最終話(第10話) 「裏切り者は許さない 日本プライドを持て!ロケットの夢・人工弁の夢を打ち上げろ!!」
佃製作所の社長・佃航平(阿部寛)は、出勤途中のサヤマ製作所の社員・中里淳(高橋光臣)を待ち伏せして「世の中や社会に迷惑だけは掛けないようにしろよ。お前は今、技術者として胸を張ってられるか?間もなく臨床試験が再開される。また人が死ぬぞ」と話す。
出社した中里は、人工弁・コアハートの現行バルブの実験記録のデータを、開発部マネージャー・月島尚人(福田転球)からアクセスキーを教えてもらって見てみると、完璧に近い数字だったが、それを一緒に見ていた横田信生(バカリズム)は完璧すぎる結果に疑問を持ち、中里がいない間にデータをコピーして医療ジャーナリスト・咲間倫子(高島彩)に流す。
咲間は、そのデータを航平の元へ持って行き、データ偽装をしていないか検証してもらおうとするが、佃製作所の機材では検証しきれず、高速耐久実験装置を持つ帝国重工の宇宙航空部長・財前道生(吉川晃司)に「データの不自然さに気づいていながら、それを一人の技術者として見て見ぬフリをすることはできないんです。これは人の命がかかわっているんです」と言って、データの検証をお願いをする。
すると財前は咲間に「データ偽装がもし事実なら、我々が採用したロケットバルブの信用性も疑わしくなりますから、これはウチも無視できない問題です。それに彼(航平)の事は信頼しています。彼とは一緒にロケットを打ち上げた同志ですから」と言って了承する。
財前は、装置の扱いに精通している主任・富山敬治(新井浩文)に検証の手伝いをお願いするが、富山は拒み、資材調達担当部長・石坂宗典(石井一孝)と共にサヤマ製作所社長・椎名直之(小泉孝太郎)に会いに行く。
途中で席を外した富山が席に戻ろうとすると、椎名が石坂に分厚い紙袋を渡しているのを目撃し、富山は帰社して財前の元へ行って「帝国重工のためです」と言ってデータ検証の手伝いをする。
その結果、データ偽装が分かり、週明けの週刊誌でスクープしてもらう事になるが、出版社に椎名とアジア医科大学心臓外科教授・貴船恒広(世良公則)が連名で、編集部と咲間と航平宛てに信用棄損と業務妨害があるとして10億円の損害賠償を訴える用意があると警告してくる。
編集長は、佃製作所に多大な損害を与える影響がある事を懸念してスクープを見送ろうとするが、航平は経理部長・殿村直弘(立川談春)から「その編集長に、ウチはどうなってもいいから記事を出してくれと言えばいいんです。もし、そのせいで会社が窮地に追い込まれても、元銀行員の私がいる。絶対にこの会社は潰しません!」と言われて、出版社に行って記事の掲載を認めさせる。
中里が佃製作所を訪れて、コアハートの設計図を持ち出したことを涙ながらに打ち明けると、航平は「下を向いてても、やってしまった事はもう戻らない。何も変わらない。とにかく顔を上げて、真っ直ぐ前を見ろ。辛かったろ?よく正直に話してくれた。確かにお前は間違いを犯した。でもな、誰だって間違える事はあるんだ。大切なのは、これからどうするかなんだ。それに、本当に責任を取らなきゃならない奴は、他にいるんだろ?俺はそいつを絶対に許さない。お前の敵は、俺が絶対取ってやるから」と声を掛ける。
帝国重工では、半年後のロケット打ち上げについての最終連絡会議が行われて、サヤマ製バルブの搭載が最終決定されるはずだったが、そこに財前がサヤマ製作所のコアハート・データ偽装と死亡事故についての週刊誌記事のゲラを持って行って、社長・藤間秀樹(杉良太郎)に「その記事が事実であれば、我が社のコンプライアンス規範に大いに反します。それだけではありません。既に納品されたロケットバルブに関しても、データ偽装を疑わざるを得ません。リスクテイクの問題です。このままプロジェクトを進めて、万が一途中でサヤマ製作所のデータ偽装が真実であると証明された場合、我が社の受ける損害は計り知れない。今ならまだ方向転換できます。我々には佃製作所がある。彼らの技術は未だ世界最高峰。健在です」と進言する。
すると藤間は「ロケットは、カネや技術さえあれば打ち上がるというような、そんな簡単なものではない。開発に携わる者は、少しのミスも許されない極限状態の中で完璧に仕事をこなし、互いに二重三重のチェックをし合い、その上で信頼を高めていかねばならぬ。ロケットをなめるな!」と言って、サヤマとの取引は全て凍結されて佃のバルブが採用される事になり、石坂から財前へ主導権が移る。
