カクテル(英語:Cocktail )とは、主にベースとなる酒に、他の酒またはジュースなどを混ぜて作るアルコール飲料(ただし、ノンアルコールのカクテルも存在する)。混酒。複数の飲料を混ぜることで独特の味、フレーバーを作る。厳密には複数の酒を混ぜたもののみがカクテルであり、酒とソフトドリンクを混ぜたものはハイボールに分類される。しかし現在日本でハイボールというと、ウィスキーの炭酸水割りのことだけを指す場合が多く、定義やその区別は曖昧である。
ベースとなる酒には、ウィスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなどのスピリッツ類を使うことが多い。最近ではリキュール類もよく使用される。
混酒という点からいえば、古代エジプト、古代ローマ、あるいは唐(中国)の時代にまでさかのぼる。
大昔のビールやワインなどは、それ単体で飲むには味が悪かったため、蜂蜜やナツメヤシのジュースを混ぜたり、また海水で割って飲む習慣があった。
また、中世ヨーロッパでは冬にホット・ワイン(グルーバイン)を飲むようになり、17世紀のインドでパンチが開発されると、一気にヨーロッパ社交界に広まっていった。「カクテル」という言葉自体は、1750年代に入ってから使われるようになったらしい。
その後、混ぜた酒(カクテル)がバーで提供されるようになり、製氷機の発明(1875年)によって、一年を通して氷が手に入るようになると、現在のような「冷たい飲み物」としてのカクテルが広まった。ただし温かいカクテルも存在する。
語源
語源については諸説ある。
「雄鶏の尻尾」説
飾りのため、あるいはグラスの中身にアルコールが含まれていることを示すために、羽根をグラスに差す風習があったとされる。この羽根は雄鶏の尻尾(cock tail)からとったもので、そこからカクテルの名がついたとの説がある。
また、「雄鶏の尻尾」説には以下のような諸説あるが、決定的なものはない。
ドリンクをかき混ぜるのに雄鶏の尻尾が使われていたことに由来するとの説
雄鶏の尻尾がカクテルのように七色に変化することから由来するとの説
闘鶏の盛んだった頃、試合の結果、尻尾に羽を一番多く残した雄鶏を祝福して乾杯した故事に由来するとの説
闘鶏の際に鶏を興奮させるために使用された火酒コケールあるいはコックズ・エール(cock's ale)に由来するとの説
「雑種の馬」説
雑種の馬(cock)は尻尾を短く切って純血馬と見分けたことから、混合酒の名前に転じたとする説。
「メキシコ王の娘」説
18世紀初頭、アメリカ南部陸軍とアソロトル8世率いるメキシコ軍の間には小競り合いが絶えなかったが、ある時、休戦協定が結ばれることとなった。その酒宴の際に、メキシコ王の娘コクテル(Coctel)が自ら調合した酒を供した。その美味しさと娘の美しさに驚嘆したアメリカ軍の将軍は、その場で「この酒はこれからコクテルと呼ぶこととしよう」と提案し、それが現在に至るという説。
「木の名前」説
メキシコのユカタン半島の港町カンペチェに大英帝国海軍の船が入港したとき、一人の海兵が地元のバーのカウンターでバーテンダーの少年が木のスプーンを使っておいしそうなドリンクを混ぜているのを見た。当時のイギリスには「お酒を混ぜる」という習慣はなかったため、彼は少年にその酒の名前を聞いてみたところ、少年は使っていたスプーンの材質を聞かれたのだと勘違いし、「コーラ・デ・ガジョ(cola de gallo)」と答えた。これを英語に直訳した「雄鶏の尻尾(tail of cock)」が、やがて「カクテル」となったという説。
「ニューオリンズの薬屋」説
1775年ごろ、アメリカのニューオリンズに移住してきた薬屋アントワーヌ・アメデス・ペリシコーがブランデーに卵を混ぜたもの(いわゆる卵酒)を売っていたが、これが評判になり、彼はフランス系アメリカ人の間でコクティエ(coquetier、フランス語で鶏肉・鶏卵の卸商、もしくはエッグスタンド)と呼ばれた。これが後にカクテルとなったという説。 (「ビターとコニャックをコクティニと呼ばれる器で混ぜて売っていたのが好評で」との異説あり)
「ドック・テール」説
「コクチェ」説
「トルテカ族の娘」説
「アステカの王女ショチトル(Xochitl)」説
この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
