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銀行が私募投信を買う理由とは?

2006-03-08 | 会計・株式・財務
いつもご覧下さり誠に有難うございます。
冴えない記事ばかりが続いておりますが、それでも昨日は700名超の方に
ご覧頂いておりまして誠にお恥ずかしい限りです。

さて本日のネタは、金融商品の1つ、「私募投信」について。

少し古いですが、3月3日の日経金融新聞のスクランブル欄に
「銀行、私募投信に走る」との記事がありましたので、
そのポイントを整理しておきます。

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■私募投信とは

・金融機関や適格機関投資家(年金基金など)を募集対象とする投資信託。
・残高が急増している。1月末で25.8兆円。1年間で7割も増加。

■銀行が何故、私募投信に走っているのか?

①資産運用上のメリット
・自主運用と比べてコストが安い。
・公募投信と異なり、オーダーメ-ドの運用をしてもらえる。
・債券に偏っている資産構成の適正化や金利上昇局面での利回り追及 など
 07年3月期から適用される国際決済銀行(BIS)の新たな自己資本比率規制も、
 債券から私募投信へのシフトを促す可能性がある。

②会計上のメリット
・株式や株価指数連動型上場投資信託(ETF)の場合、その売却益は臨時損益
 (株式売却損益)という位置づけになり、銀行の本業の儲けを示す「業務純益」
 に計上することができない。
   ↓
 しかし、私募の株式投信の売却益は、「業務純益」として計上できる。!
    →株高の恩恵を本業利益に取り込むことができる。
    (実際に、本業の利益に計上できないETFから日経平均連動型の
     私募投信に乗り換える金融機関もあったとか・・・)
  
③しかし、銀行の利害関係者(投資家)にとって問題も・・・。
・ディスクロージャーが不十分。
・私募投信は銀行の会計処理上、「その他有価証券」の「その他」に含まれ、
 内訳や運用成績は投資家から見えにくい。
 (例えば、みずほフィナンシャルグループの同残高は8.3兆円と1年間で
  7割増!)
    →私募投信で運用する金融機関の開示基準の整備も必要。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【コメント】

・昨日の投稿で、匿名組合・任意組合などが「ブラックボックス」化している
 実態をご覧いただきました。
 性悪説に立てば、この私募投信も金融機関にとって格好の「ブラックボックス」
 なのだと思います。

・金融機関もバブル期の反省を踏まえ、リスク管理手法を高度化させているよう
 ですので、デタラメな投資はしていないでしょう。
また、足元の株式相場も異常な高値圏とまでは言えないでしょうから、
 現状は問題なしなのでしょう。

・しかし、制度の抜け穴を突いたような私募投信ブーム。
 20年前にブームとなった「特定金銭信託・ファンドトラスト」を思い起こした
 のは、私だけでしょうか?
 「時代のあだ花」とならないことを祈ります。

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1 コメント

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とっきん (なべや)
2006-03-09 12:11:51
確かに特金との共通点はありますね。

今の金融機関の現役ファンドマネージャーさんたちは、

当時の特金がどういうものだったか、山一で何が

起こっ

たのか、といったことは十分認識していると思います。

今度、みずほのFMと懇談して、彼らの見解を

記事にしてみて下さい。

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