お陰様で、生かされている日々を、丁寧に過ごしています。ご縁に感謝します。

作家、看護師の岡本理香、肺がんの母を看取り、自身のリンパ性白血病ステージⅣ診断。活動休止、コツコツ療養しています。

あの頃があるから、今がある

2010年09月27日 | 摂食障害
「何を志して、そこへ就職したん?」
彼女に訊ねた。

「えっ?」
固まった彼女。


上司に気に入られな、怒られる。
先輩に、知らんと言われ、教えてもらえない。

出るわ出るわ。
他人のことばっかり。

「何を志して、そこへ就職したん?」
再度、問う。


専門学校を出て、パンが大好きで、一流の店に就職した。
そこに就職すれば肩書きが付く。


叩き上げ世代は終わりか。
緩やかな世代に突入なのか。


「何を志して、そこへ就職したん?」
再度、投げる。

「パン」
何かに気づいた様子。


「パンと語れ」
忘れているよ。
「パンから逃げるために、理由探しか?」
躓きを知ること。

今を知らないから、今の躓きの原因を、人間関係に押し付け、生育環境に押し付け、親に押し付ける。
今、問題にするべきことは、何だ?何から逃げて、原因を探すのだ?

「技術は盗むもん。
技術はコツコツと動いて体に叩き込むもん」


一流の店に入ると、一日で技術も、一流になるのか?今の世代は?

「何を志して、そこへ就職したん?」
何度でも問う。

「思うように動けない、早くすると、上手く丸められない、流れに乗れない。何をしたら、どうしたらいいか、分からない」
最初の躓きを知った様子。


看護学校の時をダブらせた。

実習1年間。
布団を忘れた、机がベッド。
食卓を忘れた、机が食堂。
電車の中、パンをかじり、日誌を書く。
お風呂はたまに思い出したように入り、着替えはしてたか?
申し送りの詰め所、行動計画発表は、卒倒しそうや。
卒倒する仲間もいた。
血圧180超えてたんちゃうかな?
スタッフの矢のような質問が、全身に刺さる。

半端な単位ちゃうし、国家試験合格に鞭が入る。
勉強せんと、実習についていけない。
1日でも休めない。補習は倍返しや。

教員には、お尻を向けない、影を踏まない、2メートル離れて「先生、今、お時間宜しいでしょうか?」と許可をいただく。

卒業式は、皆、泣きに泣いた。
もう二度と、こんなところの敷居はまたがん。

あの頃があるから、今がある。



「何を志して、そこへ就職したん?」

語る相手を履き違えるな。