成年後見制度の前身は、禁治産・準禁治産制度でした。
「財産を治めるのを禁止された者」というぶっ飛んだ名称で運用されていました。
そして、禁治産・準禁治産は、宣告されるものでした。
さらに、宣告を受けた人の戸籍謄本には、その旨の記載がされました。
何となく、お上から、「お前はダメだ」と言われている様な気にさせられる制度です。
禁止とか、宣告とか、戸籍とか。
もちろん、利用は少なかったようです。
一方、「措置から契約へ」という言葉で表現されるとおり、福祉サービスについての方針転換がはかられました。
つまり、福祉サービスを利用したいのなら、それを提供する事業所と契約して下さい、となったのです。
契約です。
福祉サービスは、高齢の方や障害がある方にとって、無くてはならないものです。
そこで、契約締結に必要な事理弁識能力に不安がある人のために利用できる制度は無いものか?
あ。
禁治産・準禁治産制度がある。
でも。利用が少ない。
よし。
制度全体を見直して、新しい制度を創ろう。
で、成年後見制度です。
したがって、後見が開始しても、戸籍には何も記載されません。
その代わり、戸籍とは全く関係のない後見登記簿に、登記されます。
この事は、成年後見制度全部に当てはまります。
ちなみに、後見人の資格証明書などとして利用するために、後見登記事項証明書が発行されます。
さて。
次回から、具体的な手続のご説明をします。
まずは、後見開始の申立についてです。
…「後見開始の申立①(管轄)」につづく。