半端無く美しい岡田将生くんをまた見に行って来ましたお
見るたびに上手くなっていきます。顔だけやないねんでー
1937年、イギリス・ヨークシャー州。裕福な炭鉱主のハロルド・プリチャード(益岡 徹)の元に、ある日エイブリー一家が訪ねてくる。かつては家族同士で仲良くしていたのだが、10年前にハロルドの一人息子・エドガー(当時12才)が、ブラッケン・ムーアという荒野の廃抗に落ちて亡くなった事故をきっかけに疎遠になっていた。それ以来、エドガーの母親・エリザベス(木村多江)は家の中でふさぎ込んでおり、彼女を励ますためにエイブリー一家はプリチャード家に数日、滞在する予定だった。エリザベスはエドガーの親友であったエイブリーの一人息子、テレンス(岡田将生)と再会すると、亡き息子への思いを溢れんばかりに話し出した。
しかしその日から毎晩、うなされたテレンスの恐ろしい叫び声が、屋敷中にこだまするようになる。テレンスはエドガーの霊が憑依し、何かを伝えようとささやいてくると言う。やがてエドガーの霊に憑りつかれたテレンスは、事故現場であるブラッケン・ムーアに向かう。そして事故当時の知られざる真実が、少しずつ明らかになっていく――。
ブラッケン・ムーアはいかにもイギリス戯曲でとても暗くじめじめしているんだけど、それでもとても面白かったです。
一人息子を事故で亡くしてしまった夫妻がかわいそうでかわいそうで。
暗い田舎のお屋敷で死人のような生活を十年以上も続けている夫婦。
彼らをある意味救う役が岡田くんです。彼は異物であり天使です。
妻はどうなったか。そして夫は。
このふたりがすごく上手くて木村多江さんってこんなに演技のうまいひとだったんだと驚きました。か弱く、しかし目覚めてからのりんとして美しいこと。
そしてなんといっても旦那役の益岡徹さんです。天才のおじさんだと思います。
旦那さんは目覚めるのですが、それでもあえて自らの意思で目覚めず、暗い屋敷で生きていくのでしょう。
炭鉱会社の社長さんです。時代は第二次世界大戦の前。ヒトラーが台頭しだす頃です。裕福ではありますが、この先エネルギー革命が起こることは芝居の中でも時々匂わされています
このまま彼はじっと黙ってあの暗いくらい屋敷で過去を悔いながらも死んだように生きていくのかしら。息子の日記帳を胸に抱きながら。涙や悲しみは見せてはいけないと自らを戒めながら孤独に。
もう彼の「当時の責任ある大人の男」としての生き方に泣けてしょうがなかったです。彼はどこにもいけない。彼だけが救われない。なぜなら彼だけが古い時代の地位ある大人の男だからです。
岡田君とカーテンコールで何度も何度も握手していました。素晴らしい芝居でした。
芝居後観劇した七人でお茶しながらあれこれ話し合ってわかりにくかったこととか解釈とか語り合いました。これが楽しい。
もしかして死んだ息子はゲイだったのでは、と語り合いました。許されない時代ですよ。それで父さんはすごく息子にきつく当たってしまったのではと思います。せっかくの楽しいハイキング中、「女みたいな仕草はやめろ」と怒鳴り怒り狂ったお父さん。理由のわからぬお母さん。
もちろん芝居の中にはゲイという単語は出てきません。けど多分。
妻はそのときのことを思い出してついに旦那を責めます。あのこがかわいそうだったと。あのあと死んだのよと。
夫に従順で物静かな妻が初めて夫に激昂します。
息子が死んで十年たってやっと。
けど父としては時代的にそれは怒らずにはいられなかったのですね。
近いうちにゲイはユダヤ人と同様収容所に送られるような狂った時代がはじまります。
事故だったのかしら。それとも。
ホラーかミステリか、社会派っぽさもあります。もう一度最初から見たいです。