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世界一臆病な会社

2009-01-21 | 会計・株式・財務

お疲れ様です。

本日はこの記事が気になりました。
毎日新聞から。
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<残業代未払い>ゼンショーを起訴猶予処分に 仙台地検
1月19日


 外食産業大手ゼンショー(本社・東京都)の牛丼チェーン「すき家」の残業代
未払い問題で、仙台地検は19日、労働基準法違反(賃金の不払い)容疑で
書類送検された会社と賃金担当の人事部長を起訴猶予処分とし、
小川賢太郎社長を嫌疑不十分で不起訴処分にしたと発表した。処分は16日付。


 地検は、仙台市泉区の店舗のアルバイト2人について、
05年12月~06年9月の勤務分計2万2053円の割増賃金の不払いを認定。
人事部長について「不払いが生じないようにするための就業規則改正などを
怠ったが、故意で支払わなかったのではない」とした。
小川社長については「直接的な関与は認められない」と指摘した。
                          (引用終了)
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外食大手のゼンショー。
ホームページを開けますと

「食べる物に世界一臆病な企業でありたい」



というメッセージが飛び込んできます。
でも、臆病(というか神経質)であるべきは食べる物だけでなく、
「コンプライアンス」や「ヒトの管理」
も含まれると思いますけどね。


それにしても、金額が小さ過ぎ。

2万2千円ぐらい、社長がポケットマネーで払えば済む金額。
何とかならなかったものですかねぇ?
(もちろんそんなことをすると、
 追随する者が出てくるので払いたくなのでしょうが・・・・)





これじゃぁ、
世界一セコイ会社って言われるかも。





ついでですから、ゼンショーの決算書について見てみます。
M&A欲は旺盛ですよ
大胆に他社を飲み込んでおります


いろんな会社を飲み込んで、さぁ、これからという時になって
H21/3上期決算はガソリン高などで利益は半減。


一方、財務面。


買収の副産物「のれん」が140億円。
今後のれん計上対象企業の収益力が落ちますと、一気に減損のリスクあり。

また、繰延税金資産(将来節約できると見積もっている税金)
もそれなりに抱えております。
3月末残高で57億円、上期では何故か会計上の税金費用がマイナス10億円
(=繰延税金資産が10億円計上)されていたので、約70億円。



ご案内の通り、のれん、繰延税金資産は、収益力が下がってきた時に
取り崩しリスクがある「危険な資産」。両者で約210億円。
連結自己資本310億円の3分の2を構成している点にご留意ください。


外食企業では数少ない、利益100億円を狙える会社だとは思いますが、
財務的にはちょっと無理をしている感じがします。
今後どう巻き返してくるか注目です。



M&Aが全戦「全勝」ならぬ、「全焼」とならないことを祈りつつ・・・・・。


なかのひと

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1 コメント

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のれんについて (ある)
2009-01-22 21:28:33
文章中にのれんについて「のれん計上対象企業の収益力が落ちると減損リスクあり」と書かれていますが、減損は、グルーピングされた資産の単位によって行われるのであり、必ずしもそうとはいえないのではないでしょうか。たとえば、のれん計上対象企業がある一つの店舗を営んでいてその店舗が一つのグルーピング単位だった場合はのれんが直接的に資産グループに紐付くので正しい表現だと思いますが、そうではなく、のれん計上対象企業の資産が連結上は共用資産だった場合には必ずしものれん計上対象企業の収益性が悪化したからといって即減損という話にはならないかと。
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