デジブック 『雨の記憶2008』
清らかな少女の気持ちで
心躍る夢をみましょ
まるい額
ふっくらとした頬
愛らしい口元
それが描ければよしとしましょ
柳の小枝の炭の香り
消えてしまわないうちに
木炭 F10
本当はこのぐらいしか見えてないんだけどね
提灯がもっと大きければ
いい絵になるよ
そんなアドバイスを受けました
千葉県松戸市 万満寺・仁王門 F8
まっすぐに生きるべきだと思っていた。
間違っていた。ひとは曲った木のように生きる。
長田弘「死者の贈り物」より
とまらぬ余震
みえない原発事故の終焉
どうなってしまうのだろう
不安のなかで精一杯
出口をさがす
陽のさす方へ
陽のさす方へ
枝を伸ばして
ひとは曲った木のように生きる
やがて開く花を夢みて
桜のように
ガンバレ日本
東京都足立区 葛西用水あたり F4
遠くで桜の便りを聞く
上野の桜は満開らしいよ
花見の宴は中止だけれど
ありがとう
地球はこんなにも
やさしい春をくれた
千葉県松戸市 F8 二十四節気 清明
F8
上手に笑えない
上手に笑いたい
テーブルに置いた流木に
震災をみた
街や人や家畜たち
風さえも呑み込んだ
地球のエネルギー
壊滅した光景
悲しすぎるよ
一条の希望の光を描き加えようとしたけれど
あせちゃいけない
あせちゃいけない
時間はかかる
悲しみがあふれて
泣けるだけ泣いたら
まつげのむこうに
きっと虹が見えるはず
流木 F10