タグ: 詩集『闇と光』より
2014/4/28
「再掲作品 ③『雨』 ④『檻』 」 創作
雨
鬼井江
腐りかけた雨の流れに 光彩の蔭りを思う
風景が湿りを帯び 靄(もや)の中に野垂れ死ぬように息衝(いきづ)いている
永劫の天空に己(おのれ)の意識が吸い取られ
追跡者の不安な足音に怯(おび)えるように
地上を這(は)い回る
夢が色褪(あ)せ 澱(よど)みの中に首を突っ込ませ
声の出ない笑いの影に 行き場のない無力感を絡ませ
「何故」という言葉を刻んだ石の塊をぶつけてみる
黒い水溜りに暗い小さな波がおこり空中分解する
「わかっていたことだ・・・・・・」
どこからか不気味に聞こえてくる
檻
退屈という時間の中に
自由の棺(ひつぎ)を浮かべて玩(もてあそ)ぶ子供らを
檻(おり)の中に閉じ込めて
じっとしてろと着座させ
退屈なる情報をぶちこみ
何が大切であるかを隠す
首のない犬が頭を捜しまわる不気味さだけを
アメにして
檻の中にいることを忘れさせる
退屈地獄の檻の中
うじゃうじゃ人間ばかり蠢(うごめ)いて・・・
背中に焼印の番号を打ち
一人もこぼれ出ぬように監視する
己だけの背中は白紙と信じ込ませ
見えぬ不幸の悲しさを無自覚にする
檻の中で教育し 訓練し
有用なる「死んだ人格者」を送り込む
退屈と単調に耐える人間ばかりが蠢き
「虚妄の平和」となる
右を向けと言えば 右を向き
左だと言えば 左を向く
それは もう「人間」の世の中ではない
世界全体が檻になったのだ!
機械が欠伸(あくび)をしたら
人間は死ぬだろう
鬼井江
腐りかけた雨の流れに 光彩の蔭りを思う
風景が湿りを帯び 靄(もや)の中に野垂れ死ぬように息衝(いきづ)いている
永劫の天空に己(おのれ)の意識が吸い取られ
追跡者の不安な足音に怯(おび)えるように
地上を這(は)い回る
夢が色褪(あ)せ 澱(よど)みの中に首を突っ込ませ
声の出ない笑いの影に 行き場のない無力感を絡ませ
「何故」という言葉を刻んだ石の塊をぶつけてみる
黒い水溜りに暗い小さな波がおこり空中分解する
「わかっていたことだ・・・・・・」
どこからか不気味に聞こえてくる
檻
退屈という時間の中に
自由の棺(ひつぎ)を浮かべて玩(もてあそ)ぶ子供らを
檻(おり)の中に閉じ込めて
じっとしてろと着座させ
退屈なる情報をぶちこみ
何が大切であるかを隠す
首のない犬が頭を捜しまわる不気味さだけを
アメにして
檻の中にいることを忘れさせる
退屈地獄の檻の中
うじゃうじゃ人間ばかり蠢(うごめ)いて・・・
背中に焼印の番号を打ち
一人もこぼれ出ぬように監視する
己だけの背中は白紙と信じ込ませ
見えぬ不幸の悲しさを無自覚にする
檻の中で教育し 訓練し
有用なる「死んだ人格者」を送り込む
退屈と単調に耐える人間ばかりが蠢き
「虚妄の平和」となる
右を向けと言えば 右を向き
左だと言えば 左を向く
それは もう「人間」の世の中ではない
世界全体が檻になったのだ!
