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【問題】 肥満症で適切なのはどれか.
1. 内臓脂肪型は高脂血症の発症の危険性が高い.
2. BMIが20以上は肥満である.
3. 診断初期から薬物療法と食事療法とを組み合わせる.
4. インスリン抵抗性が高まると血糖値が低下する.
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公開日:2007/8/27
【正解】
1. 内臓脂肪型は高脂血症の発症の危険性が高い.
【解説】
肥満症は,最近出題頻度の高い問題である.
肥満症は,いわゆる生活習慣病によるものと,基礎疾患があり,肥満となる2種類にわけられる.
内臓脂肪とは,腸間膜や大網の脂肪組織で,血流的には,内臓脂肪からの血流は門脈系を介して,肝臓に直接流入する.したがって,高脂血症などと直接関係する.
内臓脂肪の量を簡易的に反映する指標として腹囲が提唱されている.また,より正確には,腹部CTで,臍レベルのスライスで,脂肪面積が100cm2という値が基準値として提唱されており,100cm2をこえるとリスクが高まるとしている.
インスリン抵抗性とは,インスリンが存在するのに,インスリンの効果が十分に発揮できない状態のことである.インスリンがインスリン受容体を介して,細胞に働きかけるが,そのシグナルが十分に伝わらない病態である.したがって,高血糖になる.インスリンの効果が十分に発揮できないので,より作用を増強させようとして,インスリンが分泌され,高インスリン血症の状態になる.
肥満の初期治療としては,程度にもよるが,食事療法や運動療法がある.最初から薬物治療ということはない.
肥満の指標としては,BMI(=Body Mass Index)があり,25を超えるのが肥満の目安である.
肥満の合併症としては,どんなものがあるだろうか? まず,動脈硬化症,高脂血症,糖尿病などが即座にあげられる.次に心臓の負担も大きい.また,筋骨格系では,荷重をささえるために,関節に大きな負担がかかる.変形性骨関節症のリスクが高い.
さらに,肥満は,肝臓にも負担がかかる.非アルコール性脂肪性肝炎といって,脂肪肝に炎症を伴い,やがては,肝硬変になり,肝不全になり,死にいたる.実は,高度肥満は,死に至る病なのである.実際,160cmくらいで,160kgくらいの方が20歳代でなくなったcaseを知っている.
関連問題⇒ 96回 午前 問題73
難易度 ★★ 重要度 ★★