徒然日記

日々の記憶

ベトナム 最終話2

2007-06-19 22:43:48 | グルメ
 そうして、飛び乗ったタクシーから見えるホーチミンの街は、また違う顔をしている。郊外に向かうにつれて、あきらかに観光客ではない人たちが20人くらいでたむろしているのを見かけるようになる。みんなバイクを持っている。それから、家族4人乗りのバイクも結構いたりする。お父さんとお母さんの間に子どもを挟んで乗せているのだ。家族でお出かけの風景なんだなあ。ネオンの色はやたら派手だけど、それがすごく元気がよく見えて頼もしい。楽しいなあと思っているうちに、お店の前に着いた。朝のラポティケアと同じくらいの道のりのはずなのに、心の持ちようでこんなに違うのね。

     

 お店の中はシックな感じ。右端のアオザイの女性がママさんなのかなあ。この一角で、飲み物を作っていた。フレッシュジュースは、ここでおもむろに果物を切って、必死で絞ってた。アオザイ着てると、すごくスマートに見えるけど、近くにくると結構ボリュームのある女性なのよ。アオザイって、はじめて知ったんだけど、ウエストのあたりまでスリットが切れ込んでるから、手を上げたりすると、ウエストのお肉が見えるのね。ベトナム航空のスチュワーデスさんも、お肉がぷにってはみ出してて驚いたものだ。女性を世界一綺麗に見せる衣装ってのは本当かもしれないと実感。

 店内から外を見たところ。すごく賑やかな感じ。

 タクシーは右側通行なので、この店の真向かいで降ろされた。ところが、幅5mほどの道なのに、バイクがひっきりなしに通るので渡ることができない。そうこうしていると、このレストランの前で風呂椅子に腰掛けていた男の人がやってきて、手を引いて渡らせてくれた。どのお店にも、店の前にこういう人がひとりか二人いるのだが、この人たちの仕事はこのためなんだろうか?そんなわけない。道を渡れないのは私くらいなんだから。たいてい、お店の前か横の部分がバイク置き場になっていて、そこの整理をするためにいるみたいだ。そういえば、現地のお客さんたちはみんなバイクでやってくるものね。要するに駐輪場係ってわけみたい。

 

「Banh it ram」という料理。

 疲れていたのもあって、あまり食欲がないなあと思いつつも、これがおいしいと聞いていたので、何かもわからずとりあえず頼んだもの。回りにあるのは、中華料理でいうおこげみたいなものだろうか。コメをつぶして揚げたような感じ。一目見て、「あ、くどそう。」と思ったが、食べてみるとこれがいける。あっというまに、1/3くらい食べてしまった。

 とはいえ、これ、すごく量が多いのだ。30cmくらいのお皿なので、楽に3人分はあるだろう。悲しいかなこれ以上食べられないなあ。。相変わらずのココナツジュースは、ご飯のお供にはならないし。。

 で、ここで解禁。アルコール。ベトナムにきて一度もアルコール飲んでなかったのだ。あ、バーで飲んだのは別にして、晩酌ではってことね。といっても、公会堂であった大阪のおばさまが、333(ベトナムのビール)は甘ったるくて薄いと言ってたのを思い出して、ハイネケンを注文した。

 さっきの飲み物を作る場所というのが私の席からよく見えるので、退屈しのぎにじっと見ていたのだが、なんだか変ったことをはじめるではないか。ジョッキにいっぱいの氷を入れては、捨て、入れては捨てを繰り返している。「もしかして、食洗機で洗ってジョッキが熱いから冷やしてる?」と思ったのだが、それなら水で冷やしてもよさそうなもんだ。しばらく繰り返した後、最後にひとつ大きな円柱形の氷を入れて、ハイネケンの瓶と一緒に持って来てくれた。

 「え??氷の入ったこのジョッキにビールを入れて飲むの?」 ベトナム人は、とことん温度にこだわるのかしらん。さすがにビールはキンと冷えておいしい。もうたくさんと思ってた先ほどの料理が、また進みだした。

 そして、もっと他のものも食べたいなあと思い、「cha Gio」を頼む。これは揚げ春巻きだ。

 でも、さっきの料理の量からすると、この揚げ春巻きも量が多そう。前日にホアンイエンで食べた生春巻きの大きさを思い出して、これは困ったと思い直す。

 給仕のおにいさんに、少しでいいからと伝えようとするのだが、これが中々伝わらない。このレストランもベトナム語オンリーなのか。。身振りでなんとか説明していると、これまた前日同様に、他の給仕さんたちも集まってきた。さっきのママさんもいる。私が何か言いたそうなのを、みなで必死で解釈してくれようとしているのだ。こうなると途中でやめられないし。

 まるで、ジェスチャーゲーム。大きな四角を作って、その半分だけというジェスチャーをすると、「ヤーッ!!」言いながら、うんうんという風にうなずく。「わかってくれたのね!」と思って彼の方を見ると、その彼がジェスチャーをし返すのだが、これが違うのだ。春巻きの形を作って、それをはさみでチョキチョキと切る仕草をする。
「ああ、私が大きな春巻きは食べられないから、切ってほしいと言ってると思ったのね。そうじゃないのよ。私はもうお腹が大きいからたくさんは食べられないの。」とお腹前で手を膨らませる動作をした。
 すると、そこにいた全員が一斉に「ヤーヤー!!」わかった!!と言ってくれたのだ。そして、交代で、私の肩をたたいては「わかったよ」という風にうなずいてくれた。ママさんにいたっては、頭の上で手を打って、大笑いしている。

 そんな大騒ぎをした揚げ春巻きだが、ちゃんと2個だけやってきた。すごく大きなお皿の中に、2個だけ。 しかも、その春巻き、やっぱり一口大に切ってあるし。思わず、笑ってしまったら、お店の人たちもみんなこちらを見てて一緒に笑っていた。たわいないことだけど、そういうサービス精神がうれしかったりするじゃない。

 そんなこんなで結局、ひとりで1時間あまりも店にいた。すごく楽しいのだけど、8時半にはホテルに戻らなくてはいけない。ホテルに集合してから空港に向かうことになっているのだ。フリーだけど、空港とホテルの往復だけは、現地のガイドさんが付いてくれることになっているので、ちゃんと時間を守らないといけない。でも、時計を見て、まだ40分あるから余裕ねと思いながら、タクシーを呼んでもらうようにお願いする。いくらガイドブックを見て言っても、ベトナム語は通じないのはわかっていたので、仕方なく英語で言ったのだが、すると給仕をしてくれていた男の子のひとりがすごく嬉しそうな顔をするではないか。どうやら彼には英語が通じるらしい。「すぐによんであげるから、そこで待ってて」と言いながら、電話をかけてくれた。

 タクシーを待っている間、先ほどのママさんが席にやってきて、大笑いしながら何か話しかけてくれるのだが、これは全然伝わらない。 でも、彼女的にはすごく受けてるらしくて、自分と私を指差しては、背中をバンバンたたいてくるのだ。ああ~~なんて言ってるんだろう。。

 そうこうしていると、10分が過ぎた。タクシーってすぐに来るものだと思っていたが、郊外なのかなかなか来てくれないみたいだ。気になって表まで出て待とうとすると、さっきの電話をかけてくれた男の子が一緒に外まで出てきてくれた。そして、英語で何か話しかけてくるのだが、私の聞き取り能力の悪さゆえか、彼のベトナム英語なゆえかわからないのだが、ようするに彼の言ってることが私にはよくわからない。ごまかすように笑いながら首をかしげていると、レジの請求書の束をひっくり返して、英文を書き始めた。なるほど。書いてもらえば私にもわかるわ。受験英語しか知らない世代の悲しさよ。 でなぜか?こちらの言うことは、彼にちゃんと伝わる。そんな風で、私が聞き取れないと、紙に書いてくれては私が口で答えるという繰り返しだ。レジの紙は、何枚も繰っては、だんだんくちゃくちゃになってきたが、彼はそんなこともおかまいなしに必死で書いてくれるのだ。

 そんなことをしているうちに途中で、これはもう間に合わないと思い、JTBのガイドさんの携帯に電話をかけさせてほしいと頼んだ。また店内に戻ってお店の電話を貸してもらう。今回の旅では、何度かこういう電話を借りるという場面があったのだが、ベトナムの人は電話代を受け取らないのだ。それって、電話代が極端に安いから?みんな「いいよ。いいよ。」と言ってくれたので、細かい日本人としては拍子抜けしちゃったんだけど。。不思議のひとつだ。

 そんな調子で、お店の表でバイクの喧騒を前にして、30分近くも話をしていたことになる。その彼に「今度はいつ来るか?」と聞かれた時には、真剣に「いつだろう。。」と考え込んでしまった。いつかは来るのだろうかというのが本当のところなのに、「まだわからない。」と答えてしまった。すると、驚いたように「どこから来たの?」と聞いてきた。私が近くに住んでいるとでも思ったのだろうか。それなら、注文にあんなに苦労しないよ。 
 私が「日本から来たんだよ」っていったら、私の顔をまじまじと覗き込んで、穴があくほど見つめる。
 「ええ~~。あの私って、なんに見えてるんでしょうか。。」と聞きたかったけどやめといた。聞かぬが花って言葉もあるしね。

 それにしても、こんなに長い間、お店の仕事ほっぽりだしてていいの?「こら、さぼるな」なんて怒られたりしないのかしらん。それとも、これもお客様サービスとして、ちゃんと仕事として認められてるのかな。

 それはともかく、ベトナムの男の人は本当に親切だ。私が日本人だからじゃないと思うのだが、どこへ行っても至れりつくせりのサービスをしてくれる。日本だと、エレベーターひとつ乗るのにも、我先にと飛び込む男の人ばかりで、「なんなの!」と思ったりするのだが、それとは真反対にいるような感じ。いわゆるお姫様扱いってやつね。 だから、優しさに飢えてる日本人女性が、ころっとまいっちゃったりするのかもしれないなあ。なんて思ったりもして。

 すっかり長くなってしまった【クアンヒーレストラン】記。これで、ベトナム話しは終わりです。長々しい文章を懲りずに読んでくださった皆様、ありがとうございました。


ベトナム 最終話1

2007-06-19 19:28:55 | グルメ

 ホーチミンから帰ってきてもう2週間以上がたったというのに、今だ冷めやらぬベトナム熱。それだけインパクトがあったのねえ。毎日、ベトゴーのサイト覗いてるし。。書き込みもしてるし。。。

 さすがに、日記に書くほどには記憶も薄れてきてるのだけど、どうしても書いておかねばと思うことがある。心の中で思い返しては、もったいつけてたら、だいぶ薄れそうになってきたので、やっぱ書いておかねば。。

 さて、本題だが、グルメにはじまってグルメに終わるというのが私らしいところ。最終日のレストランのことだ。と行きたいのだけど、その前に、最終日のあれこれ。

 最終日は、勝手に【美容の日】と名づけて、身体を綺麗にするための予定を組んでいた。もちろん、朝いちではプールで泳ぐ。すごく綺麗な白人のカップルの横で、黙々と泳ぐ。ちらっと、お邪魔かしらんと思ったけど、気持ちよくってやめられない。ナイスバディなビキニの女の人が、平泳ぎなのに水中の足はバタ足だったのが印象的。その時は、ひとことも会話を交わさなかったのだけど、後でブッフェでであった時には、ふたりして手を振ってくれた。あちらにとっても印象的だったのかしらん。

 部屋に戻って、ラポティケアに電話を入れて、予約を確認する。10時半からのハタヨガを申し込んでおいたのだ。ラポティケアはホテルと同じ1区にあり、歩いてもいける距離なので10時にタクシーに乗って、余裕シャクシャク・・・

 のつもりだったのだが、店内に入っていくと、「エクスサイズは3区のほうでやっている」と言うではないか。「大丈夫。タクシーを呼んであげるから、そこに座って待ってて。」といわれ、ヒンヤリと冷えた蓮茶を出してくれたりする。

