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こっぽら土澤

現代の長屋暮らし

毎日新聞社からの回答

2020-09-05 08:43:34 | こっぽらニュース
   


2020年4月11日に起きた土沢商店街での火事。その1週間後の4月18日(土)、毎日新聞の全国版に、これに関連して「東京から来ないで」というタイトルの記事が出ました。
その内容が事実とあまりに違うので、こっぽら土澤として毎日新聞盛岡支局に抗議し、訂正記事を求めていました。その経過報告をいたします。

2020年7月28日付で、当方の弁護士さんを通じて毎日新聞盛岡支局長宛に、「訂正記事掲載の要求」文書を送付し、8月7日までの回答を求めました。8月4日に同支局長から「対応を協議中。8月末日までに回答します」の文書が届きました。そして8月24日付で 、「回答書」がきました。

回答書の内容について、下記にその要旨をまとめました。


毎日新聞社からの回答書

1 LLC「土澤長屋暮らし」はこっぽら土澤の住民とは別の、法人格を有する合同会社であり、その代理人としての貴殿からの要求は、LLCもしくはその役職員に関する記述が対象になるものと考える。

2 当該記事のうち、LLCもしくはその役職員に関する記述は、
〝松尾さんは4月8日に花巻市に来たが、大家はしばらく別の場所に住むように勧めた。管理人の女性は「『2週間はここに住まないで』と住民から話があった」と振り返る〟
〝翌9日。気の毒に思ったのか、大家が近くで所有する元店舗の空き部屋を提供した〟
の2カ所です。いずれも名誉毀損にあたるものとは考えられません。

3 そもそも当該記事では「こっぽら土澤」という名称を使用しておらず、単に「マンション」と表記しているだけであり、一般読者が当該マンションを「こっぽら土澤」だと理解するとは考えられません。

以上の通りなので、貴殿からの訂正記事掲載の要求には応じかねます。なお記事掲載に当たり弊社は十分な取材をしておりますので、その旨申し添えます。


以上です。


回答書の差出人は、支局長の有田浩子氏になっていますが、書面はおそらく新聞社の弁護士が作成したと思われる内容証明郵便の書式になっていました。
有田氏とは、すでに5月9日(土)にこっぽら土澤の集会室で1回目の話し合いをもっています。ブログの「火事と毎日新聞報道について【3】」で、その内容について詳細に報告しております。その中で有田氏は、記事を書いた山田豊氏の取材について「十分にできたとは聞いておりません」と発言しています。それなのに今回の回答書では、「弊社は十分な取材をしております」と変わっています。


       


回答1は、訂正記事要求が、LLC「土澤長屋暮らし」代表の武政からであることに対し、住民とは別の法人格の会社であるから、「LLCもしくはその役職員」に関する記述が対象になる、と勝手に決めつけています。しかし、これは LLC「土澤長屋暮らし」がなんであるかをまったく理解していない指摘です。「こっぽら土澤」をつくった母体であり、代表の武政文彦は、「こっぽら土澤」の住民組織、こっぽら土澤管理組合の理事長でもあります。住民の代表であるのです。そんなことも取材していないのなら、十分な取材とはいえないでしょう。

したがって回答2の内容は当たりません。
そして記事中の「大家」とは誰のことか。「土澤長屋暮らし」代表を「大家」と呼びかえたのはなぜなのか?緊急事態宣言が出たことを受けて、2週間の待機期間の場所を熟慮した「土澤長屋暮らし」代表のことを、なぜ「気の毒に思ったのか、大家が近くで所有する元店舗の空き部屋を提供した」と書いたのでしょうか? 「気の毒に思ったのか」という言葉は、十分に取材したら決して出てこないもの。推測、捏造の類です。
さらに、これまでなんども支局長の有田氏に指摘したように、こっぽら土澤に管理人はおりません。それらのことを、1回目の話し合いを経たあとで、今回の回答書でまた繰り返すなど、およそ新聞記者とは思えない対応です。

