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dB通信

NPO法人DANCE BOXが企画制作しているコンテンポラリーダンス公演、WSを様々なアプローチから取り上げる。

「ビッグ盆!」 まもなく開催!!

2006-07-21 23:02:02 | 特集記事
8月5日(土)に、dBはじめ「SAP(新世界アーツパーク)」の各スペースで、夏祭りを打ち上げます!! 現在進行中のこの企画の模様のレポートと企画の詳しくは近日中に追って更新!! 

●まずは、新世界の新しい盆踊りをつくってもらう振付家・ダンサーのTENさんに、今回の企画について聞いてみました。(聞き手・文:上田美紀)

Q 盆踊りのイメージは?
A 年1回、誰もが楽しめる大演舞会!

Q ご自身盆踊りに参加されたことはありますか?
A 出身が新潟なんですが新潟では市で盆踊り大会があって、2重の円で街中をぐるっと
  囲んで2時間踊りつづけるんです。審査員もちゃんといて、どこの町が一番上手い
  とかね。町内で同じはっぴや浴衣でそろえて。もちろん町内ごとに独自の盆踊り大会 
  もあって。高校生になるまでは毎年行ってました。

Q いいですね。私盆踊りって行ったことないんです。
A え~、うちの市は運動会の最後にはオクラホマミキサーと新井囃子の2曲は
  踊ってました。今行ってる小学校もやってるそうですよ。

Q では今回、盆踊りの振付には抵抗はなかったですか?
A 抵抗はなかったけど、今回振付するのに改めて考えると、盆踊りって、2時間とか
  踊り続けて何で飽きないのかなと思いましたね。単純明解で皆が踊れて楽しくて
  でも飽きない振りって難しかった。でも今回、皆で作っているのがおもしろかったで
  す。子供達や、yumちゃんたちとね。

Q 盆踊りって奥深いですか?
A 考えたら盆踊りとコンテンポラリーって似てるかなと思いました。振りは反復やし、
  もちろん、速さが変化したり、踊る人が変わったりとかはありますけど。
  しがらみがないのも。でも全くの自由でもないですよね。100%自由だと逆に何も
  動けないけど、ある程度の決まりごとの中で自由に楽しむっていうのが、本質的に似
  てるなと思いました。

Q 子供達はどうでしたか?
A 今回5.6年生で3回のワークショップって決まってるんですね。子供って等身大で
  やってるのがなんかいいです。恥ずかしかったらそういう態度とったり嬉しかったら
  喜んだり、そういう意味で素直だし正直。

Q 子供の間に今活躍しているアーティストと触れ合えるってうらやましいです。
  私の頃にはそんな事なかった…
A ほんとに。私のところは能や狂言を見る時間がありました。子供相手だけどちゃんと
  したのを見せてもらった。狂言とかおもしろいと思いましたね。だから、その子がア
  ーティストになるとかいうのではなくて、こういう事を体験したという記憶が残る。
  特に今回は新しい曲、この曲がすごくいいんです。新しい振りで一番最初に踊るのが
  自分達だっていうのは絶対に楽しい。子供の頭の柔軟な間に記憶に残すっていうのは
  重要だと思います。

Q 今後も続いたらいいですね。
A 続けてほしい。盆踊りとは違う形でも、年間通してとかやりたいです。やっぱり初対
  面ってお互いの間に線があるのでね。とるのには回数が要りますね。

Q 当日、ウチらの盆踊りに来られる皆さんに一言お願いします。
A 是非、輪の中に入って踊ってください!

新しい振りで作られた2006年の盆踊り。多くの人に楽しんでもらえたら、そしてずっと踊りつがれていったらいいなと思います。子供たちが親になった頃、「あの盆踊り、お母さんが一番最初に踊ったんやで」と言えるくらいまで。


「DANCE BOX Selection15」出演者直撃インタビュー!