カクテルの作成技法
シェイク
シェイカーに氷と共に材料を入れ、シェーカーを振ることにより材料を混ぜる。主に材料を混合することと冷却することを目的としている。
ステア
混ざりやすい幾つかの材料をミキシンググラスに注ぎ、バー・スプーンなどで手早くかき混ぜる。
ビルド
直接グラスに氷や酒類を注いで作る方法。ビルドの場合もステアすることが多い。炭酸を含む材料を加えた場合、炭酸が二酸化炭素となって逃げてしまい、味が悪くならないように注意する必要がある。
ブレンド
ミキサーを使い、材料とクラッシュドアイスを細かく混ぜること。フローズン系のカクテルはこの技法で作られる。
フロート
比重の違う液体を混ざらないように静かにそそぎ、重ねる技法。なお、カクテルのスタイルを指す場合は、2種類のものを使って作ったプース・カフェ・スタイルのカクテルのことを言う。
カクテルの用語
カクテルで用いられる単位
1dr(ドロップ)
ごく少量しか用いない場合に使われる単位。1drは約5分の1ml程度。約一滴分
1dash(ダッシュ)
約1ml程度の少量用いる際に使われる用語。5、6滴(5、6dr)ほど。
1tsp(ティースプーン)
バー・スプーン1杯分程。小さじ1杯。約5ml程度。
1cl(センチリットル)
10mlのこと。日本ではあまり一般的な単位ではない。
1oz(オンス)
約30mlのこと。
カクテルの用具
アイス・ペール
氷を入れておく容器。
カクテル・ピン
一部のカクテルで使用される、チェリーやオリーブを飾り付ける際に使用するピン。様々な形状がある。
シェイカー
トップ、ストレーナ、ボディーの3つのパーツからなる、混ざりにくい物を混ぜ合わせ、冷やしにくいものを強制的に冷やすために作られた道具。大抵はステンレス製。またボストンシェイカーというステンレスの容器とガラスの容器の二つのパーツからなるシェイカーも存在する。
バー・スプーン
カクテルをステアするために用いる長柄のスプーン。反対側はフォーク状になっており、瓶に入っているマラスキーノチェリーなどを取り出すために使われる。
マドラー
攪拌棒。バー・スプーンとは違い、カクテルに添えられることがある。
カクテルの分類
アペリティフ
フランス語で「食前酒」の意味。
ショートカクテル
短時間で飲み干すのに適したカクテル。
ディジェスティフ
フランス語で「食後酒」の意味。
ロングカクテル
のんびりと時間をかけて味わうのに適したカクテル。
カクテルのスタイル
エッグノック
酒と(鶏)卵とミルクと甘味料を使ったカクテル。シェークで卵を混ぜるのは、やや難易度が高い。フリップとは違い、ミルクも入っている。ブランデー・エッグノックなどが、このスタイルのカクテル。
クーラー
酒に酸味を加え、炭酸飲料(炭酸水も含む)で割ったカクテル。ボストン・クーラー、モスコー・ミュールなどが、このスタイルのカクテル。
コリンズ
蒸留酒にレモンジュースなどの酸味と砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。フィズより甘く、量も多い。サワーよりも酸味は少ない。トム・コリンズなどが、このスタイルのカクテル。
サワー
蒸留酒にレモンジュースなどの酸味と砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。フィズよりも、コリンズよりも、酸味が強い。ブランデー・サワーなどが、このスタイルのカクテル。
ジュレップ
酒にミントの葉(若芽など茎を含む場合もあり)と甘味料を加え、多量の氷で満たしたカクテル。氷は、クラッシュド・アイスを使用する。ミント・ジュレップ、ラム・ジュレップなどが、このスタイルのカクテル。
ハーフ・アンド・ハーフ
2種類の材料を、等量ずつ混ぜて作るカクテル。ブラック・ベルベットなどが、このスタイルのカクテル。
ただし、日本では、スタウト(黒ビール)とビール(黒ビール以外のビール)を、半々で混ぜたカクテルのことを、ハーフ・アンド・ハーフと呼ぶこともある。しかし、本来、ハーフ・アンド・ハーフとは、カクテルのスタイルの1種を指す語である。
フィズ
蒸留酒にレモンジュースなどの酸味と砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。コリンズより甘くなく、量は少ない。サワーよりも酸味は少ない。ジン・フィズなどが、このスタイルのカクテル。