航平は椎名の元を訪れるが、椎名はデータ偽装を否定し、日本では生存率が限りなく100%に近くならないと医療機器を販売出来ないからダメなんだと主張する。
すると航平は「その答えは私には到底出すことはできません。ですがね、1%だから死んでも仕方がないなんて思う人間はどこにもいませんよ。だから我々技術者は、常に100%の成功を目指して研究開発を続けるしかないんだ。にもかかわらず、自分の私利私欲のために、開発する努力を放棄してデータ偽装するなんて、言語道断だ!どんな理由があろうと、絶対にやってはならない、越えてはならない一線だ!大勢を救うために少数を犠牲にする事が正しいのか間違ってるのか、そんな事は医者も技術者も、ずっと昔から悩みに悩み続けてきた事なんだ。答えなんか出せる訳はないんだ。それでも先人たちはな、自分の無力さと戦いながら次こそは10人全員を救いたいと努力して、どうしても救えなかった尊い犠牲の上に唇を噛みしめて、今日の医療と技術を作り上げてきたんだ。アンタのやった、たった1回のデータ偽装のせいで、全ての技術者の信頼が失われたんだ。何千回、何万回とテストを繰り返し、歯を食いしばって挫折を乗り越え医療機器の開発に取り組んできた技術者たちの不断の努力を、アンタは一瞬で台無しにしたんだ!これでコアハートの開発は、当然ゼロからのスタートになるだろう。どれほど多くの患者さんが待ち望んでいたか。アンタのやった事こそ、助かるはずだった多くの命を踏みにじって-100%にしてしまう、命と技術に対する冒涜だ!」と怒る。
それでも椎名が罪を認めないため、航平は椎名の父親の話をして「お父さんは、カネには代えられない社員たちの持つ技術を、あなたに残そうとしたんじゃないのか?いくらカネをかけても、それだけじゃ会社はダメなんだ。人の力だよ。自分の仕事への誇りを夢を社員たち一人一人が持たなければ、会社は成長などしないんだ」と言って、月島が全てを打ち明けたボイスレコーダーを椎名に聞かせる。
そして「ずっと一度はNASAで働きたいと思って憧れてた。もしかしたら俺は、どっかでアンタに嫉妬してたのかもしれない。本当は俺はアンタとこんな話がしたかった訳じゃないんだ。ロケットエンジンバルブの難しさや人工心臓の可能性、この国の技術の未来について、じっくりと話がしたかった。残念だよ」と話すと、椎名は父親の会社が大企業の身勝手で放り出された事やその後の人生を語り出し、「俺はこんな事じゃ終わらない。必ずもう一度這い上がってやる!」と言い放つ。
すると航平は、椎名の父親が特許を取った高効率タービンが次の打ち上げロケットのキーデバイスとして採用されたことを伝えて「たとえ会社は潰され、特許を全部奪われたとしても、その技術はこれから何十年先も生き続ける。それが技術だ。技術は嘘をつかない。勝つか負けるかギリギリの所にしか、本当の勝負はない。もし俺たちに勝ちたいのなら、つまらない小細工などせずに、正々堂々と技術力だけでぶつかってこい!それができないなら、二度と技術者を名乗るな!」と言い残して帰っていく。
椎名は業務上過失致死の容疑で逮捕され、佃製作所は日本クラインが持っていたコアハートの設計図は佃製作所から流出したもので佃の持つ基本特許を侵害しているとして、コアハートの製造中止を求める。
帝国重工はガウディ計画への支援を正式に決定し、航平は財前に「ロケットでは自分の夢を叶える事ができました。だからガウディでは、誰かの夢を応援したい。あの人工弁には、それだけの力があるんです」と語り、ガウディは、血栓発生テストもクリアして臨床治験が行われるようになる。
3年後、佃製バルブが搭載されたロケットが再び打ち上げられ、航平の娘・利菜(土屋太鳳)は「いつか私も開発者として、もう一度あの場所に行く。絶対に」と決意を母・和泉沙耶(真矢ミキ)に語る。
航平の元に椎名が現れ、佃製バルブよりも調圧信頼性と耐久性が30%上回ったバルブを見せて・・・
というような内容でした。
※私は原作を読んでいません。
さすが、原作がしっかりしているから、話もしっかり落ち着きましたね
とてもとても駆け足でしたが
前半のロケット編も、後半のガウディ編も、あと1~2話ずつ長くても良かったのではないかな?
