【現代思想とジャーナリスト精神】

安倍首相が推進する、「憲法改正による緊急事態条項」は、アドルフ・ヒットラーの「全権委任法」と酷似

安倍首相が推進する、「憲法改正による緊急事態条項」は、アドルフ・ヒットラーの「全権委任法」と酷似している。
                                  櫻井智志



 安倍首相が推進する、「憲法改正による緊急事態条項」は、アドルフ・ヒットラーの「全権委任法」と酷似している。それは具体的にどのようなことを示しているのか。1.ウィキペディアによる検索・部分引用と、2.孫崎享氏のこの酷似についての安倍晋三についての叙述、3.私見の3点から、考えてみたい。


1. ウィキペディアの詳細なヒットラーについての叙述から「全権委任法」前後の様子を俯瞰したい。

独裁政権

詳細は「ナチ党の権力掌握」を参照
内閣発足の2日後に当たる2月1日に議会を解散し、国会議員選挙日を3月5日と決定した。2月27日の深夜、国会議事堂が炎上する事件が発生した(ドイツ国会議事堂放火事件)。ヒトラーとゲーリングは「共産主義者蜂起の始まり」と断定し、直ちに共産主義者の逮捕を始めた。翌28日にヒンデンブルク大統領に憲法の基本的人権条項を停止し、共産党員などを法手続に拠らずに逮捕できる大統領緊急令を発令させた。この状況下の3月5日の選挙ではナチスは議席数で45%の288議席を獲得したが、単独過半数は獲得できなかった。しかし、共産党議員はすでに逮捕・拘禁されており、さらに社会民主党や諸派の一部議員も逮捕された。これらの議員を「出席したが、投票に参加しない者と見なす」ように議院運営規則を改正することで、ナチ党は憲法改正的法令に必要な3分の2の賛成を獲得できるようになった。
3月24日には国家人民党と中央党の協力を得て全権委任法を可決させ、議会と大統領の権力は完全に形骸化した。7月14日にはナチ党以外の政党を禁止し、12月1日にはナチ党と国家が不可分の存在であるとされた。以降ドイツではナチ党を中心とした体制が強化され、党の思想を強く反映した政治が行われるようになった。しかし他の幹部とは異なった政権構想を持っていた突撃隊ではさらなる第二革命を求める声が高まり、突撃隊参謀長レームらとの対立が高まった。ヒトラーはゲーリングと親衛隊全国指導者ヒムラーらによって作成された粛清計画を承認し、1934年6月30日の「長いナイフの夜」によって突撃隊を初めとする党内外の政敵を非合法的手段で粛清した。この時、党草創期からのつきあいがあったレームの逮捕にはヒトラー自らが立ち会っている。
1934年8月2日、ヒンデンブルク大統領が在任のまま死去した。ヒトラーは直ちに「ドイツ国および国民の国家元首に関する法律」を発効させ国家元首である大統領の職務を首相の職務と合体させ、さらに「指導者兼首相 (Führer und Reichskanzler) であるアドルフ・ヒトラー」個人に大統領の職能を移した[105]。ただし「故大統領に敬意を表して」、大統領 (Reichspräsident) という称号は使用せず、自身のことは従来通り「Führer(指導者)」と呼ぶよう国民に求めた。この措置は8月19日に民族投票(ドイツ語版)を行い、89.93%という支持率を得て承認された。これ以降、日本の報道でヒトラーの地位を「総統」と呼ぶことが始まった。指導者は国家や法の上に立つ存在であり、その意思が最高法規となる存在であるとされた。
権力掌握以降、ヒトラー崇拝は国民的なものとなった。1935年1月22日には公務員・一般労働者が右手を挙げて「ハイル・ヒトラー」と挨拶することや、公文書・私文書の末尾に「ハイル・ヒトラー」と記載することが義務付けられた。民衆が党や体制に対する不満を持つことがあっても、地方・中央の党幹部に批判が向けられ、ヒトラー自身が対象となることはほとんど無かった。




