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これを読め! vol.1 ~鮫島最後の15日~

2017年07月07日 | Books

自分はずっと、チビでした。

記憶する限り、中学校を卒業するまで、学年で1番か2番のチビだった。(今もチビですがw)とにかく高校に上がるまで、まったく身長が伸びなかったのです。

子供のころ、チビであるということは、致命的でもあります。

舐められる。馬鹿にされる。喧嘩に負ける。スポーツで活躍できないetc。

当然モテないし、注目もされないし。いや、そんな贅沢はいわないまでも、そもそもチビなだけで舐められるってのはキツイです。

場合によっては、それがいじめの理由にもなります。デブも同じですよね。自分はいじめこそなかったと思いますが、

中学のときに学年で1、2を争うデカイやつに、なぜかターゲットにされたことがありました。

理不尽な理由でボコってくるので、当然反発しました。で、もちろん毎回負けました。

普通に喧嘩して勝てないので、そいつが廊下で談笑してるところに、後ろから飛び蹴り食らわしてました。んで、またボコられて負ける。

次の日には、学校に着くなり、そいつを見つけては、やっぱり飛び蹴り。んでボコられる。

とにかくそいつが、いいかげん嫌がって、自分にちょっかい出さなくなるまで、不意打ちしまくりました。オレに喧嘩売るなら、一時も油断すんなよ! と。負けるときもタダでは負けない。そいつがやっかいな思いをするくらい、食い下がりました。

 

『鮫島、最後の15日』力士の漫画です。

体格に恵まれなかったものの、闘志だけは最高の力士の物語。

体格に恵まれないことは仕方ないですが、それでも格闘を目指す場合、コンプレックスと限界に悩まされながら、戦い続けるしかありません。

階級があるボクシングならともかく、普通はチビもデブも一緒に戦うのです。

そうなると普通は、どこかで体格の限界を感じ諦めます。でも諦められないときはどうするのか?

格闘技において、体重は『絶対』です。

チビはデカイ相手に勝てません。ましてや、ぶつかって力比べする相撲なら尚のこと。

変化や奇襲・奇策で勝てることはあっても、それは続かない話なのです。

さて、チビで喧嘩に勝てなくて、舐められていた自分ですが、小学2年生のときに空手をはじめました。最終段位は糸東流拳剛館 初段。

同じ流派の道場が市内に5つあり、自分はその一番僻地にある田舎の道場に通いました。

古い平屋の小学校跡の建物が道場で、月に数回、師範代が稽古を見に来てくれ、月1くらいのペースで館長が来てくれました。準備運動でジャンプしていると床が抜けるほどのボロい建物で、窓のガラスは半分くらいしか入ってない。冬はデッかい蛾が入ってくるし、まぁ、ひどかったですw

館長はほとんど稽古をつけてくれず、主に車座になって話をするのが通例でした。館長の武勇伝を聞いたり、空手とは何たるか? を聞いたり。空手と暴力の違いや、いろんな道徳を教わりました。

そんな流派には年に一度、『武道大会』なるイベントがありました。5つの道場の練習生が一堂に会し、一番強いやつを決める大会です。いわゆる”天下一武道会”です。全盛期には30人以上が参加し、2ブロックに分けての1デイトーナメント。1日に4~6試合とかはザラで、ケガしたら一発で終わりです。

(鼻が折れる、歯が折れる、顎が割れる、指の骨が折れるなんてのは普通でした)

自分は一番マイナーな田舎道場にいて、館長から『○○道場の誰ソレがすごい』というような話をいつも聞かされていたので、試合で勝つということなど、まるで実感できない世界でした。

でも、あるとき館長が『お前なら○○道場の○○といい勝負をするだろう』などというのです。井の中の蛙である自分には、自身のレベルを計るモノサシなどなく、チビゆえのコンプレックスもあるので、自分を過大評価などできません。

案の定、空手をはじめて最初の年は2回戦敗退でした。何しろ、見たこともない選手たちの迫力や貫禄、会場の雰囲気に呑まれて、何がなんだかわからないうちに試合が終わったと思います。当時の自分は白帯でしたし、当然でしょう。

(うちの流派は白帯→茶帯→黒帯(有段者)の順です)。

そして、さらに稽古すること1年。2年目の試合では大躍進して準優勝でした。(優勝は同じ道場の同い年)

その後の戦績は準優勝が1回、3位が2回、優勝が1回です。

館長からは『お前らはレベルが高い。強い。まだ伸びる』と褒められました。

そして翌年。道場である小学校跡地の老朽化を理由に、道場は閉鎖されました。空手を続けたければ、ほかの道場への移籍が条件です。

館長からいくつかの提案を受けましたが、結局本部道場へいくことにしました。どうせなら、一番強い人たちと稽古したかったのです。

本部道場には、年上で憧れの練習生もいました。自分のようなチビなのに黒帯で尊敬されている人です。

が、しかし…実際に入門すると、その道場には”裏番長”がいました。自分と同い年と1年年上のT兄弟です。兄貴は茶帯。弟は白帯。段位的には自分が上でしたが、入門初日にいちゃもんをつけにきたのです。

『おう、お前、なんかしらんが、ここでは俺の言うこと聞けや』とか言い出しました。

は? つか、あんた誰? つか、俺のほうが段位上だよね? リスペクトとかナシ???

