燦(12)
2008-10-20 | 燦
歌う事が好きでした。
バレエやピアノも習ったけれど、それらよりも歌う事が好きだった。
近所の公園を歌いながら歩いたり、小さい子のお守りで歌う事もあった。
ミス・マクロスに選ばれて、大勢の人たちの前で歌うようになって、そして皆も喜んでくれて、私も楽しかった。
私は図に乗っていたんだ。
用意された楽曲を歌い、皆に「可愛い」と持て囃され、いつしかそれが普通だと思い込んでいた。
提供された歌が嫌だったと言うのではなく、何を言いたいのか、何を伝えたいのかをわかったような振りして歌っていたのだと思う。
それに気がつかぬまま時は過ぎ、いつしかコンサートに来てくれるお客さんは段々少なくなっていった。
当然の事なのに、私はそれにショックを受けた。
全くいないって事はなかったのに、来てくれた人はいたのに、どうして誰もいないと思ってしまったのだろう?
私の歌に、人を感動させる力は無い。
私の歌に、共感してくれる人はいない。
私の歌を、愛してくれる人はいない。
私を、愛してくれる人はいない?
怖かった。ひとりぼっちになるのが。
だから私は逃げた。
『まだ愛されている』
愛があるうちに消えてしまおう。
輝の愛があるうちに…。
バカな私。
まだ愛されていたくて、まだ愛していて欲しくて私、逃げたの。
輝の所へ。
時は進むもの。人の心は動くもの。2年という月日は、短いようで長かった。
輝は、”私だけ”を守ってくれる人ではなく、”みんな”を守る人になっていた。
”みんな”の中で一番守ってくれたのは私かもしれない。
だけど”みんな”の中で一番愛していたのは、私じゃない人だった。
同じ希望を持つ人。同じ未来を描く人。同じ痛みを持った人。
バカな私。
輝が落ち込んだ時、誰が側にいたのか。
輝が笑った時、誰が一緒にいたのか。
自分でない事は確か。
それでも、愛されていたと思っていたなんて。
人の心は、動くもの…。
「戦争は破壊しか生み出さない」
そうね。
かつて爆薬を生み出した人は、それ故に苦しんだわ。
ただ、硬い岩盤を崩す為だけに開発したのに、殺人兵器に使われて。
みんなの為に作られた物が、みんなを壊してしまう。
ものすごい皮肉だわ。
だけど、だからこそ彼は「平和に貢献したものを讃えてくれ」と遺言を残した。
カイフン。貴方は失くなる事しか思い浮かばなかったの?
根が残っていれば芽はまた出てくるわ。
人間は愚かだけれども、そこから這い出ようとする事ができる。
今ならわかる。
輝達は、這い出ようとする人たちに手を差し伸べているのだと。
「争うためではなく、宇宙を文化で満たすために」
それでも今、私が乗っている超長距離移民船メガロードにはたくさんの護衛艦がついているし、バルキリーなどの戦闘機や兵器を積んでいる。
自分達を守る為に。
諦めてはいけないものと、諦めなきゃいけないものが常にある。
厳しさがあるから、優しさがわかる。
楽しい事があるから、悲しみがわかる。
カイフン、貴方が死んでくれたら軍は解散すると言ったら、貴方は死ねた?
文化を伝える為にも、私たちは死んではならない。
人の心は動くもの。
私は動かす事が出来るだろうか?
みんなの心を。
同じ時を刻む事が出来るだろうか?
願わくばそれは平和で穏やかな時であるように。
作られたものは壊されてしまうかもしれない。
それでもまた作るのだろう。
私が歌うように。
私は歌うことをやめない。
輝や未沙さんと約束したからじゃない。
歌うことで私にも何かを動かせるなら、私は歌い続ける。
今までの私も、私。
これからの私も、私。
でもやっぱり、歩くのなら誰かと一緒がいい。
私は探す。見つけてみせる。
歌いながら。
君を待つ。
バレエやピアノも習ったけれど、それらよりも歌う事が好きだった。
近所の公園を歌いながら歩いたり、小さい子のお守りで歌う事もあった。
ミス・マクロスに選ばれて、大勢の人たちの前で歌うようになって、そして皆も喜んでくれて、私も楽しかった。
私は図に乗っていたんだ。
用意された楽曲を歌い、皆に「可愛い」と持て囃され、いつしかそれが普通だと思い込んでいた。
提供された歌が嫌だったと言うのではなく、何を言いたいのか、何を伝えたいのかをわかったような振りして歌っていたのだと思う。
それに気がつかぬまま時は過ぎ、いつしかコンサートに来てくれるお客さんは段々少なくなっていった。
当然の事なのに、私はそれにショックを受けた。
全くいないって事はなかったのに、来てくれた人はいたのに、どうして誰もいないと思ってしまったのだろう?