機械が欠伸(あくび)をしたら
人間は死ぬだろう
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タグ: 詩集『闇と光』より
投稿者: 鬼井江
2014/2/3
「再掲作品②『卒業記念詩集・愛のともし火』」 創作
1987年(鬼井江38歳)創作詩集
*生徒の名前を行頭に折句のごとく詠み込んだ詩 41作品
1
命燃ゆる日々を
静かにふりかえるとき
馬車の轍(わだち)に胸打たれ
新鮮さがよみがえる
誰もがロマンを見るように
今も心が炎化する
過ぎ去りし日は遠く近く
景色の中に浮かびくる
2
命輝く星雲が
流れゆく光景を
画板の中にしたためる
煌(きらめ)く出会いを
ひとり静かに思うとき
ろうそくの炎は希望の暗示となる
輝く希望を
誦(ず)して燃やせ命のかぎり
3
生きる芽ばえを知りし日に
野の輝き暖かく
美しき心を和ませる
絵本の中に見たものは
たった一つの散歩道
積もった枯葉空に舞い
優しき愛が吹きぬける
4
嬉しさを哀しさを
枝にそっとぶらさげ
誰かが通るのを待っている
友の声が枝に止まるとき
もみじは輝き紅くなる
野のすべて
理想の香りかもしだす
5
海に似て
流れゆく心は広く深し
崖の上に立ちて
見るものすべて 天空の
絵にするとき
命の広大さを描こうと
鳥瞰(ちょうかん)するも人生なり
6
海の見える高き地で
目がそっと囁(ささや)き
求めるものは何
灯火(ともしび)のように希望を与え
誰にも力をかし
命に息をふきかける
すずらんの花咲く心に似て
けなげな思いを抱きしめる
7
沖にでて
大いなる心をつくりし者は
太陽に出会う
母の心 父の心 友の心
流転(るてん)せし世にも
安らかな愛は
透きとおる海に今日も漂う
8
大空高く
伸びゆく生命の芽
ただひとすじに生きるとき
輝く緑葉(りょくよう) 陽に照りて
よぎる幸せの風
静かなり
9
かもめ飛ぶ
遠き港に今日もまた
美しき涙ひとつ
人の心をうつ
櫓櫂(ろかい)の音もさわやかに
白き波に古き心も流れゆく
10
希望の光さしこんで
誰(た)がために歩むとき
今よりほかに
顕栄(けんえい)への道はなし
心の中に華(はな)がさき
嬉しき音を耳に聴く
一番列車に乗るように
知と愛に新鮮さを感じ
朗詠するは
美しき人生の詩なり
11
すすきの花咲く草原に
見ゆる愛の
友垣青々と
燃ゆる生命の躍動感
真実一路まっすぐに
命の緑泉
散りゆく枯葉
朗笑(ろうしょう)波うち歩むは
嬉しき人生かな
12
ただ一人
長からん道を行く
過怠(かたい)をも恐れず
この道よりほかに
嬉しきことなし
自由に飛べ 人生の大空を
13
伝えたい思いが流れとなり
累増(るいぞう)せしは愛の声
ただひたすらに走る人
忍(にん)の一字を
ひきずりて
さわやかな汗光る
野はまさに春となり
分光(ぶんこう)を世にはなつ
14
時が満ち
実りの秋の豊作に
うちとけあうは青き歌
竹林(ちくりん)に響くは
我が心の叫び
絶えることなき熱情は
塁壁(るいへき)崩し世に広がらん
15
離れてもなお
誓いの声は響き来たる
矢の勢いに心燃え
なまぬるい風を打つ
音の消えゆく古木切り
深き思いを芽ぶかせて
未来は新木を宿らせる
16
はちきれんばかりに
通路をうずめる心あり
峠は今日も天空をかむ
理想の緑地を覆い
喜びの初声 雲にのる
浮きたつ夢ははるかなり
平安信じ
行く道は妙味を与えん
17
広き海原
しんしんと眠る
希望の航路 一筋となり
孤高はゆったり前進す
美しき朝日 海を醒ますとき
命の輝きふりかざし
