
トヨタ生産方式の本も既に数冊目。
ただ、読めば読むほど、これはただのシステムではないことがわかる。
後述にも書いてあるが、100%良品を絶対とする徹底した無駄取りは「人間の能力への限りない信頼」「人間の尊厳への敬意」という哲学だという。
ジャストインタイムを初めとするこの生産方式はまず、徹底的に人間の所作の無駄を省くことから始まる。
つまり、「何故を5回繰り返す」の始まりは人間の動きに対してなのだ。
人の動きを15分も見ているとその無駄が見える。
そしてカイゼンする。
で、また観察する。
この繰り返し。
作業全体の流れなどは全く入ってこない。
つまり人間1人1人の無駄を省く、つまり能力を徹底的に向上することから始まり、最後の最後に仕組みや機械に手が入る。
本書ではデンソーへの生産方式の注入や関係会社への指導の話が中心。
この岩月さんこそその中心人物(その当時は別にえらい人ではない)であり、メンバーとして大野氏や張氏の指導を間近で見て一緒に指導を実践してきた人。
トヨタWAYに染まりきっているからところどころくさいが、でも愛情を感じる。
そしてこれをライフワークにしていたことが伝わってきて羨ましい。
途中で教育と訓練の違いについての記述がある。
正直あまり意識してなかったが改めて考えると全く似て非なるもの。
理解することが大事なのではない。常に繰り返し同じパフォーマンスが出来ることに価値がある。それはホワイトカラーにもいえるのではないか??
そういった意味では精神鍛錬も訓練のうちだといえる。うーーむ。精神が弱っているモリカワは精神と時の部屋を希望する。
内容が内容だけにお堅い感じはするが全体的に平易やし、何より臨場感がある。
そういった意味でトヨタ生産方式はすでに人生哲学の域に昇華しているんだとも思う。