円海山 2014年7月14日 姥百合
横浜金沢区の野草
はじめに
普段歩いているとき、道端に生えている、気付かない、目立たない花を記載しました。開発による環境破壊で減る一方になっている。記載は春夏秋冬順です。花期は金沢区近郊で咲く時期です。写真は表題の通り、横浜市金沢区内、及び近郊で撮影したものです。盗掘、花盗みがあるので、撮影場所は明記しない。金沢区内で盗掘している馬鹿がいるが、小さな庭、ベランダでは育たない。無駄な事は止めにした方が良い、それはお前の破滅になる。
参考文献
山と渓谷社
山渓カラー名鑑 日本の野草
シリーズ物
横浜金沢区の樹木
抜粋版:富岡総合公園の樹木、長浜公園の樹木、横浜金沢緑地の樹木Vol.1~2、海の公園の樹木、富岡東の樹木
横浜金沢区の桜
八景島の紫陽花
フクジュソウ Adonis amurensis 福寿草
短い根茎には黒褐色の堅い太い根が多数ある。寒さに強く,北国では雪どけと同時に,地下の根茎より茎を出し,伸びないままで花を咲かせる。日本では北日本に多く,東または北斜面の乾燥のひどくない落葉樹林を好む。という事で 西日本には少なく、北地に多い多年草。花期が早いので正月用の鉢植え等もよく見かける。福寿草の和名は春一番に咲く花として喜ばれ、また新年を祝うめでたい名前である。別名は元日草ともいう。花径は3cmほど、花弁は多数あり、黄金色で輝いており、暖かさとともに茎を伸ばし、3回羽状に切れこんだ葉を広げ、頂花に続いて腋枝(えきし)の花も咲かせ、結実期には高さ30cmばかりとなる。北海道では茎は高さ1mに及ぶことがあるという。花は最初黄緑色で、徐々に黄色になる。花後には金平糖状の果実をつけ、6月ころには葉が枯れて休眠する。旧暦の正月に開花するので、鉢植えにして正月の床飾りとした習慣が昔はあった。しかし環境が異なるので、根を切ったり、無理に開花を早めた物は、結局うまく咲かないし、掘り起こして庭に植えても枯れる。朱紅色や淡黄色のもの、花弁の先が細く切れるなどの花変りが、園芸品種として江戸時代から伝えられており、全草が強心、利尿などの薬用にされ、強心配糖体のアドニトキシン adonitoxin をはじめ、各種成分を含有している事が知られているが素人には関係無い、生兵法は怪我の元。花期:3月。生育地:山野。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2021年3月16日
金沢区 2021年3月16日
ショウジョウバカマ Heloniopsis orientalis 猩々袴
山野のやや湿った所や渓流沿いに生える多年草。鮮やかな色の見事な花を付けるのでよく目立つ。根生葉は多数付き、倒披針形で長さ7~20cm、幅1.5~4cmあり、冬も枯れないで残る。ときに古い葉の先端が落ち葉に埋もれていると、そこから芽が出て新しい株を形成する。これを栄養繁殖という。他方、一般的な花を咲かせて実を結ぶ繁殖を種子繁殖という。これは花粉と子房を作り、受粉を頼む昆虫を呼ぶために花を咲かせ実を結ぶ。種子繁殖には、複雑な手順が必要で、しかも咲かせた花が全て確実に結実まで辿り着けるわけではない。それに比べて、栄養繁殖は手っ取り早く確実に個体数を増やす事ができる。猩々袴のこの特性は日本列島では珍しい。春、根生葉の間から高さ10~20cmの花茎が立つ。花茎は円筒形で葉はないが、数個の鱗片葉を付ける。花被片は6個あり、線状倒披針形で長さ1cm位。質は厚い。花の色は淡紅色から濃紅色まで変化が多く、白色もある。雄蕊は6個あり、花糸は花被片と同長か、やや長い。花が終わると花茎は伸び30~40cmほどになる。花被片も緑色になって残る。子房は円形だが蒴果になると3つに深くくびれる。種子は線形で両端が尖り、長さ5mmほどである。和名は猩々袴で、花の色を猩々の顔の色に、下部の根生葉を袴に見立てたもの。猩猩は想像上の動物で、東南アジアに生息している類人猿のオランウータンを指すが,中国の古典等に現れる猩猩は想像的要素が強く,姿の形容もさまざまである。一般には猿に似ているとされ、長髪で人の顔、人の足をし、その声は小児の泣くようであり、群れを作ってはって歩くという。花期:3月。生育地:山野。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2021年3月16日
スミレ Viola mandshurica
日当たりのよい所に生える多年草。和名は、花を横から見ると大工道具の墨入れに似ているところとの説が一般的。根は茶色。葉は長楕円状披針形で長さ3~8cm、質はやや厚くて艶があり、縁に低い鋸歯がある。葉柄は3~15cmでひれが付き、根元から多数立ち上がる。花は濃い紫色で径1~2.5cm、側弁に白い毛がある。距は長さ5~7mm。アジア東北部に広く分布する。花期:4月。生育地:山野。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2020年4月9日