地と天に呼びかける
18
舞い上がる
鶴の羽音が陽春の
訪れ知らせ
錯雑(さくざつ)を純化す
遠くからの来着鳥
白い炎となり心燃やす
19
円居(まどい)の中に
突き立てる
大いなる意志は強し
彼ら妥協に眠りしを
照らす光にて起こさん
流説(るせつ)に惑うなかれ
まさに我が意は
清(さや)かなりしぞ
20
まどろみて
疲れたるは弱き心
河の流れはとどまらず
我を動かし
夜を燃やす
宇宙の果ては心にありて
一番星をきらめかす
地にありて今まさに生きん
21
待つことを炎のごとく感じつつ
辛い汗を流す
暮れゆく光の中で
落日の優しさ思う
心の中に赤き汽車走り
美しき青春を抱きしめる
自由と愛のよろこび かみしめる人あり
22
結び目の行方かくして
乱舞する
鏡の中に
見えつ隠れつするは綿の舞い
信じるものを求めし我が
躍動 鏡の幻影砕かんやと
23
群れたる魚
緑青(ろくしょう)色のうろこなびかせ
戯(たわむ)れたるは驚きぞ
諸人(もろびと)に押し寄せ
理想をもてと
魅惑すること限りなし
重畳(ちょうじょう)なる魚たちは人生の光なり
24
もどれぬ道を
良馬に乗りて進む人
黙考(もっこう)せしときは動かず
友と生き 友のために生きん
広き草原にありて
路程を思うとき これ
気概となりて 人生を強く歩む
25
山あり谷あり
ままならぬ人生を
臥龍(がりょう)のごとく歩むべし
誰(たれ)か見守り
やさしき眼差しを与えん
進めよ進め
大いなる希望 今日も燃ゆ
26
闇に勝つ光は
世の中にありて
いよいよ力強く
喜びとなり人の涙を慰める
白い紙に理想の汗かきつけて
広き世界に手わたさん
炉の火のごとく また生きん
27
汚れなき日々を秘め
しじまの真昼
音を発するものなし
体が無風の中で駆けるとき
大地は燃え
威光となる
存念(ぞんねん)はちりにあらず
浮き草のごとく流すまじ
28
笑顔の中に見たものは
紫色したる夢ぞかし
螺旋(らせん)の気流 空を翔け
木(こ)の葉が心に舞うときに
友との愛は広がれり
世はすべて平安なれ
29
希望の星輝きて
さわやかな風吹く
濡(ぬ)れた涙は喜びに変わり
炬火(きょか)を灯す
光は遠く近く
幸あれと心秘かに
呼びかける
30
孤独の中に美しき瞳輝かせ
人間の哀しみを背負いしとき
静かなる心に薔薇の花咲く
寄せくる波に優しさ浮かべ
しんしんと燃ゆる日々 嗚呼(ああ)
見える見える夢の炎が……
31
静けさの中に
見たものは
随順(ずいじゅん)なる愛の花
揺れ動くことなき
かがり火は闇に打ち勝ち
この世の華とならん
32
ただひとり静かに
祈る旅路にて
蘭(らん)の花摘み
希望を贈る人
陽春の日差しは軽く
麗しき心湧き
刻苦(こっく)を超ゆる友となる
33
ただ一つの
懸命な思いを
抱きしめて生きる日よ
与えたる愛は折れることなし
柳のごとく強き枝なり
34
長い旅路にありて
かなえの軽重(けいちょう)問うごとく
永遠の真理を見さだめる
母なる大地に
涙と汗が植えられて
心の光 芽ばえ放たれる
35
東より陽がのぼり
牙城(がじょう)を照らす
信念の高楼輝き
愚かしきを砕く
桜の花 城庭に映え
とこしえに咲かん
心の花は散ることを知らず
36
光りたる海に
螺旋(らせん)の風吹く
迷える子羊は愛に駆け
強き意志は
止むことなく
澄み光る北の星を信ず
これ 人生の王道なり
37
故郷(ふるさと)は心にありて
瑠璃(るり)色の景色となる
河あり山あり 思い出つくり
若き涙も遠ざかる
深き情が歩むとき
道は優しく慰みて
心なごませ愛を生む
38
