◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

ある事業会社の「のれん償却方法」に思う

2006-04-05 | 事業再生・M&A
いつもご覧下さり誠に有難うございます。
いよいよ決算シーズン、
私は2月決算企業を皮切りに「決算説明会という名の仮眠室」通いが
始まりました。


本日は、某英会話学校に似た社名の会社の決算説明会へ。


この会社は先日も関連会社へのTOBを発表するなど、
グループ企業の再編に熱心です。
しかし、プレミアムを支払って株式を取得するため、多額ののれんが発生します。
気がかりです。


質疑応答の中で、のれんの処理に関するものがありました。
会社側の説明は次のような趣旨でした。


「当社では過去の買収で多額の“負ののれん”を固定負債として計上しているが、
毎期発生するこの償却益は「営業外収益」として計上している。
今後発生するのれんについては、これと整合させるため、営業外費用として計上
していく」。


その次の瞬間、私の重かった目蓋が開き、朦朧とする意識の中でミミズが這う
ような字で必死にノートにメモしました。
本能的に“ネタ”を嗅ぎ取ったからなのでしょうか。


要するに、
「負ののれんの償却益は営業外で計上しているんだから、
 通常ののれんの償却も営業外で処理するんだ。」


会社側の思いはおそらく、
「連結営業利益をよく見せたい。
 今後発生する多額ののれん償却により連結営業利益の伸びを鈍化させたくない。」


監査法人は本当にこんな処理、認めるんでしょうか?
また投資家さんの関心を「連結営業利益」に誘導しているIRの手法。
これにも疑問を感じますね。


へそまがりな私は、金利も上昇しつつあり、今後は財務収支も含めた総合的な
収益力,要は連結経常利益より下をみていくべきと思った次第です。

もう、連結営業利益の数字当てゲームの時代は終わりにしましょうよ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シーエスアイの公認会計士等... | トップ | 法人所得の公示廃止に思う »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
経営者のカリスマ度だってのれん代か? (ハリマオ)
2006-04-08 14:16:38
M&Aで成長したIT企業のカリスマ的なイメージを売り物に

している社長と、その会計士との会話を聞いてきました。



会計士「この、のれん代の評価金額ですが・・・」



社長「画期的・革命的なビジネス・モデルを評価した金額です」



会計士「いったいどこが画期的で革命的なのか、わからないのですが」



社長「誰でもすぐに理解できないからこそ、画期的で革命的なんです」



会計士「とらぬタヌキじゃないけれど、まだ誰もやっていない事業でしょう」



社長「そこです。まだ誰もやっていないから価値があるんです」



会計士「しかし具体的な根拠がないと困ります」



社長「夢やロマンがありませんねぇ。それじゃぁお金持ち

になれないですよ。」



公開企業としての社会責任をただしても、なんら反応なし。

こういうのを、「のれんに腕押し」というんでしょうか。

返信する
お久しぶりです!! (dancing-ufo)
2006-04-10 00:34:29


なぞの怪傑、ハリマオさま。

お久しぶりです。

新年度もよろしくお願いします。



長編での会話形式によるネタ、

ハリマオさんの進化をしかと見届けました。

有難うございます。



ところで、話は逸れますが

のれんって英語でgoodwillというそうですね。

となると、あのグッドウィルグループって

直訳すると「のれん集団」。

実体のない謎の会社ってことなのでしょうか?



決算が出たら一度、調べてみたい1社ですね。





返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

事業再生・M&A」カテゴリの最新記事