鞦韆院落

北京で過ごすインディペンデント映画な日常

河北の秋3

2010-10-20 10:55:10 | 旅行記
朝起きると、農家院の前の川には氷が張っていた。
秋を求めて来たはずの旅なのに、このままで北京に戻るわけには行かない。
豊寧にもどり、そこからバスで皇帝の狩場にだったという囲場へ行き、ぐるりと承徳まで一周してみたが、やはりどこも紅葉は終わっていた。
こうなったら南下しつつ標高を下げていくしかない。
というわけで、承徳と北京の狭間にある燕山山脈のふもと、興隆県に行くことにした。
このあたりの標高は700mほどらしい。
さすがにここまで行けば、まだ紅葉もしていないだろう。
地図には霧霊山という自然保護区があり、そこに登ればいい景色が観られそうな気がする。

ネットでバスの時刻を調べると、東客運站から6:10発とあり、それを逃すと11:00までない。
翌朝5時におき、タクシーで遠くの東客運站まで行った。
ところが、6時前に東客運站に着いてみると、興隆行きのバスは9時半だと言う。
しばらく呆然と座っていたのだが、ただ待っていても仕方がないので、駅まで行ってみることにした。
案の定、駅には興隆行きの客を募る乗り合い白タクがいて、1人50元で行くと言う。
怪しげな男の車に乗せられしばらく行くと、別なところで女運転手が待っていた。
女運転手の乗用車にはすでに客が3人乗っていて、すぐに出発した。

女運転手の猛スピードのおかげで、2時間ほどで興隆に到着する。
車を降りると、まずはホテル探しだ。
ところが、どのホテルを訪ねても、外国人を泊めることはできないと言う。
じゃあ、どこに行けば泊まれるかと聞くと、次の信号に仟禧龍大酒店というホテルがあるからそこへ行けとのこと。
それならばと歩いて向かったが、行けども行けども信号が出てこない。
なるほど、田舎町に信号は少ないのであった。



仟禧龍大酒店は果たして1キロ先にある次の信号にあった。
フロントに安い部屋はあるかと尋ねると、100元の部屋があるという。
ただし、バスルームは付いていないらしい。
代わりに併設の洗浴中心の無料券をくれるというので、そこに泊まることにした。
ホテルの1階には旅行会社が入っていたので、霧霊山のことを聞いてみたら、なんと明日から冬季閉山になるという。
でもちょうど紅葉が見ごろだから、行ってくると良いと言われ、タクシーを紹介された。
料金は入山料90元と、駐車料60元、運転手の入山料とチャーター代で、合計440元。
安くはないが旅行会社はマージンを取らないというし、半日のチャーターで実質200元なら妥当なので、行くことにした。

運転手はチュッパチャップスが好きな小さい中年男性。
ポケットやダッシュボードから、いくらでもチュッパチャップスが出てくる。
以前はタバコをすっていたが、体のためにこれに替えたんだそうだ。
お前も舐めろと何本もくれた。







霧霊山は燕山山脈の主峰にあたり、標高は約2100m。
清朝のころ、風水上ここは封鎖地区で、人の立ち入りは許されていなかったという。
今は北京の水源として重要な位置にあたり、河北省にあるが北京市が山の管理しているという。
道路は頂上まで通っていて、歩かずとも風景が楽しめるようになっていて、最近はほとんどの人が自家用車で遊びに来るようだ。
駐車場には豪華な外車がたくさん停まっている。
そのほとんどが天津ナンバーである。
滝などのポイントは歩いて入らないとならないが、あちこち点在しているので車がなければ周ることは困難だ。
これなら車をチャーターして正解だった。
運転手もなかなか感じのいい男だし。







山は明日から閉山になるのが惜しいほど、紅葉(黄葉)の見ごろを迎えていた。
頂上からの眺めも格別だ。
北京からほど近いこんな場所に、これほど風光明媚な山があったとは驚きである。
今回の旅は残念なことも多かったが、これで大満足となった。











さて、最終日に北京へ戻るときのこと。
河北省から北京市へ入る境界で検問があった。
北京で共産党の総会が開かれていたため、取締りが厳しくなっていたのだ。
バスに乗っている人全員が身分証を出させられ、身分証のない私は窓口まで行ってパスポートを渡した。
すると、警官の顔つきが変わり、詰問が始まった。
どこから入国したのか、目的は何か、前日はどこに泊まったのか、などである。
まったく違法性はないので、普通に受け答えをしているのだが、警官はなんとか理由をつけて私を通したくないらしい。
やがて上司を呼んできて「この日本人、独りで旅行をしてるって言ってるんですけど」と相談している。
「ビザでも切れてるのか」と上司。
「いえ、そうじゃないんですけど」と部下。
今度は私に向かって「旅行するなら何で旅游局を通さないんだ」という。
「登記でもしないとだめなんですか?」
「……」
次にパスポートをめくって「何でこんなに中国に来てるんだ」と聞く。
そんなやり取りが30分も続いた後、さすがにあきらめたとみえて「もう行け」と言われた。
バスの乗客たちは、何があったんだろうという目で私を見ていた。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わあー (kubota)
2010-10-20 16:30:57
お久しぶりです、紅葉ほんとにきれいですね!先日にいやせんせいから北京の話を聞いてわくわくしたところです、また中国行きたいです。
Unknown (だーしゅー)
2010-10-20 16:50:58
この前も、来たらきっと楽しかったと思いますよ。
みんな待ってるので、また来てください。
次回の映画祭は5月1日からです。
いやあ、まさに (にいや)
2010-10-21 11:24:14
帰路の検問、そちらで見た『刺痛我』の世界ですね。
北京の話をしたら、学生たちが興味を持ってます。
もしかしたら来年はツアーを組んで……行ければ良いなあと思っております。
Unknown (だーしゅー)
2010-10-22 02:08:14
私は今、南京の映画祭に参加しており、『刺痛我』の監督とも一緒です。

ツアー、いいですね。
そうなったら、日本語ボランティアをたくさん用意します。
頑張ってるね (ぼーしんです)
2010-10-31 22:17:47
仕事、忙しく頑張ってるようですね。
承徳は、地球の歩き方の最新号で巻頭に載ってて、
夏の旅行で行くかどうか、悩んだんだよね。
行った事無いとこ行きたかったし。

写真だけ見ると、やっぱきれいなとこではあるよ。
草原の方もきれいだねー。
何もなくて、びっくりだけど。
街歩きも楽しいけど、田舎もやっぱり良いな。

日本も寒くなってきました。
北京の厳冬も、もうすぐだね。
体調崩さないで頑張ってね。
Unknown (だーしゅー)
2010-11-01 00:18:01
巻頭に承徳だなんて、他にもっといい所がありそうなものを……。
最近は街中よりももっぱら山とか田舎に行きたいですね。中国の都市部はどこも変わりばえなくて。
北京は既にだいぶ寒いです。
ストーブを焚いてるレストランもあるくらい。
まだ11月にもならないというのに、先が心配です。

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