CREATIVE-HEARTS2

なぜかNO.1にログイン出来なくなったので、NO.2を作りました!

コレって何ハラ? No.8

2019-12-24 23:35:02 | 日記

ー 笹かま ー
 
 お昼時、食事に出ようと先輩と並んで歩いていると、
エレベータの前でAさんに会った。
Aさんは食堂で買った定食を自分の部屋で食べようとしているのか
食器の乗ったお盆を手にエレベータを待っているところのようだった。

 「あっ、Aさん こんにちは(^^)」と爽やかに挨拶する僕に続いて、
先輩が「なんやAのくせに昼ご飯か?」と声を掛けている。
 Aさんは反射的に「すみません」と答えているが、どう考えても謝るのは先輩の方だ。

 歩きながら「先輩、Aさんのこと嫌いなんですか?」と聞いてみると
まるでエリカ サワジリを思い出させるような一言『べつに…』
さらに先輩が言うには、Aさんはどっちか言うと好きな方らしい。
きっとこの人は皆にこんな態度で接しているのであろう。

 昔から「人は良い行いをすれば良い報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがある」と言われており、きっと先輩は地獄に落ちるだろうが、地獄の魔王にもこのような話し方をするのかなと思ったらちょっとおもしろくなった。

 そんなことがあった日の夜、
家に帰って冷蔵庫を開けると、以前どなたかにいただいた「笹かま」が入っていた。
 僕は、個包装され高級感がただよう「笹かま」はかまぼこ界の王様だと常々思っている。
 笹かまを手に取り、心が沸き立ち・身体が火照り・血圧が上昇を始めた時、
僕は興奮のあまり、個包装された袋から笹かま本体を床に落としてしまった。
世界共通の決定事項として3秒以内に拾い上げればセーフとの判例が示されてはいるが、落ちた笹かまの横に居るアリの姿に気がついてしまった。
僕の体温と血圧と心拍数が下がり始める。

なぜなら

 『僕は虫がとっても苦手なのだ』
 アリがいるなら、アリ以外の虫がいたかもと想像してしまう。
 
 あんなに恋焦がれた笹かまへの想いが徐々に冷めていく。
 他に好きな人ができた訳ではないが、笹かまとの別れを考えてしまう… 悲しい。

 この別れをより有意義なものとする方法はないか、僕は必死に考えた。
 そして1分後、いいことを思いついてしまった。

 すぐさま笹かまを手に階段を駆け下り、
 先輩の車のボンネットにそっと置いてみた。
 そして踵を返して自室に戻る。

 これは謀反である。謀反に良いも悪いもない。
 織田信長流に言うと「是非もなし」
 が、少しやりすぎたかなーと優しい僕は少し心を痛めつつ、眠りについた。

 翌朝、僕の車の屋根で猫が寝ている。
 ボンネットにはひっかき傷がついている。

 ???

 なんで僕の車にキズが? なんで車に猫?

 職場の廊下で先輩とすれ違う。その時ボソッと… 確かに聞こえた。

「因果応報」

やりやがったな。謀反返し!

コレって何ハラ? No.7

2019-12-11 22:23:11 | 日記

ー ウザランチ 2ー
 
 次は別のチェーン店の中華屋さんでの話
 
 ここにもセットは存在する。
 先輩はラーメンとチャーハンのセット
 僕と上司はラーメンと唐揚げとごはんのセット。
 今日は上司と同じメニューなので 先輩からメニュー選びに関してぐちゃぐちゃ言われることはない。

 と思ったら、

 先輩)「おまえマネすんな」とおっしゃられる
  僕)「いや、たまたまです」
 先輩)すると上司には聞こえないぐらいの声で、
    「じゃあ、あいつがおまえのマネしたんか」