エビネ Calanthe discolor 海老根
山地の林内や竹林などに生える多年草。黄海老根同様、木の根に寄生しているので、掘り起こして庭に植えても枯れる。偽球茎は球状で、連珠状になって横に連なる。葉は2~3枚付、披針状長楕円形で、先が尖り,基部は細まり、長さ15~25cm、幅5~8cm。この葉は冬にも残る。葉の間から30~40cmの花茎を出し、8~15個の花を付ける。花は径2~3cmで平開する。花被片は6枚、そのうち1枚は大きく,唇弁と呼ばれ、一般に3深裂する。中片はさらに2裂する場合が多い。花色は黄色、淡紅紫色、赤褐色、白色など多様で、唇弁の色彩が他の花被片と異なる種もある。萼片は紫褐色。側花弁と唇弁は白色または淡紫色。常緑種では一般に晩秋に、落葉種では開花後約3ヵ月で熟し、1果中に微細な種子(長さ0.9mm,幅0.075mm程度)を数万個含む。和名は海老根または蝦根で、横に連なる偽球茎の形をエビの尾に見立てたもの。絶滅危惧種Ⅱ類。花期:3月下旬~4月。生育地:山地。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2021年4月16日
金沢区 2021年4月8日
キエビネ Calanthe discolor 黄海老根
暖地の樹林下に生える多年草。エビネに似ているが、全体に大形になり、名前の通り花の色が黄色で目立つ。それで盗掘され易い。しかし、これは金蘭同様、木の根に寄生しているので、掘り起こして庭に植えても枯れる。葉は2~3枚付、長さ20~30cm、幅5~10cm。30~50cmの花茎を立て、大きな花を10個前後付ける。萼片は卵状長楕円形で長さ2.2~3.4cm、幅7~13mmあり、エビネより大きい。エビネは唇弁の中裂片が2裂するが、キエビネは2裂しない。絶滅危惧種Ⅰ類B。花期:3月下旬~4月。生育地:山地。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2025年4月27日
金沢区 2021年4月9日
ニリンソウAnemone flaccida二輪草
山麓の林の縁や林内、竹林、土手等に生える多年草。半日陰を好む。しばしば群集する。根茎は地中を横に這うが斜めに伸び、多肉質で短く、まばらにひげ毛を出す。茎は高さ15~25cmで、全体にまばらに毛がある。根生葉は3全裂し、側裂片はさらに深く2裂する。茎葉は3枚輪生し、柄はない。春になると、茎葉の間から普通2本の長い柄を出し、先端に径1.5~2.5cmの白色を開く。萼片は花びら状で、普通5個ある。和名の二輪草は2個の花を付ける事による。但し、1個または3個の事もある。県によっては絶滅危惧種に指定されている。春を代表する花でそこいら中に見られたが激減しているので絶滅危惧種も同然。花期:4月初~中旬。生育地:山野。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2020年4月22日
金沢区 2021年4月12日
ホウチャクソウ Disporum sesssile 宝鐸草
山地や丘陵の林内に普通に生える多年草。地下茎による栄養繁殖を盛んに行い,しばしば群生する。多年草とはいっても冬には親個体は枯死し,地下茎の先端だけが生き残って翌年地上部を出す。このような生活形は擬似一年草と呼ばれている。茎は高さ20~40cmあり、上部で枝分かれする。葉は長楕円形で長さ5~15cm、幅1.5~4cm。花は枝の先に1~3個付いて垂れ下がる。花被片は筒状に集まって平開せず、長さ2.5~3cm。白色で先端が少し緑色を帯びる。基部に密腺がある。球形の液果は8~9月に熟し,黒色。和名は宝鐸草で、花の形が寺院や五重塔の軒に垂れ下がっている宝鐸に似ている事による。花期:4月初~中旬。生育地:山地、丘陵。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2024年4月19日
金沢区 2024年4月19日
ウラシマソウ Arisaema urashima 浦島草
