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ホンダには フィットしないよ 「水産業」

2011-01-25 | 会計・株式・財務
ホンダの子会社が不適正取引により多額の損失を計上しました。

日経記事より。

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ホンダは24日、全額出資子会社の商社「ホンダトレーディング」(東京・千代田)が水産物の不適切な取引により収益を過大計上していたことが判明したと発表した。不適切な取引は過去約7年に及び、ホンダは在庫品の価値の見直しや取引先からの債権回収が困難になった影響で、2011年3月期に約150億円の損失を計上する。

 ホンダによると、トレーディング社は04年ごろから、複数の取引先から冷凍のシラスやエビを市場価格を大幅に上回る価格で購入し、売り戻すといった手口で収益を過大計上。同じ商品の売り買いを繰り返し、値をつり上げる「反復取引」や「循環取引」があったことも分かっている。
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リリース 子会社における不適切な取引について

いい加減に数をかぞえることを「サバを読む」といいますが。今回は「シラスを読んだ」とでもいうべきなのでしょうか。

それにしても水産関連は本当に多いですよね。不適正取引。水産業では循環取引のことを「ぐるぐる回し」「回し」「魚ころがし」という呼び名で呼んでいるそうでありまして、何気に実務に定着しているのかもしれません。

トーマツも水産業が粉飾の多い業種の1つとして注目しておりましたし、昨年3月、あずさ監査法人主催(?)の証券取引等監視委員会による講演資料にも、水産業の事例が載っておりました。

財務分析ではなかなか発覚が難しいのですが、私が注目している指標「従業員1人当たり売上高」で異変は察知できなかったのか後日検証してみたいですね。通常、売上が伸びれば社員も増えます。社員1人当たりの売上高が急に増えることは取扱製品や業態が変わらない限りありえないですからね。しかし、長期にわたって行っていたとなるとこの方法でも難しいのかも。


ところで今回の損失150億円。ホンダから見れば微々たる金額ですが、水産事業の規模からするとかなりの金額だと思います。
といいますのもHT社のHPを見ますと連結売上5,886億円のうち、水産関連が所属している「生活産業」の売上構成はわずか4.2%。240億円しかありません。生活産業は資材関連と食品関連に大別されます。しかも食品事業は組織図によりますと大豆課と水産課とヘルス&ウエルネス課の3課ですから単純に等分しますと、水産品の売上はざっくり年間40億円ってところでしょうか。

報道によれば2004年からってワケですから約7年粉飾をしていた。単純に7倍すると累計売上高約300億円。実にこの半分が架空であったという計算になりますから。なかなか大胆な手口ですね。


ホンダの関係者はヤケ酒が飲みたいところ。
でしたら、メルシャンのワインとツマミに調査報告書はいかがでしょうか。
メルシャンは水産物の不適正取引では先輩格です。報告書も50ページ超と充実(?)しておりますから参考になることでしょう。

またいきます。

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