 ここで、そうかもしれませんね~ なんて軽く返したら、すぐ上司にチクるだろうから偶然重なったで押し切るしかない。

  僕)「偶然です」
 先輩)「じゃあ、あいつがマネした訳ではないんか」とのつぶやきに
  僕)「そうですね」と答えると

 突然声のボリュームをあげて、先輩が上司に
 「こいつ上司のこと“あいつ”って言いました」

  僕)それはおまえやろと思ったが
    とりあえず「言ってませんー」と答えると
 先輩)「おまえ上司に“あいつ”とか言ったらあんやろ」とさらに攻撃を強める
  僕)「言ってませんー」
 と先輩とやりあっていたら、上司に「うるさい!」と怒られた

 それでも懲りずに
 先輩が「おまえのせいで怒られたやねーか」さらに攻撃を振ってくる
 この男は本当にしつこい…

 そんなやり取りをしていると食事が運ばれてきた。

 先輩がチャーハンを口に運ぶと「うっ、マズイ」とつぶやいた
 「先輩 前食べた時にもマズイって言ってましたよ。忘れてたんですか?」
 と聞くと
 「おまえ知ってて黙ってたんか?!」と言い出した。

  僕)「いや、いま思い出した」
 先輩)「おまえさぁ、俺が何処の何が嫌いかをメモして、次から注文する前に これはやめた方がいいですよ とか伝えろ」と言う
  僕)「嫌ですよ、めんどくせー」
 先輩)「この店だけちゃうぞ、全部の店やぞ」と、もう会話にもなっていない

 そして先輩が一言


 「俺も唐揚げのセットが良かった」


 おいおい、おまえがマネかよ…


コレって何ハラ? No.6

2019-12-10 23:11:36 | 日記

ー ウザランチ 1ー
 
 僕たちの昼食は先輩と共通の上司を交えた3人で取ることが多い。
 基本は外食で、行き先は上司が決める。

 お店はいくつかあるが、職場近くの中華屋が僕たちのお気に入りだ。
 特別美味しい訳ではないが、どれもそれなりに美味しい。
 それにランチにはお得なセットもある。
 『麺類1品+丼1品』どちらも5種類ずつくらいあるので、25通りの組み合わせが楽しめる。

 お店に入り席に着くと、先輩がサッとランチメニュー表を取り上司に渡す。
 上司が決め終わると、次に先輩が決める。
 先輩が決め終わると、次にメニュー表が置き場に戻る。

 「僕まだなんですけど」と言うと、忘れてたフリをして あぁ とか言いながら、大きいメニュー表が渡される。
 「すみません、ランチのメニューをお願いします」と言うと、舌打ちしながらランチメニューを取り、僕に渡すのと同時に「すみませーん!」と店員さんを呼ぶ。
 僕は上司と先輩が注文を言い終わるまでの間に決めなければいけない。
 そんな中、先輩は「台湾ラーメンと麻婆飯にしたら?」みたくメニュー決めに口に出す。
 「そんな辛い・辛いの組み合わせなんか誰も頼まないでしょ」などと答えようもんなら、とても嬉しそうな顔をして邪魔を繰り返す。
 「ソース麺にしたら? ソース麺にしたら?」とソース麺を連呼しているが、もちろんそんなメニューはない。
 で、さらに「醤油ラーメンと天津飯」でも頼もうもんなら、普通過ぎる・凡人・おもしろみがないと人の注文に文句を言う。

 とりあえずここまでがルーティーン。
 近所の中華屋に行くと必ずこのやり取りが繰り返される。

 こんなルーティーンを3回も繰り返せば飽きそうなもんだが、先輩は飽きない。
 仕事中には見せたこともない笑顔で毎度やってくる。
 こんな些細なことがとても嬉しいらしい。
 今日も満面笑みで中華を食べている。

コレって何ハラ? No.5

2019-12-07 18:10:12 | 日記
前回の続きです。


ー 湯殿 3ー
 
 浴場では、湯船でほどよく温まって・身体を洗って・再度湯船に浸かった僕らにもうやることはなかった。先輩も「先に出るわ」と言いながら脱衣場の方へと歩いていってしまった。
 遠ざかる後姿を見るとはなく見ていると、浴場出入口の扉のところに止まってなんかやっている。

 どうしたんだろう?
 ん? 鍵が掛ってる?

 いや…
 スライドドアなのに手前に引いてる...