2006-06-26 20:39:53 | 特集記事
第1号の特集記事は、6月28日(水)19:30/29日19:30に開催する「DANCE BOX Selection15」をピックアップ。DANCE BOXステップ・アップ・プログラムの2ndステージにあたる今プログラムは<20分×4組>で行います。「Dance Circus32(2005年11月)」「Dance Circus33(2006年2月)」の出演者から選出。
0九/野田まどか/ポポル・ヴフ/山上恵理が出演します。
ということで、本番前に4組の出演者の皆さんにインタビューいたしました。作品について、あれらこれや聞いてみました。

■0九

「0九」は、振付・演出の浅野泰生(インタビューではA)、振付・出演の藤井雅(F)、出演の平野見由紀(H)の、ダンスカンパニーです。(質問者はQ)

Q 「worlds」は、赤いドレスの女(ゲストのダンサーが演じています)と机をひきずる男とイスをひきずる女の作品ですが、赤いドレスの女の心の中を、机とイスをひきずる2人の人が表現しているのですか?
A ある意味、正解ですね。

Q ある意味、、、?
A 机とイスをひきずっている2人が現実の人間で、赤いドレスの女が精神的な部分。だからインタビュアーが感じたことは逆です。だけど、心(考え方)の違いは観る人それぞれ違うので、僕らはそれを押しつけたくはない。
F もともとボクがやりたい一つのシーンがあって、それは赤いドレスの子が机に白い固まりを打つシーンだった。まだ前回の作品では行きついてないんですね。

Q うん、前回見終わって、もっと終わりが広がりそう(続きがありそう)という感があった。
H あえて、そこで終わった。むりやりに作品を終わらすよりも、まだ続きがあるように作ったんですよ。作品のはじまりのシーン…〈歩きシーン〉を作った時、「これは12分の時間内ではおさまらない」ってわかったんです。
A Dance Circusは12分という設定があるからね。
「worlds」は20~30分の作品にしたいんですけど、12分作品での発表だから、「ではこの部分だけ発表しよう」となった。

Q あの白い固まりはなんですか?
F 現実的なもので?精神的なものとして?現実的なもの-は、小麦粉です。コネてラップに包んでいるんです。重さがでるんで。

Q 私、うどんのタネちゃうかなって思っててん、実は(笑)
精神的なものとしては、なんですか?
F ネタバレになっちゃうんで。。。
全員 (笑)
A ---子供ですね。子供時代。机とイスという具体的なものを持っている2人がいるので、赤いドレスの女は、もっと曖昧にしたいというのがある。前回の12分の作品の発端はこのシーンからだったけど、今回の20分の作品を作る出発点は、この赤いドレスの女のもつ曖昧なものをもっと具体的に、ですね。

Q イスと机は?
A ひきずっている人の過去でありたい、というのがあって---。学校の机とイス。誰もが学校には行っているのでイメージしやすい。ただ、ひきずっている人の過去を表現するには、学校の机とイスでは弱い、というのがわかったので、今、どうするか考えてます。

Q 最後に、観ている人に何をわたしてですか?では、浅野さんは?
A わたしたい?

Q 何を見てもらいたい?受け取って欲しい?
A 感情が動いていることを楽しんでもらえたら。。。
「テーマでこんなことを伝えたい」とかより、観に来てくれた人が、2000円払ってダンス観にきてるんだ、ということを満足してもらいたい。
「0九」がやっている空気感や世界観を見せて、観ている人にその中に入ってもらう。そして、舞台が終わったら、客席に戻ってきてもらう---ですね。

Q 平野さんは?
H ムードを感じるというか—。勝手に想像してもらえるようなきっかけを作れる舞台をしていきたい。ジャズダンスとか曲に乗ったりしているダンサーを観ていて楽しいし、踊っているのも楽しいけど、そういった舞台は観ている人の想像よりも、、、やっぱり身体を(動きを主体に)見てしまう。身体もみてもらうけれど、身体じゃない部分---空間を見てもらいたい。そこにちゃんともっていけるような、身体でありたい。技術的にはまだまだ。---他所をみたら限りがないので、私たちだけのものを作りたい。