 だけど、すでに10時10分。3区までいくとなると、早くても20分はかかる。。間に合うかなあと焦ってる「だいじょうぶ。タクシーすぐ来る。」とうなずかれても、ちっとも落ち着かない。

 やっときたタクシーに乗り込んだのは10:20くらい。遅刻だあ~~ タクシーの運転手さんにガイドブックのベトナム語の話し方ページを見ながら、「あとどのくらいで着きますか。」と話しかけてみる。ちっとも通じない。 信号で止まったときには、無理やり振り向かせて、そのページを指差して質問してみたり。落ち着かないことこの上ない。それでも、さすがに文章を見せられたらわかってくれたのか、指で10分だと教えてくれたりもした。そんなこと聞いても仕方ないのはわかっているけど、じっと乗っていられないのよ~~。

 そんな私の気持ちを察してか、運転手さんたら、「後、5分。」「あと、ちょっと。」と振り向いては教えてくれる。せっかちな日本人だと思われたかしらん。

 そんな思いをして、やっとついたら、数人の守衛さんに迎えられて、すごおく仰々しい雰囲気。走って行きたいくらいなのに、守衛さんを押しのけて走るわけにはいかないものね。

 大きなお屋敷風のところへ入っていくと、スタッフが「oh!yumiruka!? ホニャララホニャララ!!」と大仰な身振りで話しかけてくる。なんだか平謝りに謝ってるし、要するにこの時間のエクスサイズはなくなったということらしい。

 「なんとかならないの~~。」
 「次は夕方の4時半からなのでその時間に来て欲しい」
 「いや、その時間は来られない。」という押し問答をしているところに、そっとやってきた佳麗な感じの若い女性。

 ロビーの椅子に座って、涼しげな横顔を見せて、エステのメニューを開いている。顔を見るとなんだか日本人っぽい趣。(どんなだ?要するに色が白くて、切れ長の目ということかな?服装もあかぬけてる感じ。)

 誰かに憤懣ぶつけたいというほどではないけど、誰かに聞いて欲しくなって、日本語で話しかけてみた。

 「なんだか知らないけど、急にヨガの講座がなくなったって言われるんですよ~~。」
すると、その女性がスタッフにあれこれと聞いてきてくれた。それによると、なんでも
「先生が急病で休みになったんですって~~。さっき連絡があったので、受講する人に連絡が間に合わなかったみたいですよ。」と教えてくれる。

 「残念でしたね。。。」と言われて、力なく座り込んだ私に、ラポティケアのスタッフが蓮茶を入れてきてくれた。またしても、蓮茶なのね。。

 それからふたりでお茶を飲みつつ、しばし歓談。せっかくだけど、3区は何もないから、思い切って1区に帰ったほうがいいですよとアドバイスしてくれる。そして、聞くことは聞いておこうと、私の手帳を見せた。夜に行こうかと迷っていた【クアンヒーレストラン】の住所が書いてある。

 「ここって、この近くだと思うんですけど。。」

 「え?あら!!このお店、私この間行きましたよ。べスパとかが置いてあって・・・。アンティークなインテリアの?」

 そうそう!! 確かにべスパが店内に置いてあるって誰かが言ってた。間違いない。

 「いい雰囲気で、おいしかったですよ~~。」

 そんなやりとりがあって、ラポティケアは残念無念だったけど、【Quan Hy】レストランへの期待は高まったのだった。こうなったら、こんなとこでぐずぐずしてはいられない。タクシーを呼んでもらって、とっとと帰ることにしたのだが。。。

 お迎えにきたベンタインタクシーの運転手さん。おっそろしくバックが下手だ。ラポティケアは、門にたどり着くまで延々と細い私道を走らないといけないのだが、帰りは車を回せないので、その私道をバックで走ることになる。といっても、まっすぐな道だし、道路の幅は十分なのよ。なのに、左右の塀にぶつける・・・何回ぶつけただろう。。なんでまっすぐバックできないの?ベトナム人って前にいる人をよけるのはそりゃあ上手いのに、バックは全然だめなのね。って、この人だけなのかしらん?でも、それを見守ってた守衛さんたちも、いくらぶつけても動じることなく見てたから、見慣れてるとしか思えないんだけど。かなり車体に傷がついたろうなあ。。

 まあ、そんなこんなでお口直しにアイスクリームを食べにいって、街をぶらぶら。

 

 道端で、ワッフルの固いようなお菓子を売っていた。多分1000van(約7円)って言われたのだと思うが、こんな道でお財布からやたら桁数の多くてわかりにくいお金を出すのが億劫で買えなかった。いくら安いといっても、札束鷲掴みみたいにして見合った金額を探すのは、ちょっと無用心というか、変に焦ってしまいそうなんだもん。

 でも、やっぱ買ってみればよかった。。心残り。

  

 何かわからない建物。寺院なんだろうなあ。。入っていいのかわからずに、覗き込んでたら、道路を歩く現地の人やバイタクのおじさんたちの視線を感じた。ちょっと怖くなって、話しかけられないうちにと慌てて歩き出してしまったので、ガイドブックで確認もできず。

 大きな通り沿いにある木彫りのお店。著作権はいいのか??

 木彫りのお店の隣にある画廊。手前右の白いアオザイ女性の絵が素敵。

 この後、例の国営デパートに入って、かのサンダル事件が発覚したりするのだが。。それでも、ヨガがなくなって、思いがけなくのんびりした時間だ。こういう風になんの予定もなく歩くのもいいなああ。

 そうして、向かっているのは、【タンナム】というドンコイどおりにあるレストランだ。こちらは、ガイドブックにも載ってるが、おいしいと評判のベトナム料理のお店。

 【タンナム】の店内から外を見た風景。昼下がりで、ちょっと暑そう。

 いっぱい歩いて、脱水直前。かけつけ一杯で飲んだのは、リプトンティー。写真の料理は前菜盛り合わせ。これだけでお腹いっぱいになったんですけど。。中央向こう側に見える、すり身を棒に巻いてやいたようなやつがおいしかった。生野菜や香草ももりもり食べる。

 この後、チェックアウトしたり、サイゴンスパで4時間あまりを過ごして、やっと夕方の6時半。なんて長い一日だろうと思う。

 ホテルのロビーでエステの心地よい徒労感に浸っていたが、出発まで2時間しかないのだ。じっとしていてはもったいない。。というか、夕飯食べとかなきゃ。。疲れたから、近場ですませようかなあと思ったり、やっぱ最後に頑張って、ベトゴーサイトで皆さんお勧めの【VAN XUAN】か【Quan Hy】レストランに行くべきか。。そのどちらかに行くのなら、遠いのだから迷ってる時間はないのよ。。

 ええいっ!ここはひとつ頑張って【Quan Hy】に行くぞ~~! 中途半端に残ったドンもタクシーで使えるし丁度いいや。って、変なところに細かい自分がいやになるけど。

 長くなったので、最終話2に続きます。


究極の癒し ~サイゴンスパ~

2007-06-14 23:54:28 | 美容

 短い旅は旅なりに、だんだんと終わりに近づいてきて、最後のお楽しみともいうべきは、今やベトナム旅行に欠かせないといわれるスパだ。

 あちこち動き回ってきっと疲れてるだろうと思われる最終日に予約を入れた。JTBのパンフレットにのっているお値段は高いのだが、同じメニューがHP経由だと随分安くなっていたので、メールで問い合わせてみると、ちゃんと日本語で「予約を受け付けます」という返事が来た。

 申し込んだ時間は3時半からの2時間半のコースだ。3時くらいにお迎えが来るかなあと予定を組んでいたのだが、直前に来たメールで「2時40分にお迎えにあがります」という。なんて気が早いんだろう。50分もかかるの?と不思議に思っていた。

 後でわかったことだが、サイゴンスパは最近3区から移転したらしく、どこか遠くになったらしい。

 お迎えにきてくれたのは、ベトナム人にしては長身のきれいなおにいさんだ。運転手さんとそのガイドさんと私の三人で車に乗り込む。そして、ガイドさんがいうことには、
 「今からボート乗り場に行きます。あなたには、そこでボートに乗ってもらいます。」だって。

 それまでボートに乗っていくなんて全然知らなかったからびっくり。思わず、「一緒に乗っていってくれるんですか」と聞いてしまった。すると、「いえ、私はボート乗り場でお別れです。別のガイドがボートには乗っていきます。」というではないか。

 ボート乗り場までは、車でほんの1分ほどだった。そりゃそうよね。ホテルはサイゴン川に面して立ってるんだから。

 ガイドさんに手を引かれてボートに乗ると、またしても私の貸切状態だ。ボートの運転手さんと今度はいかにも現地の人っぽいベトナム人のガイドさん、そして私の三人。もしもこのまま私がこのボートでどこかに拉致されても、だれにもわからないのね~~とちょっと不安になったりして。

 でも、今回の旅行ではどうしても日にちが足りなくて、メコン川クルーズをあきらめていただけに、思いがけずボートに乗るという経験をできることになってうれしくもある。川は広いし、風は気持ちいいし、昨日のバイクに続いて爽快経験だわ~~と早くもうれしがりぶり発揮。

 このくらいのボートで、運転席の前のところから乗り込む。10人乗りくらいで、一応屋根があるが、前と後ろは開いてる。

 

 動き出したボートの中から写真を撮っていると、ガイドさんに後ろから外に出て撮ればと言われた。といっても、外の部分は傾斜になってるからとても立つことはできない。ずりずりとお尻だけ出して、腰掛けてみた。もしも、ずず~~とすべっちゃって、川に落ちたら助けてくれるのかしらん。意外と小心者の私は、「落ちないか。だいじょうぶか。」と念を押すと、ガイドさんはニコニコとしながら親指を突き出した。これは大丈夫だということよねと一人納得したりして、おもむろに写真を撮る。

 で、撮ったのがこんな風景。

   

 川岸ぎりぎりのところに、こんな綺麗な家が延々と続いている。ガイドさんがいうには、外国人が住んでいる家なんだそうだ。小さそうに見えるけど、結構大きな家なのよ。それぞれの家の前には、会社でよく見かけるような警備員のいる小屋?があったりして。川があれて、水が入ったりすることはないのかなあ。

 

 でも反対側の岸部はこんな様子。すごく対照的だ。

 

 これは途中でみかけたお船。ベンケー号とかいうの。夜になるとみんな乗り込んで、食事しながら歌や音楽のショーを楽しむらしい。

 これもそういうお船のひとつ。

 さてそうするうちに着いたのがここ【サイゴン・スパ】だ。

 並びの外国人のうちと変らない佇まいだが、ちょっと照れるほどに白亜のお城然としてる。それでも、自分がこのお屋敷のお客様なんだと思ったら、照れるよりもなんだかうっとりとした気持ちになってきた。ボートのガイドさんから、警備の人の手へと導かれて舞い上がってしまいそう。

 それにしても人けがなくて、あまりにも静かでこわいくらい。。ドキドキしてきた。

 

 ところが一歩足を踏み入れて、最初に耳にしたのは、極上の日本語敬語であった。それは綺麗なベトナムの女性が3人ばかり。素晴らしい敬語で話しかけられる。まさに日本人のために作られた空間なのだなあと実感する。

 

 蓮茶を飲みながら、お肌の状態などの質問を受ける。コースの説明を受ける。

 実は、このお茶がきたとき、チョコレートケーキがついてきたと思って喜んだのよ。よく見ると冷たいおしぼりだったわ。このおしぼりがハーブのなんともいえないいい香りがしてリラックスを誘う感じ。

 ここから先は、カメラ禁止なので写真がないのだけど、まずはロッカーでクロスを渡される。クロスの巻きつけ方わかりますかと聞かれるが、そんなものわかるわけないじゃん。要するに、よく布地や棧がマネキンに布を回しかけて展示してるみたいにするわけだけど、身体に巻いて前でひねって、ひねった布を首の後ろで回すという形。そのコットンのクロスが薄紫地に白い小花を染め抜いてあって、なんとも可愛い。