回答3は、記事にはマンションと書いてあり、「こっぽら土澤」と特定していない、という内容。しかし、これも的外れです。記事には花巻市東和町と明記されており火事現場の写真も使われています。ここではマンションといえば「こっぽら土澤」以外に存在せず、「一般読者」がこの建物の記事だと話題にしたり、事情を聞きに来たりしました。武政のところには、自分が記事を読む前に、「一般読者」が新聞を薬局に持ってきてくれました。岩手県だけでなく、他県からの連絡もありました。実際に花巻市東和町で起きた事実の数々を、勝手に「考えられません」と否定するなど、言語道断といえます。


弁護士さんと相談の上、再び要求書を送付する予定でおります。


         

そして、最後に今回の件で、私たちは多くの皆さんから励ましの声をいただき、そのことに心から深く感謝しております。
実際にこっぽらに来てくださる方もおられ、東和薬局の武政の元に励ましに来てくださる方もいました。そして「土澤商店街を応援します!」という署名を集めてくださった方もいたのです! 八幡平市、盛岡市、奥州市、さまざまなご住所とお名前のひとつひとつに胸が熱くなりました。
お一人から、長年とっていた「毎日新聞」をやめました、と聞いたときは、ほんとうに驚きました。私どもの中にも、毎日新聞を信頼して読んでいたものがおり、今回の事件で衝撃を受け、新聞に対する見方も変わりました。
どんな記事も、取り上げた人の人生、暮らし、その地域のあり方を大きく変える力をもっています。責任を持って取材をしてほしいし、万が一取材不足で事実と違っていたときは、率直に謝罪してこそ、信頼関係が成り立つのだと思います。


引き続き、私たちは毎日新聞社に抗議と訂正記事を求めていきます。


         



火事と毎日新聞報道について【3】

2020-06-08 19:08:02 | こっぽらニュース
                         

毎日新聞社に対しては、記事の内容について、事実と違う点をすでに伝えてありました。下記の点です。

・タイトルの「東京から来ないで」は、だれがいったのか? 
 こっぽら土澤の住人はだれもその言葉をいっていない。

・なぜ、松尾さんの入居を取り扱っている、こっぽら土澤の運営会社、土澤長屋暮らしにきちんと取材をしなかったのか?

・記事中、「3月末、マンション住民の会合に参加すると雲行きが変わった・・・」とあるが、住民の会合など開かれていない。
3月半ばに、高齢者のお茶会に松尾さんを招いて一緒に歓談したことがあったので、そのことを指しているとしたら、その場の空気は書かれているようなものではなかった。コロナのことはまだそんなに深刻な話題になっていなかった。松尾さん自身、帰るときにとても楽しかったと話していた。

・記事中、「管理人の女性は『2週間はここに住まないで』と住民から話があった」と振り返る、と書かれている。しかし、管理人はここにはいない。週に3日事務をお願いしている方を指しているようだが、本人はそんなことはいっていないと語っている。
山田記者と会ったとき、緊急事態宣言が出たのだから、2週間の待機は当然でしょう、ということと、こっぽらの高齢者の方から不安の声が出ている、ということは語った。そして「取材は私ではなく長屋暮らしの担当者にしてほしい」と伝えたという。

・記事中、「マンションは国による高齢者家賃補助の対象となるため、松尾さんは、転入届を市に出して新しい住民票を早期につくる必要があったとみられる」とあるが、これも違っている。ここでは高齢入居者の方は、引越しを終えたあとで手続きをしている。入居した日付にさかのぼって補助が出るので、転入届のあるなしは関係ない。

・国「追い返しなら問題」、という見出しがついたところ。首相が発表した緊急事態宣言について、ここで触れていないのはなぜか? 
国や自治体は2週間の待機期間を要請している。その場所や内容については、どのように考えているのか? 通常、自宅やホテルで待機と報道されていたが、今回のように新居に移ってくる場合は、国や自治体はどこを待機の場所と想定しているのか? 
この宣言が、ここの高齢者を不安にさせ、移住しようとした松尾さんをも不安にさせた。

国や都知事がとどまるように要請を出した後、松尾さんは連絡なくやってきた。このような場合、どのようにしたらスムーズに入居してもらえるか。時間のないなかで考えた結果が、長屋暮らし代表の持ち家を無償で提供し、そこに2週間住んでもらってから、こっぽらに移ってもらうという方法だった。が、記事中には、それが理解できる内容はない。住民が「2週間はここにすまないで」といったので、大家はしばらく別の場所に住むように勧めた、となっている。記事の筋は、事実とは大きく異なっている。