まなこ閉じれば
追憶の
嬉しき日々がしのびよる
磊落(らいらく)なりし我が青春
与える心惜しまず
今日も懸命に生きる
心の旅路は朝日に輝く
39
優しく強く手を振りて
待つは我が友
眠らぬ船
真っ赤な夕日 大河に落ち
さわやかな風吹く
澪標(みおつくし)の愛は今日も静かなり
40
寄せくる波に
白き音を聴く
誰もいない砂浜に
見るは幻想交響詩
きらめく魚影に夢おどる
41
若き幹は空を突き
つづら織りたる葉が茂る
渇きなき心の泉
永遠に湧きいで
緑なす大地をうるおす
完
*生徒の名前を行頭に折句のごとく詠み込んだ詩 41作品
1
命燃ゆる日々を
静かにふりかえるとき
馬車の轍(わだち)に胸打たれ
新鮮さがよみがえる
誰もがロマンを見るように
今も心が炎化する
過ぎ去りし日は遠く近く
景色の中に浮かびくる
2
命輝く星雲が
流れゆく光景を
画板の中にしたためる
煌(きらめ)く出会いを
ひとり静かに思うとき
ろうそくの炎は希望の暗示となる
輝く希望を
誦(ず)して燃やせ命のかぎり
3
生きる芽ばえを知りし日に
野の輝き暖かく
美しき心を和ませる
絵本の中に見たものは
たった一つの散歩道
積もった枯葉空に舞い
優しき愛が吹きぬける
4
嬉しさを哀しさを
枝にそっとぶらさげ
誰かが通るのを待っている
友の声が枝に止まるとき
もみじは輝き紅くなる
野のすべて
理想の香りかもしだす
5
海に似て
流れゆく心は広く深し
崖の上に立ちて
見るものすべて 天空の
絵にするとき
命の広大さを描こうと
鳥瞰(ちょうかん)するも人生なり
6
海の見える高き地で
目がそっと囁(ささや)き
求めるものは何
灯火(ともしび)のように希望を与え
誰にも力をかし
命に息をふきかける
すずらんの花咲く心に似て
けなげな思いを抱きしめる
7
沖にでて
大いなる心をつくりし者は
太陽に出会う
母の心 父の心 友の心
流転(るてん)せし世にも
安らかな愛は
透きとおる海に今日も漂う
8
大空高く
伸びゆく生命の芽
ただひとすじに生きるとき
輝く緑葉(りょくよう) 陽に照りて
よぎる幸せの風
静かなり
9
かもめ飛ぶ
遠き港に今日もまた
美しき涙ひとつ
人の心をうつ
櫓櫂(ろかい)の音もさわやかに
白き波に古き心も流れゆく
10
希望の光さしこんで
誰(た)がために歩むとき
今よりほかに
顕栄(けんえい)への道はなし
心の中に華(はな)がさき
嬉しき音を耳に聴く
一番列車に乗るように
知と愛に新鮮さを感じ
朗詠するは
美しき人生の詩なり
11
すすきの花咲く草原に
見ゆる愛の
友垣青々と
燃ゆる生命の躍動感
真実一路まっすぐに
命の緑泉
散りゆく枯葉
朗笑(ろうしょう)波うち歩むは
嬉しき人生かな
12
ただ一人
長からん道を行く
過怠(かたい)をも恐れず
この道よりほかに
嬉しきことなし
自由に飛べ 人生の大空を
13
伝えたい思いが流れとなり
累増(るいぞう)せしは愛の声
ただひたすらに走る人
忍(にん)の一字を
ひきずりて
さわやかな汗光る
野はまさに春となり
分光(ぶんこう)を世にはなつ
14
時が満ち
実りの秋の豊作に
うちとけあうは青き歌
竹林(ちくりん)に響くは
我が心の叫び
絶えることなき熱情は
塁壁(るいへき)崩し世に広がらん
15
離れてもなお
誓いの声は響き来たる
矢の勢いに心燃え
なまぬるい風を打つ
音の消えゆく古木切り
深き思いを芽ぶかせて
未来は新木を宿らせる
16
はちきれんばかりに
通路をうずめる心あり
峠は今日も天空をかむ
理想の緑地を覆い
喜びの初声 雲にのる
浮きたつ夢ははるかなり
