私の愛読書シリーズ「税理士のための百箇条」の第5弾が出ました。
著者の関根稔氏は税理士・公認会計士・弁護士というゴージャスな資格ホルダーであるが、その舌鋒の鋭さに私はずっと魅了されている。
財務経理部門に属する諸氏におかれては、騙されたと思ってぜひ「百箇条シリーズ」全巻制覇して欲しい!
タイトルは「楽しい、楽しい、税理士業」とあるが、内容は裏腹でかなりシビアな評論となっている。本作は令和3年からの新聞連載と書下ろしで構成。私は最終ページ「五公五民の嘆き」に大いに共感した。
以下に自分の備忘のためにポイントを書き記すが、ぜぴ本文をご覧いただきたい。
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①令和5年6月15日、毎日新聞に「一揆起こるレベル!?「五公五民」の嘆き」という解説記事が出た。国民の所得のうち税や社会保障の負担がどれだけかを示す国民負担率が2022年度47・5%の見込みとなっており、50%に近づいているというもの。江戸時代の厳しい年貢の取り立てになぞらえて「五公五民※」という嘆き節も。
※五公五民とは、収穫したコメの5割を年貢として納め、残りの5割が農民の手元に残るという江戸時代の年貢率。
②国民負担率は1970年度が24.3%、1979年度が30.1%。以後、社会保障料の負担増により悪化の一途。かといって、社会保険料や税金が有効に活用されているかというと、マイナンバーカードのように2兆円以上も投入してトラブル続き。間違いを認めて撤退するという柔軟性を持たず、大平洋戦争の時代と変わらない。
③少子化の主な原因は生涯未婚率の上昇なのに、財源確保のためにさらに保険料率上乗せしてしまうと、若者の生活はさらに苦しくなり、少子化にk拍車にかけてしまう。産まれた子に補助金を支払うよりも必要なのは非婚化対策。どうも岸田総理は音痴としか思えない。
(私の追記:さらに小手先の所得減税で国民の歓心を得ようとしているのだから呆れるわ)
④若者は1億円に値上りしたマンションを取得するために働く。ほとんどが不可能な買い物であり、ほんのちょっとの金利上昇で返済不能の破綻が生じてしまう。なぜそんな社会になってしまったのか?
政治家が国民を黙らせるために行うバラ撒き行政、そのツケを社会保険料という見えない増税で賄っているのだが、結局、そのツケが国民に回るのは理の当然。
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(コメント)
可処分所得の割合が低下している中での物価高ですから、そりゃ国民は怒るし、政権支持率も下がるわな。
しかも、11月1日の東京新聞では「日本人が貧しくなった?「エンゲル係数」39年ぶり高水準 それでも日銀総裁は「消費はそんなに悪くない」」という記事も。消費支出に占める食料の割合を示すエンゲル係数は今年1-8月で27.3%と39年ぶりの水準。
日銀がマイナス金利政策を続け、日米金利差が拡大しているため円安になり、輸入物価が上昇。日本人が貧しくなってきているという識者の指摘は妥当でしょ。
間違いなく、当面の注目すべきは「国民負担率」。この視点で国民経済をとらえないと、ホントにとんでもないことになる!
11月に入り朝晩は冷え込んできた。日本経済も構造的に冬の時代突入か。
今回紹介した本はコレ!
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楽しい、楽しい、税理士業