以上の内容の文書を、毎日新聞盛岡支局長、そして東京本社編集局長宛に郵送で出していました。

       


毎日新聞盛岡支局長、有田浩子氏との面談記録

5月9日(土)の面談の最初に、土澤長屋暮らし代表の武政文彦から、次のように話しました。

「こっぽら土澤は、東京から来る人を追い返すようなところとは100%違うところ。いろいろな方が支え合って暮らしています。今回もいかにして入居者を安心して迎え入れるかということを基本に、さんざん考えた結果のこと。それなのに、タイトルからして「東京から来ないで」と追い返したようになっている。後追いの記事の週刊文春、週刊新潮も、コロナ村八分のような表現で、意図が違っている。だから、訂正の記事を載せてもらいたいというのがこちらの主旨です」

毎日新聞盛岡支局長の有田浩子氏の返事は、下記のものでした。

「記者本人にも事情は聞きましたが、来られた松尾さんをしばらくここには住めないということで、いろいろ奔走されて、住む場所を与えていらっしゃって、その意図を十分に汲んで書いているつもりですし、記事全体で訂正というか、事実を歪めているということは当たらないと思っています」

事実を歪めていない、というので、具体的にひとつひとつ聞いていきました。
以下は、有田氏の敬称略で書かせていただきます。


タイトルの「東京から来ないで」は、誰がいったのでしょうか? 住人は一人もいっていませんが。

有田「タイトルというのは、こちらの編集の方でつけるものではなく、本社の方でつけるものです

? 勝手につけたんですか?

有田「いや、こちらも目を通しております

かっこがついているでしょう? 誰の発言ですか?

有田「だから、必ずしもそういうことではなく。これは二つの記事がありまして、二つの記事を見て、本社の編集セクションがつけているので、誰かがいったとか、いわないではないです

二つの記事とは?

有田「花巻市の方で、事実上転入届を受け入れなかったということ

花巻市のことと両方を兼ねていっているんですか?

有田「そういうことです。事実上はばんでいる、ということです

それを勝手にだれかがいったことにして書いた。かっこ書きというのは、人がしゃべった内容ですよ。ここには、東京からきた人たちもいるし、みんなでつくっている共同住宅なんです。だれかが勝手にこんなことをいうなんて、ありえないです。きてもらわなきゃ困るんですから。

有田「はい、それはそうです

そもそも新聞が報道している通り、国も自治体も2週間ということを言っているんですよね。だれがその2週間の担い手になるんですか?

有田「はい?

記事のタイトルにも、コロナって書いてあるでしょ。コロナが関係しているんでしょ? 国も県も、移動するな、移動した人は2週間待機して、とか。みんな不安を抱いている中で、ここ土沢で悩みながら、一個人が不安で右往左往していることを取り上げなくちゃいけないんじゃないですか。その不安を解消するために奔走した、ということを取り上げるならともかく、来るな、とか、そういう文面になること自体、新聞社としておかしいと思いますよ。

有田「記事の中でも書いていると思いますが

そう読めませんが、どこですか?

有田「大家さんが、住むところ、別のところを用意してくださっているという

大家さん? だいいち、記事はほとんど一人の発言ですよね。なぜ、入居者に対応している土澤長屋暮らしに、きちんと取材しなかったんですか?

有田「お邪魔したと・・・

まさにお邪魔でした。仕事場の薬局で、患者さんがいらしているところで、出たり入ったりするなかに来られて。私たちも昼間は忙しいけれど、夕方とか夜はちゃんと時間がとれるんですから。常識的に考えても、どの時間にお邪魔すればいいですか、とかそういうやりとりがあっての取材だと思うんです。それがまったくなかったことが残念です。

有田「そうですね

一人の人の話だけで書く。裏をとるとか、ふつう上司だったら、もう少しここを聞いてこいとか、ないんですか?