そして、ロケット編なくしてガウディ編はなかったのだな、というのが、最終話でようやく分かりました。
色々な伏線が最終回に「一気に」繋がっていたけど、先週までにそれをもっと分散して描いてくれていても良かったのでは?と思ったり。
最終回が濃密で、名台詞がどんどん出ていたので、上のあらすじを書くのが長くなりました
第7話の感想で私は「そもそもその最初の部品は不完全で(それを椎名も知っていて)、中里に作らせるつもりで『中里の引き抜きありき』だったのかな?」と書いていたのですが、やはりその通りだったようですね
サヤマが日本クラインに納入したバルブは、90日の動作保障すらなされていなかったなんて
サヤマが出したデータを鵜呑みにした日本クラインや貴船教授も、悪いですよね。
ロケットエンジンバルブの時、帝国重工は佃製バルブとサヤマ製バルブをちゃんと自身でテストしていましたからね。
人の命を預かる医療製品なのに、目先の利権にこだわりすぎていて大事なものが全く見えなくなっていた・・・怖い事です。
その悪事を暴くキーパーソンに、新井浩文さん演じる富山がなるとは!!
本部長・水原重治(木下ほうか)や石坂側につく事で出世を狙っていたけど、やはり技術者として不正は許せなかったのですね。
ロケット打ち上げは、1回失敗したら莫大な損害が出ますからね・・・。
藤間社長も「ロケットをなめるな!」と一喝していましたね。
藤間に財前が「身命を賭して」と言って頭を下げるくだりは、何だか時代劇チックだな~と思って、ちょっと笑ってしまいましたが
でも、そういう迫力あるシーンは、やはりベテラン俳優の方は素晴らしいですね。
杉良太郎さんは、セリフ量は少ない中で、とても威厳が出ていて、観ていてもビシッと引き締まった感が伝わりました。
怒鳴り合うシーンも、阿部寛さんや小泉孝太郎さんといった役者を本業としている方はビシッとしていたけど、本業が役者でない方は・・・
頑張っているのは伝わるし、決して下手ではないけど、やはり迫力が違うというか、タメが少ないというか、「行間」というものが感じられないというか・・・
このドラマは、そういう「役者が本業ではない方」の多用については、私はとても不満に思いました。
あとは、顔アップ・・・
こう言っては何ですが、美しいお顔のアップなら耐えられるけど・・・というのが本音です。
顔アップのシーンの時は、画面から目を逸らしながら観ていました。
続編を作るなら、もっと少なめでお願いしたいです。
航平は、NASAに行きたかったのですね。
後半で、航平が椎名に嫉妬心を持っている事を素直に伝える場面が、とても良かったな~と思いました
航平が本音を話した事で、椎名も本音をさらけ出しましたよね。
日本企業が「NASA」といった外国ブランドに弱いというのが、何だかわかると思ってクスッと笑ってしまいました。
ホームレスのような生活をしていた椎名が、どうしてアメリカまで行けたかが、もう少し知りたかったですけど
椎名の生い立ちやバックグラウンドを、もう少し早くから描いていても良かったのでは?と思ったり。
特に印象に残った言葉は、
「データの不自然さに気づいていながら、それを一人の技術者として見て見ぬフリをすることはできないんです」
「大切なのは、これからどうするかなんだ」
「互いに二重三重のチェックをし合い、その上で信頼を高めていかねばならぬ」
「大勢を救うために少数を犠牲にする事が正しいのか間違ってるのか、そんな事は医者も技術者も、ずっと昔から悩みに悩み続けてきた事なんだ。答えなんか出せる訳はないんだ」
「自分の仕事への誇りを夢を社員たち一人一人が持たなければ、会社は成長などしないんだ」
「技術はこれから何十年先も生き続ける。それが技術だ。技術は嘘をつかない。勝つか負けるかギリギリの所にしか、本当の勝負はない」
技術者のみならず、色んな分野についても言える事かもしれないですね。
前半のロケット編は、「技術者vs技術者」の争いとして、とても盛り上がりながら観ていたのですが、
後半のガウディ編は、技術者が技術者に見えず、利権ばかりが目についてイライラしながら観ていたのですが、
総合的には面白かったと思います。
もっともっと面白く描けたと思いますけどね。
年内に、全話を通じた感想を書ければと思っています。
←web拍手です。
※これまでの感想