体育会系では先輩や上位者を尊敬するのが普通です。

なのに、それまで試合で対戦し、ライバルと認めて切磋琢磨してきた本部道場の練習生が『あいつに逆らわないほうがいい』というではないですか。

え? 強いキミがビビるような相手なのか? と構えたのを覚えています。

でも、実際に稽古で組み手をしてみると…『え?なに?弱いんですけど???』

当然、ボッコボコにしました。尊敬するライバルに向かって、格下のくせに偉そうにしたてので、余計です。

あとで聞けば、学校(自分とは違う学区)で不良とつるんで偉そうにしている兄弟だとか。家が土建関係でヤ印にも顔が効くので、勘違いしたガキども感がプンプンでした。

『ははぁ~ん♪』

完全に火がついたのは言うまでもありません。学区が違う自分には、彼らが不良をバックにしている威光は通用しないのです。

稽古ごとに、場外に吹っ飛ぶまでボコりました。

普段から『おう。どけや、お前ら』という態度をわざとしてみました。

あからさまに体を小さくしなが、隅っこで小さくなっていく彼ら。さんざん威張ってきたのて、その反動も凄かったです。まるで自分がいじめっ子のようになりつつありました。

 

結果的に、彼らはその後、すぐに道場を辞めてしまいました。自分たちの天下が他所から来た田舎もんにめちゃくちゃにされたのですから。しっかし、あんなに偉そうにしてたのに、ちっとも抗わないんだな。(自分が道場に通った初日『オマエ、何中だよ??』とか凄んできたのにね(小学生でしたが))拍子抜けにもほどがあると思ってました。

本当に虎の威を借りてただけのヤツラだったのか、と思ったのを覚えています。

ですが、空手なんぞをやっていると、いろんな不良や、ヤ印の連中から注目されるもので、『なんだ、あいつは強いの?じゃあオレがボコれば格があがるのか?』とかバカな理由で標的にされます。

でも、館長が『何かあったら、私に言いなさい』と言ってくれてたので、何も怖くありませんでした。

でもって、しばし。

中学に進学すると、そのT兄弟と同じ学区になりました。

入学初日に、不良を引き連れたT兄が教室にやってきて『こいつよぉ昔、オレのこと呼び捨てにしてたんやでぇ』とふんぞり返ってました。

『ちっ。めんどくせぇなぁ。こいつ一人なら余裕なのにな』とも思いましたが

中学入学初日に残り数年間をめんどくさい日々にしたくなかった自分は

『ははは、昔のことじゃないっすかぁ。もう♪』と切り抜けたものでした。

相手の反応を見る限り、自分が『はぁ?てめぇら全員、ヤってやんぞ???』なんて態度を示したら、超めんどくさそうだったのです。

 

空手の練習生時代、館長からは刃物を持った相手との死闘やら、いろんな話を聞いたものでした。

でも、そんな館長が自分にものすごく強く言ったことは『空手に私闘なし!』でした。

それは、いかなる理由があろうとも、戦うべからず。というもの。

相手が誰であれ、戦えば自分も相手も無傷ではいられない。そんな不幸がわかっていて戦うことに、何の意味があるのか? というものです。

もし、家族や大切な人が暴力の危機にさらされた場合に、真っ先にすべきことは『逃げること』と教わりました。でも、どうしても逃げられず、戦わなければいけないときもある。

そのときは防衛の範囲で思う存分戦え! とも。

競技(スポーツ)として格闘技をやった経験がある自分は、絶対に試合以外の戦いをしたくありません。

 

さて、話は戻って、相撲漫画の話。

力士のすごさは半端ないです。ぶちかましの威力は1トンを超えるといいます。

軽自動車がぶつかってくるくらいの衝撃です。

それを思えば、かつて力士が大手を振って歩いていたことも納得です。

打撃系ルールの試合では力士がなかなか勝てませんが、ストリートファイトなら別。力士の強さは異次元といえます。

ですが昔、芹沢鴨(新撰組)はそんな力士を相手に喧嘩をし、刀で切り捨てました。

最強の体格は、数秒で相手を殺すことができます。

しかし、それでさえ、刃物や銃には勝てません。

強盗やチンピラは相手を傷つける(殺す)ことに躊躇しません。

だから、まずは逃げましょう。

逃げられないときは逃げられた人に110番通報をお願いしましょう。

とにかく暴力は絶対にだめなのです。