林下等暗い所に生える多年草。地下に直径3~5cmほどの扁球形の球茎があり,春にそこから高さ40~100cmをこえる葉柄の葉比(ようしよう)部が巻き重なった偽茎を伸ばし,通常2枚の葉をつける。葉身は鳥足状に7~15裂し,しばしば葉縁に鋸歯がある。花茎は偽茎の中を貫通し直立し,その頂端に仏索苞に包まれた肉穂花序をつける。仏索苞は筒部とそれをおおう舌状部に分かれ,緑色や暗紫色で白い縦縞がある。棒状の付属体を有する肉穂花序は雌雄があり,小さな個体は雄性,大きくなると雌性になり,性転換をする植物として有名である。肉穂花序が直立しグロテスクな花が咲く。和名は浦島草で、1枚目の写真のように、付属体の先が糸状に長く伸びた様子を浦島太郎の釣り竿と糸に見立てた物。こいつが不気味な様子をより引き立たせている。ただこれは2~3日で縮んでしまうので要注意。2枚目の写真は春によく見られる仏炎苞ではなく、夏に見られる雌株で、トウモロコシのような形をしており、緑色の種が多数付く。目立たないが初冬に赤くなり、目立つようになる(写真3枚目)。栄養に富んだ土壌では雌になり、この形状になる事もある。一方雄株は秋にはそのまま消える。花期:4月初~中旬。生育地:山野。分布:北海道、本州、四国、九州(佐賀県)。
金沢区 2024年4月19日
金沢区 2021年8月7日
金沢区 2021年11月20日
シュンラン Cymbidium goeringii 春蘭
山地に生える多年草。地下に偽球茎があり,偽球茎上に葉を叢生(そうせい)する。葉は常緑で,線形,長さ約30cm,粗い細鋸歯がある。偽球茎の脇から伸びた、高さ10~20cmの花茎の先に白色の花を1個付ける。唇弁の縁に紅色の小さな斑紋が2個付く。この斑紋をホクロと云い、花の別名になっている。蕊柱(ずいちゆう)で包まれ、花の全体は見えない。鑑賞用にも栽培され、様々な変異体もある。その為乱採され、野生集団は急激に減少している。写真の花は野生種で本来の原形を留めている。春蘭は漢字で、蘭は中国でも人気があり、京劇の女形の名優:梅蘭芳。牧野富太郎も漢字である事を悔しがった。そうでなければ、日本で作られた国字として春の蘭としただろう。一方木に春と書いて椿と云う。これは漢字ではなく国字である。参照:横浜金沢区の樹木Vol.1。蘭麝の室に入る者は自ら香し:蘭の花と麝香のよい香のする部屋に入る者は、自身も自然とよい香が身に付くものである。環境がよければ、その影響を受けて、自然と良くなる例え。花期:4月初~中旬。生育地:山地、丘陵。分布:北海道(奥尻島)、本州、四国、九州。
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金沢区 2024年3月13日
金沢区 2025年4月9日
シライトソウ Chionographis japonica 白糸草
山地の日陰に生える多年草。根生葉はロゼット状をしており、長楕円形または倒披針形で長さ5~10cmあり、縁は縮れた波状になる。花茎は15~30cmになり、柄のない線形または披針形の小さな葉をまばらに付ける。花茎の先に穂状花序が付き、多数のブラシ状の花が下から順に咲き上がる。花被片は6枚あり、上部の4個は線形で開出し,白色でよく目立つが、弱々しいく、足で踏み付けそうで要注意。和名の白糸草は花の姿からきた。学名の chiono は雪のような,graphis は筆という意味で,やはり花にちなんだ名である。学名にJaponicaの文字が入っており、日本固有種である。近縁種は中国、朝鮮にある。花期:4月中旬~下旬 。生育地:山地。分布:本州(秋田県以西)、四国、九州。
金沢区 2023年4月17日
ヒメシャガ Iris gracilipes 姫射干
山地のやや乾いた林下に生える小さい多年草。葉は剣形で先は尖る。10~30cmの細い花茎を出し、淡紫色で径4~5cmの可憐な花を開く。外花被片は3個あり、長楕円形で大きく、中央は白色で紫の筋と小さい黄斑がある。外花被片にとさか状の突起がある点でシャガと仲間である。内花被片は3個で淡紫色。花柱は3つに分かれる。和名は姫射干で全体の様子がシャガに似ていて、小形で優しい感じがするのでこの名がある。花期:4月中旬~下旬 。生育地:山地。分布:北海道(渡島半島)、本州、四国、九州(北部)。
金沢区 2021年4月24日
金沢区 2021年4月23日
キンランCephalanthera falcate金蘭
山地や丘陵の林下に生える。茎は30~50cmの多年草。植物体は無毛。根茎は短く,硬い根が多数ある。半日陰を好む。葉は5~6枚で,長楕円状被針形で厚く、互生する。葉は茎を抱き,長さ7~12cm,幅2~4cmの楕円形~披針形,顕著な縦じわがある。茎の先にやや密な5~10個の鮮黄色の花は長さ1.5cmほどで平開しない。花の下に膜質の苞がある。苞は三角形で,子房よりずっと短い。萼片は卵状長楕円形で、長さ1.4~1.7cm。側花弁は萼片よりやや短い。唇弁は短く、花被片に包まれて3裂し、隆条線が5~7個ある。花粉塊は粉粒質で2個。鮮黄色の花が印象的であり、和名も花色にちなんで、金蘭と云う。目立つので、盗掘され易い。しかし、これは銀蘭同様、木の根に寄生しているので、掘り起こして庭に植えても枯れる。生物進化の過程で共生細菌を取込み、木の根に寄生できるようになった。銀蘭より全体に大きい。近縁種としては花が白色のギンランCephalanthera erectaとササバギンラン Cephalanthera longibracteata がある。絶滅危惧種Ⅱ類。花期:4月中旬~5月初旬。生育地:山地、丘陵。分布:本州、四国、九州。
