ココロ散歩道

心理士の何気ない日記です 
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食えない資格、臨床心理士

2014-01-14 12:17:54 | インポート

なるには年数がかかり(院卒資格)、その分の投資(学費と時間)もバカにならないのに、

なってからも5年更新(これ自体は素晴らしいことだと思うけど)で、心理士の給料は平均して生活ギリギリかできない程度くらいしかもらえず、

国家資格でないため周囲に認められもせず、心理療法(専門的な人へのかかわり)もニーズはあるが保険がきかないため普通の庶民には高額で利用してもらえず、

自分を食べさせるだけでもカツカツなのに、研修やSVは高額、学会にいくのも貯金をくずし、仕事もなんの保障もないアルバイトと同等の扱いなことが多く、この仕事は先がないな、と、前々から感じていた。 

地方か国家公務員での常勤心理職・研究職が一番カタイところだが、

これは大変に狭き門で、よっぽどラッキーでないともぐりこめない。

 

福祉分野(多くの医療分野もね)だとこれまた超安の月給で超激務。

 

これだけのニーズにこたえるだけの組織や意識がまったく育ってない、

世界に遅れまくりの日本で、

この職業を選択したことの大きな間違いにもっと早く気付くべきだったのに、と思う。

 

娘が職業選択をするにあたり、もしも臨床心理士になりたいと言ったなら、 

全力で反対するだろう。

そもそも食えない仕事は仕事としての価値がない。 

有史以来、人間は食べるために仕事をしてきた。

そんなあたりまえのことに気付くのが遅すぎた。

 

安い給料、ハイストレス、不安定。結果、バーンアウトで転職。

それまでに勉強してきたことは人生に多少なりとも使えるので

まったく無駄にはならないけれど、せっかくの専門能力はお蔵入り。 

というケースもたくさん。

なんでこんなに遅々として地位向上が進まないのか、 

必要としている人はゴロゴロいるのにね。

スクールカウンセラーは時給はいいほうだと思うけれど 

これも週あたりの働ける限界があって、月給的には下の下、

副業なしでは生活もしていけない。

業務量はとてつもなく多く、時給であるのはとてもナンセンスな気がする。

子供たちに、保護者に、教職員に、知ってもらい溶け込んで、 

話を聞ける程度まで親しくならなきゃいけないのに、

時給で月に一度訪問とか、あんまり意味のないものに見える。

学校に常勤で務めさせたら、もっと効果がでるのに。

どうしてそういう発想がないのだろうか。そもそも時給でという発想は、

個人的な心理療法(ワンセッションいくら)というところから発したものであろうが、

学校にそれはとてもとてもそぐわない。学校は子供たちの日常なんだもの。

心理教育や、不登校対策、学校内のメンタルヘルス専門に動くとなると

毎日動かないと追いつかないくらいの仕事があるのに。 

常勤じゃなきゃ本当の意味で学校の役に立てないんじゃないかと思う。

心理士も普通の人間で、家族も持ちたいだろうし、 

そうなると、正規にやとって毎日同じ学校に出勤するほうがずっとずっと、

人気の仕事になる(結果的には心理士の質も上がる)のになぁ。

それに、心理士は経済的に不安定だしたいていは貧乏なので、 

家族を考えるときに、結婚を迷ってしまうのが正直なところだし、

結婚できない人はとても多いと思う。

特に、出産する女性を支える男性側にすれば、

この仕事では家族を養えないと思うんじゃないだろうか。 

若い心理士が未婚者ばかりというのも、残念だし、

やっぱり人間家族を持つことで培われるバランス感覚もあると思うので、家族をもっている方の相談(のほうが多い、特にスクールカウンセラーは家族抜きじゃ考えられない)に、

より親身になれるのになと、思ったりもする。

 

スクールカウンセラー、常勤にしてくださいよ。

アルバイトを雇うにしても、常勤カウンセラーの補助として雇ってくれればうれしい。

 

スクールカウンセラーも、同業チームで仕事ができれば、

これまた素晴らしい能力を発揮できると思うんだよね。

 

学校にたったひとりの異邦人として入ると、ひとりで背負うものが大きすぎて 

とても苦労するし、

背負うものが大きいからこそ二の足を踏むようなことが出てきて、

思い切った仕事がなかなかできない。

 待遇が悪いから余計、

「やったらいいだろうと思うけど、そんなことしてわざわざ自分からリスクを背負うのはちょっと…」 

って思うんじゃないかな。

それに、たったひとりで入るから、その学校を見る目が偏りすぎるんじゃないかなと思うわけ。

プロのカウンセラーはいつも自分の目に疑いを持って見てると思うけれど、

やっぱり、それを話し合う人もいないとなると、本当に思い切ったことがやりづらい。 

まぁ、まとめていえば、努力の割に、待遇が悪すぎるということ。

この国の制度が整っていないしね。

医療界も…やっぱり閉鎖的だと思うよ。 

患者さんのためにできる最善を、とどうして思わないのだろうかと、

思うことが何度もありました。

たいていの心理士はあちこち渡り歩く(学校、病院、民間企業etc)から、意外と組織の違いとかがわかって、

どれだけその中の人がその中のことしかわからないのかということは、

結構わかってしまう。発想がやっぱり狭くなってしまうことも。

仕方ないことなんだけれども。

 

投資ばかりが多くて食えもしない民間資格、臨床心理士。

早く身分を保証して制度を整えないと、

この国では先細りになってしまうだろうと、思う。

ニーズがとてもあるのに、というところが、一番もどかしいね。

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