プース・カフェ
2種類以上の比重が違う飲料(蒸留酒、リキュール、シロップなど)を、比重の重い順から、混ざらないようにそっとグラスに注ぎ、グラスの中で層状になっているもの。
フリップ
酒に(鶏)卵と甘味料を加えたカクテル。エッグノックとは違い、ミルクが入らない。(蒸留酒名)・フリップと名前が付いているカクテルなどが、このスタイルのカクテル。
フローズン
氷と共にミキサー(バー・ブレンダー)にかけてしまうことで、シャーベット状に仕上げたカクテル。氷は通常、クラッシュド・アイスを使用する。フローズン・ダイキリなどが、このスタイルのカクテル。
フロート
(カクテルの作成技法を参照)
リッキー
蒸留酒にライムジュースを加え、炭酸水で割ったカクテル。日本ではレモンジュースを用いることもあるが、ライムを使うのが正式。コリンズ、サワー、フィズと違って、甘味料が入らない。ジン・リッキー、ウォッカ・リッキーなどが、このスタイルのカクテル。
関連用語
クラッシュドアイス
細かく砕いた氷のこと。
スノースタイル
グラスの縁をレモン汁で濡らし、食塩や砂糖を付着させるデコレーション技法。ただし、スノースタイルという呼称は和製英語である。英語では、rimmed with salt または、rimmed with sugar つまり、縁に食塩、縁に砂糖と言う。
チェイサー
口直し用の水のこと。特にバーで蒸留酒をストレートで飲む時などは、客が何も言わなくても、もう1つグラスが用意され、チェイサーが出される。
ピール
柑橘類の果皮のこと。果皮の油分をカクテルに香り付けするために吹き付ける技法のことも指す。
カクテルに用いられるリキュールなど
アドヴォカート
ブランデーがベースになっており、卵黄やバニラが配合されている。オランダが原産。
アマレット・ディザローノ
アンズの核のエキスに、多数のハーブをブレンドして作ったリキュール。イタリア原産。アーモンド風味の香りが特徴で「アーモンドリキュール」と言われる場合もある。わかりやすく表現すると杏仁豆腐(杏の仁)の香りがする。
カシス(クレーム・ド・カシス)
黒すぐりを原料とした、甘い深紅のリキュール。鮮やかな色と、爽やかな酸味と甘さが特徴。ルジェの製品が有名。
ガリアーノ
バニラや薬草を使ったリキュール。
カルーア
ローストしたコーヒー豆をスピリッツに漬け込んだ甘いリキュール。バニラ風味。
カンパリ
少し苦めのリキュール。製法は秘密となっている。
キュラソー
オレンジの果皮を使用して作られた甘めのリキュール。色により味がやや違う。
グレナデン・シロップ
ザクロのシロップ。紅く色がきれいなため、カクテルでは良く用いられる。アルコールは入っていない。
ココモ
ラムとココナツで作られたリキュール。
シトロン・ジェネヴァ
レモンのリキュール。
シャルトリューズ・ヴェール
フランス、シャルトリューズ修道院に伝わる薬草リキュール。ジョーヌ(黄色)とヴェール(緑)とEVEの三種類が存在する。これらの正確な製法はシャルトリューズ修道院の修道士3人しか知らない。
チェリー・ヒーリング
デンマーク原産のチェリーブランデーの製品名。
ディタ
ライチのリキュール。日本では商標登録の都合上「DITA」であるが、日本以外では「SOHO」という名で流通している。
ドランブイ
モルトウィスキーの15年以上の物をベースにヒースの花の蜂蜜や香草を使って作られたリキュール。
パッシモ
ブランデー、パッションフルーツなどを用いたリキュール。
ビターズ
苦味のある酒で、元々は薬用酒だったもの。アンゴスチュラ・ビターズ、オレンジ・ビターズなどがある。
ブラック・サンブーカ
黒色のリキュール。黒色のカクテルを作る時などに用いられる。
ベルモット
白ワインベースの、多数の香草などを用いた酒。一般的にイタリアンベルモットは甘口で、フレンチベルモットは辛口。
ミドリ
日本産のメロンリキュール。
代表的なカクテル
アレクサンダー
ギムレット
ゴッドファーザー
サイドカー
ソルティ・ドッグ
ダイキリ
ホット・バタード・ラム
マティーニ
マルガリータ
マンハッタン
モスコー・ミュール
詳しくは、カクテルの一覧を参照のこと。
カクテルの街