 確かにこの扉はわかりにくい。
 見た目が押し引きするドアのように見えること、そして、扉に「引」と書いてある。
   が、ここは引き戸である。
 なかなか扉が開かず焦った感じでこちらを振り返りそうになったので、僕は条件反射的に目線を外し、少し泳がせておくことにした。
 しばらくすると今度は扉を押し始めた。
 でも開くわけがない。
   ここは引き戸である。
 周りの人も先輩の行動に気づき始めたが、先輩は他人の視線など気にすることもなく。前に後ろにガチャガチャやっている。
 その手がパタっと止まり、小走りにこちらに近づいてくる。


 先輩が僕の耳元でささやいた。
 
   「とじこめられた!」

  僕)「僕ら以外にも10人くらいいますよ」

 先輩)「んじゃ、皆 閉じ込められたかも」

  僕)んな訳ねーやろ と思いつつ
    「そうかもしれませんね」
     と答えたのと同時ぐらいに…
  浴場にいたおじさんが引き戸を開けて脱衣場へと出て行った。

 それを2人で見ながら
 「大丈夫でしたね」と先輩に笑顔を向けると、先輩は答えることなくスタスタと脱衣場へと行ってしまった。

 無言で服を着て
 無言でコーヒー牛乳を飲み
 無言で銭湯を出て


 50mくらい歩いた先で先輩が言った

 「おまえ知ってたんか」


 「いや、いやいやいやいやいや…」
 風呂上りのはずなのに、背中が少し涼しくなった…

コレって何ハラ? No.4

2019-12-03 23:18:28 | 日記
前回の続きです。


ー 湯殿 2ー
 
 ウチの湯殿は近所の銭湯だった。
 寮と最寄駅の間にあって、毎日 前は通るもののウチの職場関係の人で行ったという話は聞いたことがない。銭湯までの道すがら「良く行かれるんですか?」と聞いてみると、なんと「初めて」とのこと。
 ちなみに この“なんと”は、質問に対し素直に即答したことに驚いた。
 いつも質問には答えねーし、思いつきのお出掛けに巻き込まれたりとあまり良いことはないが、こんなことでもないと銭湯なんて行く機会がない。だから今日は良しとしよう!

 番台のところでお金を払い脱衣場へ、ササっと用意して浴場の入り口付近へ移動。
 先輩がやってきたタイミングで引き戸を開け、先輩は「おぅ」と声を掛け浴場へ入っていく。
 もう殿みたいとかではない。まさに殿様だ。

 湯船に浸かって大してためにもならない話をして、ほどよく温まってきたところで仲良く洗い場へ。頭を洗いすすぐ先輩の頭にシャンプーをかけ続け“すすぎ終わらない作戦”を決行してみたが、先輩から「殺すぞ」と言われあえなく退却。シャンプーかけて殺されてては割に合わない。

 先輩が洗い場を離れるのと入れ替わりに恰幅のいいおじさんが横に座った。
 特に気にもせず身体を洗い流していると、まるでJKのような「きゃっ!」と小さな叫び声が聞こえた。
 ん?っと思い隣りをみると・・・。
 こっちに睨みをきかせつつ、シャワーを手にしたおじさんと目が合った。
即座に目をそらし、その後見てないフリをしつつ様子を伺っていると、ムッとした顔でシャワーの温度調節をし、そして時折こちらを睨む。
 なんで…? 身に覚えはないが何だかヤバそうな雰囲気だ。
 状況は徐々にわかりつつあったが、洗い場の鏡で先輩の居所を探すと、遠く離れた湯船に顎まで浸かってこっちを見てるのを見つけて確信した。

 “あの野郎、自分が洗い場を離れるときにシャワーの温度を冷水にしていきやがった”

 怒るならあの野郎に怒ってくれよ とも言えず、早々に何事もなさげにその場を離れることで頭がいっぱいになったが、よくよく思い出すと、あの野郎が洗い場を離れる前になんやかんやこっちに話しかけていたのは、おじさんに先輩と仲間であることを印象付ける作戦だったのかもしれない。

つづく