金沢区 2023年4月21日
金沢区 2022年4月25日
ギンランCephalanthera erecta銀蘭
山地や丘陵の木陰に生える高さ10~30cmの多年草で、金蘭ほど目立たない。金蘭同様、木の根に寄生しているので、掘り起こして庭に植えても枯れる。半日陰を好む。葉は狭長楕円形で、3~6枚が互生する。茎の先に付く5~15個の白色の花は長さ1cmほどで平開しない。金蘭よりも丈が小さく、花も小さい。萼片は被針形で、長さ7~9mm。側花弁は広被針形で萼片より短い。唇弁の基部は短く、距となって外に突き出す。唇弁は3裂し、中裂片は楕円形で先が尖る。花期:4月中旬~下旬。生育地:山地、丘陵。分布:本州、四国、九州。
金沢区 2023年4月21日
金沢区 2022年4月22日
イカリソウ Epimedium granddiflorum var. thunbergianum 錨草
主に北海道の渡島半島から本州の太平洋側にかけて生える多年草。高さ10~30cmになり、小さい花なので、見落としがちになる。根茎は横に這い、多数の髭根がある。葉は普通は2回3出複葉。小葉は卵形又は広卵形で、縁には刺状の毛がある。茎の先に花序を出し、淡紫色の花を数個下向きに開く。4枚の花弁には長さ1.5~2cmの長い距がある。これが花の特徴。雄蕊は4本、雌蕊は1本ある。和名は花の姿が船の錨に似ている所から名づけられた。果実は側面の溝により2片に裂け,数個の種子を落下させる。種子はへその周囲に耳状の白い付属物(カルンクラ)があり,アリ散布をする。花期:4月下旬~5月上旬。生育地:山地。分布:北海道、本州。
金沢区 2021年5月4日
ミヤマオダマキ Aquilegia flabellata var. pumila 深山苧環
高山の僻地生える、高さ10~20cmの多年草。根生葉は1~2回3出複葉で、小葉は3全裂する。鮮やかな鮮やかな青紫色の花を下向きに開く。萼片は広卵形。花弁は長さ1.5~1.5cmあり、距は長さ1.5~1.5cmで先は内側に巻く。庭に栽培されるオダマキは本種の園芸種と考えられている。和名は深山に生える苧環の意味。苧環とは昔、麻糸を巻いた道具で、花の形が似ている事による。また苧環型は蛇が男になって人間の娘に求婚するという内容を持つ。夜中に娘の所に見知らぬ若い男が通ってくるのを怪しんだ親が、男の着物に糸を通した針を刺させ、男が帰ったあとその糸をたどっていったところ蛇の住処に至り、そこで蛇の親子の会話を立ち聞きして娘に宿った蛇の子を堕す方法を知る、というものである。同じ内容の話が古代の神話や伝説にもみえて、三輪山伝説と呼ばれている。古代説話では、蛇との婚姻によって生まれた子どもを神聖視する事が強調され、例えば、豊後の豪族緒方氏の伝承のように、しばしば一族の始祖伝説として語られ、そのような一族の子孫の身体の一部に、その印として鱗などがあると伝える所もある。これに対して,昔話の方では蛇との婚姻を忌避する事が強調され、堕胎の習俗や端午の節供などと関連させて語られる事が多い。この説話群は日本だけではなく、広く東アジア各地に伝承されている。花期:4月下旬~5月上旬。生育地:高山。分布:北海道、本州(中部地方以北)。
金沢区 2022年5月2日 ※半開花の状態は角度によって、独特な花の形を醸し出している
金沢区 2022年5月4日
金沢区 2022年5月4日
ナルコユリ Polygonatum falcatum 鳴子百合
山地の林下に生える多年草。根茎は太く多肉で白色をしている。茎は高さ40~80cmになり、円柱形で上部は弓状に曲がる。葉は披針形で長さ8~13cm。葉の脇から出る英柄は枝分かれし、その先に緑白色で長さ2cm程の花を3~10個垂らす。花筒は先の方が色が濃く、緑色を帯びる。花糸は平滑である。花の後、暗緑色の球形の液果が付く(写真2枚目)。花と果実の付き方が同じで、その対比が興味深い。和名は鳴子ユリで、花の並んだ姿による。花期:5~6月。生育地:山地。分布:本州、四国、九州。
円海山 2015年5月30日
円海山 2015年6月24日
マツモトセンノウ Lychnis sieboldu松本仙翁