有田「はい、上司はそのように指示しております。デスクというものがおりまして、もう一度確認させたり、そのような取材を

でも、ほとんど一人の人の言葉ですが。

有田「その方だけでなく、住人にも取材をして

だれですか? 住人はだれも受けていないのですが。

有田「私はわかりません。記者が・・

入居者の担当をしている私に聞いてほしかったですね。思い込みやかたよった情報だけで書いているからこうなるんですよ。取材し直せば、まるで違う記事になると思いますよ。

有田「十分にできたとは聞いておりませんけれども

それでもう記事にするわけですね。

有田「永遠に取材に時間をかけられるわけではないですから


        


このやりとりでわかったことは、「東京から来るな」といった人はいないということでした。
取材で聞いた言葉ではないが、記事全体の内容を表すものとして、東京本社の編集局がつけたものだということ。記事は、記者が原稿を書く。デスクが見て追加取材などの指示を出す。できた原稿は支局長が目を通し、こういう記事があると本社に伝える。全国版にのせるかどうかは本社の裁量。載せることになったら、本社でタイトルをつける。という流れのようです。地方支局の記事が全国版に出るのは、月に数回とのことでした。

また、住人にも取材したというのですが、山田記者と話した住人はだれもいません。有田氏はわからないというので、山田記者に再度確認してほしいと伝えましたが、その後返答はありません。
おそらく、事務の人との会話から、「2週間はここに住まないで」と住民がいっているように書いたのだと思われます。繰り返しになりますが、住人は山田記者とは話していません。


有田「真意が伝わらないのはひじょうに残念ではありますけれども、この当時の取材に基づいてできるだけのことでやったもの
 
では、真意はなんですか?

有田「一人の男性が焼死したということ。コロナがなければ、そもそもこういった悲劇は起きなかったでしょうね、ということを。警察の取材から始まり、火事で死んだ方が東京の方で、たまたまこちらに移住してこようとした方だったというところから取材が始まって

そういう興味ですか? 

有田「終の住処にしようと思った方が、終の住処でないところで亡くなったということですよね

この方は、この土地が終の住処だと思ってきているわけですよ。それがこのコロナの問題があったので、2週間をうちの部屋で過ごすことになった。2週間後にはこっぽらに移ったわけで、こっぽらの部屋であろうが、うちの部屋であろうが、終の住処なんですよ。



毎日新聞盛岡支局長との面談は、こっぽら土澤の集会室で行い、1時間半ほどでした。内容的には、上記に引用したものの繰り返しでした。
毎日新聞社の関心は、東京からの移住者が焼死した、ということにあり、まず警察から取材を始めたということでした。それにしては、警察から聞いた言葉は、記事中どこにもありません。移住先の住民から2週間住むことを拒否されて、のがれるように別の家に住み、そこで亡くなった、との筋立てで記事はまとめられています。

移住先のこっぽら土澤では、国や東京の緊急事態宣言後の移動であったため、自粛要請と待機を受けて、高齢者施設ということを考慮し、個人宅を提供して2週間の待機期間をとる措置をとりました。しかし、そのことと、偶発的に起きた火事とを結びつけることは、でっち上げのたぐいではないでしょうか。私たちからみると、明らかに事実とは違う記事内容です。この記事を読んだ人がどう受け取るか、それはその後に出た週刊誌の内容を見ればわかります。

私たちは、その方にこっぽらに入ってもらうために、その措置をとったのです。記事にある「来るな」ということと反対のことです。
その方が火事の延焼で亡くなられたことは、私たちとっても言葉では表現できないほど深く悲しいできごとでした。そして、それに追い打ちをかけるような記事でした。



こっぽら土澤には、ほぼ同時に東京から入居予定の方がありました。
昨年すでに契約も済ませ、この春入居予定でした。しかし、今回の緊急事態宣言があったため、その方はまず花巻市に連絡をとり、どうしたらよいか相談されたということです。そして、こっぽら土澤にも連絡があり、緊急事態宣言で自粛要請が出ているので、その後の経緯を見てから移転の時期を相談しましょうということになりました。
その方は、6月に入居予定となりましたが、4月の毎日新聞報道に大きなショックを受けたということです。
毎日新聞記事については、インターネット上にも出ており、今も多くの人が見る機会があります。こっぽらの住人も、家族、親戚、関係者からこの報道についてたくさんの連絡をもらい、その説明に苦労しています。そこで、こっぽら土澤としてのブログを通して、何があったのか、その経緯を伝えていく必要性を強く感じました。