 裸にこのクロスを巻きつけた姿で、まずスパに入るのだという。これがかの有名なお花がいっぱい浮いたジャグジーみたいなやつね。スパの前は、庭があり屋外のプールがすぐ間近である。おねえさんの目を盗んで走れば、すぐに飛び込めそうな位置だ。でもだれも泳いでない。目の前の冷たそうなプールを物欲しげに眺めながら、暑くてたまらないスパに長らく入ってなければならないのは、結構つらいのよ。それに私ひとりだし、だんだん退屈になってくる。ちょっと上がろうかなと思って腰をあげると、ちゃんと見てたのかおねえさんが飛んできた。

「もう我慢できませんか。冷たいお水はいかがですか。」ということで、お水を飲んでまたお湯につかる。花びらをすくいあげるのも、ちぎって遊ぶのも飽きた~~。

 次は、スチームバスみたいなの。タイル張りの大きな部屋に連れて行かれた。ローマの浴場みたいな雰囲気。「こちらに20分入ってください。でもつらかったら我慢はしなくて結構です。」

 でも、ばたんと戸を閉められて、私出られるの?もしここで天災でも起きて、閉じ込められたままだったら、この不思議な円形の空間から、私の白骨死体が発見されるのかもね。なんて想像をしたりして。それくらい暇なのよ。お風呂嫌いなのよ~~。

 その後、しっかりとシャワーを浴びて、個室に通される。ここから先はあまり日本語が話せないらしい「こうさん」というベトナム女性が担当になるという。こうさんに手渡された紙パンツを履いて、ベッドに横になる。「あおむけになってください。リラックスしてください。」と言われて、こうさんの手でクロスを解かれる。なんだか恥ずかしいぞ。。

 仰向けのままクロスは上にかけられてるが、左足を持ち上げられた。きゃあ。いやん。という感じ。そして、その足さきから足の付け根まで塩を塗りこむ。あ、気持ちいいかも。足にセルライトとかあったとしたら、じゃんじゃん取れそうな感じ。

 そこではたと思い出した!やばい! 午前中にちょっと歩きすぎて、ミュールの鼻緒で靴擦れができてたのだ。両方の親指の下のあたり。そこに塩を塗りこまれた日にゃあ、大騒ぎだ。これはなんとか伝えなければならないと思った瞬間。ぎゃあ~~。遅かったわ。

 あわてて、身体を起こして、靴擦れを指差して痛い痛いと言ってみる。じっと見るこうさん。赤くなってるのを見て了解してくれたけど、つらかったわ~~。ほんというと、さっきのスパで靴擦れがふやけて水ぶくれみたいになってたのが裂けた状態だったのだ。油断したわ~。

 そんなアクシデントもあったけど、後はもううとうとしそうなくらいいい気持ち。ここで寝てしまってはもったいないとけちな根性を出して頑張ったけど、こんな極楽耐えられないわ~~というくらいだ。

 一通り終わったら、水で洗い流してくれて、次はアロマオイルでマッサージということみたい。オイルを刷り込んでは、これまた親の敵かというくらいに脂肪を押し出してくれる。もし毎日こんなことしてもらってたら、絶対にスリムな身体でいられるだろうなあ。

 それにしても、こうさんの一生懸命なこと。誠心誠意というのはこういう態度じゃないだろうか。そんなにしてたら、疲れるでしょうにというほど、熱心にもみほぐしてくれるのだ。私が払った数十ドルのうち、どれだけが彼女に払われるんだろうと思うと、切ないような気持ちになってきた。お金持ちの日本人がすごく不遜な態度をとってるような気がしてきたのだ。

 それでも、この気持ちよさの前にはそんな気持ちも吹っ飛んでしまう。終わった時には、窓の外は黄色い光がさしていた。午後の強い日差しはもう終わって、いままさに日が暮れようとする瞬間だ。随分長い時間がたったんだなあと思う。こうさんに、「日が暮れましたね。」と言ったけど、わからなかったのだろう。微笑みながら、不思議そうに首を傾けていた。

 帰りのボートは、私より早い時間から来ていたお客さんたちと一緒になった。長いコースは昼食をはさんでの6時間なんてのもあるのよ。往復の時間を入れたら、丸一日ってことだ。

 行きとはうって変わってにぎやかになったボートの一角に、さっきのこうさんがいた。私と目が会うと、にっこり笑って手を振ってくれる。施術の時に着ていたベトナムの農民が着ているような木綿のブラウスとパンツの上下はもう着ていない。普通の女の子に戻っている。「ああ、彼女は今日の仕事が終わってボートでおうちに帰るんだなあ。頑張ってるんだなあ。」と思うと、彼女の生活を垣間見たような気がして、一方的に近親感をもったりもした。

 とても優雅な気持ちにさせてくれて、ちょっと日本人であることが悲しくなったりもしたサイゴンスパの半日だった。

 

 


ベトナムぐるめ続き

2007-06-13 00:06:41 | グルメ

 ちょっとショックな買い物もあったけど気を取り直して、ぐるめ天国ベトナムのお話。

 二日目の朝はホテルのブッフェから。

 そうそう、泊まったのはレジェンドホテルサイゴン。日本人スタッフがいるということもあってか、結構日本人客が多かった。

 ブッフェは、例えばヒルトン名古屋のランチブッフェと比べてもひけをとらないくらいに品数が多い。中でも感動したのは、パンである。ちょっとしたパン屋さんかと思うほど、パンの種類があって迷ってしまうほどだ。種類にして30くらいはあっただろうか。私が取ってきたのは、レーズンデニッシュだが、これを一口食べて、感動のあまり目元がうるうるしてしまった。

『お、おいしい。。。こんなおいしいパン生まれてはじめて食べた。』 よわいよんじゅううんさいにして、パンがこれほどおいしいものだとはじめて知ったのだ。まさか、ベトナムにきてこれほどパンに感動しようとは

 これもフランス統治下とやらの産物だろうか。デニッシュというのはぱさぱさしたパン生地だと思っていたのだが、表面はさくっとしてるのに噛み締めるとしっとり。中のカスタードは甘いけどくどくなくって、いくらでも食べられる。おなかいっぱいになってからも、さらに2個も食べてしまった。

 

 これはブッフェで食事をしながら見た窓の外の風景。ノンをかぶった人が植物に水遣りをしている。これがずっと同じところに何分間も。のんびりした光景だ。
 向こう側に見える水みたいなのは、プール。毎朝、このプールで泳いでから朝食を食べたので、食のすすむこと。 それにしても、朝の7時前から泳いでるなんて、なんという健全な生活かしら。旅行に行く直前まで、夜眠れない病だったのがうそみたい。土地が合うってこういうことなのねえとつくづく実感。

 さて、これがお昼に食べたフォーである。【Pho24】というあちこちにある有名なお店。

 椅子に座るやいなや、写真向こう側に見えている香菜・もやし・玉ねぎ・すだちみたいなの?の盛り合わせの皿がやってくる。何を注文しようともこれはやってくる。

 フォーはフォーボーという牛肉味のものを注文。上記の香菜などを好きなだけ乗せて、赤いチリのたれと味噌たれで味を調節し、すだちを絞って食べる。

 私はセットものを注文したので、この写真の肉団子のスープとイチゴジュースがついてきた。ジュースはいろいろ選べるようになっていたのだが、お店の人もみんなして口を揃えて、イチゴにしろっていうので、「イチゴかあ。。」と思いつつ「郷に入れば郷に従え」って言うしねと、素直にイチゴジュースを頼んだわけだけど、これがどうだろう。ぜんっぜん甘くないけど、イチゴのおいしさだけを凝縮したような味。シャーベットみたいにざらりとはしてないけど、ちょっとしゃりしゃりしてたりもする。「これ、おいしい。これ、おいしい。」といい続けるものだから、お店の人も喜んでたみたい。パンに続いて、思いがけないおいしさに出会う第二弾だ。

 このセット料金は50000vanドンだから350円くらい。フォーのお店にしては高級。

 そうそう忘れちゃならないのが、スイーツだ。こうみえてベトナム、またしてもフランスの影響か、スイーツが充実してるのだ。スイーツは普通の婦女子に比べて、いささか苦手の感がある私だけど、最近はちょっといける口になってきたのである。

 とりあえず「食べるぞ~」と心に決めていたのは、この「バインフラン」というプリン。牛乳の代わりにコンデンスミルクを使っていて、プリンの上にコーヒーや氷をかけるのがベトナム流。このお店では、メニューが読めなかったので、プリンを入れてある冷蔵庫の前まで歩いていって、「これが欲しい!」と指差した。 

 すると、カップに入ったプリンが、プッチンプリンみたくお皿にひっくり返されて、こういう状態で出てきた。すんごく濃厚だけど、上にかかったキャラメルの苦味とあいまっていくらでも食べれそう。うやうやしく請求書に書かれたお値段は10000ドン・・約75円だった。ありえない~~。持って帰りたい!!と真剣に思ったものだ。サイズも大きいのよ。

  

 こちらは【ファニー】というアイスクリーム専門のカフェ。ちょっとおしゃれ。

【ケム・バクダン】というアイスクリームカフェにも行った。とにかく新陳代謝がよいというか汗に流れるというかそんな感じなので、しょっちゅう水分と糖分を補給したくなるのだ。食事と食事の合間に暇さえあれば、カフェに入ってたかも。なにげにスイーツ三昧だったわん。

 夜は、これまた現地駐在員の方々のおすすめのお店。【ホアンイエン】。タクシーの運転手さんにお店の住所を書いたメモを見せると「心得た!」とうなずいた。・・・はずだった。

 ところが、その住所の場所に行ってみるとお店がない。 「行き過ぎたのかなあ。」ともう1周してくる。一方通行な上に、夜は道が混んでいてその1周がなかなか大変。それでもやっぱりない 

「どういうこと?」と、運転手さんとふたりして、途方にくれていると、突然天啓がひらめいた。というのは大げさだけど、私が行こうとしてたのは落ち着いたムードの【ホアンイエン】。たしかもうひとつ、家族ムードの【ホアンイエン】があったという話を聞いた。それは、たしか・・・・そうだ!リバーサイドルネッサンスホテルの裏の道!! われながら、何でこんなこと覚えてるんだろうと思ったものだが、人間て困ると頭の奥のほうから究極の知識をひっぱりだすものなのね。

 運転手さんに「ルネッサンスホテル!」と告げると、俄然威勢がよくなった運転手さん。「よしきた!」と車を飛ばしてくれた。

 そして、今度はちゃんとお店があった。喜びながらも運転手のおじさん、「さっきのところには本当に店がなかったんだ。申し訳ないけど、これは本当だ。」というようなことを一生懸命に話してくれる。自分がたくさんメーターを稼ごうとしたんじゃないってことをわかってほしいのね。ほとんど英語になってないけど、一生懸命に話そうとする内容は、なんとなく伝わるから不思議。

 あれ?今思い出したんだけど、そのお店があるべき場所は道路工事してたじゃん。もしかして、工事のせいでお店が見えなかっただけかしらん。

 そしてやっとついたお店は、予想通りすごい家族的というか、がやがやした雰囲気。決して狭くはない店内にこれでもかっていうほどテーブルがおいてある。だもんで、とても明るい雰囲気。現地の人がちょっとおしゃれしてやってきてるという感じ。

 いかにも繁盛しているらしく、お客の数が多いのはともかく、給仕の数が多いのに驚く。ひとつのテーブルにやっぱり4人くらいの割り当てである。でもって、だれも英語が話せないのにはまいった。

 実はこのお店では英語のメニューが出てくるとふんでたのだ。だから、ベトナム語のメニューをメモしていかなかったのだ。バッグの中には「地球の歩き方」が入ってるけど、おもむろにそれを広げる勇気もない。

 とりあえず、ココナツジュースを頼んで、さてどうしようと思っていると、またしても天啓が!今夜の私はさえてるわ。 生春巻きがベトナム語で「Goi Cuon」だってことが急に閃いたのだ。おそるおそるボーイのおにいさんに「ゴイクオン」って言ってみたらわかってくれた。というか、はじめて私がわけのわかる言葉を発したので、あちらも大層喜んでくれたという感じ。