センノウの和名は昔,京都の仙翁寺で栽培されていた事によると云う。マツモトセンノウは阿蘇の草原に生える多年草。これの和名は花の形が松本幸四郎(屋号:高麗屋)の紋所(四つ花菱)に似ている為、付いたと云う。花が美しいので江戸時代から庭園に植えられてきた。茎は直立し,節が太く、微毛があり、高さ30~90cmになる。茎と葉は緑色をしている。葉は対生し、長さ7cmほどで,長卵形で、両端は尖り、表面、裏面共全面に微毛がある。茎の先に径4cmほどの深紅色の花を平開する。花柄は短く毛が密生している。花弁は5個、先端は2浅裂し、さらに不規則な歯牙がある。萼は円筒形で上部に長い軟毛がある。絶滅危惧種Ⅰ類B。花期:6月。生育地:山地。分布:本州(植栽)、九州(阿蘇原産)。
金沢区 2020年6月21日
金沢区 2020年6月27日
オグラセンノウ Lychnis kiusiana 小倉仙翁
湿り気のある草原に自生する。茎は無毛、高さ30~90cmになる。茎と葉は緑色をしている。葉は対生し、長楕円形で表面、裏面共無毛。茎の先に径3cmほどの紅色の花を平開する。花弁は5枚で、花弁の縁が細かく深裂する。茎は細くやわで、花が咲くと倒れ易い。絶滅危惧種Ⅰ類A。花期:6月。生育地:山地。分布:本州(植栽または岡山県以西)、九州、朝鮮半島。
金沢区 2020年6月26日
金沢区 2021年6月27日
カワラナデシコ Dianthus superbus var. longicalycinus 河原撫子
山野の日当たりのよい草原や河原等に生えるの多年草。茎は直立し、上部で枝分かれして30~50cmになる。葉は対生し,線形または披針形で、長さ3~10cm、基部は茎を少し抱く。淡紅紫色の可憐な花が咲く。苞は3~4対あり、先は細く尖る。萼は細長い円筒状で先端は5裂する。花弁は5個、長い爪部があり、先は深く裂け、基部にひげ状の毛がある。花柱は2本,おしべは10本。果実は萼筒よりわずかに突き出て,先は4裂する。種子は多数で,黒くて平たい。秋の七草のひとつ。
なでしこが その花にもが 朝な朝な 手に取りもちて 恋ひぬ日なけむ 大伴家持 万葉集(巻3-408)
なでしこの、花で貴女があればよい、そうしたら毎朝、手に取り持って、貴女を恋して苦しく思わずにいられよう。「なでしこが」は河原なでしこ。「恋ひぬ日なけむ」、恋ふは現前にないものを慕う事であり、ここは恋ふる日なけむと云うべきだが、恋せぬ日がない現在の気持と混同して云う。大伴家持が、妻坂上大嬢に贈った歌である。
花期:6月下旬~9月。生育地:山野。分布:本州、四国、九州。
金沢区 2021年6月22日
金沢区 2021年7月11日
ヤマユリ Lilium auratum 山百合
茎は高さ1~1.5mの日本特産のユリ。花は大輪で、径15~20cmもあり、強い芳香がある。近くでは花が見えなくても、匂いでヤマユリの存在が分かる。白い花の内側には赤い小点がある。野草にしては目立つ花。鱗茎は黄白色の扁球形で、径6~10cmあり、食用になる。昔、一里塚ごとに植えて、何かの時、食用にした伝説もある。花期:6月中旬~7月上旬。生育地:山地。分布:本州(近畿地方以北)。
円海山 2015年6月22日
円海山 2015年6月20日
オカトラノオLysimachia clethroides 丘虎の尾
野や山、丘陵等の日当たりのよい草地に生えるの多年草。花穂がトラの尾のようだというので、この名がある。茎は60~100cmになり、花穂の軸とともに白い毛がある。花穂は10~20cmで、一方に偏って白色の花を多数つける。秋に登場するサラシナショウマにどことなく似ている。花期:6月~7月。生育地:山野。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2021年6月24日
金沢区 2021年6月24日
ヒツジグサ Nymphaea tetragona 末草
池沼に生える多年草の水草。多数の根生葉を出す。葉は広楕円形で、水面に浮かび光沢がある。細長い根生の花柄の先に径5cmほどの白色の清楚な花を1個開く。萼片は4個で緑色。花弁は白色で8~15個あり、長さは萼片とほぼ同じ。花が終わると水中で球形の液果となる。和名は末草で、末の刻(午後2時)に開く事による。しかし開花時間は必ずしも一定しない。花期:6月~7月。生育地:池沼。分布:北海道、本州、四国、九州。
円海山 2015年6月24日
ハンゲショウSaurrus chinensis 半夏生
水辺に白い根茎を伸ばして群生する多年草。少し臭気がある。根茎は長くはない,地上茎は直立して,茎は高さ60~100cmで直立する。全体が柔らかい。葉は互生し,卵心形で鋸歯がなく,長さ5~15cm、幅4~8cm。花の頃、上部の葉は白くなる。和名は半夏生(7月初旬)の頃白い葉を付けるからとか、葉色の半化粧の意味ともいう。別名の片白草も同様の意味である。花穂は上部の葉のつけ根から出て、長さ10~15cm。花弁のない小さな白い花を穂状に多数付け、花被がなく,小さな苞葉のわきに6本の雄蕊と1本の雌蕊があるだけである。果実は球形で4個の袋果に分かれ,それぞれ1個の種子をもつ。茶花として利用され,全草や根茎を薬用とし,解熱や解毒,脚気などに用いた。花期:6月下旬~7月。生育地:湿地。分布:本州、四国、九州、沖縄。