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話
※公式HP(こちら)
佃製作所の社長・佃航平(阿部寛)は、出勤途中のサヤマ製作所の社員・中里淳(高橋光臣)を待ち伏せして「世の中や社会に迷惑だけは掛けないようにしろよ。お前は今、技術者として胸を張ってられるか?間もなく臨床試験が再開される。また人が死ぬぞ」と話す。
出社した中里は、人工弁・コアハートの現行バルブの実験記録のデータを、開発部マネージャー・月島尚人(福田転球)からアクセスキーを教えてもらって見てみると、完璧に近い数字だったが、それを一緒に見ていた横田信生(バカリズム)は完璧すぎる結果に疑問を持ち、中里がいない間にデータをコピーして医療ジャーナリスト・咲間倫子(高島彩)に流す。
咲間は、そのデータを航平の元へ持って行き、データ偽装をしていないか検証してもらおうとするが、佃製作所の機材では検証しきれず、高速耐久実験装置を持つ帝国重工の宇宙航空部長・財前道生(吉川晃司)に「データの不自然さに気づいていながら、それを一人の技術者として見て見ぬフリをすることはできないんです。これは人の命がかかわっているんです」と言って、データの検証をお願いをする。
すると財前は咲間に「データ偽装がもし事実なら、我々が採用したロケットバルブの信用性も疑わしくなりますから、これはウチも無視できない問題です。それに彼(航平)の事は信頼しています。彼とは一緒にロケットを打ち上げた同志ですから」と言って了承する。
財前は、装置の扱いに精通している主任・富山敬治(新井浩文)に検証の手伝いをお願いするが、富山は拒み、資材調達担当部長・石坂宗典(石井一孝)と共にサヤマ製作所社長・椎名直之(小泉孝太郎)に会いに行く。
途中で席を外した富山が席に戻ろうとすると、椎名が石坂に分厚い紙袋を渡しているのを目撃し、富山は帰社して財前の元へ行って「帝国重工のためです」と言ってデータ検証の手伝いをする。
その結果、データ偽装が分かり、週明けの週刊誌でスクープしてもらう事になるが、出版社に椎名とアジア医科大学心臓外科教授・貴船恒広(世良公則)が連名で、編集部と咲間と航平宛てに信用棄損と業務妨害があるとして10億円の損害賠償を訴える用意があると警告してくる。
編集長は、佃製作所に多大な損害を与える影響がある事を懸念してスクープを見送ろうとするが、航平は経理部長・殿村直弘(立川談春)から「その編集長に、ウチはどうなってもいいから記事を出してくれと言えばいいんです。もし、そのせいで会社が窮地に追い込まれても、元銀行員の私がいる。絶対にこの会社は潰しません!」と言われて、出版社に行って記事の掲載を認めさせる。
中里が佃製作所を訪れて、コアハートの設計図を持ち出したことを涙ながらに打ち明けると、航平は「下を向いてても、やってしまった事はもう戻らない。何も変わらない。とにかく顔を上げて、真っ直ぐ前を見ろ。辛かったろ?よく正直に話してくれた。確かにお前は間違いを犯した。でもな、誰だって間違える事はあるんだ。大切なのは、これからどうするかなんだ。それに、本当に責任を取らなきゃならない奴は、他にいるんだろ?俺はそいつを絶対に許さない。お前の敵は、俺が絶対取ってやるから」と声を掛ける。
帝国重工では、半年後のロケット打ち上げについての最終連絡会議が行われて、サヤマ製バルブの搭載が最終決定されるはずだったが、そこに財前がサヤマ製作所のコアハート・データ偽装と死亡事故についての週刊誌記事のゲラを持って行って、社長・藤間秀樹(杉良太郎)に「その記事が事実であれば、我が社のコンプライアンス規範に大いに反します。それだけではありません。既に納品されたロケットバルブに関しても、データ偽装を疑わざるを得ません。リスクテイクの問題です。このままプロジェクトを進めて、万が一途中でサヤマ製作所のデータ偽装が真実であると証明された場合、我が社の受ける損害は計り知れない。今ならまだ方向転換できます。我々には佃製作所がある。彼らの技術は未だ世界最高峰。健在です」と進言する。
すると藤間は「ロケットは、カネや技術さえあれば打ち上がるというような、そんな簡単なものではない。開発に携わる者は、少しのミスも許されない極限状態の中で完璧に仕事をこなし、互いに二重三重のチェックをし合い、その上で信頼を高めていかねばならぬ。ロケットをなめるな!」と言って、サヤマとの取引は全て凍結されて佃のバルブが採用される事になり、石坂から財前へ主導権が移る。