近年、日本では「カクテルの街」として町おこしをはかっているところがいくつかある。栃木県宇都宮市と北海道旭川市が特に有名で、カクテルの国内大会で優勝経験を持つバーテンダーを中心に、観光協会などがイメージ作りを進めている。他には、神奈川県横浜市(理由は同様)などもカクテルの街を名乗っている。
ベースとなる酒には、ウィスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなどのスピリッツ類を使うことが多い。最近ではリキュール類もよく使用される。
混酒という点からいえば、古代エジプト、古代ローマ、あるいは唐(中国)の時代にまでさかのぼる。
大昔のビールやワインなどは、それ単体で飲むには味が悪かったため、蜂蜜やナツメヤシのジュースを混ぜたり、また海水で割って飲む習慣があった。
また、中世ヨーロッパでは冬にホット・ワイン(グルーバイン)を飲むようになり、17世紀のインドでパンチが開発されると、一気にヨーロッパ社交界に広まっていった。「カクテル」という言葉自体は、1750年代に入ってから使われるようになったらしい。
その後、混ぜた酒(カクテル)がバーで提供されるようになり、製氷機の発明(1875年)によって、一年を通して氷が手に入るようになると、現在のような「冷たい飲み物」としてのカクテルが広まった。ただし温かいカクテルも存在する。
語源
語源については諸説ある。
「雄鶏の尻尾」説
飾りのため、あるいはグラスの中身にアルコールが含まれていることを示すために、羽根をグラスに差す風習があったとされる。この羽根は雄鶏の尻尾(cock tail)からとったもので、そこからカクテルの名がついたとの説がある。
また、「雄鶏の尻尾」説には以下のような諸説あるが、決定的なものはない。
ドリンクをかき混ぜるのに雄鶏の尻尾が使われていたことに由来するとの説
雄鶏の尻尾がカクテルのように七色に変化することから由来するとの説
闘鶏の盛んだった頃、試合の結果、尻尾に羽を一番多く残した雄鶏を祝福して乾杯した故事に由来するとの説
闘鶏の際に鶏を興奮させるために使用された火酒コケールあるいはコックズ・エール(cock's ale)に由来するとの説
「雑種の馬」説
雑種の馬(cock)は尻尾を短く切って純血馬と見分けたことから、混合酒の名前に転じたとする説。
「メキシコ王の娘」説
18世紀初頭、アメリカ南部陸軍とアソロトル8世率いるメキシコ軍の間には小競り合いが絶えなかったが、ある時、休戦協定が結ばれることとなった。その酒宴の際に、メキシコ王の娘コクテル(Coctel)が自ら調合した酒を供した。その美味しさと娘の美しさに驚嘆したアメリカ軍の将軍は、その場で「この酒はこれからコクテルと呼ぶこととしよう」と提案し、それが現在に至るという説。
「木の名前」説
メキシコのユカタン半島の港町カンペチェに大英帝国海軍の船が入港したとき、一人の海兵が地元のバーのカウンターでバーテンダーの少年が木のスプーンを使っておいしそうなドリンクを混ぜているのを見た。当時のイギリスには「お酒を混ぜる」という習慣はなかったため、彼は少年にその酒の名前を聞いてみたところ、少年は使っていたスプーンの材質を聞かれたのだと勘違いし、「コーラ・デ・ガジョ(cola de gallo)」と答えた。これを英語に直訳した「雄鶏の尻尾(tail of cock)」が、やがて「カクテル」となったという説。
「ニューオリンズの薬屋」説
1775年ごろ、アメリカのニューオリンズに移住してきた薬屋アントワーヌ・アメデス・ペリシコーがブランデーに卵を混ぜたもの(いわゆる卵酒)を売っていたが、これが評判になり、彼はフランス系アメリカ人の間でコクティエ(coquetier、フランス語で鶏肉・鶏卵の卸商、もしくはエッグスタンド)と呼ばれた。これが後にカクテルとなったという説。 (「ビターとコニャックをコクティニと呼ばれる器で混ぜて売っていたのが好評で」との異説あり)
「ドック・テール」説
「コクチェ」説
「トルテカ族の娘」説
「アステカの王女ショチトル(Xochitl)」説
この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
カクテルの作成技法
シェイク
シェイカーに氷と共に材料を入れ、シェーカーを振ることにより材料を混ぜる。主に材料を混合することと冷却することを目的としている。
