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東風吹き遊ぶブログ

浜松でビッグバンドとかやってます。

週刊ぶっくれびゅ~ 「タイタンの妖女」 カート・ヴォネガット・ジュニア

2006-02-01 00:36:55 | 週刊○○れびゅ~


いや~。面白かった。ただ、根気のある人じゃないと読む&理解するのは難しいと思われる。


「タイタンの妖女」 カート・ヴォネガット・ジュニア
すべての時空にあまねく存在し、全能者となった彼は人類救済に乗り出す。だがそのために操られた大富豪コンスタントの運命は悲惨だった。富を失い、記憶を奪われ、太陽系を星から星へと流浪する破目になるのだ! 機知に富んだウィットを駆使して、心優しきニヒリストが人類の究極の運命に果敢に挑戦した傑作!(Amazon.co.jp)


単時点的(パンクテュアル)な意味において、久々にぶっくれびゅ~更新です。この本はSF界の知る人ぞ知る傑作。爆笑問題の太田光が事ある度にすすめることでも有名。(爆笑問題が所属する事務所「タイタン」はこの小説から名づけられたのダ)


この小説はもちろんSFなんだけど、哲学的・宗教学的にも非常に面白いところがあります。ナンセンスで下らないSF的な解釈や状況設定の中に含まれる様々な登場人物のそれぞれの人生観の表現は素晴らしいの一言。


「たぶん、天にいるだれかさんはおれが気に入ってるんじゃないかな」と語っていた人生の成功者、大富豪マラカイ・コンスタントをはじめとする、ウインストン・ナイルス・ラムファードに良いように扱われた人々に降りかかる災難は酷いものだ。時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)に飲み込まれたことによって、真理を理解し、過去や未来までも見通すことが出来るようになったラムファードの行動の理由が明かされたとき、更なる驚きが。そして、人間同士の付き合いにおける「利用する・される」という関係が、物凄いスケールで展開される。運のよさ、悪さは神の成せる業なのか、それとも単なる思い上がりなのか。もしくは…。
何のために人類は生きて、文明を築き、人生を過ごしていくのか。生きがいとは何か。虚無的な思想には哀しくなるところもあるけれど、素晴らしい結末だと思う。(それはハッピーエンドとかそういう単純な話ではなく)


「だれにとってもいちばん不幸なことがあるとしたら、それはだれにもなにごとにも利用されないことである」という台詞は、その文脈の中で最も心に響いたうちの一つだ。


独特の世界で繰り広げられるストーリーは圧巻。その中で繰り広げられるニヒリスティックな哲学は目からウロコ。共感できるか出来ないかは別として。


こういう小説が、面白い小説なんだよなぁ。と思うわけで。


最近、「いま、会いにゆきます」で主人公が読んでいた小説としてまたジワジワ来てるらしいです。中村獅童が「読んで大泣きした」んだとか。へぇー。(←無関心)
「いま、会いにゆきます」関連でこの本読んだ人の感想とか読むとイラつく。浅い。別にどうでもイイけど、なんかさ。



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