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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

インド映画『クイーン』の完全版上映を切に望む

2017-11-03 | インド映画


先日横浜シネマ・ジャック&ベティと吉祥寺のココマルシアターで先行上映され、後者ではまだ上映が続いている『クイーン』ですが、上映素材が残念ながら短縮版でした。見始めてしばらくして何か変な感じがしたのですが、それが何かハッキリ分かったのは、ヒロインのラーニー(カンガナー・ラーナーウト)がパリからアムステルダムへと列車で旅立つ場面で、駅まで見送りに来たパリでの友人ヴィジャイラクシュミー(リサ・ヘイドン)が、こういう意味のことを言うのですーー「息子と一緒に必ずインドに行くわ」。そこでハッと、彼女の息子が出てくる場面がなかった!と気づき、確か、ラーニーがパトカーに送られてホテルに戻って来たあとで、かわいい坊やが一瞬出て来たのに、と愕然としたのでした。

後半も注意して見ていると、例えば日本人のタカの心の傷について細かい描写がいくつも重ねられ、ロックコンサート場面のタカとラーニーがハグするシーンで観客の涙腺決壊となるのですが、その細かい描写のいくつかがカットされています。何とも中途半端な編集で、せっかくの感動もこれでは押し寄せてきません。よくよく考えると、今回の上映では『クイーン』の上映時間が「125分」となっていて、Wiki”Queen”に書かれている「146分」とは20分強の差があります。手元のインド版DVDも帰宅後確認してみると「145分」で、日本での上映に使われた素材はやはり20分強カットされた短縮版だったことがわかりました。

私は、必ずしも短縮版を否定するものではありません。『バーフバリ』の前後編や、それ以前には『ミルカ』も「インターナショナル版」として、監督、あるいは監督の意を受けた編集者が上手にカットした、20~30分短いヴァージョンがやって来ましたが、本当に上手につまんであって、むしろ「インターナショナル版」の方が見どころがタイトに詰まっていていい、というのが私の意見でした。ですが、こういった一部カット版でも映画を見た満足が得られるのは、あくまでも、ストーリーをゆがめたりつじつまが合わなくしたり、あるいは説明不足に陥ったりしないよう、細心の注意を払って上手にカットがしてある場合です。今回の短縮版『クイーン』は、時間合わせのためだけにカットされた感が強く、まるで機内上映のために切り刻まれた一昔前のインド映画のようでした。前述したシーン以外にも、カットされたシーンはほぼすべてが絶対に復元してほしいものばかりで、現在の上映素材は『クイーン』の良さを大きく損なっている短縮版、と言わざるを得ません。

本来は、輸入される時点で配給会社が気付き、インドの製作会社にクレームを出して差し替えるべき素材だったと思います。私も上映前にこんな短縮版である可能性に気がつかず、多くの皆様にお勧めしてしまって申し訳ありませんでした。今回の上映でご覧になった皆様には本当に申し訳ないのですが、幸いにもと言うべきか、ココロヲ・動かす・映画社〇の発表では今回は「先行限定」上映だそうで、来年正式な公開を予定している、とのこと。その時には、絶対に完全版『クイーン』を上映して下さるよう、強くお願いするものです。まだ上映中の作品に対してのクレームなので、ちょっと躊躇したのですが、来年の公開ならば素材の取り直しや字幕のやり直し等時間もないことから、11月に入った時点でブログにアップするものです。「感動」を大切になさるココロヲ社なら、必ず差し替えて下さるものと信じてお待ちしています。



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2 コメント

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クイーンの指摘に関しまして (樋口義男)
2017-11-04 12:50:06
映画『クイーン』の映像の長さに関しましてご案内致します。

『クイーン』の映像の時間が短いのではないかとご指摘いただきましたが
こちらに関しましては弊社があえて短くしたものではなく、
本国より送られて来た国際版が、ただいま弊社が上映している映像(短いバージョン)でございます。
私共も本国で上映されている映像より短いことは承知しておりました。
しかしこの短い国際版も監督やプロデューサーの意図があり制作されたものですので弊社も自信をもって配給しております。
また今後は本国のロングバージョンも皆様にご覧いただきたいと思っております。

この度は皆様の誤解を招いてしまいましたこと誠に申し訳ございませんでした。
今後ともどうぞ映画『クイーン』をよろしくお願い致します。
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読者の皆様へ (cinetama)
2017-11-05 11:45:54
この上にあるココロヲ・動かす・映画社〇の樋口社長のコメントですが、私がアップした方がよいと判断して、ここに上げたものです。
拙ブログでは、コメントは自動的にアップされるのではなく、cinetamaの検閲(笑)を受けていただくことになります。
もちろんコメント内容は変えられませんが、アップするかしないかは、私の判断に委ねられています。

実は樋口社長からメールもいただいたのですが、広東語で言えば「唔好乱講呀」的な内容だったため、困っていたところ、このコメントが寄せられたので、これ幸いとアップした次第です。
もっといろいろ批判点もあったのですが、それを抑えてこの拙ブログ記事は書かれています。
樋口社長にはそれを汲み取っていただき、完全版の上映、それも事前のマスコミ試写、公式サイトの整備、予告編の制作などをきちんとクリアした公開を実現させていただきたい、と願っています。
それしか、御社の名誉と我々の信頼を回復なさる道はありません。
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