Q では、藤井さん、最後どーぞ!
F お客さんに何かしらもって帰って欲しい。個人的なことなんですけど、〈美〉--、美しいっていうのを、持って帰ってもらいたい。

Q ハ~~美!!〈究極な美〉にいってくださいよ!
F そうですね。そのうち、〈究極な美〉をね。。。
---------無言------------しばらく-----------
言葉って難しいですよね---。
全員 (笑)

Q 言葉よりイメージが咲きに出るんですね。
F イメージを踊りにしているもの---それを持って帰ってほしい。
H しゃべることは難しい---!!
全員 大笑い
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テレビ、舞台は三谷幸喜のほかはほとんど見ない!という浅野さん。そんな浅野さんの趣味は読書で、推理小説以外なら、なんでもかたっぱしから読むとか。しゃべりの苦手な藤井さんは、コンテンポラリーダンスに出会う前は、絵を描く方へ進もうとしていた人。平野さんは、小さい頃から芝居を観る機会が多く、自然と芝居をするようになるうちに、いろんなダンスからコンテンポラリーダンスを選んだ人です。
ダンスカンパニーが少ない関西。
これからの活躍を期待しています。

(インタビュー・文:西野典子)
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■野田まどか

Q 作品を作る時のベースになっているものはありますか?
A作品を作る時は記憶をたどる事から始めます。自分の育ってきたルーツや小さい時の憧れなど。そうする中で違う世代が一緒に生きている、―自分の知らない時代を生きてきたおばあちゃんと自分― が今、同じ時代を生きていると言うめぐり合せが不思議だなと思うようになりました。それをとどめておくために自分が身体一つで出来ること…それはまず「野田まどか」の紹介、自分をさらけ出すということかな。あとは衝動を“どーん”と出す事が得意なのですが、それだけに頼らず、一つの動きがなぜそうなるのか、自分の身体の中で何が起こっていて、それがどう移り変わりどういう動きになるのか、自分の身体の追究ですね。

Q 前作でサロンパスを貼ってもらうシーンがありましたが・・・
A からだ一つでできること、自分をさらけだすことでいいとは思うのですが、やはり作品として人に見てもらう時に自分だけが満足ではダメだと思います。お客さんにも見終わってすっきりして帰ってほしい。身近にある行為を最後に持ってくることで少しでもすっきりしてもらえたら、と思っていました。

Q 今回の新作について聞かせてください。
A 「閉店5時」朝とも夕方ともとれる。朝焼けも夕焼けも好き。朝が始まるのも夜が始まるのもだいたい5時くらいかなと。朝と夜の世界。動き始める人も違うし雰囲気も違う。でも同じ時代を生きている。なにかそんな朝と夜が一緒になっているような… 
ソロの作品はもちろん独りで作るのですが、それでも音響の方や照明の方、人との関わりがあるから自分がいる、作品ができる、そんなめぐり合わせの喜びです。結局はそこに戻りますね。

Q めぐり合わせって本当にふしぎですよね
A そう、以前石峰寺というお寺で音楽のイベントを観にいきました。竹林の中でのライブです。そのお寺は石仏が沢山あって、江戸時代に作られた石仏なのにその表情が微笑んでいたり、なにか語っているような気がして…昔に作られたものを今、自分が見ている、感じていると思うと不思議ですよね。

Q ちらしのコメントについて教えて下さい。
A 食事は私のしたい事、空を仰ぐのは一緒にしたい事。「食事をしなければなりませんので…」と言いながらも「居てくださってかまいませんよ。」ほしい、けどほしくない。帰ってほしいけど、居てほしい。何か、上手く言えない自分の中にある、もどかしさ、寂しさ、情けなさですね。

Q 何かそういう素直に言えない感じってありますよね
A そうですね。人って移り気の激しい都合のよい勝手な生き物だと思います。本に書いてあったのですが、人の動きというのはどんな小さな動きでも必ず脳が指令を出している。だから脳をHAPPYにしてあげると体もHAPPYになるそうです。 それができるのは歩くこと。体ひとつでできることなんです。