円海山 2016年6月27日
ウバユリ Lilium auratum 姥百合
花盛りの頃には、根元の葉が枯れてなくなる事から、葉のないのを歯なしの姥に例えて、ウバユリの名が付いた。しかし葉があるものも多い。茎は頑丈で中空で、高さ60~100cmになる。葉は茎の途中に集まって付き、卵状長楕円形で、長さ15~25cm,単子葉植物としては比較的珍しい網状脈をもつ。ユリ属とちがって葉柄と葉身の分化が明瞭である。茎の先端に数個付く花は水平に出て、長さ7~10cmあり、淡緑白色をしている。蕾か既に開花したか、これが花なのか、よく分からないような目立たない花。若葉や鱗茎は食用にされ,鱗茎からは良質のデンプンがとれる。花期:7月。生育地:山地。分布:本州(宮城、石川県以西)、四国、九州。
円海山 2014年7月25日
円海山 2014年7月30日
ハナウド Heracleum moellendorffii 花独活
山野の川岸などに生える多年草。茎は中空で太く50~250cmにとなる。葉は互生し、大形で3出羽状複葉。大形の複散形花序を作り、白色5弁の花を多数開く。花序の外側の花弁は大きく、2深裂する。野草としてはかなり大きい。写真のものは見上げる程の高さがある。花期:7月。生育地:山野。分布:本州(関東地方以西)、四国、九州。
円海山 2014年7月20日
カライトソウ Sanguisorba hakusanensis 唐糸草
本州中部地方の日本海側に生える高さ30~100cmの多年草。地下に根茎があり,茎は高さ1mほどになり,小枝を分かつ。根生葉は11~13枚の小葉からなる奇数羽状複葉で、表面は無毛で滑らか、裏面も無毛で、粉白色を帯びる。長楕円形,楕円形または卵形で,長さ3~5cmで、縁には鋸歯がある。花穂は長さ4~10cmの細長い円柱形で垂れ下がる。花は上から下へ咲き進む。和名は唐糸草で、美しい雄蕊を中国渡来の絹糸に例えたもの。花は淡紅色の細かい糸状のものが連なっていて、拡大すると糸状の先端に茶色の小さなものが付いている。茶色の小さなものはいずれはじけて、白色の物が出てくる。日数を経ると、花は淡紅色から薄れて白色へ変化する。花には花弁がなく,萼が4裂して花弁状になる。雄蕊は4本,果実は小さく四角形。花期:8月。生育地:山地。分布:本州(中部地方日本海側)、他は植栽。
金沢区 2020年8月14日
金沢区 2020年8月25日
トキワススキ Miscanthus floridulus 常磐薄
関東地方南部以西の太平洋に面した海に近い草地、土手などに生える大形の多年草。大株をつくってしばしば群生する。全体はススキによく似ているが遥かに大きくて立派に見える、冬でも枯れない事から常磐ススキ、または寒ススキの名がある。在原ススキは優雅な花穂を平安時代の在原業平に見立てたものであろう。在原業平は皇族出身の貴族で、各地に永遠のプレイボーイ伝説が残っている。女をすっかりその気にさせて、別の女の所へなびいてしまう、作り話とはいえ、罪作りな男だ。世阿弥の井筒のように在原業平にはススキが必須アイテムなので、そこから在原の名が出たのであろう。原本は伊勢物語23筒井筒
筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
返歌
くらべこしふりわけ髪も肩すぎぬ君ならずしてたれかあくべき
茎は高さ1~2.5mに達し、葉は幅1.5~3cmで、やや粉白色を帯びる。葉の縁は固くざらつく。茎につく葉には長い葉鞘がある。花穂は茎の先につき、長さ30~50cmとなり、中軸は花穂の中央を高く貫き、節々から多数の枝を分ける。小穂は長い柄と短い柄のものが対となり、枝の上に密につき、長さ3mmでススキより小形。基部に生える毛は小穂とほぼ同じ長さで、内頴には長い芒がある。普通のススキは尾花の名で、七草の一つに数えられるイネ科の多年草。花期:7~8月。生育地:沿岸地。分布:本州(関東地方南部以西の太平洋側)、四国、九州、沖縄。
金沢区 2020年8月28日
金沢区 2021年8月31日
ヒガンバナ Lycoris radiata 彼岸花
別名:マンジュシャゲ(曼珠沙華)。人里に近い所に群生する多年草。昔、中国から渡来したものが広がったと云われる。赤色の花を輪状に付ける。花は花茎頂端の散形花序につき,6枚の花被がある。花被は広線形でへりが著しくちぢれ,先端が外側にそりかえる。雄蕊6本と雌蕊の花柱が花冠より長く突き出し,上向きに湾曲する。子房は3室。鱗茎から高さ30~50cmの花茎を出し,葉はつかない。花時には根出葉もない。花の後、線形の葉を広げる。和名は彼岸の頃、花が咲くので付けられた。鱗茎はアルカロイドを含み去痰、催吐薬として薬用に利用されるが素人には関係無い、生兵法は怪我の元。また、俗説では根に毒性があり、モグラ除けに畔道に植えられる。人畜無害な奴はえてして毒にも薬にもならず、何の役にも立たない。園芸種に白花、黄橙色等がある。花期:9月。生育地:道端。分布:北海道、本州、四国、九州。