航平は椎名の元を訪れるが、椎名はデータ偽装を否定し、日本では生存率が限りなく100%に近くならないと医療機器を販売出来ないからダメなんだと主張する。
すると航平は「その答えは私には到底出すことはできません。ですがね、1%だから死んでも仕方がないなんて思う人間はどこにもいませんよ。だから我々技術者は、常に100%の成功を目指して研究開発を続けるしかないんだ。にもかかわらず、自分の私利私欲のために、開発する努力を放棄してデータ偽装するなんて、言語道断だ!どんな理由があろうと、絶対にやってはならない、越えてはならない一線だ!大勢を救うために少数を犠牲にする事が正しいのか間違ってるのか、そんな事は医者も技術者も、ずっと昔から悩みに悩み続けてきた事なんだ。答えなんか出せる訳はないんだ。それでも先人たちはな、自分の無力さと戦いながら次こそは10人全員を救いたいと努力して、どうしても救えなかった尊い犠牲の上に唇を噛みしめて、今日の医療と技術を作り上げてきたんだ。アンタのやった、たった1回のデータ偽装のせいで、全ての技術者の信頼が失われたんだ。何千回、何万回とテストを繰り返し、歯を食いしばって挫折を乗り越え医療機器の開発に取り組んできた技術者たちの不断の努力を、アンタは一瞬で台無しにしたんだ!これでコアハートの開発は、当然ゼロからのスタートになるだろう。どれほど多くの患者さんが待ち望んでいたか。アンタのやった事こそ、助かるはずだった多くの命を踏みにじって-100%にしてしまう、命と技術に対する冒涜だ!」と怒る。
それでも椎名が罪を認めないため、航平は椎名の父親の話をして「お父さんは、カネには代えられない社員たちの持つ技術を、あなたに残そうとしたんじゃないのか?いくらカネをかけても、それだけじゃ会社はダメなんだ。人の力だよ。自分の仕事への誇りを夢を社員たち一人一人が持たなければ、会社は成長などしないんだ」と言って、月島が全てを打ち明けたボイスレコーダーを椎名に聞かせる。
そして「ずっと一度はNASAで働きたいと思って憧れてた。もしかしたら俺は、どっかでアンタに嫉妬してたのかもしれない。本当は俺はアンタとこんな話がしたかった訳じゃないんだ。ロケットエンジンバルブの難しさや人工心臓の可能性、この国の技術の未来について、じっくりと話がしたかった。残念だよ」と話すと、椎名は父親の会社が大企業の身勝手で放り出された事やその後の人生を語り出し、「俺はこんな事じゃ終わらない。必ずもう一度這い上がってやる!」と言い放つ。
すると航平は、椎名の父親が特許を取った高効率タービンが次の打ち上げロケットのキーデバイスとして採用されたことを伝えて「たとえ会社は潰され、特許を全部奪われたとしても、その技術はこれから何十年先も生き続ける。それが技術だ。技術は嘘をつかない。勝つか負けるかギリギリの所にしか、本当の勝負はない。もし俺たちに勝ちたいのなら、つまらない小細工などせずに、正々堂々と技術力だけでぶつかってこい!それができないなら、二度と技術者を名乗るな!」と言い残して帰っていく。
椎名は業務上過失致死の容疑で逮捕され、佃製作所は日本クラインが持っていたコアハートの設計図は佃製作所から流出したもので佃の持つ基本特許を侵害しているとして、コアハートの製造中止を求める。
帝国重工はガウディ計画への支援を正式に決定し、航平は財前に「ロケットでは自分の夢を叶える事ができました。だからガウディでは、誰かの夢を応援したい。あの人工弁には、それだけの力があるんです」と語り、ガウディは、血栓発生テストもクリアして臨床治験が行われるようになる。
3年後、佃製バルブが搭載されたロケットが再び打ち上げられ、航平の娘・利菜(土屋太鳳)は「いつか私も開発者として、もう一度あの場所に行く。絶対に」と決意を母・和泉沙耶(真矢ミキ)に語る。
航平の元に椎名が現れ、佃製バルブよりも調圧信頼性と耐久性が30%上回ったバルブを見せて・・・
というような内容でした。
※私は原作を読んでいません。
さすが、原作がしっかりしているから、話もしっかり落ち着きましたね

とてもとても駆け足でしたが

前半のロケット編も、後半のガウディ編も、あと1~2話ずつ長くても良かったのではないかな?
