ひなげし日記

本と映画とお芝居と…

桃と葡萄と、「黒い雨」

2015年08月06日 | 

 桃とブドウを買い、後ろの席に乗せておき、用事を済ませ車に戻りドアを開けるとこの猛暑の中だからだろう、果物のひと際濃い甘い匂いがワッと溢れ出す。香りに包まれ走る。贈答品にはならない安めの品を買い込み、セッセと食べている。先日の台風で摘み取り間ぢかの桃が沢山落果したそうだ。手間暇かけて来たものが目の前で無残な姿をさらすのは、泣くに泣けない悔しさだろう。一花一花、受粉するその手間は・・・・時間は・・・・ 友が作っているのでその苦労を聞かせてくれたことがある。今回の被害はどうなのだろう?

昨日買った桃を剥いている。少し軽く皮に爪を立てそこから剥いて行く。丁度熟れ時だと、軽く引くだけで皮がつるりと剥けて来る。3回くらいまわせば剥ける。桃もブドウも最近は色々な品種がある。今頃は清水白桃かな? 綺麗なクリーム色にほんのり薄紅色。形の美しいもの。私は見た目で選ぶので当たり外れがあり、美味しかったりそうでなかったり。今は晴天が続いているからどの実も甘いけれど、中には甘味の足りないのもある。この後出る黄金桃が私は好き。白桃の様に柔らかいばっかりではなく、硬めの果肉が良い。直ぐ傷みだすので触るのもためらうような白桃より、日焼けした元気な子供みたいな黄金桃の方が。

ブドウは紫峰とかいう品種。他の品種とどう違うのか?食べてみたが良く分からない。

青春切符を使い、友と京都まで。奈良岡朋子さんの朗読「黒い雨~八月六日広島にて、矢須子~」を聞きに。七時過ぎの普通列車で姫路、新快速に乗り換え京都まで。京都府立文化芸術会館までバス、府立医科大前で降りる、結構時間がかかるが、会場は降りた直ぐ目の前だった。開場まで時間があるので、裏にある御所を見に行く。と言っても周囲をグルリと回るだけ。この日も凄い暑さ。出来るだけ蔭をと塀の間際を歩く。ここくらいしか蔭が無いのだもの。と、「ここから中には入らないでください」とかいう音声が流れている。「ここは入れないの?」「でもあそこにも人がいるよ」などと言いながら歩いて行く、が、音声は止まない。中ごろまで行ったとき―塀や溝の中を歩かないで・・・・―の掲示板。ああ、そうか。あんまり日陰が無いので塀にくっついて、水の流れて無い窪み(ここが溝だった)を歩いたのだ。さっきからの音声は私たち向けのもの、知らぬが仏と言うのか、うっかりボンヤリと言うのか・・・・ それにしても本当に日陰が無い。砂利の広場を次の角、次の角目指し、焼きつくような下をただ歩く。やっと休憩所にたどりつき、息をついた。

会館に戻っても1:30までまだ時間があるので、その隣りの部屋で開かれていた絵画展を見る。「花の精」とか題が付いた絵を前に1人の男性と女性。男性が先生なのか絵の解釈か描き方か、ここはこう、この部分はどう・・・とか大きな声で話されていた。聞きたくなくても耳に入る会場中に響く声に二階の展示場に移動した。が、やっぱりここまでもこられ、また別の絵を大声で解説。習っておられる人には貴重なのかもしれないが、静かに絵を見たい人にはどうだろう? 私だって好きな絵の解釈とか解説とかは、勉強になるから聞きたいこともある。でもここまで大きな声で傍若無人にやられると、もう少し声を低めて…と思ってしまう。

やっと開場になり入る。チケットは友が先にネットで取ってくださっていた。

演出が丹野さん。奈良岡さんは白いシャツに黒いパンツというスッキリした衣装で登場、静かに椅子に座り足を組まれると、傍らに置いた台本を取り上げ「黒い雨、井伏鱒二より・・・」と読み始められる。出だしの声が少し引っかかったみたいないつもの声と違って感じられた。でもすぐいつもの声に戻られる。好きな声だ。淡々と読み続けられる。舞台中央に椅子が一脚、下手に小さなテーブル、上手にスタンド、マイク。他には何も無い簡素な舞台だった。「シンプルに」が今回の丹野さんの演出だとか。80を過ぎた奈良岡さんの年を感じさせないお声と、台本の中身が静かに響いてくる1時間15分の朗読の時間だった。終わっても皆さん、暫く席を立たれなかった。去った奈良岡さんが戻って来られ、頭を下げられて初めて拍手の音が会場に響いた。

終わって、ちょっとだけ買い物でもと、八条河原町だったかでバスを降りる。かき氷を食べようとお店の表にある値段を見ると、かき氷が1,000円から1,200円だって!!たかがかき氷にこんなにと思うと「止めた、止めた」 他のお店を探すがどの店もこんな値段だ。とにかく何か冷たいもの、喉を潤おすものをと歩く。最後にはもうどこでも良いやになってしまう。御所で6900歩、1日終わって見たら9800歩ほどになっていた。暑い中を良く歩いたもの。

 


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