ゆるりと生きる。

 
楽しいこと、おいしいもの、大好きな本や音楽のこと、思いつくまま気の向くまま。

アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎

2017-10-29 17:06:59 | あ行の作家
アイネクライネナハトムジーク/伊坂幸太郎



妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL……。
人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。
でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。
情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。
明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。

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久々の伊坂さんはまさかの斉藤さんとのコラボ的なストーリーになっていて、
めちゃわくわくしました。
伏線がちりばめられていて油断ならない感じはやっぱりたまらない!
連作になっているので、つながりをたどっていく楽しさもべりーぐー。
若干、伊坂作品にしてはしかけが大掛かりではないというか、
意外とさらっとしていて、肩透かしという感じもしましたが、
ええやん、こういうのもええやん!!

で「斉藤さん」が登場するわけですが、斉藤和義さんの曲とリンクするわけですが、
こういう仕掛けも絶妙ですよね!
ちょっとわからない曲もあったのが残念だったんだけど、
これは、斉藤さんファンにはたまらないのではないでしょうか。
ていうか伊坂さんが斉藤さんファンっていうのが、もうそれだけでぐっときます。

独特の文章で、ストーリーも完全に伊坂ワールドでしか起こらないことで、
なんかもうやっぱ好きだなって思いました。
伊坂マジック。明日もがんばるしかない!

夜の底は柔らかな幻/恩田陸

2017-10-02 23:26:14 | あ行の作家
夜の底は柔らかな幻/恩田陸

 

国家権力すら及ばぬ治外法権の地である〈途鎖国〉。
ここには在色者と呼ばれる特殊能力を持った者が多く、暗殺者を養成しているとも噂されている。
自身も在色者である有元実邦は、警察官という身分を隠し、ある目的を持って途鎖国に密入国を企てる。
闇月といわれるこの時期、在色者たちは途鎖に君臨する導師の地位をめぐって殺戮を繰り返し、
またある者は密かな目的を持って山深くを目指す。
密入国に成功した実邦だが、かつての実邦の婚約者で入国管理官として強権を揮う葛城や、
途鎖での同級生だったが何かを隠している黒塚と再会する。
さらに実邦の指導者だった屋島風塵、葛城の旧友で快楽殺人者となった青柳淳一など、
関係者がいっせいに闇月の山を目指しだす。
山の奥にひそむ導師の神山倖秀――実邦の元夫であり、葛城、青柳とともに幼少期を過ごした殺人者――と、
途鎖の山奥に隠された〈宝〉をめぐって、彼らの闘いが始まる。


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いやーやられました・・(悪い意味で・・。
上巻の中盤くらいまではわくわくどきどきで、ページをめくるスピードも早かったのですが、
だんだんペースが落ちていき、下巻はかなりきつかったです。
うーん!!恩田さーん!!
読み始めは「MAZE」みたいな別世界な感じに興奮したんだけど、
だんだんついていけなくなってしまった。

かなり独特の設定で、はまるかはまらないかなんだろうなー。
恩田ワールドは大好きなはずなので、はまりたかったのに・・無念。

向田理髪店/奥田英朗

2017-08-31 18:06:31 | あ行の作家
向田理髪店/奥田英朗



次々起こるから騒ぎ。過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。

北海道の寂れてしまった炭鉱町。
息子の将来のこと。年老いた親のこと──。
通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。
心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。
可笑しくて身にしみて心がほぐれる物語。

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久々の奥田さん。
安定の奥田さんです。
私の荒んだ心が気持ちほんわかします(笑)

北海道の炭鉱町のドタバタ劇で、まぁいろいろ起こるわけですが、
解決するまではいかなくとも、なんとなくうまくおさまったり、
あきらめたり、かなしんだりしていく。
ああ、私も奥田ワールドで生きていたい。
こんな街があって、こんな人たちばかりだったら、
こんな私でもうまくやっていける気がする(気のせい。

若干、田舎町が美化されすぎな気がしないでもないですが、
今の私にはやさしくしみわたりました。
私も田舎に住みたい・・(どーした。

これ、ドラマ化いいんじゃないです?
キャストは、理髪店の息子がキーになるわけですが、
菅田将暉さんでお願いします(←みたいだけ。

町長選挙/奥田英朗

2016-09-05 19:21:29 | あ行の作家
町長選挙/奥田英朗



町営の診療所しかない都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。
そこは住民の勢力を二分する町長選挙の真っ最中で、なんとか伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの攻勢に、
さすがの伊良部も圧倒されて…なんと引きこもりに!?
泣く子も黙る伊良部の暴走が止まらない、絶好調シリーズ第3弾。


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伊良部先生シリーズ。
これ読んでなかったんですねー。
好きな作家で読んでなかった本を発見した時ってまさに至福の時ですよね。

全4編の短編集で「町長選挙」以外は実在するモデルが存在するんですね。
そういうことになってるとは知らずに読んだのですが、
もうどう考えてもこれは、ナベツネさん、ホリエモン、黒木瞳の話です(笑)
笑いました。特に黒木さん(ていうか白木さん)の太るの恐怖症は、
笑えるような笑えないような、いや笑ったけど!

「町長選挙」はいろいろ、んなあほな!というシーンが多かったんだけど、
まいっか、伊良部先生だからね、いいのいいの。
今回もすこーんと抜けてて、爽快です。
やっぱりいいなぁ伊良部先生。
私も診てもらいたいです。

伊良部先生シリーズもっと続けてほしいなー。

ヤモリ、カエル、シジミチョウ/江國香織

2016-05-30 20:34:43 | あ行の作家
ヤモリ、カエル、シジミチョウ/江國香織



虫と話ができる幼稚園児の拓人、
そんな弟を懸命に庇護しようとする姉、
ためらいなく恋人との時間を優先させる父、
その帰りを思い煩いながら待ちつづける母――。

危ういバランスにある家族にいて、
拓人が両親と姉のほかにちかしさを覚えるのは、
ヤモリやカエルといった小さな生き物たち。
彼らは言葉を発さなくとも、拓人と意思の疎通ができる世界の住人だ。
近隣の自然とふれあいながら、ゆるやかに成長する拓人。
一方で、家族をはじめ、近くに住まう大人たちの生活は刻々と変化していく。
静かな、しかし決して穏やかではいられない日常を精緻な文章で描きながら、
小さな子どもが世界を感受する一瞬一瞬を、
ふかい企みによって鮮やかに捉えた野心的長編小説。

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よかったです、何度もほろっときました。
まぁいつもの江國さんの、で?シリーズなんですけど(笑)
だからなに?って話なんだけど、ああ、やっぱ私、江國さんの文章好きだなぁ。

そして登場人物も、またおまえらか!(笑)みたいな、
不倫は文化です、みたいな(古い。
江國さんの本の登場人物、謝罪会見しないといけない人ばっかじゃん!(笑)

幼稚園児の拓人の視点からの章は全てひらがなになっていて、
すごく読みにくかったんだけど、慣れてきたらおもしろくなってきました。
さほど拓人には興味は惹かれなかったんだけど、これひつよー?って思ったけど、
うん、でもやっぱり、なんかわかる、って思った。

そう、江國作品って、わかんねーって感じの人ばっかでてくるのに、
あ、でもなんかちょっとわかる、ってやつですね。
やだけど、認めたくないけど、やばい、わかっちゃう、ってやつ。

たぶん、今の私の波長みたいのに合って、ほろっときちゃったんだと思う。
波長合わないと、最後まで読めないやつだと思う!(笑)