こっぽら土澤には、東和町土沢の地元で生まれ育った人、花巻の人、若い頃は都会に出て働き戻ってきた人、また近在の町や東京から移住してきた人、さまざまな人たちが助け合い、支え合いながら暮らしています。こっぽら土澤をつくった当時から今まで、その精神は変わらず受け継がれています。今回、それと正反対の記事を書かれたことに、大きな憤りを感じています。

私たちは、毎日新聞社に今も訂正を求めていますが、まずはこのような経過を多くの皆さんにお伝えしたいと思っています。
長い文章を読んでくださって、ありがとうございました。


        


火事と毎日新聞報道について【2】

2020-06-08 11:01:12 | こっぽらニュース
        

入居の経緯について、ご説明します。


2019年12月    こっぽら土澤の高齢者住居の一つが空室状態になる。

2020年 1月  スナック店主から入居希望者がいると紹介あり。

    2月  入居希望の松尾さんが東京から来て部屋を内見。入居を決める。
        不動産屋を通し賃貸契約を実行。保証人はスナック店主。
        引っ越しは4月頃との話だった。

  3月17日  松尾さんが東和町に来ているとのことで、こっぽら集会室で毎週開か
        れる高齢入居者のお茶会に参加。皆さんに紹介する。

  3月18日  こっぽら土澤管理組合理事会で、松尾さん入居の件が報告される。
        理事から、保証人が親族ではないため連絡先は聞いておいたほうが
        いいとの発言があったが、入居に関して異議はまったくなかった。

スナック店主によると、松尾さんは旅行好きで最初に現れたのは、30年ほど前。その後、ぽつぽつと店に来ていたそうです。あまり話さない人だったが、昨年暮れから親しくなり、こちらに住んだらとすすめたら、ちょうど終活を考えていたと関心を示したとのこと。
今年1月、2月、3月も、月2回来ていたとのことです。

   3月25日  東京都の小池知事は緊急記者会見で、都が「感染爆発の重大局
         面」にあるとし、週末の不要不急の外出を控えるよう呼びかけた。

   4月7日  この日の夕方、安倍首相が東京都を含めた7都道府県に緊急事
        態宣言を発令。外出自粛要請を求めた。また、岩手県知事も7都 
                      道府県の住民に対して、他地域への往来を控えてもらうように要請。

   4月8日   各新聞に、巨大な文字で「緊急事態宣言」の見出しが出た。
         こっぽらの事務の人のところに、高齢入居者が不安を訴えにき
         た。松尾さんがいつ東京から来られるかわからなかったので、土澤
         長屋暮らしの方から連絡をとることになった。
         しかし、同日夜9時ごろ、スナック店主から長屋暮らし役員のところ
         に「松尾さんが来た。今晩は車中泊」というメールが入ったので驚
         いた。車中泊とは、店主の車に松尾さんが泊まる、という意味。

この時点では、松尾さんが土沢に来る度に店主の車に寝泊まりしていることを、私たちは知りませんでした。この日も松尾さんは近くまで来てから、店主に電話があったそうで 
 「いつものように、カーホテルで」と頼まれたそうです。店主の車に泊まるときは、夜の飲み代に、ある金額を足して、払っていたということでした。

          4月9日  不動産屋立会いの元、入居の部屋の鍵を松尾さんに渡した。松尾
         さんは、この日、入居の部屋を訪れている。


松尾さんは、転入手続きで来たといいましたが、長屋暮らしの担当者は、東京の緊急事態宣言が出たため、不安になって早めに来たように感じたそうです。
「しばらく東和町にいたい。その後で東京に荷物を取りに行く」といったそうです。つまり、引越しの荷物はまだ持ってきていませんでした。
松尾さんから引っ越し予定日の連絡がなかったため、入居予定の部屋は、まだ電気が使えない状態でした。松尾さん自身の荷物(寝具)もなく、冷える日もあるので、長屋暮らし代表の持ち家に、2週間の待機期間として滞在してはどうかと伝えました。
松尾さんは了解して、その日からその家に泊まりました。昼間は店舗として営業をしている店舗兼住宅ですが、2階の寝室を提供しました。松尾さんは、その日「転入届は、10日に東和総合支所に出す」といっていました。夜は、毎晩スナックへ通っていたようです。


