6日の朝日新聞で初めて知りました。まずは記事をご紹介。その後にコメント。
結構重大な問題をはらんでいますよ。これは。
-------------------------------------------------------------------------
◆法人所得の公示廃止に思う 「長者番付」に便乗?国会素通り
高額納税者を公示する「長者番付」が個人情報保護の流れを受けて
今春から廃止されるのに伴い、法人所得を公示する制度もなくなることが先月末、
国会で決まった。ダイレクトメールや寄付の勧誘に利用されるなど弊害が大きい
との理由からだ。日本の法人の99%を占める非上場企業にとって、
申告所得の公示は優良企業に対する国の「お墨付き」であり、
取引の際の判断材料にもなってきた。
これが国会で議論もなく廃止されたことに「企業の情報公開の流れに逆行する」
などの批判が出ている。
法人所得の公示は、第三者による脱税の監視などが目的だった。
「あの会社はもっと利益がある」。取引先からの通報が脱税などの発覚につながる
と期待された。
今年3月までは、申告所得が4000万円を超えると、法人名や納税地、
代表者氏名、所得額が税務署前に張り出された。
管内の法人数が約3万6000と最も多い渋谷税務署は、この1年で2000を
超える法人を公示。全国では年間7万~8万社が公示されてきたとみられる。
法人の公示廃止について財務省は「本来の趣旨から逸脱した利用が増えた。
中小企業が利益を出しているのがわかって元請けから値引き圧力を受けるなど、
弊害の方が大きくなった」と話す。
しかし、一部の優良企業だけとはいえ、公示情報が企業間の取引などで
役立ってきたのも事実だ。
日本には会社が200万~300万社あるが、有価証券報告書が発行される
上場企業約4000社を除けば、大半は決算書などを公開しなくても
罰せられない。その中で、法人所得は、取引相手の実態を知るうえで一番信用
できる指標だった。
企業の信用調査をしているベテラン調査員によると、中小企業が決算の数字を
「つくる」のは珍しくない。所得を少なく見せたい税務署用と、売り上げを多く
見せたい銀行用の複数の決算書がある例を多数見てきた。
例えばこうした「粉飾」を見破るにも、申告所得の数字は有効だという。
調査員は「公示が廃止されて何年かたつと、企業の実態はますますわからなく
なり、健全な企業間取引を阻害する。詐欺的犯罪を助長することになりかねない」
と指摘した。
法人の公示廃止は個人情報保護の流れに便乗したとの指摘がある。
国税庁関係者は「公示の廃止論議は個人情報保護に端を発したもので、
法人もなくなると知って驚いた」と話している。
公示制度の廃止を含む税制改正法案は、法人の公示廃止に関する質疑がないまま先月27日、国会で成立した。
--------------------------------------------------------------------------
(コメント)
・財務省のいう脱税監視という本来の趣旨からは確かにズレているかもしれませんが、
一定の優良企業をフィルターにかけ、企業間取引を促進させた点で十分意義は
あったと思います。
これでは会計の世界で問題となっている特別目的会社や投資事業組合などのように、
中小企業の世界でも“ブラックボックス化”が進んでしまいます。
こんなことしていいわけが無い。
・というのも、5月1日施行の会社法では最低資本金規制がなくなるため、
間違いなく“良くない筋”の会社が乱立するでしょう。
そこに、公示制度が廃止されるとなれば、企業間で取引しようにもお互い
疑心暗鬼となって先に進めないっていう笑えない事態があちこちで起きそう
です。
記事でも指摘している、詐欺的犯罪を助長するという見方も同感です。
・それにしても、国税庁も「知って驚いた」とは・・・・怠慢のそしりは免れないでしょう。
結構重大な問題をはらんでいますよ。これは。
-------------------------------------------------------------------------
◆法人所得の公示廃止に思う 「長者番付」に便乗?国会素通り
高額納税者を公示する「長者番付」が個人情報保護の流れを受けて
今春から廃止されるのに伴い、法人所得を公示する制度もなくなることが先月末、
国会で決まった。ダイレクトメールや寄付の勧誘に利用されるなど弊害が大きい
との理由からだ。日本の法人の99%を占める非上場企業にとって、
申告所得の公示は優良企業に対する国の「お墨付き」であり、
取引の際の判断材料にもなってきた。
これが国会で議論もなく廃止されたことに「企業の情報公開の流れに逆行する」
などの批判が出ている。
法人所得の公示は、第三者による脱税の監視などが目的だった。
「あの会社はもっと利益がある」。取引先からの通報が脱税などの発覚につながる
と期待された。
今年3月までは、申告所得が4000万円を超えると、法人名や納税地、
代表者氏名、所得額が税務署前に張り出された。
管内の法人数が約3万6000と最も多い渋谷税務署は、この1年で2000を
超える法人を公示。全国では年間7万~8万社が公示されてきたとみられる。
法人の公示廃止について財務省は「本来の趣旨から逸脱した利用が増えた。
中小企業が利益を出しているのがわかって元請けから値引き圧力を受けるなど、
弊害の方が大きくなった」と話す。
しかし、一部の優良企業だけとはいえ、公示情報が企業間の取引などで
役立ってきたのも事実だ。
日本には会社が200万~300万社あるが、有価証券報告書が発行される
上場企業約4000社を除けば、大半は決算書などを公開しなくても
罰せられない。その中で、法人所得は、取引相手の実態を知るうえで一番信用
できる指標だった。
企業の信用調査をしているベテラン調査員によると、中小企業が決算の数字を
「つくる」のは珍しくない。所得を少なく見せたい税務署用と、売り上げを多く
見せたい銀行用の複数の決算書がある例を多数見てきた。
例えばこうした「粉飾」を見破るにも、申告所得の数字は有効だという。
調査員は「公示が廃止されて何年かたつと、企業の実態はますますわからなく
なり、健全な企業間取引を阻害する。詐欺的犯罪を助長することになりかねない」
と指摘した。
法人の公示廃止は個人情報保護の流れに便乗したとの指摘がある。
国税庁関係者は「公示の廃止論議は個人情報保護に端を発したもので、
法人もなくなると知って驚いた」と話している。
公示制度の廃止を含む税制改正法案は、法人の公示廃止に関する質疑がないまま先月27日、国会で成立した。
--------------------------------------------------------------------------
(コメント)
・財務省のいう脱税監視という本来の趣旨からは確かにズレているかもしれませんが、
一定の優良企業をフィルターにかけ、企業間取引を促進させた点で十分意義は
あったと思います。
これでは会計の世界で問題となっている特別目的会社や投資事業組合などのように、
中小企業の世界でも“ブラックボックス化”が進んでしまいます。
こんなことしていいわけが無い。
・というのも、5月1日施行の会社法では最低資本金規制がなくなるため、
間違いなく“良くない筋”の会社が乱立するでしょう。
そこに、公示制度が廃止されるとなれば、企業間で取引しようにもお互い
疑心暗鬼となって先に進めないっていう笑えない事態があちこちで起きそう
です。
記事でも指摘している、詐欺的犯罪を助長するという見方も同感です。
・それにしても、国税庁も「知って驚いた」とは・・・・怠慢のそしりは免れないでしょう。
はせ吉さん
コメント有難うございます。
確かに、帝国データバンクなどの
信用調査機関、潤いそうです。
けど、社会全体の取引コストが増える分、
国民経済的に良くないとおもいますけどね・・・・。
引き続きよろしくお願いします。
ある一定の基準があれば良いと思います。
帝国データバンクみたいな会社の仕事は増えるかもしれませんね。