平安信じ
行く道は妙味を与えん
17
広き海原
しんしんと眠る
希望の航路 一筋となり
孤高はゆったり前進す
美しき朝日 海を醒ますとき
命の輝きふりかざし
地と天に呼びかける
18
舞い上がる
鶴の羽音が陽春の
訪れ知らせ
錯雑(さくざつ)を純化す
遠くからの来着鳥
白い炎となり心燃やす
19
円居(まどい)の中に
突き立てる
大いなる意志は強し
彼ら妥協に眠りしを
照らす光にて起こさん
流説(るせつ)に惑うなかれ
まさに我が意は
清(さや)かなりしぞ
20
まどろみて
疲れたるは弱き心
河の流れはとどまらず
我を動かし
夜を燃やす
宇宙の果ては心にありて
一番星をきらめかす
地にありて今まさに生きん
21
待つことを炎のごとく感じつつ
辛い汗を流す
暮れゆく光の中で
落日の優しさ思う
心の中に赤き汽車走り
美しき青春を抱きしめる
自由と愛のよろこび かみしめる人あり
22
結び目の行方かくして
乱舞する
鏡の中に
見えつ隠れつするは綿の舞い
信じるものを求めし我が
躍動 鏡の幻影砕かんやと
23
群れたる魚
緑青(ろくしょう)色のうろこなびかせ
戯(たわむ)れたるは驚きぞ
諸人(もろびと)に押し寄せ
理想をもてと
魅惑すること限りなし
重畳(ちょうじょう)なる魚たちは人生の光なり
24
もどれぬ道を
良馬に乗りて進む人
黙考(もっこう)せしときは動かず
友と生き 友のために生きん
広き草原にありて
路程を思うとき これ
気概となりて 人生を強く歩む
25
山あり谷あり
ままならぬ人生を
臥龍(がりょう)のごとく歩むべし
誰(たれ)か見守り
やさしき眼差しを与えん
進めよ進め
大いなる希望 今日も燃ゆ
26
闇に勝つ光は
世の中にありて
いよいよ力強く
喜びとなり人の涙を慰める
白い紙に理想の汗かきつけて
広き世界に手わたさん
炉の火のごとく また生きん
27
汚れなき日々を秘め
しじまの真昼
音を発するものなし
体が無風の中で駆けるとき
大地は燃え
威光となる
存念(ぞんねん)はちりにあらず
浮き草のごとく流すまじ
28
笑顔の中に見たものは
紫色したる夢ぞかし
螺旋(らせん)の気流 空を翔け
木(こ)の葉が心に舞うときに
友との愛は広がれり
世はすべて平安なれ
29
希望の星輝きて
さわやかな風吹く
濡(ぬ)れた涙は喜びに変わり
炬火(きょか)を灯す
光は遠く近く
幸あれと心秘かに
呼びかける
30
孤独の中に美しき瞳輝かせ
人間の哀しみを背負いしとき
静かなる心に薔薇の花咲く
寄せくる波に優しさ浮かべ
しんしんと燃ゆる日々 嗚呼(ああ)
見える見える夢の炎が……
31
静けさの中に
見たものは
随順(ずいじゅん)なる愛の花
揺れ動くことなき
かがり火は闇に打ち勝ち
この世の華とならん
32
ただひとり静かに
祈る旅路にて
蘭(らん)の花摘み
希望を贈る人
陽春の日差しは軽く
麗しき心湧き
刻苦(こっく)を超ゆる友となる
33
ただ一つの
懸命な思いを
抱きしめて生きる日よ
与えたる愛は折れることなし
柳のごとく強き枝なり
34
長い旅路にありて
かなえの軽重(けいちょう)問うごとく
永遠の真理を見さだめる
母なる大地に
涙と汗が植えられて
心の光 芽ばえ放たれる
35
東より陽がのぼり
牙城(がじょう)を照らす
信念の高楼輝き
愚かしきを砕く
桜の花 城庭に映え
とこしえに咲かん
心の花は散ることを知らず
36
光りたる海に
螺旋(らせん)の風吹く
迷える子羊は愛に駆け
強き意志は
止むことなく
澄み光る北の星を信ず
これ 人生の王道なり
37
