ネコの餌箱

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「青雷の光る秋」

2013年11月23日 | 海外ミステリー
アン・クリーヴス作(創元推理文庫)

イギリスシェトランド諸島の孤島に婚約者を連れて里帰りした警部・ジミー・ペレス。
婚約祝いのパーティーが開かれた夜、フィールドセンターの監視員が殺害される。
嵐の接近で孤立した島の中、一人捜査にあたるペレスだが、第二の殺人事件が発生して・・・。

英国現代ミステリーで評判の(シェトランド四重奏)シリーズ第4作。
北の果ての自然、ローカルな風土にバードウォッチングの題材が絡み、孤島ミステリーとしてはそれなり。
4部作と言われるほどの独自性を感じないのは、北海に浮かぶシェトランド諸島という舞台のイメージがないからか?
主人公の警部にあまり魅力が感じられず、ラストのどんでん返しもそれなり。
★★

「ボックス21」

2013年11月16日 | 海外ミステリー
A・ルースルンド&B・ヘルストレム作(ランダムハウス講談社)

ストックホルムのアパートの一室で、鞭打たれて意識を失った売春婦リデイアが発見される。
リトアニアから連れてこられたというリディアは病院に搬送され、犯人のポン引きも強制送還され事件は解決したはずだった。
だが、病院で目覚めたリディアの意外な行動により、ストックホルム市警警部エーヴェルトと同僚刑事たちは事件の奥の闇に巻き込まれていく・・。

マルティンベックシリーズを思い出させる重厚な警察小説。
事件の展開の面白さに対し、捜査にあたる刑事たちの抱えた傷の深さ。
人身売買と強制売春、そして麻薬という先進国共通の病理を描きながら、人間の恥というテーマが浮かび上がってくる。

ラスト一行の大どんでん返しは反則技すれすれ?
「悲しみ、恐怖、憎悪、それぞれが力を奪っていく。三つが合わさると命が蝕まれていく」
★★★



「ハング・オーバー」

2013年11月08日 | ハリウッド映画
監督:トッド・フィリップス
脚本:ジョン・ルーカス 、スコット・ムーア
出演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ

ラスベガスでバチェラーパーティーをしていた4人の男達は、朝起きると3人になっていて、部屋や身体はめちゃくちゃに…。
いったい何があったのか?
全く意味不明の状況から、幾つかの手がかりを元に前夜の乱行を思い出していくという酔っ払いには覚えのあるプロット。

トイレの中に一頭の虎、銅像に突き刺さったベッド、撮った覚えのない結婚写真、謎のカンフーマンの襲撃・・・意表を突く展開の面白さ。
単純なおバカコメディーをミステリー仕立てにした上手さ、各エピソードのギャグもレベル以上。
ラストのタイトルバックグラフィティ風で気が利いている。面白い。
★★★



「深い疵」

2013年11月02日 | 海外ミステリー
ネレ・ノイハウス作(創元推理文庫)

オリヴァー&ピアの警察小説シリーズ
ホロコーストの生き残りでアメリカ大統領顧問をつとめた大物ユダヤ人がドイツのフランクフルト近くで射殺体となって発見される。
司法解剖の結果被害者が実はナチス親衛隊員だったという事実が判明する。
ホーフハイム警察首席警部オリヴァ―とピアが捜査にあたるうち第二、第三の殺人事件が発生、隠された過去の傷跡が明らかになって行く・・・

ホロコーストとナチスの傷跡、現場に遺された謎の「16145」数字、そして成功した経済界の大物家族等、パターン通りだが謎の提示の新鮮さや展開の巧さで読ませる。
捜査にあたる刑事たちの描写も、余計なラブストーリーや家族関係もなく適度な緊張感。
ラストのどんでん返しも無理なく納得感あるが、もう一捻り足りない感も残る。
(ホモカップルの明るい未来では余韻も・・・?)
★★☆