円海山 2019年9月23日
金沢区 2020年9月28日
金沢区 2019年10月9日
カリガネソウ Caryopteris divaricata 雁草
山地に生える。茎は四稜形で、高さ1mほどの多年草。全茎や葉に触れるといやな匂いがする。葉は対生し、柄があり広卵形。縁には鈍い鋸歯があり、長さ8~13cm、幅4~8cm。上部の葉の脇から長い柄を持つ集散花序を出し、青紫色の変わった花を付ける。球形の蕾が印象的で、これが弾けて開花し、最初糸状に繋がって、最終的に帆掛のようにピーンと張る。花冠は5裂し、裂片の下側の1個が大きい。萼は緑色で小さく、鐘形で5裂し、長さ2~3mm。4本の雄蕊および花柱は長さ約3mm。花の外に突き出して湾曲している。和名は花の形から、雁草の意味で別名帆掛草とも言うがこの方が分かり易い。また中国では風邪などに用いられる。花期:9月。生育地:山地。分布:北海道、本州、四国、九州。
金沢区 2022年9月28日
金沢区 2022年10月4日
ヤマトリカブト Aconitum japonicum var.montanum 山鳥兜
山地の林の中などに生える多年草。高さは30~150cmになる。中ほどの茎葉は円心形で、深く3~5裂する。裂片は被針形または卵状被針形であらい鋸歯がある。オクトリカブトの変種で、青紫色の花の外側には曲がった毛が生え、内側にも曲がった毛と真っ直ぐな毛が生える。茎は直立し、高さ1m内外。花時には根生葉はなく、茎葉は互生し、葉柄がある。葉身は3全裂、側裂片は更に2深裂し、不揃いな粗い鋸歯がある。葉質はやや厚くて光沢がある。秋、茎の先端に総状、またはやや円錐状の花序を出し、10ないし30個くらいの花を付ける。花梗には開出毛がある。蕾は最初白色から徐々に緑色になる(写真2枚目)。花は左右相称で、高さ3~4.5cm。萼片は5枚、花弁状で濃紫色。頂萼片は烏帽子状、側萼片は1対、平らで倒卵状円形、下萼片は1対、平らで長楕円形。花弁は2枚、変形して蜜分泌の器官となり、頂萼片の中に隠れる。雄蕊は多数で、普通は無毛、葯は黒紫色。雌蕊は3または5本。果実は袋果で、種子にはひだがある。和名は山鳥兜で、鳥兜は花の形が舞楽のときにかぶる冠(鳥兜)に似ている事による。俗説では根に強い毒性を持つ。主として根に、アコニチン aconitine、メサコニチン mesaconitine、ヒバコニチン hypaconitineなどのジテルペン系のアルカロイドを含み、植物界最強と言われる猛毒がある。昔はそこいらに普通に見られたが、今は開発、盗掘等により、激減した。花期:10月。生育地:山地。分布:本州。
円海山 2020年10月21日
円海山 2022年10月16日
アキチョウジ Plectranthus longitubus 秋丁字
山地の木陰に生える60~90cmの多年草。葉は対生し、柄があり狭卵形。まばらに毛があって先端は鋭く尖る。茎の先や葉の脇から花穂を出し、細毛のある短い花柄の先に青紫色の唇形花を付ける。花冠は長さ1.7~2cm。萼の上唇は3裂し、裂片の先は鈍い。下唇は2裂する。和名は秋丁字で、秋に丁字形の花を開く事に由来する。細い茎に分不相応に大きい花が多数垂れ下がり、茎が倒れがちになる。花期:10月。生育地:山地。分布:本州(岐阜県以西)、四国、九州、植栽。
金沢区 2020年10月18日
サラシナショウマCimiciguga simplex 晒菜升麻
落葉樹林内や草原等に生える多年草。茎は40~100cmになる。よく発達した根茎があり、少数の根生葉をつける。根生葉と下部の茎葉は大型で、普通3回3出複葉、小葉は卵形で先が尖り、鋸歯がある。茎の先に総状花序を出し、総状花序に多数の白色の花を密につける。萼片は4~5枚、長さ4~5cmで、早く落ちる。花弁は2~3枚で、萼片よりやや短く、先が2裂する。雄蕊は多数、白色で、萼片より長い。雌蕊は2~8個で、白色で、柄がある。花は最初球形で(写真1枚目)、それが糸状に伸びて円形状になる(写真2、3枚目)。果実は袋果で柄があり、数個の鱗片のある種子を入れる。果実は豆のような形をしている。和名は晒菜升麻で、晒菜は若菜を茹でて水に晒して食べる事に由来する。花期:10月。生育地:山野。分布:北海道、本州、四国、九州。
円海山 2020年10月16日
円海山 2021年10月29日
ホトトギス Tricyrtis hirta 杜鵑草