故郷(ふるさと)は心にありて
瑠璃(るり)色の景色となる
河あり山あり 思い出つくり
若き涙も遠ざかる
深き情が歩むとき
道は優しく慰みて
心なごませ愛を生む
38
まなこ閉じれば
追憶の
嬉しき日々がしのびよる
磊落(らいらく)なりし我が青春
与える心惜しまず
今日も懸命に生きる
心の旅路は朝日に輝く
39
優しく強く手を振りて
待つは我が友
眠らぬ船
真っ赤な夕日 大河に落ち
さわやかな風吹く
澪標(みおつくし)の愛は今日も静かなり
40
寄せくる波に
白き音を聴く
誰もいない砂浜に
見るは幻想交響詩
きらめく魚影に夢おどる
41
若き幹は空を突き
つづら織りたる葉が茂る
渇きなき心の泉
永遠に湧きいで
緑なす大地をうるおす
完
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投稿者: 鬼井江
2014/1/7
「再掲作品①『タケノコの効き目』」 創作
タケノコの効き目
俺が「こんにちは」と言ったら おかしかろう
街じゃ みんなが俺のことを
忘れたような顔をして歩いている
タケノコみたいに顔を出してやろうと思うのだ
アスファルトの道にニョキッ
コンクリートの壁からニョキッ
あっちでもこっちでも ニョキッ ニョキッ
人間どもは大騒ぎするだろう
痛快 痛快
病人と大怪我をした人間が
俺のことを大切にしてくれる
俺が隣人であることを彼らは知ってくれている
いつでもどこでも
俺のことを忘れて歩いている人々に
俺は一人残らず ぴったりくっついて
尾行中なのだ
俺が「こんにちは」と言っても おかしくはないのだ
そして ついでに言ってやろう!
「今日でおしまいですよ あなたの命は」
脅かしてやらないと効き目がなくなってきたらしい
表紙の絵は友人の酸虎武麓さんに描いていただいたものです。たいへんすばらしい構成の絵で、一目見て、感動しました。
詩集『闇と光』にぴったりの絵だ、と現在も思っております。
「海のかなたにある何か」をつかもうとしている手(=断崖に迫る山々)。中指の爪の上に光を放つ灯台があり、そこは断崖絶壁の地。暗闇の絶壁直下には、波が激しく打ち寄せている・・・。
以上が、私なりの「表紙絵」の味わい方です。この絵を描いていただいてから、30年ほど経ちました。時間が経過しても、やはり、いい絵ですね。
酸虎武麓さん、ありがとうございました。
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タグ: 再掲
2013/3/20
2012/7/9
「昔の詩(再掲)」 創作
詩への片思い・小説への片思い
鬼井江
私の書いた詩が
あなたの心にとどまるとき
詩の中にいる言霊(ことだま)が私の存在をあなたの心に宿らせる
そう、それは
私の言いたかったことがあなたに伝わるときがやってきたのだ
普通の言葉では伝わらなかったことが
詩が伝えてくれたのだ!
私の書いた小説が
あなたの心をゆさぶるとき
小説の中にいる言霊が私の存在とあなたの心を共振させる
そう、それは
私の人生でこみ上げてきた激情があなたに伝わるときがやってきたのだ
普通の言葉では伝わらなかったことが
小説が伝えてくれたのだ!
そんな詩や小説が書けることを夢にみて
今もどこかを放浪している
鬼井江
私の書いた詩が
あなたの心にとどまるとき
詩の中にいる言霊(ことだま)が私の存在をあなたの心に宿らせる
そう、それは
私の言いたかったことがあなたに伝わるときがやってきたのだ
普通の言葉では伝わらなかったことが
詩が伝えてくれたのだ!