 「何本いるか?」と聞かれたので、大きさがわかんないけど、指を二本たてておいた。

 で、でかい! 1本が15cmくらいある。5本もきたら大変だった。

 そうこうしていると、途中で思い出したのか、料理写真の一覧を持ってきてくれた。「これがいい」と指差すと、本来のメニューと照らし合わせてどれにあたるかを教えてくれる。

 そういえば、どのお店にいっても感心したことに、こちらが食べたいものを言うと、必ずメニューの中からそれにあたるものを教えてくれて、「値段はこれだけどいいか。」という確認をするのである。こういう誠実さというか律儀さは、先に書いたオーダーメイドの人に通じるものがあるよね。

 余談だけど、給仕のおにいさんたちは、どの人も若くてとにかく細い。ベトナム人は決して背は高くないけど、うちのひょろ息子と比べてもうんとやせている。ズボンをベルトでぎゅっと絞っているので、やたらタックがたくさん入ったように見えたりもする。こんなおいしいものの国でどうしてあんなに痩せていられるんだろうと不思議でしょうがない。

 そして、もうひとつ特筆すべきは、とても親切なことだ。席に着くとナフキンの上にお箸と取り皿をセットしてくれるんだけど、食べる段になると、袋に入ったお箸をわざわざ袋を破いて、手渡してくれる。何かを食べようとすると、取り皿を食べやすい位置に置きにきてくれる。でもって、お行儀の悪い私は、おしぼりで手を拭いた後、もとあったおしぼりの皿に戻さずに反対側に置いてしまったりするのだが、そのたびにやってきてはおしぼりの皿に戻してくれる。

 現地の人ばかりで賑わうレストランに、言葉もわからずひとりでやってきた私が珍しかったのかもしれない。3人くらいの男の子が、入れ替わり立ち代りやってきては、気にしてくれる。会話は通じないけれど、何かをしては、微笑みかけてくれるという具合なのだ。

 こんなわけで、サービスにはとても満足なのだが、こういうお店はどの料理も大皿でやってきて、3人前くらいはあるから量が半端でない。食べても食べても減らない空芯菜の炒め物を食べながら、「私ってめちゃくちゃ身体にいいもの大量に食べてるよねえ。」とひとりつぶやいては、せっせと箸を運んだものだった。

 このお店を出たのが夜の8時過ぎ。まだまだ早い時間ではあるが、ひとり歩きをするにはちと怖い。こちらに来てからというものちっとも飲んでないということもあって、バーに行ってみようと思い立った。上手い具合にとおりの角にはルネッサンスリバーサイドホテルがある。ほんとは、シェラトンサイゴンの【レベル23】というバーに行きたかったんだけど、ちょっと離れてしまったのよね。

 ルネッサンスリバーサイドは、最初泊まろうかと思っていたホテルだ。部屋の感じがなんとなく南国調でいいかなと思ったのだけど、全室シャワートイレ付きという一点でレジェンドに変えたんだったわ。そのリバーサイドホテルのロビーに入ってみると、なんていうかあまりいけてない。とりあえず、ロビーのトイレをお借りしてすぐに出てきた。

 こうなったら川沿いの道を歩いて、【マジェスティックホテル】まで行こうと思ったのだ。マジェスティックはおそらくは、岩井志麻子さんがベトナムに来るたびに泊まっているホテルだ。「チャイ・コイ」に出てくる描写を見ているとそうとしか思えない。そういうミーハー心もあって、一度足を踏み入れたいと思っていた。川沿いの道はちょっと暗くて、歩道にわけわかんない人が座り込んでるのが見えたので、萎えそうになったけど、たった数百メートルの距離である。警報機を握り締めて、ホテルの入り口に着いた時にはほっとしたものだ。

 ホテルのロビーで、レストランやバーの案内掲示板をぼーっと見ていると、後ろからアオザイの女性に声をかけられた。
 日本語で、「あなた、バーに行きたいと思ってますか?」
 コクコクとうなずく私。
 「バーは5階と8階にあります。」
 「どうちがいますか?」 私も無茶な質問するなあ。
 「8階の方があなたいいと思います。素敵です。」
 ということで、その女性が8階まで連れて行ってくれた。

 8階のバーはベランダというか屋上に面していて、ビアガーデンみたいなんだけど、ほとんど灯りがなくていい感じだ。各テーブルにひとつずつのろうそくだけが灯りなのだが、それもともすれば風が吹くとすぐに消えてしまう。

 

 手すりの向こうに見えてるのはサイゴン川だ。昼間の暑さが嘘のように風が心地いい。「サイゴン・ブルー」というカクテルを頼んだら、驚くほどきつかった。これはおかわりするとやばいわねと思いつつも、あんまり気持ちよくて、すっかり寛いだ気分になってしまう。サイゴン川をクルーズするベンゲー号を見ていたら、夢の中なのかと思えてきた。

 

 

 


ベトナム買い物三昧 サンダルは大失敗編~

2007-06-11 22:28:04 | ショッピング

 昨日も書いたけど、一日目は夕方からあちこちと精力的に歩いて、買い物もいっぱいして、レストランにも行って、結構充実してた。

 そして、二日目は、フックさんのバイクタクシーであちこちいったわけなんだけど。。オーダーメイドのお店の後に、戦争証跡博物館でショッキングなものを見てしまって、ぼーっとした頭のままで出かけたのが【ベンタイン市場】だ。

  

 こんな感じでトコロ狭しとモノが並べてあって、その喧騒と店員さんの意気込みに飲み込まれてしまいそうになる。

 サンダルは前日に2足買ったけど、私が欲しいのは、あーいうキッチュなのじゃなくって、ちょっとフェミニンな洋服にもいけるようなエレガントな感じのもの。

 最初に見た小さなお店では、あれこれと出してくれるのだが、私の小さな足に合うのがない。ものすごくたくさん積み重ねた中から、「これはどうだ」と次から次に出してくれるのに、ちっとも合わないので、だんだんと申し訳ない気持ちになってくるのだ。それでも、風呂椅子に座ったままで、せっかく出してくれるのだからと、とりあえず出してくれたものに足を入れていく。「もういいです。」と言ってるんだけど・・・。聞いてもらえないのだ。

 『どれだけはいてもだめだわ~~。はあ~~。』とため息をついてると、道をはさんだコーヒーやさんが話しかけてくる。↓このお店ね。

 

「ベトナムコーヒーかあ。でも、最近、私はコーヒー飲めないのよね。でも、名物だから、少しくらいお土産に買っていこうか。」などと思う間もなく、

 「250g入りと500g入りの袋があるけどどっちにするか?」って、いきなり袋を見せられる。たくさんはいらないとの思いから、思わず「じゃあ、250gで」と答えてしまった。いらないのに。。

 すると、「250gのがいくついるか?」と聞かれて、これまた「じゃあ、ふたつ。」

 『えっと~~、100gいくらなの?桁数が多くてはっきり読めない。50000ドン?安いじゃん。いや、250gだから、その2.5倍? えっと、電卓どこやったっけ?っていうか、そもそもコーヒーの相場知らないし。ここは値切るとこ?』

 こっちのサンダルも断らなきゃ。。と思いながら、コーヒーはこれでいいかと見せられて・・・・。頭の中アップアップなのよ。

 そのうちに、蓮茶の匂いをかがされて、「どうだ?」
「いや、臭い。。」
「じゃあ、これは?これは?これは?」
どんどん、いろんな瓶の蓋をあけては、鼻元に持ってこられるのだ。
これは、何か買わなきゃ収拾がつかない?気弱な私である。

「じゃあ、これ?ローズティ」
「さっきのよりましかも。」
「じゃあ、これは何グラムいるか?」

「えっと、100gでいい。」
「じゃない。50gをふたつにして。」ハアハア。だって、値段を見たら結構高かったんだもん。

なんかね、ここで30$近く払ったのよ。あまり欲しくもなかったコーヒーとローズティとやらに。

それからちょいと行くと、布やさん。これは私の弱点だ。

どこへいっても布・・テーブルクロスとかランチョンマットとか暖簾とか買いたくなってしまうの。そんな私の心をくすぐったのが、綺麗な手刺繍の入ったランチョンマットだ。お揃いのクロスもあるんだけど、お値段が高いの。ここでも、労を惜しまずにあれこれと奥から出してきてくれるのが、私にはどうにも耐えられない。そんなにたくさん出さないで~~。しまうのが大変じゃない。クロスはいいから、ランチョンマットだけでいいからと、もう楽しむよりもそれ以上出さないでもらうことに心疲れてしまった。それでも、ちょっとおまけしてもらって、お客様用にも使えそうなランチョンマットをゲットできて嬉しい♪

 でもね、そろそろ頭はパニックの絶頂だったのよ。やんや、やんやという声と信じられないくらいに積み上げた商品を見ているうちに眩暈を起こしそうになってきた。


 

 この写真、偶然だけどよく撮れてると思うわ。私の目にはもう商品がこんな風に映ってるの。

 こんな状態で、問題のサンダルやさんに行ってしまったというわけ。

 このお店でも次から次へとサンダルを出してくる。そして、困ったことにというか、嬉しいことに、品揃えが豊富な上に私のサイズもちゃんとあるのだ。ちょっとよさそうなのに手をのばすと、それの私サイズをすぐに出してくれる。あっというまに、3足並んだ。

「えっと、1ついくらくらいですか?」
だって、一足の値段がいくらかによって、何足買うか決めるでしょ。普通。

なのに、このお店の人は答えてくれないのだ。

「おねえさん、たくさん買う。そしたら私負ける。まず、どれだけ買うか決める。」こんな調子。

昨日のお店の感じからすれば、せいぜい1足、10$だろうとタカをくくっていた。そこで、

「じゃあ、この4足にしようかな。」というと、

「こちらのふたつは28$で、こっちふたつは45$だけど35$にする」とかなんとか。

ひぇ~~そんなに高いの?じゃあ、3つにしようかな。でも、娘にも買ってやりたいし。とかなんとか思ってると、横でせっせと電卓をたたいて120$だという。

「う~~ん。」と悩んでると、「いくらならいいのか?」と聞いてきたので、思い切って「じゃあ100$」と言ってみたら、すんごい目玉をまん丸に見開くではないか。

「え?私ってそんな無理なこと言ったの?」と少々弱気な気分になったところで、結局4足110$ということになった。
「まあ、めったに足に合うのがないんだし。日本で買ったら、もっとうんと高いんだし。いいかあ」ってな風に納得してしまったのだ。このときは何も気づかなかったのね。

 そして翌日のこと。ここでとんでもないショッキングなことがわかってしまったのだ。

 ちょっと空き時間ができたので、ひとりでふらっとTAXデパート(国営デパート)に入ってみた。私が子どもの頃のデパートみたいな感じ。なんだか懐かしい古くささ。

 資生堂の売り場があったんだけど、お化粧の仕方がベトナムっぽくて笑える。

 これは日本でいうとこの「リカちゃん人形」みたいなものらしい。これも顔がベトナム仕様?

 なんて暢気に見学。

 ここはデパートだけあって、値段設定がきっちりしてるという評判だ。昨日のベンタイン市場で買ったポーチと値段を見比べてみて、「2倍もしてるじゃん。ふふふ。やっぱり市場は安いのね。」とひとりほくそ笑む。

 そして、母へのお土産にベトナムシルクのパジャマを買うことにした。これは今までどこでも見かけなかったのよ。さすがに、百貨店だけあって、店員さんものんびりしたムードであれこれと出してくれるけど畳み掛けるように売りつけるという雰囲気ではない。

 あれがいいとか、この色がいいとか話してるうちに、すっかり仲良くなってしまった。日本語もちょっとわかるし、英語もわかるので、お互いに片言の会話が楽しい感じなのだ。ここにもなぜか、例の風呂椅子がおいてあって、座り込んでしまって話しに花が咲く。

 ふと横を見ると、私がベンタインの市場で買ったサンダルがおいてあるではないか。私が見ているのをみて、

「履いてみて~~」と言ってくれるので、

「これはもう、買ったのよ。昨日買ったから同じの持ってる。」と言うのだが、どうもうまく伝わらない。

「6$よ。綺麗でしょう。」

「ええええええ!!!!!なんていった??私、28$で買ったのよ!!!」

きょとんとするおねえさんと私。顔を見合わせてびっくりする。

そして、私の前に電卓を押し出して、「6」といれてみせてくれる。やっぱり値段のこと言ってるのね。

私はというとすぐさま「28」と押す。

ふたりして、「うっそ~~~!!」という感じで、手を取り合ってしまったわ。

そして、さらに、ちょうどその時履いてたのが負けてもらって35$で買ったサンダルだ。

「これはね!!!」といって、電卓で「35$」と押すと、

おねえさんまたしてもびっくら仰天だ。「15$」と入れて来た。なにそれ~~!!