山地の半日陰や湿り気ある崖等に生える多年草。茎は直立または垂れ下がり、30~80cmになる。葉は互生し、長楕円状被針形で全面に軟毛があり、先端はやや細長く伸び,長さ10~15cm,基部は茎は抱く。一般に茎と葉に斜め上向きの毛が多い。葉のわきに2~3個の花を上向きに付ける。白地に紫斑のある花を咲かせ、2.5cmほどで、漏斗状鐘形。花被片の長さは約3cm、外花被片の基部は膨らんで、中に蜜を分泌する。雄蕊は6本、葯は丁字状に付く。花柱は3裂し、各々の先は二股に分かれ、開花後次第に下へ曲がって、葯をまたぐ。緑色の果実は細長く3cm前後の堕果で三角稜があり(写真6枚目)、先方が縦に割れる。中に長楕円形で薄い、長さ2~2.5mmの紫褐色の種子が多数作られる。ホトギスは結構長期間咲いているので、最初蕾と、最後に果実と混在して咲いている。和名は杜鵑草で、花被片にある斑点を鳥のホトトギスの胸のある斑点になぞらえたもの。観賞用に栽培され、茶花など生け花にもよく使われる。しかし、〈ホトトギス〉の名で栽培されているものは、通常、タイワン(台湾)ホトトギス T. formosana Bakerか、ホトトギスとタイワンホトトギスの雑種とみられるものである。台湾ホトトギスは花壇等に普通に見られる。花は全体に赤身が強い(写真3枚目)。また園芸種として白ホトトギスもある(写真4枚目)。これは紫斑がなく、白楽天の園芸種名が付く。写真1、2枚目のホトトギスは自生種で、台湾ホトトギスよりは白ぽい、蕾も白緑色をしている(写真2枚目)。花期:10月~11月。生育地:山地。分布:北海道(西南部)、本州(関東地方以西)、四国、九州。
円海山 2022年10月16日 ※自生種
円海山 2022年10月16日 ※自生種
金沢区 2022年11月3日 ※台湾ホトトギス
金沢区 2020年10月6日 ※白花杜鵑
ダイモンジソウ Saxifraga fortunei var. incisolobata 大文字草
渓流や湿り気のある岩場に生える多年草。5枚の花弁が大の字に似ているのでこの名がある。京都の大文字山の送り火が有名。葉は円形で、浅い切れ込みがあり、更に鋸歯がある。表面にまばらに長い毛があるのも特徴のひとつ。花の拡大写真を見ると、赤い花糸が放射状に出ているのが印象的。様々な園芸種がある。花期:10月。生育地:山地の岩場。分布:北海道、本州、四国、九州、植栽。
金沢区 2020年10月31日
金沢区 2020年10月31日
リンドウ Gentiana scabra var.buergen 竜胆
秋の山を代表する20~50cmの多年草。晩秋の花で、年の最後を飾る野草。根茎は太くならない。茎は直立または斜上し、花を含めた高さは15~60cm、しばしば帯紫緑色。葉は対生し、根出葉は鱗片状、茎葉は卵状披針形または披針形で、長さ3~10cm、3脈あり、へりには細かい突起があってざらつく。10~11月に、茎頂および葉腋(ようえき)1個から多数の花をつける。花は無柄、萼は5中裂し、裂片は線状披針形で不同。花冠は筒状鐘形で長さ4~6cm、青紫色から紫紅色、まれに白色(シロバナリンドウ)で5裂し、裂片間の副片(副花冠)は小型で三角形。おしべは5本、めしべは1本で、基部に5個の腺体がある。果実は堕果(さくか)で種子は紡錘形。根茎を乾燥したものは薬用に使われる。根茎および根に苦味配糖体ゲンチオピクリン gentiopicrine、ゲンチアニンgentianine などの苦味成分を含み、漢方では竜胆(りゆうたん)とよばれ、苦味健胃薬として用いられ、また他の生薬と配合して、解熱、肝炎、咽喉炎、中耳炎、高血圧、尿道炎等にも用いられるが素人には関係無い、生兵法は怪我の元。昔はそこいらに普通に見られたが、今は開発、盗掘等により、激減した。花期:10月下旬~11月上旬。生育地:山野。分布:本州、四国、九州。
金沢区 2021年10月23日
金沢区 2021年11月1日
ナカガワノギク Chrysanthemum yoshinaganthum 那賀川野菊
徳島県の那賀川に沿って生える50~70cmの多年草。葉は厚く蜜に付き、倒卵状楔形で、深く3中裂または浅裂する。表面には短毛が密生し、裏面には丁字状毛が密生し灰白色を帯びる。頭花は白色、その後、淡紅色となると記載されているが、実際は開花したら白色のままで色変化無し。頭花は最初の内は長さがまちまちだが、成長するに連れて長さが揃ってくるのが興味深い。蕾の段階では淡紅色が混じる。総苞片は3列に並び、灰白色毛がある。蕾の期間は2週間程度だが、開花し始めると1~2日で一気に開花するので、要注意。晩秋の見栄えのする野菊。絶滅危惧種Ⅱ類。花期:11月。生育地:山地。分布:、四国(徳島県)、植栽。
金沢区 2022年11月17日
おまけ
野草の撮影に出会う糸トンボ。
金沢区 2021年6月13日
続編:横浜金沢区の野草Ⅱ