ステア
混ざりやすい幾つかの材料をミキシンググラスに注ぎ、バー・スプーンなどで手早くかき混ぜる。
ビルド
直接グラスに氷や酒類を注いで作る方法。ビルドの場合もステアすることが多い。炭酸を含む材料を加えた場合、炭酸が二酸化炭素となって逃げてしまい、味が悪くならないように注意する必要がある。
ブレンド
ミキサーを使い、材料とクラッシュドアイスを細かく混ぜること。フローズン系のカクテルはこの技法で作られる。
フロート
比重の違う液体を混ざらないように静かにそそぎ、重ねる技法。なお、カクテルのスタイルを指す場合は、2種類のものを使って作ったプース・カフェ・スタイルのカクテルのことを言う。
カクテルの用語
カクテルで用いられる単位
1dr(ドロップ)
ごく少量しか用いない場合に使われる単位。1drは約5分の1ml程度。約一滴分
1dash(ダッシュ)
約1ml程度の少量用いる際に使われる用語。5、6滴(5、6dr)ほど。
1tsp(ティースプーン)
バー・スプーン1杯分程。小さじ1杯。約5ml程度。
1cl(センチリットル)
10mlのこと。日本ではあまり一般的な単位ではない。
1oz(オンス)
約30mlのこと。
カクテルの用具
アイス・ペール
氷を入れておく容器。
カクテル・ピン
一部のカクテルで使用される、チェリーやオリーブを飾り付ける際に使用するピン。様々な形状がある。
シェイカー
トップ、ストレーナ、ボディーの3つのパーツからなる、混ざりにくい物を混ぜ合わせ、冷やしにくいものを強制的に冷やすために作られた道具。大抵はステンレス製。またボストンシェイカーというステンレスの容器とガラスの容器の二つのパーツからなるシェイカーも存在する。
バー・スプーン
カクテルをステアするために用いる長柄のスプーン。反対側はフォーク状になっており、瓶に入っているマラスキーノチェリーなどを取り出すために使われる。
マドラー
攪拌棒。バー・スプーンとは違い、カクテルに添えられることがある。
カクテルの分類
アペリティフ
フランス語で「食前酒」の意味。
ショートカクテル
短時間で飲み干すのに適したカクテル。
ディジェスティフ
フランス語で「食後酒」の意味。
ロングカクテル
のんびりと時間をかけて味わうのに適したカクテル。
カクテルのスタイル
エッグノック
酒と(鶏)卵とミルクと甘味料を使ったカクテル。シェークで卵を混ぜるのは、やや難易度が高い。フリップとは違い、ミルクも入っている。ブランデー・エッグノックなどが、このスタイルのカクテル。
クーラー
酒に酸味を加え、炭酸飲料(炭酸水も含む)で割ったカクテル。ボストン・クーラー、モスコー・ミュールなどが、このスタイルのカクテル。
コリンズ
蒸留酒にレモンジュースなどの酸味と砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。フィズより甘く、量も多い。サワーよりも酸味は少ない。トム・コリンズなどが、このスタイルのカクテル。
サワー
蒸留酒にレモンジュースなどの酸味と砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。フィズよりも、コリンズよりも、酸味が強い。ブランデー・サワーなどが、このスタイルのカクテル。
ジュレップ
酒にミントの葉(若芽など茎を含む場合もあり)と甘味料を加え、多量の氷で満たしたカクテル。氷は、クラッシュド・アイスを使用する。ミント・ジュレップ、ラム・ジュレップなどが、このスタイルのカクテル。
ハーフ・アンド・ハーフ
2種類の材料を、等量ずつ混ぜて作るカクテル。ブラック・ベルベットなどが、このスタイルのカクテル。
ただし、日本では、スタウト(黒ビール)とビール(黒ビール以外のビール)を、半々で混ぜたカクテルのことを、ハーフ・アンド・ハーフと呼ぶこともある。しかし、本来、ハーフ・アンド・ハーフとは、カクテルのスタイルの1種を指す語である。
フィズ
蒸留酒にレモンジュースなどの酸味と砂糖などの甘味料を加え、炭酸水で割ったカクテル。コリンズより甘くなく、量は少ない。サワーよりも酸味は少ない。ジン・フィズなどが、このスタイルのカクテル。
プース・カフェ
2種類以上の比重が違う飲料(蒸留酒、リキュール、シロップなど)を、比重の重い順から、混ざらないようにそっとグラスに注ぎ、グラスの中で層状になっているもの。