安いときには、12$で売ることもあるという。

後で思ったんだけど、人間って興奮すると言葉が通じるものなのねえ。それまで片言で話してたのが、一気に盛り上がってしゃべりまくってしまったわ。

それにしても、すんごいショックには違いない。しょんぼりする私に、最初は一緒に驚いてまくしたてていたお姉さんだが、

「だいじょうぶ。それすごい似合ってる。高くても似合ってるからいい。雰囲気ぴったり。

もう知ってるだけの日本語と英語を使って慰めてくれたのだ。や、やさしい。。。

「そうよねえ~~。いくらほしくても、なかなか見つけられないものね。このサイズ。デザインだって気に入ってるし。。」とまたしても無理やり納得したのだった。

 それにしても、あの市場のぼったくりめ~~。腹が立つったらしょうがない。日本人を見るたびに、あんなぼったくり商売をしてるのだとしたら許せないわ。この腹ただしさを誰かに言いたくてしかたないけど、あいにくの一人旅である。

 そうだ!昨日付き合ってもらったフックさんに電話しよう!

 とはいえ、電話ってどこでかけるんだろう。どこにも公衆電話なんてなかったし。と思いながら、TAXデパートの出ようとすると、なんと出口すぐ横で、数人のタクシー運転手らしき人が一斉に電話をかけている光景に出くわす。タクシーの無線なんだろうか。でも、電話っぽい。

 まだまだ憤懣やるかたない興奮が続いてる私は、ずんずんとその場所に歩いていった。カウンターの内側におばさんがひとり座っている。そのおばさんに、「私は電話をかけたい!!」とすごい勢い込んで言ったと思う。すると、そのおばさん「ここは、まさに電話をかけるところだ。好きな電話を使ってかければいい。」と多分言ったのだと思う。なんて運のいい!携帯にもかかるというし、どうやって値段がわかるんだろうときょきょろしていると、壁についたデジタル表示を指差して、ここに金額が出るということも説明してくれた。この期に及んで、微々たる電話代を心配する私って・・・。

 フックさんはいなかったけど、フックさんとの間を取り持ってくれたホーチミン在住のMs. Fionaに電話は繋がった。はじめて聞くMs. Fionaの声。「はじめまして~~」なんて言いながら、事情を説明すると、「ありえな~~い!!」という。(Ms. Fionaは日本人なので、日本語です。) やはりね・・・。。あまりのことに、「今から市場までいって、文句いってこようかしら。」と言うと、「う~~ん。昨日ですもんね。多分、無理だと思うわ。。」という返事。確かに、そんな時間もないしね。それでも、だれかに聞いてもらえてちょっとはすっきりとした私でした。

 それにしても、悔しいなあ。たくさん出してきてもらうと、申し訳なくなってしまうなんて。こんなことじゃ、日本人は弱気だって見くびられてしまうじゃない。お金は返してもらえなくても、ひとこと文句言いに行きたかったなあ。ぶちぶち。

 今回の旅の唯一の失敗談でした。

  

 手前三個と向こう側左端が、ぼったくられたサンダル。

でもまあ、可愛いでしょ。

 

 ついでといっちゃなんだけど、ここから先はチョロンという中国人街にあるビンタイ市場。さっきのベンタイン市場が小売で観光客慣れしてるのに対して、こちらは思うに地元の商店主相手の卸売り。英語もほとんど通じないけど、ローカル色が強くてなんだかいい感じ。

 生地を売るお店。気に入ったのがあれば、アオザイも作ってもらえるそう。

 

 お鍋を売るお店。この中から欲しいのがあっても、見せてほしいとは言いにくい。この弱気がだめだったのね。

 

 これは全部、髪飾り。もう見る気も失せる。すごい数だもの。

  

 乾物だかきのこだか・・そういうのを売ってるらしい。

 とまあ、翻弄されたベンタイン市場とほのぼのゆっくりのビンタイ市場。やっぱり、観光客がいっぱいのところは気をつけなきゃだめなのねえ~~。もしもう一度ホーチミンにいく機会があったらば、絶対にあのサンダルやさんに出かけていって、リベンジを果たすわ。。 これは日本人としての意地だわ


ベトナム買い物三昧  オーダーメイド編

2007-06-10 19:27:21 | ショッピング

 ベトナム旅行もうひとつのお楽しみは、なんといっても買い物だ。

 ベトナム本には、新進のデザイナーもたくさん紹介されているし、雑貨なんてもうどれもこれも可愛いのこの上ない。

 行く前から、バッグとサンダルと洋服はいっぱい買いたいなあと思ってた。

 ついた日にいったのは、まずドンコイ通りのお店。

 【tannpopo】 

 お店のおねえさんたちは、とても気がいい。洋服を見てると、「どうぞ着てみて。」とちょっとでも手を触れた洋服はどんどん試着させられる。でもね~~、いまいち縫製が悪い。首の下から背中にかけてチャックがあってもとても着づらいじゃない。

 お金を円のままでお店に入ってしまったので、とりあえず両替したいと申し出ると、親切なことに両替所まで一緒に来てくれた。「両替したらまた来てね~」と手を振って別れたが、他の店に行く冷たい私。

【マングローブ】

 ガイドブックなんかでは評判のよさそうなお店だった。でも、デザインがいまいちかなあと思う。オーダーメイドもやってるっていうけど、オーダーしたいようなデザインがないのよ。

【dudu】

chichiと姉妹店として有名なお店。カジュアルっぽい編みのバッグが気に入った。8$くらいだったかなあ。それからサンダルもある。でも、私はサイズが小さいので、あれこれ履いてみるもののなかなかめぐり合えない。サンダルというよりもぺったんこの草履みたいなの。でも、茶色に金色のビーズがあしらってあってちょっとおしゃれなのを買うことに決める。これが10$だったかな。

 奥に入っていくと、オーダーメイドの見本用の洋服がたっぷりと吊ってある。どれもこれも超可愛い。私が見てると「Sサイズあります。持ってきます。着てみてください。」と言ってくれる。日本語が上手なのだ。

 ベトナムのサイズは小さめだから、日本でSサイズの人はMでちょうどいいと聞いてたのだが、持ってきてくれたSサイズを着てみると、誂えたようにぴったり。オーダーするつもりだったけど、どこも直す必要がないのだ。オーダーのお値段を聞くと、プラス2$だって。たったの2$なのよ!!でもまあ、仮縫いに来ることとか思うと面倒なので、既製品をそのまま買うことにした。

 結局購入したのは、

 ○ちょっと膝上の派手なプリントのリゾートっぽいワンピ。ダブルのボタンがサリーちゃんぽい。

 ○ジャージ素材の女っぽい柄ワンピ。身体にぴったり吸い付くようで、着心地満点。柄が派手かなあと思ったけど家用にしてもいいや。

 ○エキゾチックな柄をうまくデザインにいかしたワンピ。実はこれが一番気に入ったの。もしこの布を見てもこういうデザインにしようとはなかなか思いつかないだろうなあと思える。

 ○ブラックの透け感いっぱいのブラウス

それに試着の時に履いたかかとの高い下駄が気に入ったのでそれも購入。

 さて、お金を払おうとしたら・・・お金足りないジャン。この足で、レストランに行くつもりだったから少しは残しておきたいし。。。お店のおねえさんと話し合って、100$だけ払い残り50$は明日ということにした。財布の中には、後40$少ししか残ってない。「レストランに行くのにこれだけじゃ不安だわ。やっぱり、もう20$返して。」というと、「レストラン安いね。こんなに絶対かからない。」と言われる。「結構、高級なレストランに行くのよ」と言いたかったけど、まあいいか。本当かなあと思いつつ、店を出た。実際に「高級なレストラン」でかかった費用は14.5$だったので、全然大丈夫だったんだけどね。

 ここまでの買い物は、後々から考えても大正解だったと思う。洋服もお値段のわりにすごく満足のいくものだった。

 さて二日目だ。

 フックさんがついているので、住所と店名さえあればどこへでもいけるわ。とばかりに、ちょっと離れたオーダーメイドのお店に行った。朝いちばんでオーダーのお店に行くあたり、気合が違うわ。ベトナムゴーというサイトで、評判のよいお店だ。ガイドブックには載ってない。

 ちょっと遠いといってもバイクだと10分くらい。お店は今までのドンコイのお店と比べるとすっきりしてる。要するに生地ばかりで、既製品の洋服も雑貨もまるでおいてないのだ。

 「オーダーしたい」と告げると、愛想のないおねえさんがスクラップブックのようなものを持ってきた。いろんな雑誌とかの切り抜きで、それを見て、ほしいデザインを決めろということらしい。前日にワンピはもう3枚も買ったので、ここでは雰囲気の違うものを頼もうと思ってページをめくっていく。厚さ8cmくらいのスクラップブックをめくっていくだけで大変。一冊を見終わったところで、3つくらいのデザインに絞る。

 この中のどれかにするつもりだというと、やはりおねえさん、「ふん!」という愛想のない様子。ほんとに作ってくれるのかしらんと少々不安になりつつも、おねえさんが持ってたもう一冊も見たいと申し出た。私も負けてないというか、ここまでくるととことん貪欲になってしまうわよ。

 そして、やはり正解でした。二冊目に載ってたのは、薄いオーガンジーのワンピで中に同色のキャミワンピを合わせて着るというもの。外側の透けたワンピには刺繍がほどこしてある。

 今まで見たワンピは、日本の最新デザインを真似たようなものが多かったが、こればかりは日本ではなかなか売ってなさそう。

 「これがいい」とおねえさんに告げると、それまでやる気なさそうだったおねえさんだが、さっと立ち上がって、生地のところへ案内してくれた。まずは、中のキャミ部分の生地を選ぶように言われる。それにしてもすごい量である。薄いイエローベージュがスクラップの見本だったが、ブラックでも素敵そう。私てきには、最近黄緑が好きだったりもするし、迷ってしまうわ。「これとか、これとか・・・これもいいかなあ。」と指差すと、どこにそんなに力があるのだろう。積み重ねた生地のなかから、私が指差した生地を、「ぶんっ!」と引き抜いてくれるのだ。ちょっと手伝おうとしてみたが、私が引っ張っても全く動かなかった。

 黒のキャミに薄き緑のオーガンジーを合わせたらどうかと提案すると、実際に合わせて見せてくれた。おねえさん的には同色がお勧めだという。あれこれと、生地を組み合わせてみていくうちに、最初はあんなにそっけなかったおねえさんが、実に生き生きとしてくるではないか。やはり仕事が好きなのねえ。洋服の話になると顔つきが違うもの。

 ここで気になったのが、オーガンジーの生地である。最初から刺繍がしてある生地だ。刺繍のせいかもしれないが、なんだが手触りがよくないのだ。ごわごわしてる感じ。「この生地は仕立てにくそうだし、着心地が悪そうだから嫌だ」というと、まったく別の生地置き場に連れて行ってくれた。そちらは、すごくしなやかな生地だ。その代わり値段が10$高くなるという。でもね、10$だったら、こちらでしょう。

 でもでもまたしても問題だ。この上等な生地のほうは、刺繍がされてないのだ。ただの無地の二枚重ねワンピになってしまう。やはり刺繍がほしい。

 問題は仕立てにかかる日数なのだ。最初に「いつまでこちらにいるか?」と聞かれた。明後日にできると言われるが、私は明日の夜中便で帰るのである。どうしてもオーダーしたくて、朝いちにかけつけたのである。なんとか明日中にしてほしいというと、頑張ってホテルのチェックアウト時間である夕方の6時に仕上げてくれることになったのだ。

 ところが、ここに手刺繍をしてもらうとなるとまた余計に時間がかかることになる。「お願い。手で刺繍をいれて」と頼むと、お店のおねえさんは頭をかかえこんでいたが、「わかりました。頑張ります。6時にホテルまで持って行きます。」と言ってくれた。ちなみに、手で刺繍をいれてもらうのにプラス10$だ。最初の生地で作れば、余分に20$払うことはないのに~と言いたげだったが、そこがこだわりなのよ!!