   4月10日  松尾さんに、岩手県知事のメッセージ(2週間待機)の紙と、健
         康自己点検ができるよう2週間分のチェックリスト表と体温計
         を、長屋暮らし代表から渡した。

   4月11日  朝、隣家から火事発生。その火災に巻き込まれ、松尾さんは2
         階の窓から運び出されたが、病院へ運ばれるも助からなかった。


花巻市への転入届については、花巻市のホームページに花巻市としての検証と見解が公表されています。

「4月11日に花巻市東和町で発生した火災にかかる一部新聞及び週刊誌の報道の掲載内容について事実と異なることがありますのでお知らせします」
というタイトルで、令和2年5月7日付で、花巻市東和総合支所地域振興課の方から、
出されています。












火事と毎日新聞報道について 【1】

2020-06-08 09:35:52 | こっぽらニュース
        

まわりの誰もが4月11日(土)の火災に衝撃を受け、被災した当事者の方々の現場検証が続いているなかで、火災から1週間後の4月18日(土)、毎日新聞全国版に、大きな記事が出ました。タイトルは、「東京から来ないで」
花巻「移住」に待った 転入届「2週間後」 72歳仮住まいで焼死 新型コロナ 
という見出しが続き、火災で被災した三軒の家の写真が出ています。
署名記事で、写真とも山田豊となっています。



内容を読んで仰天しました。亡くなった男性は、ついの住み家にと東京から3日前に引っ越してきたばかり。新型コロナウイルスの感染を警戒され、入居が決まっていたマンションの住民に「しばらく来ないで」と告げられ、市からも転入届の提出を待つように求められ、追われるようにして仮住まいに移ったばかりの悲劇、と出だしの文章に書かれていました。

私たちが知っている事実とは、まるで違います。記事には、マンションと書かれていますが、そのような建物は東和町では一つだけなので、地元で読んだ人はすぐに、こっぽら土澤のことだとわかります。住人である私たちは、「東京から来ないで? そういった人がいる?」と首をかしげるばかり。東京に限らず、県外からも来てほしいという広報はしても、「来ないで」というなんて考えられません。記事には、住人に「しばらく来ないで」と、コロナと関連して告げられた、とありますが、だれ一人そんな言葉をいった事実はありません。

あの毎日新聞が、こっぽら土澤に入居者についての取材もしないで、こんな一方的な記事を書くのだろうか、とふしぎで、当初はとまどいました。記事は、同じ土沢商店街で店をやっている、カラオケスナック店主の言葉で全体が構成されています。その語りで、筋ができています。

             

こっぽら土澤の高齢者賃貸住宅の運営を行っているのは、土澤長屋暮らしという合同会社です。その代表は、今回の火事の被災者の一人でした。毎日新聞社の取材については、「4月15日に仕事場である薬局に山田豊記者が現れ、何か聞かれたが、患者さんたちが次々に来られるので、ゆっくり話はできなかった。しかし、まさかこんな記事になるとは」と、驚愕したようです。

長屋暮らし代表は記事が出た18日(土)、すぐに山田記者に抗議の連絡。山田記者は、翌19日(日)にやってきました。しかし、事実と違うと説明しても、ただ「はい、はい」と聞くだけで、なんのメモも取らず、話にならなかったそうです。そこで、盛岡支局長、さらに東京本社の編集局長宛に、抗議文と記事のどこが事実と違うのか、詳細を書いたものを、土澤長屋暮らし代表から送付しました。

返事を待つ間の、4月23日(木)。その日発売の週刊文春、週刊新潮に、この毎日新聞記事を元にした記事が出ました。最初に毎日新聞記事を読んだとき、まるで週刊誌だという印象を持ち、「これでは週刊誌も書くのでは」と住人で話していたのですが、予想通りでした。週刊文春、週刊新潮は取材にも来ないで、新聞の記事を元に、カラオケスナック店主に電話取材をして、記事をつくりました。2誌のタイトルは、毎日新聞記事を読んだら人々がどう受けとめるか、という答えになっています。