Q 最後にセレクションに来られるみなさんへ一言お願いします
A 今回の作品で息遣い、声を出すという事に挑戦しようと思っています。作品を見て感じられた事をそのまま返してもらえたら。もし動きたいと感じたら、そう一緒に踊りましょう!
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まどかという名前の由来、余すところも欠ける事も無い円。始まりも終わりも無い、ずっと続いているとういう意味があるそうです。とお話してくださったまどかさん。時代を超えてめぐり合う不思議。円と縁。お地蔵さんしかり、健康法しかり興味深いお話をしてくださった、まんまる太陽のようなまどかさん。そのお話はまたの機会に。

(インタビュー・文:上田美紀)
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■ポポル・ヴフ

Q はじめて「マチルダ」を見たとき、ある女の物語だと思いました。
A ある女の人の物語ですね。大前提にあるのは、生理的な性を否定しないということ。出演者は女だし、女を否定する見せ方はしたくなかった。「女だということ」…女であることをウリにするのではなく、また女であることを否定せずに居たいと思っています。
女だからどう‥という言われ方をされたくない世代(社会的性差と戦った世代)はあると思いますが、私はそうは思っていないです。上の世代の人が頑張ってくれたらから、そう思わずにいれるのかもしれません。

Q 私もまさに最近よくそういうことを考えています! では、作品タイトルの「マチルダ」はどこから来たのでしょうか?
A 作品タイトルには人の名前をつけたいと考えていました。日本っぽい和名だと現実的すぎるので、アルファベットで書くような名前にしたいと思い、移民系の名前を探しました。そんな中、語感だけで「マチルダ」という言葉が浮かんできて、調べてみたらまさしく意図にはまる名前でした。「マチルダ(Matilda)」は、西洋の女性の名前で、元はヨーロッパ戦争の時に土地を追われ行き場をなくした戦士の側にいる女性の名前でした。今作品のコンセプトは「覚悟を決めた人」です。自分たちが作りたい世界とマッチしていたので、これに決めました。

Q 作品の始まりはどのように進めていったのでしょうか。
A 作品のキーワードをメンバーと示し合いながら、コンセプトを詰めていきました。

Q 先ほど言われました「覚悟を決めた人」の、覚悟はどういったことなのでしょうか。
A 生きる覚悟をすること。その時に生き方を受け継ぐのだと考えています。両親が伝えたい事をきちんと受け取り、次の世代へ伝授していくのだと。なので、今回の作品は二面性があります。「受け取る」ということと「渡す」ということです。自分が行うことは次の世代の人のため。人は、個人は、ぜったい居なくなるんだということです。「死」が存在するということを知っておかないと「受け取る」ことも「渡す」ことも出来ないことですよね。たった30余年しか生きていない者のまだ未熟な考え方かもしれませんが、私たちなりの死生観の提示をしていきたい。
宗教的な話になってきますが、「生」と「死」はひと続きだと思っています。その辺りの感覚や考えをメンバーと交換し、作品のメモをつくっていきました。この事には正解や不正解、正しいや間違いはありませんし、お互いに示し合っていきました。私自身、特定の宗教を信仰していないからできた事なのかもしれません。

Q 以前の作品もそのいった事をはらみつつ作って来られたんですか?
A 原がかかわり始めたのは2000年頃ですが、その時の作品は、過去に執着していました。自分の記憶の中に生きとし生けるものの記憶があるんじゃないかと、過去にこだわってきました。今思えば、覚悟をするということを探っていたのかもしれません。

Q では、メンバーで詰めていったコンセプトをどのような過程で進めていくのですか?
A  メモをピックアップしながら、一つ二つ動きの要素が出てきた時に今回はソロでいこうと決めました。作品に二面性がある分、出演者が複数になると拡散する気がしました。動きはメンバーで示し合いながら作っていきましたが、原の動きが多く占めていますね。

Q 踊り手の精神状況が平静でないとこの作品は成立しないと感じました。
A 私も実感しています。動きが表面的になってしまうと、作品に仕掛けがない分、もたないんですね。 

