◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

太陽監査法人にほえろ!

2024-01-27 | 会計・株式・財務

いつもご覧下さり、誠に有難うございます。

26日の日経にこんな記事が載ってました。


<事実関係>
太陽監査法人は1月末までに金融庁に業務改善計画を提出する。ディー・ディー・エス(DDS、23年8月に上場廃止)に対する監査に重大な不備があり昨年12月に行政処分を受けていた。 

事の発端はDDSの会計不正。22年5月に売上高の過大記載の疑いが発覚。貸倒引当金繰入額の過少計上なども明らかになり、訂正報告書の提出を求められていた。

DDSは22年8月12日に太陽の監査意見付きの訂正報告書を提出。しかし当期と前期の繰越利益剰余金の差額が損益計算書の最終損益と整合しないなど多くの虚偽記載があった。

実は太陽はDDSの訂正報告書のドラフト段階で修正が必要な箇所があることを認識していた。修正が必要な箇所もDDSに伝えていた。しかしDDSは修正しないまま提出を強行してしまった。

DDSは度重なる不正で経理人材の退職が相次ぎ、正しい財務諸表を作る能力が著しく下がっていた。訂正報告書の提出がこれ以上遅れれば上場廃止になると焦っていた。
太陽の担当会計士は「指摘部分は当然修正されるはず」と考え、業務効率化のため事前にレビュー報告書を渡していた


見出し画像の松田優作でなくても「なんじゃこりゃ〜!」ですね。
あっそっか、若い人にはわからないですよね。
伝説の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」ジーパン刑事の殉職時の名セリフ。
助けてやった会田に何故か撃たれて犬死にとなったジーパンに視聴者は大きな衝撃を受けました。
DDSの株主も同じような思いだったでしょう。


問題はこれからですね。
というのも、太陽のクライアントには、大手監査法人からサジを投げられるようなリスクの高い先や過去にいろいろやらかした会社が散見されるからです。
いわゆる会計監査版「駆け込み寺」かもしれません。

<2023年監査報酬上位先>
2928 RIZAPグループ2億6900万
7242 KYBカヤバ1億3500万
1951 エクシオグループ1億3400万
8848 レオパレス21 1億2200万
2331 綜合警備保障1億1700万


そしてトップのRIZAP GROUP[ライザップグループ]。CMで余りに有名ですが、ここも経営は苦しい。

2021年6月に東洋経済オンラインでこんな記事が出ていた。

2021年3月期はリストラ効果で黒字を確保したものの、その後はちょこザップの先行投資が嵩み、足元では2期連続で大幅赤字見通し。

顧客の体質改善をウリにしている会社が、自社の収支・財務の体質改善がままならないというのはシャレになりません。


個人的には、2024年3月期決算で財務制限条項(コベナンツ)に抵触しないかが当面の注目点ですよね。
純資産維持(2022年3月末360億円の80%以上)については2Q末でその他の資本性金融商品55億円による押上げがあったものの214億円と厳しい水準。
もっとも、コベナンツ抵触となってもこれまでのように銀行団が一定の条件の下、貸付を引き上げることはないとは思います。
しかし長い間、結果にコミットできないとなると徐々に態度が変わる可能性がある。
しかも金利先高感がある中、調達コストへの悪影響も気になりますよね。

太陽監査法人はそんな瀬戸際の会社を最大クライアントに抱えており、一方、RIZAPグループも監査ミスは絶対に許されない背水の太陽監査法人の厳格監査を受けることになる。

この組み合わせ、かなり面白いと思います。当面フォローしていきましょうか。


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