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 ◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

それでいいのか米国会計基準

2008-08-05 | 会計・株式・財務
・本題とは全く関係ないのですが、先日、漫画界の巨匠、赤塚不二夫さんが
 お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。

 で、追悼の意味を込めて、名作「もーれつア太郎」の主題歌をYOUTUBEから
 引っ張ってきました。私にとっても実に30年以上ぶりですが、
 記憶が鮮明に蘇りました。演歌調の主題歌も懐かしい!

もーれつア太郎カラーOP


 
 
・すいません、ようやく本題。
 米国会計基準関連で8月2日付日経に非常に重要な記事が掲載されていました。
 要約しますと・・・・。
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・米金融機関の連結範囲拡大を目的とした会計基準の適用を、2010年からと、
 当初予定から1年先送りするとのこと。

・ただし、簿外にある特別目的会社などの情報開示拡充については
 2009年から行うと。

・会計基準が改正されると業界全体で資産が5兆ドル(540兆円)と
 日本のGDP並みの規模で増えるとの試算あり。
 資産が膨れあがると一定以上の自己資本比率を保つ必要のある金融機関は、
 資産売却や資本増強を迫られ、それが財務の大きな負担となるため、
 業界や一部政治家で反対論が強まっていたと。

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(コメント)

・何といいましょうか、玉虫色の決着というか、妥協の産物といったところ
でしょうか。
ただ会計基準の導入がなくなったワケではないので、
与えられた1年の中で金融業界の整理再編が一気に進むと見るべきかも
 知れませんね。

・米国ではこの他に、会計基準を巡る大きな課題が残っています。
 それは日本と同様に、国際会計基準へのコンバージェンス問題。

 下記のコラム(要約)では、ざっくり言いますと
 米国基準から国際会計基準への移行のドサクサが
 ヘッジファンドに収益機会をもたらす可能性があると指摘しております。

・まっ、当面、米国の会計基準が直接・間接でいろんな話題を
 提供してくれそうです。適宜フォローしていきたいと思います。


・それにしても、会計基準厳格化が後退した米国と比べて、
 相対的に日本の厳格な会計基準、ひいてはそれをキチッと適用している
 日本の優良企業ってもっと評価されて良いと思いますけどね・・・・・・・。


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<以下は、参考コラム>

米DJ
SEC、国際会計基準の中途半端な適用はヘッジファンドに恩恵も
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCHO3459.html

・SECは、財務報告システムにさらに変更を加えようとしており、
 これが市場の混乱を招いてヘッジファンドに活躍の場を与えることになる。

・これはもちろん、SECが意図していることではない。だが米企業にも国際財務
 報告基準(IFRS)を適用させようとするSECの計画は、意図しない結果となる
 可能性がある。

・SECは、米企業にIFRSを採用させ、最終的には米財務会計基準(FAS)から
 切り替えさせるための案を間もなく公表するとみられている。
 SECは4日、米会計基準と国際会計基準、サブプライムローン(信用度の低い
 借り手への住宅融資)危機などにかかわる問題について円卓会議を開く計画だ。

・こうした努力の背景には「唯一の世界共通の会計システムにすれば、
 どこの投資家も企業業績を理解しやすくなる。このことが世界規模での
 投資を呼び起こし、企業の資本コストを押し下げる」との考え方があり、
 これは称賛に値する。

・だが、ここ数カ月のSECスタッフの意見に基づけば、SECはすべての
 米上場企業にある期日以降、一斉に国際会計基準の適用を義務づける方針
 ではないとみられる。
 欧州で05年、一斉に義務づけたのとは対照的だ。
 時価総額や売上高など一定の条件を満たす米企業は、
 数年間、2つの会計基準のうちどちらかを選択できるようになる可能性が高い。


・こうなると、同じ業界の企業でも採用する会計基準が異なれば、高度な分析
 技術を持つ投資家以外は業績の比較が困難になる。
 バリュエーションの変化を予測するために必要な、詳細な分析に精通している
 ヘッジファンドは恩恵を受けるとみられる。
 だが平均的な投資家は痛手を被る恐れがある。

・研究開発費を例にとってみよう。米国では、支出が発生した時点で費用として
 計上しなければならない。一方、国際会計基準では、研究費は費用として計上
 するが、開発費は資産として計上し、しかも長期間に分散させる。

・国際会計基準を用いると、短期的には利益が実際より膨らむ可能性がある。
 投資家は、こうした違いを理解しなければ、バリュエーションの比較を間違う。

・ただ、どっちつかずの状態がいつまでも続くわけではない。
 SECは、すべての米上場企業に早ければ2013年までに国際会計基準に切り替える
 よう義務づけるとみられる。
 SECは将来、一定の節目に到達したと判断した時点で、最終的な期限を
 決めなければならない。

・現実的には、切り替えの時期、費用、大掛かりな変更に伴う悩みなどから、
 強硬な反対に遭うことが予想される。
 このため、国際会計基準への完全移行が遅れるか、不可能になることも
 あり得る。SECが小規模企業への内部統制規則の適用を延期し続けたのは、
 そうした懸念による反対の声があったためだ。

・可能性が高いのは、2つの異なる会計基準に投資家は引き続き対応せざるを
 得なくなるということだ。このため平均的な投資家にとっては、悩みが増え、
 おそらくコストも増えると考えられる。

・SECは、会計基準を変更させたいなら、中途半端な手法をとるべきではない。
 ヘッジファンドに恩恵をもたらす可能性が高くなる。
 (8月4日付のHeard On The Streetより)

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