アジア映画巡礼

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30年間ありがとう! アジアフォーカス・福岡国際映画祭終了

2021-04-18 | アジア映画全般

アジアフォーカス・福岡国際映画祭事務局から、ご挨拶メールをいただきました。

だいぶ前、3月上旬に西日本新聞が映画祭の終了を記事にし、ほとんどのアジア映画ファンがすでに知っていたことですが、こうして正式の通知をいただいてみると、第1回からこの映画祭に様々な面で関わってきた者としてはすごく寂しく感じます。福岡はいろんな意味でアジアに非常に近い場所であることや、福岡アジア文化賞や福岡アジア美術館などがあってそれらとも連携できたこと、そしてこの映画祭の上映作品の多くが上映後に福岡市総合図書館に収蔵されてきたこと等々、単なる映画祭以上の意味を持っていたのがアジアフォーカス・福岡国際映画祭でした。個人的には、近年はほぼ毎年インド映画の字幕を担当させていただいたので、これから多様な映画に深く接する機会も減るかと思うと、かなり残念です。下は、第1回の映画祭のパンフと、先日送って下さった30周年記念のカタログの表紙です。

この「全作品集」を見ながら自分が字幕を担当した作品を書き出してみると、次のようなリストになります。タイトルの( )内は、一般公開題名です。

『ドン(DON 過去を消された男)』(2006/ヒンディー語)
『オーム・シャンティ・オーム(恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム)』(2007/ヒンディー語)
『ようこそサッジャンプルへ』(2009/ヒンディー語)
『僕はジダン』(2007/ヒンディー語)
『カハーニー/物語(女神は二度微笑む)』(2012/ヒンディー語)
『シャンハイ』(2012/ヒンディー語)
『シッダルタ』(2013/ヒンディー語)
『彷徨のゆくえ』(2015/パンジャービー語)
『腕輪を売る男』(2018/カンナダ語)
『シヴァランジャニとふたりの女』(2018/タミル語)
『ジャッリカットゥ』(2019/マラヤーラム語)

梁木ディレクターになってから担当させていただくようになったのですが、3本も一般公開になった作品が出たのはラッキーでした。そのほか、『シャンハイ』で初めてヒンドゥー教徒のネットによるダルシャン(神への礼拝)を見て驚いたり、『シヴァランジャニとふたりの女』が観客賞をいただいてとても嬉しかったりと、それぞれにいろんな思い出があります。最近の4作品はいずれも私が専門ではない言語の映画だったので、その言語を専門となさっている研究者の方に字幕監修をお願いしたのですが、監修者への謝礼をきちんと出して下さったのもありがたかったです。東京国際映画祭は以前は監修料を予算化してあったようですが、最近は「出せない」とのことで、自費で監修をお願いしたこともありました。そういう点でも、アジアフォーカス・福岡国際映画祭は大変良心的な映画祭だったのです。昨年の上映作品で、東京外大の粟屋利江先生にマラヤーラム語の監修をしていただいた『ジャッリカットゥ』の予告編を付けておきます。

Jallikattu Official Trailer | Lijo Jose Pellissery | Chemban Vinod | Antony Varghese

 

『ジャッリカットゥ』というのは、元々はタミルナードゥ州で行われる牛追い祭りのことだそうで、牛を素手で捕まえようとする男たちのゲームなのだとか。それを、逃げた食用水牛を捕らえようとするケーララ州の男たちになぞらえて、原始的エネルギーに溢れる作品に仕立てたのが『ジャッリカットゥ』でした。こんな風に、娯楽大作からシネフィルが喜びそうなユニークな作品まで、幅広い視点で紹介して下さったアジアフォーカス・福岡国際映画祭、30年間本当にありがとうございました。あと、個人的には、字幕制作会社スタンス・カンパニーにも御礼を言いたいです。だいたい字幕制作会社はどこも良心的で誠実なお仕事ぶりなのですが、中でもスタンス・カンパニーは気さくで仕事がやりやすく、毎年楽しく字幕翻訳をやらせていただきました。また、何かの時にはお声をかけて下さいね!(零細個人商店は、営業活動もしておかないと...) ある人が、「いつまでも、あると思うな映画祭」と言っていましたが、けだし至言かも、です。


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