 このお店は、見本もないし、最初店員のおねえさんの愛想もまったくなかったけど、結果的に大正解だったと思う。お店の名前は、
【Phuong Giang フーン・ヤン】レロイ通りからナムキーコイギア通りに入る。
96Bis Nmkyu khoi Ngia Q1  (84.8)8299458

 生地の量が半端でなくたくさんありました。採寸も、そこまで計るの~~というくらい事細かに計りました。この時点で、出来上がりがどれだけ楽しみだったことか。

 実はこの話には続きがある。翌日にホテルに届けてもらうことになったものの、よく考えたらせっかくのオーダーメイドなのに仮縫いがないじゃん。6時に届けてもらった時点で、身体に入らなかったりしたらなんにもならない。

 そう思った私は翌日の朝一番に電話をかけた。「仮縫いをしてほしい。」って。鬼?
 おねえさんは、しっかりと寸法を測ったから大丈夫だと言い張ったけど、どうしてもしてほしいと私。それなら・・・と夕方の4時にホテルに持っていくので、そこで仮縫いをするという。でも、あいにく私はその時間はエステにいってていないのだ。今すぐに店まで出向いていくというと、お店で縫製してるわけじゃないからだめだという。結局、エステにでかける2時半に間に合えば、ホテルに持っていくといってくれた。もし間に合わなかったらごめんなさいという。無理を言ってるのは重々承知なので、それで手を打ったのだった。

 それから時間は流れて、サイゴンスパへ行くお迎えのバスを待っていると、女の子が息を切らせてロビーにやってきた。「yumirukaさんですか。」
 「え?お迎えって女の子なの?」と思ってびっくりすると、
 「洋服持って来ました。今すぐに着てみてください。」というではないか。私ってば、スパに気を取られてすっかり忘れていたのだ。申し訳ないことこのうえない。
 スパが長引くといけないと思って、ホテルの部屋はチェックアウトしたばかりだから、着替えるところがない。すると、その女の子、すっと私の手をとって、
 「トイレで着替えましょう」と言うではないか。

 ふたりしてロビー奥にあるトイレにいって、着替えましたとも。もう誂えたように(誂えたんだけどね)、ぴったりだった。すっごい綺麗。刺繍もあわててしたなんて思えないほど綺麗なの。すっかり感激して、「ありがとう。ありがとう。」って何度も言ったくらい。

 

 出来上がりはこんなの。刺繍がすごく繊細なのよ。


風を切って市内観光

2007-06-08 13:26:44 | ショッピング

 二日目の朝である。ホテルから見るサイゴン川。なんだか暗いけど、朝日である。

この日は、現地ベトナム人のフックさんにバイクに乗せてもらって、好きなところへ行く予定。

 やっぱり常夏の国だけあって、結構暑い。湿気もある。といっても、30度あるなしだから、今の名古屋の昼間くらいだろうか。

  私はこの日の暑さに相反するバイクで感じた爽やかな風が忘れられない。バイクといってもそんなに飛ばしているわけではないから、細い透き通るような風が頬をなでていくという感じだ。それでも、頭の芯から足先にかけて、ココナツジュースのストローみたいにすっきりと涼しくなっていく。

 とはいえ、最後まで皆さんに心配されてたのが、このバイク。

 今回の旅に向けて、とても参考になったベトナムゴーのサイトでも、なんでわざわざバイクに乗るんだ、危ないからやめときなさいという意見もいただいた。もちろん、フックさんは車も持ってるので、そちらでもいいわけなんだけど、私としては街中の細かいところもあちこちと行きたかったので、小回りのきくバイクのほうがいいなあと思ったのだ。それになんたって涼しそう。

 でも、ベトナムにきてみて言われるとおり、びっくりしたのはこちらの交通事情だ。右側車線なのだが、バイクの量がとにかく多い。どうだろう。バイク50台に車1台くらいの割合だろうか。だから、車道はバイクの天下だ。

 ホーチミンで道を渡るときは、絶対に途中で止まらないようにと注意されていた。横を見るとすごい勢いでバイクが100台くらいやってくるのだから止まってしまいそうになるが、そこはぐぐっと我慢して、横は見ずにひたすら前を向いて同じ速度で歩かなければならないのだそうだ。そうすると、バイクの人は、歩行者の速度を見ながら、その前後をうまい具合によけていってくれるらしい。なので、急に止まられると絶対にひかれるよということだった。

 最初は、こんな通り渡るの絶対無理!と思ったが、なんどか現地の人が渡るのについていくうちに、コツがつかめてきた。もちろん、立ち往生したこともある。思わず、身も知らないベトナム人のひじを掴んでしまって一緒に渡ってもらったことも2度ほどある。

 要するに、高速道路に入るときにスピードを緩めずにスムーズに入っていきましょうというのに似てるなあと思ったりしたものだ。だれもかれもがスピードにのったまま、立ち止まるのは絶対的にNGなのだ。

 車は、中央線のあたりを左にはみ出しながら、よろよろと走っていくという按配。もちろん対向車線からも車はくるので、中央線あたりの車はそれこそ接触ぎりぎりでよけながら走っている。

 そこへいくと、バイクは勢いがいい。車に対して「そこどけ、そこどけ~」と蹴散らしながら、バイク同士が並べるだけ並ぶといった風に、横並びでぐんぐん走っている。それだけ見ると、一応秩序は守られているかのようだが、この大量のバイクが走る右側車線には、対向車が走ってくることも普通にある。反対車線を走るなんて酔っ払いでもそんな恐ろしいことできないと思うけど、それに対して、だれも動じないのだ。

 最初は、なんてマナーの悪い人たちなんだろうと思っていたのだが、ホテルの部屋の窓から下の道路の流れを見ていて合点がいった。要するにこういうことだ。

 右側車線を走ってきて、左折するとなると、左折しつつまた右側車線に入らなければならない。ところが、あまりにも交通量が多くて、交差点で右側に入りきることが不可能なのだ。日本でいうと右折する車は直進車がいなくなるのを待つけど、それを待たずにとりあえずしばらくは曲がったまま右折レーンを走るという具合なのだ。だから、どの交差点でも100mくらいの間は、車線関係無しにバイクが行きかっている。スピードを落とすこともなく、ずんずん近寄ってくる対向バイクをお互いに上手によけるのである。

 私はバイクの後ろに乗せてもらっていたのだが、すぐ真横を対向のバイクがすり抜けていくため、何度足を上にあげそうになったことだろう。だって、そのままがに股にしてたら、足を持っていかれそうになるんだもの。

 サイゴン大聖堂の前で、フックさんに言われて乗ってみたところ。私は一度も運転してない。ずっとこのバイクの後ろに乗っけてもらってた。

 一応お願いして、ずっとヘルメットをかぶっていた私であるが、私が見た限りヘルメットをかぶってバイクに乗っていたのはホーチミンにバイク多しといえど、私だけであった。その代わり、女性は肌の露出をとことんおさえている。長い手袋はもちろんのこと、頭の後ろでとめるようになった月光仮面のマスクみたいなのをかぶってる人もいた。私が首に巻いてる黄色いマフラーは伊達じゃないのよ。バイクに乗るときは、このマフラー(コットン地なのだ)を鼻の上までずりあげて、サングラスにヘルメットなので、まるで人相がわからなかったはず。

 

 朝の町並み。まだ道路はすいている。写っているのは公立の小学校だ。フランス統治下時代の面影がのこる素敵な建物。

 

 これもフランスっぽい。郵便局。

 郵便局の内部はこんな感じ。

 こちらは戦争証跡博物館ってとこ。ベトナム戦争で使われた戦車。ここには何の予備知識もなく行ってしまったのだが、いきなりホルマリン漬けになった枯葉剤の影響を受けた赤ちゃんを見てしまったり、アメリカ兵の残虐行為の写真を見てしまったり、思いがけないショックをうけることになる。

 こんなギロチン台とかいっぱい。

 実をいうとベトナム戦争について詳しいことを何もしらなかった私。ベトナムとアメリカが戦ってたのかなあ?なんて漠然と思ってたくらい。でもね、フックさんが熱く語るのを聞いて、書かれている説明をすごくまじめに読んでるうちに、広島の原爆ドームに行ったときと同じようなやりきれない気持ちになってきた。

 今は、緑豊かな平和な風景。

 ここらで休憩。

 公園に面して立ってるカフェ。

 フックさんが飲んでるのは、「ベトナムコーヒー」 一口飲ませてもらったけど、私には甘すぎる。

 手前が私の注文したココナツジュース。こちらにいる間、こればっかり飲んでた。名前と同じだから愛着もあるのね。

 さて、一番大変だった統一公会堂。旧大統領官邸だって。

 内部は、やたら贅沢なこういう部屋がいくつもいくつも。

 実はこの統一公会堂は私ひとりで入った。中にガイドさんがいるから説明を聞けるよということで、フックさんはバイクに残ったのだ。

 で、入っていくと、「ベトナム語と英語のどちらのガイドがいいか」と聞かれる。「ジャパニーズがいい」と言ったのだが、今日はそのどちらかしかないということで、しぶしぶ英語と答えると、見上げるような白人の団体に放り込まれた。みんな大きくて全然見えないし。英語だという説明は、英語にも聞こえない。

 「つまんないなあ~」と思って、回りを見渡すと、ベビーカーに赤ちゃんをのせた若夫婦がいた。どう見ても日本人である。近寄っていき、日本人かと尋ねようとすると、私が口を開くやいなや「コリアン! we are korean!」と言われる。まあ、なんども同じことを聞かれたに違いないわ。でもまあ、同じく連れもガイドもない彼らとうろうろとしていると、今度は日本語らしきものが聞こえてきた。

 「あれ??日本語?」 と思ったけど、やっぱ聞き間違い。何言ってるかわかんない。

 「あれ??やっぱり日本語だわ。」

 なんとすっごくへたくそな日本語のガイドが聞こえてきた。その後からは、ぞろぞろと日本人の団体客である。「なあんだ。やっぱり日本語のガイドもあったのね。」と思い、その一向に加わる。途中で気づいたのだが、この団体さんは、どこかのツアーの人たちとそれについてるガイドさんだったみたい。わたしったら、ただ聞きしちゃったのね。

 ぐるぐると同じような豪華な部屋ばかり、大統領夫人の謁見室とか娯楽室とか映画室とかそういうのね。見ながら、4階だか5階の風が吹き抜ける最上階に来たときは、喉が渇いて脱水症状を起こしそう。あわてて、水を買って座るところを探していると、知らないおばさんが手招きをしているではないか。なんだろうと思いつつ近寄っていくと、そのおばさん、隣に座るだんなさんを無理やり立たせて、私に座るようにという。

 そして、おもむろに「あんた、日本語わかるの?」

 「はい。わかります。」

 「もしかして、日本人?いやあ、なんだそうだったの。私たちのガイドの説明をうなずいて聞いてたから、あの子は日本語がわかるのかねえって、だんなと話してたんだよ。」

 ってことは、私、日本人に見えてなかったの?ベトナムにすっかり同化してる?

 いやん。半日で日焼けしちゃった?

