◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

なぜか報道されない「コンビニ訴訟問題」

2005-10-16 | 財務系怪文書を読み解く
いつもご覧いただき、誠に有難うございます。

さて、このコーナーでは、
「勤務先で業務上見たいんだけれど、
アクセス制限がかかって見ることができない記事」
について、独断と偏見でご紹介し、勝手にコメントするものです。
もちろん、内容の真偽等には一切責任を負いませんよ。

久しぶりの第2回も、「論談・目安箱」からのネタ。
原文オリジナルのコピペです。

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『セブン・イレブン・ジャパン』 の実体を内外に訴えた
傘下にある加盟店(平成17年9月28日)
差出人: トーマス・J・ナーサム
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『便利な店』 を意味するコンビニエンス・ストアー
(通称コンビニ) は、セブン・イレブンをはじめ、
ローソンやファミリーマートなど、日本全国の到る所に点在しているが、
その中でも一万軒もの契約店舗を持っているといわれるセブンイレブンは
群を抜いている。

まさに巨大チェーン・ストアーの雄として君臨している。

ところが、この経営本体である 『セブン・イレブン・ジャパン』
(以下 “本部” とする) と、その傘下にある加盟店との間で、
契約内容をめぐって訴訟事件に発展しているのである。

被害を訴える契約加盟店側からの依頼を受けた弁護団は、
「これは加盟店を食い物にする詐術商法である」 として、
このほど日本外国特派員協会 (通称外人記者クラブ) で記者会見を開き、
その実体を内外に訴えた。

弁護団側の説明を要約すると、問題点の大要は次の通り。

* 各加盟店は、"本部” からではなく、自己の責任で各仕入先と
直接売買契約して商品を仕入れている。 
他方、毎日の売上金は、翌日には全額 “本部” に送金することになっている。 仕入れ代金の決済は “本部” が一括して仕入先に支払ういわゆる
“三角取り引き” 関係になっている。 
要するに契約と商品は仕入先、金は “本部” へという流れになっている。

ここで問題は “本部” がいつ、いくら仕入先に支払ったか、
が全く不明で、詳細な報告 (情報) が無い。 
加盟店は一個の経営主体なのだが、
“本部” がすべてを取り仕切っているので、実体の掴みようがない。
「ブラックボックス」 経営が実情である。

そこで、会計システムの不信から、 “本部” が加盟店の経理を
『代行』 している内容の詳細がどうなっているのかを明らかに
するべく、日本の小売り業界の常識に照らした請求、領収書の類を明示せよ
との訴訟を現在行なっている。

*“本部”と加盟店との間の契約には、「売り上げ総利益」 について
特段の規定は無く、“本部” 側の主張によれば、消費期限切れの
「コンビニ弁当」 の廃棄処分損や万引き等による減損失等もこの
「売り上げ総利益」 に含まれ、各加盟店側のチャージの対象とされる
ことになっている、という。

この点について、加盟店側を納得させるだけの説明が不十分であったことを
東京高裁は今年の2月24日に認定しているが、大手のマスコミはこの件に
ついてほとんど報道していない、さらに最高裁に上告中。

*各加盟店は、自己の責任で仕入先と直接契約して商品を仕入れている。
その際、量目不足や品質の瑕疵、配達遅延などの理由に応じて、仕入先から
各加盟店に対して、値引きが行なわれることになる。 
また、逆に一定量以上の仕入れに対する報奨金 (リベート) も支払われる
ことになる。

これらの経理処理は、売り上げ原価からの控除項目となるのだが、
これがすべて各仕入先から直接各加盟店に対して、個別に行なわれず、
仕入れをしていない “本部” が一方的に作成した計算書に基ずいて
行なわれることになっているのである。

各加盟店がその説明を“本部”に求めても具体的な回答が無い。
これらの金額自体に“本部”による巨額の 「ピンハネ」 が不当利得
として存在するのではないかという不信感が拭えない。