・週刊文春のタイトル
「住むな」で焼死、即特定・・・田舎でコロナの恐怖

週刊新潮のタイトル
岩手県への移住者が「コロナ村八分」で死の悲劇


取材不足の毎日新聞の記事を鵜呑みにして、さらに輪をかけ、ふくらませて、センセーショナルにした記事でした。
こっぽら土澤に移住予定の人。その人が東京の緊急事態宣言が出た後に連絡なく来たために、2週間の待機期間を経てから入居、という合意になったこと。その入居についての経緯と4月11日に起きた火事とは、まったく関係がありません。しかし、その二つを関連づけて、ゴシップのような記事に仕立てています。その大元は、毎日新聞の記事です。


5月1日付で、毎日新聞盛岡支局長の有田浩子氏から回答がきました。内容は「いずれも当時の取材に基づいて記事にしたものであり、事実を歪めるというご指摘はあたらないと考えている」というもの。しかし、「手紙では十分ご理解いただけない点があるかもしれないので、一度おうかがいできれば」と書かれていました。そこで、5月9日(土)に有田氏にこっぽら土澤に来ていただき、面談することになりました。

ここまで読まれた方には、記事の取材源であるカラオケスナック店主(以下、スナック店主と省略)がどういう位置関係にあるのか、わかりにくいと思いますので、ここで、こっぽら土澤への入居に至る過程をご説明したいと思います。






土澤商店街の火事

2020-06-07 14:40:37 | こっぽらニュース

        


2020年4月11日(土)朝、土沢商店街で火事が発生しました。花巻市東和総合支所の斜め前、店舗兼住宅からでした。花巻市の発表によると、「朝6時50分ごろ、花巻市東和町土沢地内の住宅が密集した消火活動困難性地域で発生」とあります。第一通報者から消防署への電話連絡は7時1分とのこと。7時5分ごろ目撃した人の話では、消防車1台はすでに商店街の通りに到着。風は強くなく、住居奥から立ち昇る白い煙はほぼまっすぐに上がっていました。その後、次々に消防車が到着。東和総合支所の駐車場は、何台もの消防車で埋まりました。しかし、白煙が黒煙に変わり、炎が見えてからの勢いはすさまじく、両隣に燃え移り、火災は大きくなりました。鎮火までに4時間弱。花巻市発表によると、住宅、物置など計7棟焼損、1棟水損、死者1名の大火となりました。


       
       ↑7時4分 白い煙が立ち昇る



       
       ↑ 7時6分 炎が上がる


この火事についての花巻市の発表は、市のホームページに掲載されています。
東和町土沢地内の建物火災について
https://www.city.hanamaki.iwate.jp/shisei/shisei/gyoseihokoku/1011461/1011877.html

土沢商店街の身近で起きた火事。そこで身近な人々が被災したという衝撃。さらに、こっぽら土澤に入居予定だった方が死亡するという悲報に、私たちは言葉を失いました。こっぽらに入居予定の方は、火災が起きた住居の隣家に、2週間の待機期間として住み始めたばかりでした。
この火災については、岩手日報、岩手日日新聞、また岩手のテレビニュースで報道され、多くの方々を驚愕させました。


        
        ↑ 東側の隣家に炎が見える


        
        ↑ 西側の隣家にも炎が移る


この火災について、土沢の住人として今後の大きな課題を感じました。
発生からの通報も早く、消防車の到着も早かったにもかかわらず、「消防活動困難性地域」ということもあったようで、消火まで時間がかかりました。そして発火元隣家の2階におられた方を助け出すことができませんでした。
この衝撃は大きく、私たちは亡くなられた方のご冥福を心からお祈りすると同時に、二度とこのような事故を起こさないためにも、事実を検証し、そこから学んでいく必要があると強く感じました。

防火についての知識だけでなく、消防活動についても私たちはもっとよく知る必要があります。消火栓が近くにあれば、水が供給されて消火活動ができると思っていましたが、今回の場合は、距離のあるコミュニティセンター隣の和田公園のプールから水を引くことになったり、鏑用水から水を揚げたり、など消火活動は多岐にわたりました。家々が建て込んだ商店街、家と家の間のわずかな隙間に、灯油タンクがあり、ひじょうに危険であることもわかりました。

また、いつ、どこで、火災が起きるかわかりません。そのときのために私たちは今回の火災からできる限りのことを学んでいきたいと思っています。