 そのおばさまは、神戸からツアーでやってきたらしい。全部行程が決まってて、その通りに行かされるので、「もう、かなわんわあ」とこぼしてた。それから、私にたいする質問攻めだ。(笑)

 その水はいくらだったのかと聞くので「50000ドンでした。でも、同じのが空港では10000ドンしたわ~」というと、

 「おとうさん、ここの水は安いみたいよ。もう2本ほど買ってきて!」

 「いや、安いといっても35円のことですから、その時々に冷たいの買ったほうがいいですよ。」

 「あ、そうやねえ。どうも桁の多い数字見てるとわけわからんなるわ。おとうさん、やっぱ買わんでええわ」

 とそんなとりとめもない会話。でも、久しぶりに日本人と話すのってなんだかうれしい。微妙なニュアンスが伝わるって、素晴らしいわ。。

 これがおばさまたちとおしゃべりした最上階。ガイドさんも休んでる。

 今回の旅は、1人だったってこともあって、すごくいろんな人と話ができた。

 水を飲み干して、一足先に帰ろうとした私に、そのおばさま、

 「気をつけて無事に日本まで帰るんだよ~~」と、いつまでもいつまでも手を振ってくれた。

 あちこちで、いろんな人に励まされたり勇気付けられたり、多くの人と触合えて、おかげで寂しいと思うこともなかったなあ。

買い物編に続く。あれ?お食事編かな?

 


熱帯ベトナム美肌編 

2007-06-06 16:25:22 | 美容

 さてさて、美食・癒しに続いて、ここらで美肌編です。

 一年を通して30度くらいというホーチミンは、ちょうど雨季。ちょうど今の名古屋くらいの暑さだろうか。テクテクと歩いてると、ちょっぴり湿度も高いかなあと思う。

 この湿度がいいのだろうか。私の肌はホーチミン入りしてからいやにツヤツヤしっとりといい感じなのだ。

 水が合うという言い方があるけれど、これはもう「肌が合う土地柄」といってもいいだろう。

 いつもの頬は乾燥、Tゾーンはテカテカオイリーな混合肌は悩みの種だったのだが、ベトナムにきてからは自分の手で触ってみてもほんとうにいい感じ。

 ホテルの洗面所にある鏡で写してみては、「ここに一ヶ月も滞在したら、毛穴はすべてなくなるんじゃないだろうか。」と思えるほどだ。この写真に写っている大きな鏡の左横には、拡大鏡があったのだが、いつもなら見たくもない拡大鏡に何度も映しては悦にいったものである。

 2日目には、ベンタイン市場というところに行ったのだが、ここにはネイルをしてくれる一画がある。

 こんな感じで、6畳くらいのスペースにお客さんとネイリスト(といっていいのか?)の人たちが、合わせて30人くらいひしめきあっている。

 すごいありさまだ。優雅な気分なんて微塵もない。
 が、やるほうはそれはもう必死だ。テキパキテキパキと一生懸命なのだ。前日のフットマッサージと似たような雰囲気かもしれない。

 なんだかよくわからないけど、じっと見てると、無理やり詰めて隙間を作り、風呂椅子をそこに押し込んで、
「ここに座れ」と身振り手振りで言われた。

 いろんなものをまたいで座ると、手水みたいなのに爪を浸すように言われる。(もちろん、身振りで)

 そして、ニコニコしながらケアをしてくれはじめた。ネイルをしてくれる人たちは、それぞれ自分のカゴを持っていて、そこにケア用品とマニキュア一式が入っている。

 ふと「び~~ん、び~~ん」と不思議な音がするので隣を見ると、そちらは産毛取りだ。例の糸の端を口にくわえて、糸で産毛をとっていくというやつ。

 「痛そうだけどだいじょうぶかなあ」と見守っていると、

 「3$だけど、これもやるか?」と聞かれた。・・・のだと思う。とにかく、ベトナム語は死ぬほどわからないのだけど、3$だけはわかったのだ。

 私がうなずくと、聞いてくれたおばさんがすごく大きな声で誰かを呼んだ。呼ばれてやってきたのは、眉毛がまったくなくて、茶色で変な形に描いているおばさんだ。

 げげ・・・私もこんな風にされたらどうしよう」と思ったものの、こんなのは嫌だとか言える口がない。ええい、ままよとおまかせすることにした。

 マニキュアと顔とふたりがかり。目の前の光景さえ見なければ女王様気分よ。

 産毛取りはね、ちょっと痛かったです。どうやら、毛が生えている部分は、「び~ん、び~ん」の音が大きくなるのかな。でも、生えてないところは、なでられるみたいで気持ちいい。かみそりの歯で、眉毛も整えてもらって、ペンシルで足りないところはかきたしている。見るのが怖い・・・。

 産毛取りが終わってから、「鏡を見せてほしい」と言ったのだが、鏡はないといわれる。いやん。ドキドキ。

 でも、後で見たら、すごくいい具合の眉になっていた。自分で描くよりずっと上手じゃん。

 それに何より、顔が一皮むけたみたいに白くなった!! 今までくすんでると思ってたのは、産毛だったのね~~~。手触りもすべすべで自分の顔じゃないみたい。ああ、そうそう。娘の顔を触ったときみたいな感触だ。

 肝心のマニキュアはというと、色を選ぶ時点で、やたら派手なピンクをすすめられて閉口した。「いや、派手だし。」と言いながら、おねえさんのカゴをあさる。「まあ、これが無難かな」というおとなしめのピンクベージュを選んだら、上からラメも塗ってくれた。とことん、派手にしたいのね。

 さて、ネイルのお値段はいくらだったでしょう。ケアとネイル合わせて2$です。さらに1$追加でアートにしてくれるって言ったけど、今は爪が短いのと時間がもったいないのでやめときました。でもね、そのおねえさんの持ってた見本のアートは、すごく繊細な絵が描いてあって、試してみたい気もあったのよね。

 この市場でのネイルは、「清潔が気になる人はやめときましょう」って聞いてたけど、私は全然気にならなかった。もうちょっと気にするべき?

 そういえば、話はすっかり脱線するけど、このとき隣でネイル&産毛取りをしてもらってる女性がいたんだけど、この女性に驚かされることになる!

 最初は、身なりをみて日本人かなあと思ったのだけど、現地のおばさんとぺらぺらしゃべってる。よく見ると顔が日本人ぽくない。濃いというか、ちょっとフィリピンの人っぽい顔立ち。あんまり私が見てるので、彼女がにこりと笑いかけてくれたのに勇気を得て、「日本人ですか?」と問いかけてみた。

 「はい。わ、た、し、日本、人、です。」

 いやあ~~。日本人にしては、日本語が変だ。私のその思いを汲み取ったのだろう。

 彼女は自分のことをつたないながらも日本語で話し始めた。それによると、なんと難民として日本に渡ったのだという。

 「ええええ~~~難民!? 来る前に読んだ小説に、難民の話が出てきたけど、ほんとにこんな身近にある話なんだ。。」

 「大変だったでしょう。」というと、

 「はい。大変。死ぬかと思いました。」

 そりゃそうだよね。私が読んだ話では、小さな屋根もない舟で、横になることもできない状態で1ヶ月もかけて日本にやってくるとか、難民の少なくとも10%は海の藻屑になるとか・・・。そんなだったから。

 それでも、彼女はけなげに日本に渡り、一緒に渡った男性と結婚して今は5歳になる娘さんがいるんだって。そして、今回はじめて、旅行者としてベトナムに戻ってきたんだって。しかも一ヶ月。明日、日本に帰るんだって言ってた。

 後で思い出したんだけど、難民として他の国を目指す人は、たいてい南北戦争の南側の高官とかそういうエライサンたちで、日本とかアメリカの知人に財産を預けてある場合が多かったんだとか。だから、自分がその国まで行き着くことさえ出来ればいいんだとの必死の思いで、海を渡ったんだって。彼女もそういういいところのお嬢さんだったのかなあ。

 それにしても、旅ってすごいなあ。今まで知らなかった小説の中だけの世界が、ぐぐんと身近に迫ってきたりもするのね。ベトナム戦争もフランス統治下も、私にとっては絵空事の世界だったけど、ここに住んでる人たちにとっては、現実なんだなあと思わせられることが何度もあった。

 すっかり話がそれちゃったので、今回最大の美肌イベントについては次回に。


癒しは旅の必須!?

2007-06-05 16:29:35 | 美容

 実は、フエ料理を堪能しつつも、だんだんと頭痛がし始めた私。

 さすがに長い飛行機と入国の緊張に加えて、3時間もショッピングしまくったんだからそろそろ疲れもでようというもの。これは早めにホテルに戻って、鎮痛剤飲んで寝たほうがいいかなと思ったりもする。

 だけど3日間しかいられないのにもったいないなあという気も捨てがたい。もともとの予定は、これからフットマッサージというものに行くことだった。フットよりもこの肩凝りからくる頭痛をなんとかしてほしいなあと思う。でも、足ツボの刺激によって頭痛も治るかも?!

 行く予定だったフットマッサージの場所ってどこだっけ?確か現地駐在の人が今一番お勧めだっていってたFOOT MASSAGE SALON 137は、ハムギー通りだからここから少し離れている。暗い通りだっていってたからタクシーに乗らないといけないなぁ。でもって、そこはすごくディープな施術をされるらしいから、若い女の人にはお勧めできないんだって。女だけど若い私はどうすべきなの?と迷っているところだ。

 料理を食べながらそんなことを考えつつ、もうひとつ予定していたロイヤルフットマッサージの場所を地図で確認する。するとどうだ!今いるところから200mと離れていない(と思う)。これはもうまずはこっちに行くしかないよねと思って店を出た。

 道の途中で立ち止まると、バイクタクシーやらシクロのおじさんたちにやたらと話しかけられるので、もう行き先は目の前なのよというそぶりを見せながら、ひたすら歩く。自分の方向感覚を信じて、ひたすら歩く、歩く。

 そして、角をふたつ曲がったら、ここらにあるはずだ~~。と思ってキョロキョロ。すると、名刺の束みたいなのを持った男の人が近づいてきた。その名刺みたいなのを見せながら何か説明しようとする。

 やばい人につかまったなあと思いつつ、その男の人が元いた場所を見ると、いかにも怪しげな店構えである。日本の繁華街にたまにあるようなイカガワシイ男の人向けのエステサロンみたいな感じだ。それでも看板をよく見ると、「ROYAL FOOT MASSAGE」とある。あら、目的のお店だわ。

 知らなかったら絶対に近づかなかった店だわ~~。名刺を持ったおにいさんだって、いかにも呼び込みっぽいんだもん。

 そこで改めて渡されたカードを見てみると、70分7$、50分5$でそれぞれの施術内容が書いてある。妙なところでけちな私は、50分の方を頼んだ。怪しかったら即行で逃げ帰ろうと思ったのだ。

 案内されて中に入っていくと、なんというか床屋のムード?ずらっと並んだマッサージ椅子に人が座っていて、その前や後ろで施術士のおねえさんが頭を押したり、足を押したりしているのだ。全然、怪しくないどころか、健全な雰囲気。

 日系企業に勤めてますという雰囲気の日本人っぽい男の人二人組みもいたので、さらに安心した。

 「なあんだ。大丈夫そうじゃん。」と思ったとたんに、70分のほうに切り替えてもらう単純な私。

 椅子に座ると、飲み物のメニューを差し出された。直前まで飲み食いしていたし、もういいやと思って断ったら「ヤーヤー」と了解した癖に、ホットのリプトンティーを持ってきた。後でわかったけど、この飲み物代もさっきの7$に含まれてるみたい。すごくサービスいいと思わない~?