*“本部”は各加盟店との間の金銭出納等の計算整理記録として、
「オープンアカウント」 と称する独自の勘定科目を設けている。
本部は、各加盟店から預かった売り上げ代金から、仕入れ代金を
各仕入れ業者に支払っているが、各加盟店の買掛金には “本部” は
利息を徴収することにしている。

商品を「掛け」で仕入れた場合の買掛金には利息を付さないのが、
取り引き慣行である。 その一方、“本部”からの各加盟店への支払い
遅延には、どういうわけか、
利息を付す規定は本件契約には存在しないのだ。 
こうした取り決めじたいが 「詐術」 である。

*多くのセブン・イレブンの加盟店の人たちは、このような「詐術」の
もとでは、経営の見通しや生きる希望を無くしている。
加盟店の一部が、弁護士を通じて刑法246条の「詐欺罪」で“本部”
を刑事告発している。

これらの説明に対し、「これまでに日本の多くの媒体が積極的にこの問題
を取り上げていないのはなぜだと思うか」 との質問に対し、
北野弘久弁護士 (日大法学部名誉教授。法学博士。20年前の詐欺事件、
『豊田商事事件』の弁護団長) は次のように言っている。

「毎日新聞社が発行する経済誌「エコノミスト」の今年の7月5日号で、
この問題の趣旨をまとめて署名記事を掲載しようとした。
ところが、原稿が校了となり、印刷・製本直前の段階で、
セブン・イレブン・ジャパンが、毎日新聞社の首脳に対して私の論文の掲載
について抗議をした、という事実がある。 
結局私の了解をえないまま、一部を改竄して発行したいきさつがある。
これは重大な問題で、言論機関である毎日新聞社が、
「コンビニ」 の暴力に屈したことを意味する」
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(コメント)
マスコミが取り上げない理由は明らかで、
要は、マスコミ各社にとって重要な広告主だからでしょう?
けれどマスコミ対策も程度問題ではないでしょうか?

そういえば、折りしもコンビニ各社とも加盟店オーナー確保に
苦戦しているようです。

前向きな方向で進んで欲しいものです。
ただ、会社側の廃棄ロス負担が増えれば
業績、引いては株価への影響必至ですよね。

さしあたって、最高裁判決がどう出るか
注目しましょう。

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2 コメント

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コンビニ裁判 (温故知新)
2006-01-05 12:39:23
 最近は更新されなくなりましたが、コンビニ商法に対する批判を書いたサイトがありました(http://www2.ocn.ne.jp/~combini/page70.html)。ここでも賞味期限切れで捨ててしまうおにぎりやお弁当のコストを、売上原価&ロイヤリティ控除後の利益(=常識的には売上総利益)から差し引くのはおかしいという議論が盛り上がっていました。

 確かセブンイレブンはこの件で訴えられて敗訴したような記憶があります(最終的に上告されたかなどについては覚えておりません)。ただそのときも敗訴した理由は、加盟店に対するアカウンタビリティが足りなかったからという理由だったように覚えています。

 最終的には加盟店が本部の説明を聞いてハンコを押してしまえば、それは加盟契約有効ということになるので、非常に難しい点ですね。「そんなに細かいことをいちいちチェックでけへんやん」という意見もあるでしょうが、生命保険や損害保険、投資信託の目論見書などもなるべく読まれないようにちっこーい字で書いてあるのを見ると、ハンコを押したらおしまいという本部側の言い分は全く理不尽でもないような気がします。

 難しい問題ですね。
返信する
原告団のブログがあります。 (sosho711)
2007-02-08 13:04:40
記事に取り上げていただいて、ありがとうございます。
高裁で判断が錯綜したので、現在最高裁にどちらも上告しています。上告して約2年が経過しようとしております。
原価ピンハネ事件についても、ぜひご注目していただきたく、お願いいたします!
返信する

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