また大学のフィールドワークの話です。もうやりたい放題になってます。
webサイトのモデリング&仕様書作成も一段落して、ドキュメンタリーの撮影に行ってきました。しかも突発的に。
自分のグループ4人は遠州地方に伝わる伝承を取り上げています。少々オカルトチックで民俗学的な怪しい題材のため、多少引くかもしれませんが「ウチの学部はこんなこともやってるんだよ」ってな内容です。
今日、3コマ終了後、取材と銘打って講義を脱出。友人Kの運転する車で掛川の清明塚へ。この清明塚、遠州地方に伝わる七不思議のひとつとして有名(!?)なのです。
この七不思議、かなりいい加減でこじつけが多く諸説がある。
七不思議候補だけでも十個以上あり、
地域によってどの言い伝えをチョイスして七不思議とするかは変わってくる。
いいかげんだなぁ。
んで、この清明塚は「陰陽師」として有名になったあの安倍清明が遠州灘を訪れた際に、津波の被害を食い止める為に祈祷したとされる場所なのです。
国道150号を東に向い、大須賀町のサンサンファーム近くの海側にあります。
看板はこれだけ。はっきり言って見逃します。
しかも隣にはAVの自販機が。企画倒れの感が一行を襲う。
なんかね、本当に何の脈絡もなく小さな看板と謎の横道が現れるのでビックリ。通り過ぎそうになる。
自分の車じゃなくて良かった。
というより本当に塚があるのか不安。
で、車を降りて黙々と歩く。
蚊が多い。早くも挫折ムード。
自分は講義を受ける気満々だったので、サンダルで来てしまった。足めっちゃ蚊に刺されるし、茂みを通ったり水溜りに足を突っ込んだりと散々。トレッキングシューズで来れば良かったと後悔。
歩くこと数分、ついに発見です!
「町指定」というところからそのスケールの大きさが分かると思います。
ばばん!
お供えに何故か伊右衛門(350ml)が。
妙にこの場所にマッチしている。
ばばん!
うん、石がゴロゴロ積まれてるだけだね。
この見た目のチャチさ。何とかならないものか。
過度な期待をしすぎたのか。
こんな石塚、安倍清明がオンキリキリ言わなくても作れそうなものである。
清明塚の脇には謎のオブジェ。特に解説もなく、不思議なオーラが漂っておりました
しかも建立されたのつい最近だし。
まぁ事前にリサーチはしてあるので、どのような所縁があるのかはある程度知っているのですが、
一応看板を読んでみる。
清明塚の伝説
今から約千年前、京の都で有名だった陰陽師安倍清明が荒波の被害に悩むここ遠州灘にやってきた。この地の人々は彼に津波の被害を抑えてもらえないかと懇願した。
清明は村人に浜で小豆色の石を拾ってくるように言った。拾ってきた石を積み上げ、清明が祈祷をした後、近隣の村に津波の被害があっても、この村の周辺は荒波が襲ってこなかったという。
清明の祈祷に感謝した村人はこの塚を作り(←清明が作ったわけではないところがセコイ)様々な願い事をするようになった。その頃流行った疱瘡などの疫病にも効くといわれ、遥か遠方からお祈りに赴く人もいたという。
願い事をする際は塚の石を一つもらい、お守りとする。お礼参りのときには石を二つにして返す。するとどんな色の石であっても小豆色に変わったという。
確かに小豆色の石が多いです。清明パワー、恐るべし。
小豆色に変色するということから、「土地柄鉱石が酸化しやすいためそのような現象が起こるのでは」と仮説を立てて向かったのですが、どうも錆の色ではないんですね。独特の、いかにも小豆色した石でした。不思議です。
映像をちょちょいと撮影。これが目的だったので。
撮影も無事終了して陽も傾きかけたところで周辺を散策。海岸が近いので行ってみる。
海岸ですよ!清明さん!!
わ~い。
めっちゃ開放感を味わいました。素晴らしい景色、心地よい潮風、襲い来る高波。
え?
高波?
え~。今日はそれほど風も強くなかったんですが、物凄い波でした。
海岸近くのカンバンには、「高波の為年中遊泳禁止」の文字が。
まだまだ遠州灘の荒波は治まるところを知らないようです。
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清明さんの千年越しの祈祷は津波の被害をある程度抑制してくれたものの、安心して遊泳できるまでの穏やかな波にするパワーは残念ながら無かったようである。
遠州七不思議のひとつには海坊主の一種である「波小僧」が高波を教えてくれるという伝説もあり、遠州灘と荒波は切っても切れない縁のようだ。
浜松祭りの凧揚げも、遠州のからっ風と遠州灘の荒波のおかげであれだけダイナミックに見えるわけで。
今度はビール片手に海でも見るかな。