Q 動きや舞台に立つ彼女をじっくり味わいながら見る感じですね。今回も音は舩橋陽さんのオリジナルのものですか?
A はい。劇場上演20分版の今回はミュージシャンとの意志の疎通が難しかったですね。哀歌にするのか、鎮魂歌なのか、やさしさを出すのか、、。音は、この作品を上演する状況によって変えていきたくなるところですね。初演の昨年12月から、時が経つことで、メンバーそれぞれの心持が変わってきますし、どこに的を絞っていくかに時間をかけていきました。作品にとって照明の効果も大きいけど、耳からの情報は、感情に訴える力がありますから。
 今回の「マチルダ」は現段階のものであって、時がたてば変容していきます。それぞれ考え方も変わっていくと思うんですね。どう変わっていくのか見てみたいですね。
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私が最近よく考えている事と、ふんわり重なった気がした時間だった。私なりの感覚は、着実に淡々と生活に根差していく行為。静かに立ち上がる声を聴くように、じっくり味わいに来てください。そうそう、徳毛さんには今号のDANCE BOX総合チラシ「dB Freak」にあるコラム<ダンスの窓>にも、ダンスについてのコラムを書いて頂いています。このチラシを入手された方は、ぜひ両方読んでみて下さい。

(インタビュー・文:横堀ふみ)
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■山上恵理

 自宅で、前回のDance Cirucus(2006、2月)のビデオをみてからインタビューに臨む。山上さんの天真爛漫な感じの雰囲気とはある意味ギャップのある、静かな、それでいて暴力的でもあるような、心臓がきゅっとなる作品。この時の作品をもとにつくったという、コンテンポラリーダンスin新世界(2006、3月)とも、照らし合わせてみたけれど、Circusはソロ、ということもあり、より内面が強調された感じで、かなり印象が違った。話を聞くのを楽しみに、dBに出かけた。
 その日は、dBで山上さんが練習やらうちあわせやらをする日。その合間をぬって、インタビューさせてもらった。まだ作品が完成していなくて、色々考えている途中、とのことで、作品をつくっている最中の山上さんにインタビューさせていただいた。

Q  前回のDance Circus、そしてコンテンポラリーダンスin新世界、ときて、そこからまた作品をつくりなおしていく、と言う風に聞いたのですが、前作、前々作との関係はどんなかんじですか?
A Circusと元は一緒で、外でやって(注:コンテンポラリーダンスin新世界のこと)新たな発見もあったので、Circus+外でやった分をヒントに、色んな可能性を試してみたいと思っています。

Q 新たな発見とは、どういう発見でしたか?
A まず、テーマと言うか、私の作品をつくる上での、根本的なテーマがあって。“解放”っていうことなんですけど。いかにウソをつかないか、変な雑念をなくしたい というような...。例えば、つくるときに、キレイにみせたい とか、テクニックでみせた方がいいのか、とか。そういう風に、頭で考えるのを抜け出したい。そういうのがあって、この間の野外でっていうのが実験的にあって。屋根の無い、限りなく広いところで、周り全体にお客さんがいて...。後ろにもいたし。そういう状況の中で、スコーン!とぬけて できたので、それをいかにまた屋内で再現できるか、というのがあります。ここ(dB。Dance Cirucusのこと)でしたのを外でするのは全然違って。

Q 観客さんも面白かったですしね
A そう。変な意味でもイイ意味でも悪ノリできた。Circusから野外まで、時間がちょっとだったんですけど、野外では二人で踊る、と言うこともあって、関係性みたいなものが、どうしてもできるし。Circusとは少し違う感じになりました。
 ...実は、Circusの打ち上げで、“いつになったらhappyな作品をつくるの?”っていうようなことをきかれて。それで考えたところがあって。同じ作品でも、自分の気持ち次第で、作品の色をかえられるのでは?と思って。失敗したら、もしかしてその作品をこわしてしまうのかもしれないけど。」

