ピエール危機一髪

　１月２３日（いい文の日）　対戦相手：マジックハンド
　IクスPアリ

　“いい文の日”だそうです。壇ふみの日ではありません。「おいおい、“いい文”だったら１１月２３日じゃねーの？」そんなご指摘もありましょうが、一切受け付けません。とにかく“いい文”の日なのです。

　日曜日のIクスＰアリは人も多く、郵便物回収人が、ちょっとパフォーマンスをやり出すとお客さんが集まり囲まれます。そしてひとつひとつの芸に対して拍手や歓声を上げてくれます。

　すっげーきもちいい

　今まで何日もここで働いておりますが、こんなに楽しいのは今日が始めてです。いえ、今までも楽しかったんですげど、今日のは格別です。そんな囲まれている最中、小さいお子さんはやはり集中力が無いらしく、すでにボクの面白パフォーマンスには飽きていて、ひとりの子は手にしているマジックハンド（遠くにあるものを掴む先端がＵ字型のメカハンド）で色んな物を掴みまくりです。

　この仕事の時には、ボクはお手紙を回収する為のカバンを肩から下げています。そこには黄色いインコが乗っかっていて通り行くお客さんの目を引き付けます。このインコ、名前をピエールと言い（というか名づけました。）、回収人よりも大人気なのですが、パフォーマンスの時には少々邪魔なためいつもはカバンとピエールを置いて演技するのです。

　パフォーマンスの最中、ふとさっきのお子さんに目をやると、ピエールはマジックハンドの餌食になっていました。先端のＵ字がピエールの胴体をがっちりキャッチ。羽はバサバサになってます。こんな感じでね。

　「お母さ～ん、あのインコ、ボクのお給金よりも高いんで何とかしていただけます？」

　それを聞いてお母さん、ようやく重い腰を上げてお子さん対策。マジックハンドを取り上げるお母さん。泣きじゃくり必死に抵抗するお子さん。あまりにも大きな声での攻防で、お客さん

　みんなそっちを見てた。

　ピエール重傷　全治、修理から戻るまで