そして、ロケット編なくしてガウディ編はなかったのだな、というのが、最終話でようやく分かりました。
色々な伏線が最終回に「一気に」繋がっていたけど、先週までにそれをもっと分散して描いてくれていても良かったのでは?と思ったり。
最終回が濃密で、名台詞がどんどん出ていたので、上のあらすじを書くのが長くなりました

第7話の感想で私は「そもそもその最初の部品は不完全で(それを椎名も知っていて)、中里に作らせるつもりで『中里の引き抜きありき』だったのかな?」と書いていたのですが、やはりその通りだったようですね

サヤマが日本クラインに納入したバルブは、90日の動作保障すらなされていなかったなんて

サヤマが出したデータを鵜呑みにした日本クラインや貴船教授も、悪いですよね。
ロケットエンジンバルブの時、帝国重工は佃製バルブとサヤマ製バルブをちゃんと自身でテストしていましたからね。
人の命を預かる医療製品なのに、目先の利権にこだわりすぎていて大事なものが全く見えなくなっていた・・・怖い事です。
その悪事を暴くキーパーソンに、新井浩文さん演じる富山がなるとは!!
本部長・水原重治(木下ほうか)や石坂側につく事で出世を狙っていたけど、やはり技術者として不正は許せなかったのですね。
ロケット打ち上げは、1回失敗したら莫大な損害が出ますからね・・・。
藤間社長も「ロケットをなめるな!」と一喝していましたね。
藤間に財前が「身命を賭して」と言って頭を下げるくだりは、何だか時代劇チックだな~と思って、ちょっと笑ってしまいましたが

でも、そういう迫力あるシーンは、やはりベテラン俳優の方は素晴らしいですね。
杉良太郎さんは、セリフ量は少ない中で、とても威厳が出ていて、観ていてもビシッと引き締まった感が伝わりました。
怒鳴り合うシーンも、阿部寛さんや小泉孝太郎さんといった役者を本業としている方はビシッとしていたけど、本業が役者でない方は・・・
頑張っているのは伝わるし、決して下手ではないけど、やはり迫力が違うというか、タメが少ないというか、「行間」というものが感じられないというか・・・
このドラマは、そういう「役者が本業ではない方」の多用については、私はとても不満に思いました。
あとは、顔アップ・・・
こう言っては何ですが、美しいお顔のアップなら耐えられるけど・・・というのが本音です。
顔アップのシーンの時は、画面から目を逸らしながら観ていました。
続編を作るなら、もっと少なめでお願いしたいです。
航平は、NASAに行きたかったのですね。
後半で、航平が椎名に嫉妬心を持っている事を素直に伝える場面が、とても良かったな~と思いました

航平が本音を話した事で、椎名も本音をさらけ出しましたよね。
日本企業が「NASA」といった外国ブランドに弱いというのが、何だかわかると思ってクスッと笑ってしまいました。
ホームレスのような生活をしていた椎名が、どうしてアメリカまで行けたかが、もう少し知りたかったですけど

椎名の生い立ちやバックグラウンドを、もう少し早くから描いていても良かったのでは?と思ったり。
特に印象に残った言葉は、
「データの不自然さに気づいていながら、それを一人の技術者として見て見ぬフリをすることはできないんです」
「大切なのは、これからどうするかなんだ」
「互いに二重三重のチェックをし合い、その上で信頼を高めていかねばならぬ」
「大勢を救うために少数を犠牲にする事が正しいのか間違ってるのか、そんな事は医者も技術者も、ずっと昔から悩みに悩み続けてきた事なんだ。答えなんか出せる訳はないんだ」
「自分の仕事への誇りを夢を社員たち一人一人が持たなければ、会社は成長などしないんだ」
「技術はこれから何十年先も生き続ける。それが技術だ。技術は嘘をつかない。勝つか負けるかギリギリの所にしか、本当の勝負はない」
技術者のみならず、色んな分野についても言える事かもしれないですね。
前半のロケット編は、「技術者vs技術者」の争いとして、とても盛り上がりながら観ていたのですが、
後半のガウディ編は、技術者が技術者に見えず、利権ばかりが目についてイライラしながら観ていたのですが、
総合的には面白かったと思います。
もっともっと面白く描けたと思いますけどね。
年内に、全話を通じた感想を書ければと思っています。
※これまでの感想
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