 

 店内はこんな感じ。横並びに10人くらい。奥にも部屋がある。

 施術のおねえさんたちは、お揃いの黒のミニスカにナイキのポロシャツ姿だ。

 施術内容は、

 まず、直径30~40cmくらいの風呂オケみたいなのにお湯が入ったものを持ってきて、足を掴んで入れられる。風呂オケにはちゃんとビニールが敷いてあって、清潔に気を使ってるんだなあと思う。お湯はほんのりハーブの香り。お湯はかなり熱め。

 足を入れてる間に、私は仰向けに寝てヘッドマッサージを受ける。これがすごく気持ちいい。あ~~~極楽~~気持ちい~~と思わず言ってしまう。と、おねえさんがすごく心配そうな顔をして覗き込むのだ。痛くないか心配してくれたみたい。私が何か言うたびに、必ず目をみて大丈夫かと聞いてくれる。加賀美やじゃないけど、心づくしのおもてなしって感じ。

 それから、仰向けに斜めに寝たままの姿勢で、頭の上にいるおねえさんが肩の全面を揉み解してくれる。こういう体勢でマッサージを受けるのははじめて。新鮮な心地よさ。

 そして、フットマッサージ。施術しないほうの足は、くるくると器用にタオルを巻きつけられて台の上にのせられる。施術するほうの足は、なんとおねえさんの太腿の上だ。太腿の弾力が気持ちいい~~。足の指先がおねえさんのバストににあたるんだけど、いいのかしらん。

 その日の私の服装はワンピ。太腿の部分に大き目のタオルをかけてくれて、しっかりと股の部分を押さえて、見えないように気配りしてくれたり。お姉さんにしか見えないんだからいいのにね~。

 そういえば、さっきの日系ぽい男の人は日本人じゃなかったみたい。日本語でも韓国語でもないお言葉をしゃべってましたわ。

 それはいいんだけど、その男の人ヘッドマッサージの時から、やたら切なそうな大きな声というかまるであえぎ声を出しっぱなしなのだ。「あ~~~~ああ~~ん。」とか。気色悪い。まあ、気持ちはわかるけどね。

 足が終わると、今度は腕。こちらもたっぷりと時間をかけてもみほぐしてくれる。腕マッサージははじめてだったけど、足と同じくらい気持ちいいものだった。っていうか、肩に直結してる分、身体のほぐれには役立つみたい。

 そして、今度は普通の椅子に座って、後ろから背中と肩もみ。このおねえさんのどこにこんな力があるんだろう。本当に頑張ってくれて申し訳ないくらい。

 でもね、さっき言った7$は、このおねえさんには全く入らないらしい。おねえさんは、チップのみの収入なんだって。こんなにつくして3$のチップなのよ。日本だったら10分千円なのにね。

 最後にお店の入り口に戻って支払い。ドルだと7US$。ベトナムドンだと100,000ドン。もちろんドンで支払います。見送りに立ってたさっきのおねえさんに50,000ドンのチップを渡すと、なんだか意外な顔をされた。。ような気がした。どうにも気になって仕方ないのだが、私ってば、50,000ドンのつもりがまちがって5,000ドンしか渡さなかった???だとしたら、35円っぽっちだよ~~。なんてむごい!!ベトナムドンは、やたらと桁が多いから、すごく間違いやすいんだよ~~。きっと多く渡してることもあったはず。

 近々ホーチミンに行く予定の方のために。

 このお店は、Mac Thi Buoi st. マックティブオイ通り、エムエムという有名な雑貨店の隣にあります。コスパは、ホーチミンで一番いいんじゃないでしょうか。ホテルのフットマッサージだともっとずっと高いです。是非行ってみて下さい。

 帰りは呼び込みをしてた例のおにいさんに頼んで、タクシーを捕まえてもらった。

 ベトナムではタクシーの運転手さんは、英語が話せない。ベトナム語オンリーだ。ひたすら、ホテルの名前を連呼して、連呼して、やっとわかってもらった。段々声が大きくなっていくわ。。

 こうして、一日目は無事に終了。緊張したけど、なんとかなるものね。

 あ、夕方の買い物についてはまた別で報告します。

 


ベトナム料理に魅せられて その1~フエ料理 ギースアン~

2007-06-04 22:48:40 | グルメ

 愛知に来てから名古屋で食事をすることも多いが、その中で何度もリピートするお店のひとつに「アンナンブルー」というベトナム料理のお店がある。はじめてこのお店を紹介してもらったときは、「え~~ベトナム料理ねえ。」と半信半疑だったのだが、これが想像と違ってとてもおいしかったのだ。きっと嫌いな人もいるだろうと思えるけど、私には口に合うという感じ。

 そんなことがあったので、前々からベトナム料理には興味があった。タイ料理も食べたけど、やっぱりなぜかベトナム料理。

 なので、今回のホーチミン行きを決定した理由の1/3くらいは思い切りベトナム料理を堪能してやろうというものだった。

 ところで、いざ行くことを決めてからいろいろ調べていくうちに、ベトナムは北部と中部、そしてホーチミンなんかがある南部と分かれていることがわかってきた。そして、中部にあるフエという街は、王宮があったところで、フエの宮廷料理というのも有名なのだそうだ。ベトナムにすむ人たちは、このフエ料理とベトナム南部料理を分けて考えているみたいである。

 ここで、楽しみが一気に二倍に膨らんだ。フエ料理ってどんなだろう~~。

 さて、ホーチミンに着いた初日は、ホテルに入ったのが3時半くらい。荷物をちゃちゃっと整理してから最初にしたのは、その夜のレストランを予約することだ。

 「ギースアン」というフエ料理のお店である。英語の話せる女性が電話に出てくれて、とりあえず7時に1人で行くということを告げる。わかってくれたかなぁ。。

 ホテルからタクシーで、ドンコイ通りへ出かける。1kmくらいなので歩いても行ける距離ではあるが、タクシーが安い(15000ドン=140円くらい)のと、時間を節約して、今回はタクシーにもたくさん乗った。

 ドンコイで両替してから、散々ショッピングしていると、約束の7時が迫ってくる。ワンピの試着してたんだけど、お店の人が「タクシーを呼んであげるから大丈夫よ。」と言ってくれたので、お店を出たのが20分くらい前。

 で、タクシーを捕まえてくれようとするのだが、これがあまりにも近すぎていってもらえない。夜になってしまって、ちょっと心配だったけど、お店のおねえさんに地図に線をひいてもらって歩いていくことにした。図書館のガイドブックに線をひいてしまってごめんなさいだ。

 近いのはわかっているのだけど、そのお店は大通りからちょっと小道に入り込む。なんだか怖い。入り込んだところが間違っていたら大変だ。念には念を入れてという言葉もあるし、交差点の角ごとに立っているセキュリティという名札をつけた人に住所を見せて尋ねると、バイクタクシーのおじさんにまた聞きしてくれた。合っているらしい。心配げなふたりの視線に見守られて、小道へと入っていく。

 急に暗くなってすごく不安。道端に風呂椅子みたいなのをおいて、足の爪をケアしてるおねえさんがたむろしているのをやり過ごすと、いきなり綺麗な建物が現れた。直前までの風景とのギャップに驚いていると、道に通せんぼするように二人の男女が立っている。そして、そのうちのアオザイの女性に「yumirukaさんですか。」と声をかけられた。

 思わず「そうです。」と答えたものの、「なんで私の名前知ってるの?」と思う間もなく、
「ああ、これが予約したレストランなのね。」
「そうよ。このレストランに来るために曲がってきたのに、びびってしまってすっかり忘れてたわ。」と走馬灯のように回っていく私の頭。

 ひとりかと聞かれた後、私の後ろに誰もいないか確認される。そして、おもむろにうなずくと、2階へと案内された。黒を基調にした端正な感じのインテリアの店内には、お客は私しかいない。私も1階でよかったのに~と思ったが、予約をした人は二階になるのかもしれない。

 

 私1人にスタッフ(というのか?)は、女性一人を含む4人だ。なんだか恥ずかしい。けど、仕方ないので腹をくくってメニューをめくった。なんといっとも3時間もショッピングしたので、喉がカラカラだ。ビールでも飲みたいところだけど、こんなところで酔っ払ってもなあと思い直し、グレープフルーツジュースを注文した。

 これが大当たり。こんなおいしいグレープフルーツジュース飲んだことない!ほんとは、こういうのあまり好きじゃないのよ。でも、信じられないくらいおいしい。

 メニューは一人用のセットメニューだけのものだった。どれも品数が多くて、こんなに食べられるかなあという感じで、一番安い160000VANのものを頼む。

 

 最初に来たのが手前のスープ。これでもかというほど、しじみが入っている。

 一口飲んで、癒される~~と思ったお味。

 次にきたのが、写真の右上のほうに写っているおそらく「バイン・ベオ」という料理。小皿ごと蒸した米粉生地に干しエビをトッピングしてある。

 ここで、私が写真を撮ろうとすると、珍しがって喜んでくれた。日本だと、こそこそ撮らなきゃいけないものね。

 写真を撮り終えると、アオザイのお姉さんがやってきて、私の箸を取り上げてこの小皿の中身を半分に割り始めた。そして、左上にあるすり身に小皿のヌックマムという調味料をつけて、バインベオに載せる。さらに、その上にラッキョウのようなものをのせて、渡してくれた。

 まさに、母親が幼児にご飯を食べさせるみたいに、私は口をあければいいだけみたいな、丁寧すぎるほどのつくしぶりにびっくり。

 後ろに控えてて、私が一皿目を食べると、すぐに二皿目も同じようにしてくれる。もうやりかたわかったから大丈夫なんだけど、結局、最後の皿までそうやって食べさせてもらった。なんだか、チャングムで見た王さまの食事みたい。

 それはそれとして、ここで私の一大変革。今まで食わず嫌いで食べたことがなかったラッキョウをはじめて口にする。だって、こんな風に渡されて、にこにこと見守られたら、食べないわけにはいかないじゃん。

  スープも見た目よりもいっぱいあって、すでにお腹は膨らんでくる。

 

 次はこれ。ゴイ・コー・センというのだっけ。揚げた春巻きの皮みたいなのに、ハスの茎、エビ、豚肉をヌックチャムで和えてピーナッツをまぶしたものを乗っけて食べる。

 これまた、皮にのせるところまでやってくれるのだ。しかも、私が使っている箸をわざわざ使ってなので、要するに、箸はおねえさんと私とで交互に持たれることになる。

 ここらでジュースをお代わり。でもって、お腹はもういっぱい。これ、ふたりで食べても十分だよ~。

 もひとつここらで、写真を撮ることも忘れ始める。おねえさんは、「これは撮らないのかなあ。」なんて思っただろうなぁ。次の料理がきても、すぐにセットに来てくれないのは、私が写真を撮るのを待ってたのかもしれない。

 これはなんだろう。ご飯の上にいろんなものを和えたようなのが乗っている混ぜご飯のようなもの。少量のぬるいお茶?をかけて食べる。

 白くてはしごみたいになったのは、どう見ても食べても大根の味なんだけど、大根をこんな切り方してたら大変だもんねぇ。なにか違うお野菜なのだろうか。

 途中飛ばして、これがデザート。箸でついついてたら、お姉さんがまた慌ててやってきて、ハスの実の入った器と、氷水かと思ったらやけに甘いあんみつのたれみたいなのの器を合体させてくれた。なぜに最初から一緒に入れてこないのかしらん?勿体つけるのが王宮料理風ってこと?

 結局、4人もいたけど、お給仕してくれたのはおねえさん1人だけだった。別のおにいさんは、チェック専用にいるみたい。私が会計を頼むと、急におにいさんが張り切ってしゃべりだした。「お客様は、そのまま席にいてください。会計のすべては私が取り仕切ります。」みたいなことをえらく張り切って言う。

 ところで、ベトナムに来ていつも思うのだが、どうして食べてる途中に計算しておかないのだろう。食べ終わってチェックを頼むと、スタッフの1人が、おもむろに計算してくれるカウンターに走っていっては、その計算書を持ってくるという仕組みなので、えらく待たされるのだ。まあ、複数で来てる人はお話とかしてるから、ゆっくりできていいのかもしれないんだけど、私みたいに1人の場合、この時間が長く感じるのよねぇ~。まあ、慣れないお金をレジで焦って出すよりはいいけど。私は他の国を知らないけど、日本以外はみんなこうなのかなあ。

 とにかく、ここのお料理は一応満足。帰りの足を心配しつつ店を出る。

 この店で、タクシーを呼んでもらえばいいようなものだが、実はこの後あるところへ向かったのである。

 続きはまた明日。