私の書いた小説が
あなたの心をゆさぶるとき
小説の中にいる言霊が私の存在とあなたの心を共振させる
そう、それは
私の人生でこみ上げてきた激情があなたに伝わるときがやってきたのだ
普通の言葉では伝わらなかったことが
小説が伝えてくれたのだ!
そんな詩や小説が書けることを夢にみて
今もどこかを放浪している
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2011/8/22
「(詩) 灯火 」 創作
過去に創作した詩 再掲シリーズ⑲
投稿日: 2010年4月3日 作成者: 鬼井江
(*かなり前に書いていたものですが、ブログに載せることにしました。)
灯 火
鬼井江
ぼんやりとした悲しみが
雨になる
しょぼくれた涙が流れて
流れて
止まらない雨と死が絡まったまま
ぶるっとなる
右足と右手がしびれて
ぐらっとなる
ひょっとして
死ぬのか・・・
「あの人」の存在と眼差しを感じる
見つめてくれている深い眼差し
静かな悟り
死が近づいている足音
もう
近いのか
ちょっと待ってくれ
明かりをかざして前を見る
かすかな希望に身震いして
喜びをしのばせる
まだ終わりではない
「あの人」がささやいている
『ゆっくりで いい』と・・・
ろうそくの光はもうすぐ消える
その前にやってしまわねばならないことがある
やらせてくれ
やらせてくれ
いつになったらできるのだろう
まだ終わりではない
まだ終わりではない・・・
希望は生きている
完
*注 脳梗塞を起こしてから、体の右側にほんのすこし後遺症がある。日常生活には差支えがないので、ほっとしている。人間、急に具合が悪くなる場合があることを経験した。脳梗塞を起こしてから、「一日一日を大切にする感覚」で生活している。病気は「あること」を教えてくれるものである。「あること」は人によって違う。それでいいのだろう。
2011年8月22日 追記 (鬼井江)
投稿日: 2010年4月3日 作成者: 鬼井江
(*かなり前に書いていたものですが、ブログに載せることにしました。)
灯 火
鬼井江
ぼんやりとした悲しみが
雨になる
しょぼくれた涙が流れて
流れて
止まらない雨と死が絡まったまま
ぶるっとなる
右足と右手がしびれて
ぐらっとなる
ひょっとして
死ぬのか・・・
「あの人」の存在と眼差しを感じる
見つめてくれている深い眼差し
静かな悟り
死が近づいている足音
もう
近いのか
ちょっと待ってくれ
明かりをかざして前を見る
かすかな希望に身震いして
喜びをしのばせる
まだ終わりではない
「あの人」がささやいている
『ゆっくりで いい』と・・・
ろうそくの光はもうすぐ消える
その前にやってしまわねばならないことがある
やらせてくれ
やらせてくれ
いつになったらできるのだろう
まだ終わりではない
まだ終わりではない・・・
希望は生きている
完
*注 脳梗塞を起こしてから、体の右側にほんのすこし後遺症がある。日常生活には差支えがないので、ほっとしている。人間、急に具合が悪くなる場合があることを経験した。脳梗塞を起こしてから、「一日一日を大切にする感覚」で生活している。病気は「あること」を教えてくれるものである。「あること」は人によって違う。それでいいのだろう。
2011年8月22日 追記 (鬼井江)
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2010/11/4
「鬼井江の世界」 創作
『白い涙』(『白い雨』の前半部分を改作)という作品は、(自分では)気に入っています。たぶん、このブログに載せるのは初めてだと思います。『白い雨』という作品の前半部分で作っていますので、『白い雨』を読んでいただいたことのある方は、コピーのような作品だと感じられると思います。『白い涙』は、あっさりとした散文詩にしたつもりです。
「海」「岬」「燈台」「孤独」「あの人」「闇」「光」「風」「声」「瞳」「白」「黒」など、私の心を象徴するものとして、それらを組み合わせて場面に応じて使っているつもりです。これらの言葉が使われる作品が多いです。どうしても使ってしまうようです。