私の歌に、人を感動させる力は無い。
私の歌に、共感してくれる人はいない。
私の歌を、愛してくれる人はいない。
私を、愛してくれる人はいない?
怖かった。ひとりぼっちになるのが。
だから私は逃げた。
『まだ愛されている』
愛があるうちに消えてしまおう。
輝の愛があるうちに…。
バカな私。
まだ愛されていたくて、まだ愛していて欲しくて私、逃げたの。
輝の所へ。
時は進むもの。人の心は動くもの。2年という月日は、短いようで長かった。
輝は、”私だけ”を守ってくれる人ではなく、”みんな”を守る人になっていた。
”みんな”の中で一番守ってくれたのは私かもしれない。
だけど”みんな”の中で一番愛していたのは、私じゃない人だった。
同じ希望を持つ人。同じ未来を描く人。同じ痛みを持った人。
バカな私。
輝が落ち込んだ時、誰が側にいたのか。
輝が笑った時、誰が一緒にいたのか。
自分でない事は確か。
それでも、愛されていたと思っていたなんて。
人の心は、動くもの…。
「戦争は破壊しか生み出さない」
そうね。
かつて爆薬を生み出した人は、それ故に苦しんだわ。
ただ、硬い岩盤を崩す為だけに開発したのに、殺人兵器に使われて。
みんなの為に作られた物が、みんなを壊してしまう。
ものすごい皮肉だわ。
だけど、だからこそ彼は「平和に貢献したものを讃えてくれ」と遺言を残した。
カイフン。貴方は失くなる事しか思い浮かばなかったの?
根が残っていれば芽はまた出てくるわ。
人間は愚かだけれども、そこから這い出ようとする事ができる。
今ならわかる。
輝達は、這い出ようとする人たちに手を差し伸べているのだと。
「争うためではなく、宇宙を文化で満たすために」
それでも今、私が乗っている超長距離移民船メガロードにはたくさんの護衛艦がついているし、バルキリーなどの戦闘機や兵器を積んでいる。
自分達を守る為に。
諦めてはいけないものと、諦めなきゃいけないものが常にある。
厳しさがあるから、優しさがわかる。
楽しい事があるから、悲しみがわかる。
カイフン、貴方が死んでくれたら軍は解散すると言ったら、貴方は死ねた?
文化を伝える為にも、私たちは死んではならない。
人の心は動くもの。
私は動かす事が出来るだろうか?
みんなの心を。
同じ時を刻む事が出来るだろうか?
願わくばそれは平和で穏やかな時であるように。
作られたものは壊されてしまうかもしれない。
それでもまた作るのだろう。
私が歌うように。
私は歌うことをやめない。
輝や未沙さんと約束したからじゃない。
歌うことで私にも何かを動かせるなら、私は歌い続ける。
今までの私も、私。
これからの私も、私。
でもやっぱり、歩くのなら誰かと一緒がいい。
私は探す。見つけてみせる。
歌いながら。
君を待つ。
あの状態で輝とくっついてたらきっとあのまんまだったと思うよ~。
私はあっちゃんの歌にだいぶ救われています。
次はベンベン出るぞ~。
……。
そういやロボテックじゃ柿崎は「ベン」でしたな。ヤバイ(何が)
きっと救われる人がたくさん出てきそうな、
そういう存在になれるような気がするこちらのミンメイはイイ・・・
いいひと見つけてほしーーーよ
マクロス世界では17で成人だし、ウチのミンメイもこの時点でハタチ。
大人っぽ過ぎるけど、まぁいいかぁ!と開き直りました。
彼女は彼女なりに成長していくでしょう。
問題は一条夫婦がまだ成長できるかどうか…成長止まったかもしれん(こらこら)
『燦』はもそっと続きます。
どうぞお付き合いの程よろしゅう
ほんとにいいです。
さて、輝と未沙はさておいて(さておくのはイヤイヤですけどね)
実は今回のカテゴリーはミンメイですものね。
ミンメイの一人称はもっと軽薄かと想像していましたが、いやいやどうして包容力がある。
「ミンメイ」にわがままっぽくなく入れました、ありがとうございました。
彼女、力まずちぢこまらずに大人になれるといいですね。
…一条夫妻はどうか絡むのかしら…
このまますんなり大人ってのも少々さびしい気はしますけれど。
これからの筆致に期待申し上げます。
ノーベル賞の季節なりね。