黒田総裁は円安になっている理由を
ドル高が進んでいるためと説明しています。
実際に最近カナダで1%の利上げをしたり
オーストラリアが0.5%利上げをしていますが
それぞれ各通貨は多少買われましたが
全体のトレンドとしてはドル高傾向のままです。
また、ヨーロッパのユーロでは
いわゆるパリティーと言われる1ドル=1ユーロに
なっており、1年前の1ドル=1.2ユーロほどから
大きくドル高になっています。

22日にはECBが事前のガイダンスで
0.25%の利上げを示唆していましたが、
予想とは倍の0.5%の利上げを決定しました。
これにより1ドル=1.02ユーロほどに
ユーロが買われましたが、微々たる変動です。
直近の選挙のところで立憲民主が日銀の政策の
変更を公約にしていたため、そこで記載しましたが
日本が金利を上げると円安には大した影響がない上に
日本経済には大きなダメージを与えます

もともと金利を上昇させるのは景気を冷やして
物価上昇を下げるという効果をもたらしますが
日本の消費者物価は2.2%と
日銀の目標としている2%とほぼ同じです。
しかもその内訳は原油などの影響がほとんどで
ニュースで取りざたされているほど
食品などの物価は上昇していません。
これは単に日本では30年近くデフレが続いたため
少しの物価上昇に過剰反応していることになります。

例えば、アメリカの消費者物価9.1%と
日本とは比べ物にならないくらいです。
日本もここまで物価が高くなれば
利上げを検討するでしょうし、
労働者も賃金を上げなければストライキをする
という状況になるでしょうが、
恐らくそこまでなることはないでしょう。
なお、27日にはアメリカのFOMCが開かれ
0.75%もしくは1%の利上げが見込まれています。



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