「幸運は死者に味方する」
表紙があまり好みでなく、つい疑ってしまって購入せず
図書館で順番待ちして借りたこのミステリーが
すごく面白かった
時は第二次世界大戦を勝利で迎えた後くらい
主人公は赤毛で身軽でボーイッシュな元サーカス団員
彼女の相棒はニューヨークきっての女性天才名探偵
母親と娘くらいの年齢差のある女性同士のバディ物です
文句なしに有能だけど美女にちょっぴり弱い主人公
難病を患っていてあまり動けないけれど素晴らしい頭脳と威厳を持つ名探偵
この二人がとてつもなく魅力的です
大邸宅に住む秘密だらけの登場人物たち
とんでもない金髪美形の双子男女なども出てきます
赤毛の主人公はいわゆるワトソン系で、事件を回想しながら手記として記録に残しているという設定ですが、その美男美女の描き方に「あれ?」と思ったら想像通りの展開でちょっとわくわくしましたことですよ
けど時代が時代なので読みながらハラハラしたりもします
犯人が確定した後も結末が二転三転して
ほどけるようにおまけみたいに少し残る疑念が晴れていく気持ちよさ
「そう、犯人もだけどそこが気になってたんだけど!!」
ってのもちゃんと解決されます
きもちいいーーー
面白いのなんのって、ゴイゴイスーです
今年は翻訳ミステリに当たりが多く、とくに東京創元社の慧眼恐れ入ります
このシリーズ、アメリカでは第二巻が先月出たらしいので翻訳を楽しみに待ち絶対に次はちゃんと購入したいと思っています
売れないと次もう翻訳されないかもしれないのが海外ミステリファンのいつも抱える心配事なのですから
ほんと申し訳ないです、図書館利用してほんとすまないというか
とはいえ失敗が続くこともある
私は設定が頭脳明晰であっても読者にとってあからさまに「これエピソード追加のための行動だよね」と思わせるような頭の悪い行動をとって失敗してしまうタイプの探偵が大嫌いです
とくに一時大ブームだった女性探偵ものにそういうのがとても多かった
この本の表紙はなんとなくアレですが中身は間違いなく大当たりです
ハードボイルドっぽいけど推理は本格
容姿を漫画的に説明したりしないけれどなんとなくイメージできてしまう
好きにならずにはいられないくっきりしたキャラクター
アメリカの今なお続く闇が事件にあれこれ絡んできて
とにかく面白いので読んでない方はぜひ手に取ってみてくだされーーー