Q 先ほどテーマが“解放”っていうことをおっしゃってたんですけど、“解放”されるためには、なにか、“しめつけるもの”も必要になってくるのかもしれませんね。そのコントラストがあったほうがみやすいというか。
A そうですね。もしかしたら、前回(Circus)は、“しめつけ”の方にいっちゃったのかな、とも思う。...私は、人って生きてる限り、人に嫌われるのを恐れない人はいないんじゃないか、と思う。あくまでも私がおもってるだけなんですけど。それこそ人に嫌われちゃったら、孤独がまってる とか、色々あるし。だから上手く世間を渡ろうとしてしまう。それをとっぱらうのが一生のテーマ。生きていく中では、わがままばかり言わないとか、気遣いが必要だったりすることはあるけど、ダンスの中ではそういうのは、なくてもいいんじゃないか とおもって。ダンスの中でセーブしてしまうのは、もったいないな と思いつつも、第三者の私がどこかからみている。そういう状況が。
 Circusの振り付けで、最後に腕をふりまわして動き回ってるところがあるんだけれど、そこに関しても、“もっともっと出来ると思う。まだセーブしてるで。”と言われた。踊ってる本人としては、正直、“(体力的に)もぅしんどい;”と思ってて、それがセーブになっちゃってるとこもあったりもしたんだけれど、とにかく。ここ(dB)でやったときより、外でやったほうがやりきった感があった。」

Q 外のほうがやりきれたんですね。なんだか、さっきおっしゃってた、“第三者の私”から、いかに解放されることができるか、テーマの中にあったりするんですかね。
A それをできるには、さっきの話にも関係してくるけど、対極(解放の)も大事に、っていうことがありますね。それをなくして解放、とかいっても意味通じないし。

Q このへんで、タイトルについて...
A タイトルの“ココロカラ”は、ほんとに“心から”ってことで、照れとか、誰かに見られたら、とか関係なく、それを超えた、うひゃひゃって笑ってしまうようなエネルギー。いつでも気分はディズニーランド、だったら楽しいやろうな、って(笑)  いいたいことはそういうことなんやけど、今は色々なアプローチをつめこんでしまっていて。ストレートに言えば伝わるのに。
 伝え方にも色々あって、例えば、子供に対して、親に対して、友達に対して、それぞれ言い方は違う。そういう色んな言い方になっても、しっかりした芯のテーマがちゃんと根付いてたら、自分の言い方ができると思う。芯がないと、じぶんではこういっときながら“ほんとに100%そう思ってるんかな?”って思ってしまうし。そういうのが、雑念、と思ってる。自分のテーマを“コレだ!!!”と持っとけば、多少それても戻ってこれると思うんやけど...。例えば途中でフリ忘れてインプロしても、芯をわかってたらOKというか。何やってんやろ?っていうことにはなれへんと思うから。
 実は、Circusの時は、本番三日前に構成をかえて。それで、自分で納得して、遊び感覚でできてよかったと思ってる。自分のやりたい、曖昧なメッセージが ゲネ三回目でやっと、これかな?って発見できて。自分が何を見てもらいたいか、っていうのがあれば、作品はどうであれ、なんかしらつくれると思う。
 いいにしろ、わるいにしろ、なんかしらの印象が残ったらいいな、と思ってる。できれば、“明日もがんばるぞ” みたいな、前向きな気持ちをもってかえってもらえたらいいけど。なにやってたっけ?っていう、無難なのは嫌だ。みたいな。
 これだけ何もかもやりきったら、気持ちいいやろな!!って気分になってもらえたら、嬉しい。
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こうしてインタビューしていると、「解放」という言葉が 何度も出てきた。
生きている限り、なんかしら 他者 と関わり続けることになる。そんな他者 を意識しすぎてもしんどいし、かといって意識せずに生きていくことはできない。
他者についつい気にしてしまいすぎる。それは私にも覚えのあることだし、すごく身近なテーマだと思う。
★関係性を無くしてしまうのがコワイ。ひきとめたい。
★他者とは一切関わらないでいたい。
これらのきもちは両極端なようだけれど、同じような位相にあるのでは?
関係性はあるけれど、それに振り回されることなく、つきぬけた境地で踊る、そんな山上さんを見てみたい、と強く思った。

(インタビュー・文:小坂井雅世)