唐突ながら、西荻の定食屋登亭の話
会社の寮を出て結婚するまでの一年と少し、西荻窪界隈で暮らしていたのだが、そこで世話になったのがこの定食屋。
駅前の一角にあり、暖簾には「とんかつ」と書いてあるが只のとんかつ屋ではない。
年季の入ったおやじが揚げる揚げ物メニュー満載の今様に言えば誠にメタボリックな店なのです。
初めて入ったときは勝手がわからず単品のとんかつ定食を注文したものの、入店数分後に自分の過ちに気付くことに。
後から来る事情を知ると思しき客は皆、
サラダ盛り合わせ とか
ハンバーグ盛り合わせ とか
盛り合わせを頼むのであります。
するとどうだろう、おやじはキャベツとスパゲテを盛った皿に、ハンバーグとか、とんかつとかチキンカツとかマヨネーズで和えた鶏サラダとかをわらわらと盛っていくのです。
えーこれだけ盛って単品とんかつ定食と50円しか違わんなんてー！と、驚き、次はサラダ盛り合わせにしようと誓ったのです。
当然、量も半端ではなく、kanotherなどは、稽古後に登亭に行き、呑みに行けなくなるほど。
てな訳で出会いから早12年、今のわしの体型に少なからぬ影響を与えたと思われる登亭なんですが、一昨日読んだ雑誌のコラムに、取り上げられており、びっくり。
全国誌で登亭の話が読めるとは！と意気込んで読み進むとそこにはかなしい知らせが。
何と昨年12月で閉店してしまったとのこと。
その瞬間最後に食ったサラダ盛り合わせの味を思いだそうとしてました。
あのいい加減で適当で、でも美味い定食や、
いつも何が入ってるか不明で熱すぎる味噌汁が、
もう食えないと思うと、とても残念です。
さよなら登亭。おやじさんおつかれさまでした。