2.【孫崎享のつぶやき】
安倍首相の考える、憲法改正による緊急事態条項は①緊急事態を内閣が決め、②政令(議会の承認なく内閣決定)は法律と同等効力で③何人も公の機関の指示に従わなければならない。独裁の承認です
2015-11-14 06:174



緊急事態条項について「日本は特別の条項を持っていないからこれの規定をも設けましょう」というと、それはそうだになる。

 しかし、自民党が考えている緊急事態規定はどんなものか、見たことがあるか、まず政令(議会の承認なく内閣決定)は法律と同等効力を持つ。つまり、内閣総理大臣の意向が国会の審議を経ずに法律になる。次いでその法律には、「何人も公の機関の指示に従わなければならない」としている。さらに一定期間「国会の解散なし」である。何故一定期間国会の解散がないのか。政府が緊急事態と決めた時には国民の意思を問わないという事である。余りにもひどすぎる。

 「緊急事態条項について日本は特別の条項を持っていないから」というだけに理由で、安倍政権が意図する危険に無関心なのはどういうことなのか。自民党のいう緊急事態条項は緊急事態の名の下に「首相の独裁体制を作り、それを国民に従わせる」態勢を憲法で作ろうとしている」。論外のことを提言し、そしてその危険性を論じない日本はどうなっているのか。


A:事実関係①
 安倍晋三首相は11日の参院予算委員会で、憲法改正による緊急事態条項の創設について「国民の安全を守るため、国家、国民がどのような役割を果たしていくべきかを憲法に位置づけることは極めて重く、大切な課題だ」と述べ、重視する考えを示した。
 緊急事態条項は大災害発生時や有事の首相の権限強化、国会議員の任期延長などを定めるもの。昨年11月の衆院憲法審査会で、共産党を除く与野党7党が憲法に緊急事態条項を書き込むことに賛成している。
 首相は「憲法改正には国民の理解が必要不可欠だ。引き続き新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、国民的な議論と理解が深まるよう努めたい」と改めて意欲を示した。(11.12産経新聞)


  事実関係②自民党改憲草案中抜粋
第九章 緊急事態
第98条(緊急事態の宣言)
1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
第99条(緊急事態の宣言の効果)
1 緊急事態の宣言が発せられたときは、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。



B:評価
 草案を読めば如何に酷いものであるかがわかる。もはや日本は民主主義国家ではない。首相の独裁体制を憲法で作ろうとしている。




3.私見~安倍政権の押し寄せる大政翼賛攻勢にどう反転攻勢するか~

 このような態勢は、安倍晋三を翼賛する日本会議などの極右団体、反動派財界、アメリカの軍産複合体などが背景にあり、さらに強力に弾圧と懐柔されたマスコミによる国民教化やヘイトスピーチ運動など極右民間運動が、保守反動極右の最たる安倍政権を支えている。さらに「おおさか維新の会」などの右派政党のみならず、民主党前原元代表の国会議員ら反共親自民の議員勢力が永田町を徘徊している。


 しかし、このような情勢下で若者から中高年まで広範な国民が立ち上がり、それは必ずしも日本共産党のもとにある勢力にとどまらない。今までの国民運動には収まりきれない、労働運動、60年安保闘争などを超える無党派市民の、反軍国主義、立憲主義を志向する自立した個人をもとにした反安倍政権の運動である。その点を見極めている志位和夫日本共産党委員長の政党・団体・個人の結集した「戦争法廃止の国民連合政府」提起は、民主党右派と維新の党などが目先の選挙協力や解党して大政党を構築しようという仕掛けにまさっている。

 すでに小沢一郎氏・山本太郎氏の「生活の党」、吉田党首の社民党は、「国民連合政府」に好意的参加を表明している。「緑の党」も参院選には国政に登場が予想される。さらに良識ある保守系無所属クラブも場合には参加しうる。志位共産党委員長のすぐれた見識は、単なる参院選対策ではなく、自らが「中期的展望」と銘打っていることである。参院選以降も、反安保法制の反戦に一致しうる広範な結集を地道に働き掛け続けていく。


 当面、福島県議選や大阪市・大阪府同日の選挙闘争の趨勢に注目し全国から応援したい。

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