フリップ
酒に(鶏)卵と甘味料を加えたカクテル。エッグノックとは違い、ミルクが入らない。(蒸留酒名)・フリップと名前が付いているカクテルなどが、このスタイルのカクテル。
フローズン
氷と共にミキサー(バー・ブレンダー)にかけてしまうことで、シャーベット状に仕上げたカクテル。氷は通常、クラッシュド・アイスを使用する。フローズン・ダイキリなどが、このスタイルのカクテル。
フロート
(カクテルの作成技法を参照)
リッキー
蒸留酒にライムジュースを加え、炭酸水で割ったカクテル。日本ではレモンジュースを用いることもあるが、ライムを使うのが正式。コリンズ、サワー、フィズと違って、甘味料が入らない。ジン・リッキー、ウォッカ・リッキーなどが、このスタイルのカクテル。
関連用語
クラッシュドアイス
細かく砕いた氷のこと。
スノースタイル
グラスの縁をレモン汁で濡らし、食塩や砂糖を付着させるデコレーション技法。ただし、スノースタイルという呼称は和製英語である。英語では、rimmed with salt または、rimmed with sugar つまり、縁に食塩、縁に砂糖と言う。
チェイサー
口直し用の水のこと。特にバーで蒸留酒をストレートで飲む時などは、客が何も言わなくても、もう1つグラスが用意され、チェイサーが出される。
ピール
柑橘類の果皮のこと。果皮の油分をカクテルに香り付けするために吹き付ける技法のことも指す。
カクテルに用いられるリキュールなど
アドヴォカート
ブランデーがベースになっており、卵黄やバニラが配合されている。オランダが原産。
アマレット・ディザローノ
アンズの核のエキスに、多数のハーブをブレンドして作ったリキュール。イタリア原産。アーモンド風味の香りが特徴で「アーモンドリキュール」と言われる場合もある。わかりやすく表現すると杏仁豆腐(杏の仁)の香りがする。
カシス(クレーム・ド・カシス)
黒すぐりを原料とした、甘い深紅のリキュール。鮮やかな色と、爽やかな酸味と甘さが特徴。ルジェの製品が有名。
ガリアーノ
バニラや薬草を使ったリキュール。
カルーア
ローストしたコーヒー豆をスピリッツに漬け込んだ甘いリキュール。バニラ風味。
カンパリ
少し苦めのリキュール。製法は秘密となっている。
キュラソー
オレンジの果皮を使用して作られた甘めのリキュール。色により味がやや違う。
グレナデン・シロップ
ザクロのシロップ。紅く色がきれいなため、カクテルでは良く用いられる。アルコールは入っていない。
ココモ
ラムとココナツで作られたリキュール。
シトロン・ジェネヴァ
レモンのリキュール。
シャルトリューズ・ヴェール
フランス、シャルトリューズ修道院に伝わる薬草リキュール。ジョーヌ(黄色)とヴェール(緑)とEVEの三種類が存在する。これらの正確な製法はシャルトリューズ修道院の修道士3人しか知らない。
チェリー・ヒーリング
デンマーク原産のチェリーブランデーの製品名。
ディタ
ライチのリキュール。日本では商標登録の都合上「DITA」であるが、日本以外では「SOHO」という名で流通している。
ドランブイ
モルトウィスキーの15年以上の物をベースにヒースの花の蜂蜜や香草を使って作られたリキュール。
パッシモ
ブランデー、パッションフルーツなどを用いたリキュール。
ビターズ
苦味のある酒で、元々は薬用酒だったもの。アンゴスチュラ・ビターズ、オレンジ・ビターズなどがある。
ブラック・サンブーカ
黒色のリキュール。黒色のカクテルを作る時などに用いられる。
ベルモット
白ワインベースの、多数の香草などを用いた酒。一般的にイタリアンベルモットは甘口で、フレンチベルモットは辛口。
ミドリ
日本産のメロンリキュール。
代表的なカクテル
アレクサンダー
ギムレット
ゴッドファーザー
サイドカー
ソルティ・ドッグ
ダイキリ
ホット・バタード・ラム
マティーニ
マルガリータ
マンハッタン
モスコー・ミュール
詳しくは、カクテルの一覧を参照のこと。
カクテルの街
近年、日本では「カクテルの街」として町おこしをはかっているところがいくつかある。栃木県宇都宮市と北海道旭川市が特に有名で、カクテルの国内大会で優勝経験を持つバーテンダーを中心に、観光協会などがイメージ作りを進めている。他には、神奈川県横浜市(理由は同様)などもカクテルの街を名乗っている。