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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

香港での「あいやー!」は続く

2012-03-27 | 香港映画

ここ何日か、午前中は香港国際映画祭の臨時事務局でDVD鑑賞、午後は街の映画館で映画、というのが続いています。

今日も午前中はインドのドキュメンタリー映画『アンベードカル同志万歳』(Jai Bhim Comrade)を見て感動、目からウロコの体験もして大満足しました。これは、『戦争と平和』などで知られるアーナンド・パトワルダン監督作品で、ダリトと呼ばれている指定カースト(以前のいわゆる「不可触民」カースト)の人々を追っています。1997年に警察の弾圧で亡くなった歌手ヴィラースを軸に、歌を武器に活動する多くの歌手やグループ、アンベードカル博士の記念日や仏陀の生誕祭などを祝う人々を、弾圧の映像と共にじっくりと見せていく約200分の作品です。アンベードカルに関しては詳しくはwikiを見ていただきたいのですが、彼を始め人々が仏教に改宗したのは、「仏教には神がいないから」だというのがこの映画を見て初めてわかりました。「仏陀も通過点で、我々の最終目標は魂の解放です」という人々や、「神も迷信も、みんなウソ」と歌う子供たちを見ていると、何と聡明な人たちかしら、と思ってしまいました。

香港国際映画祭で見た作品に関しては、また日本に帰ってから落ち着いてご紹介しますね。

で、午後はやってきました旺角(モンコク)百老匯(ブロードウェイ)。旺角の一番賑やかな通り西洋菜街に面していて、よく気をつけないと入り口がわかりにく映画館です。見上げると、こういう風に看板が見えたりするんですけどね。こので中国映画『失恋33天』を見たのですが、昨日のブログに書いたように、ここも指定されているカードを使うと一割引になります。しかも、なぜか60香港ドルの一割引で、54香港ドル(約600円)という値段でした。なんで70香港ドルではなく、60香港ドルと安いの??

で、料金一覧(上写真。ちょっとご覧になりにくいですよね、すみません)を見たら、上映するシネコンの館によって値段が違っているのです。1号館~3号館は70香港ドル、4号館、5号館は60香港ドルになっているのですねー。これまた、何でかな~、なのですが、入ってみて納得。ここはすごーく小さなビルで、8階までしかエスカレーターがないのです。8階までにあるのが1~3号館で、4号、5号はさらにエンエンと階段を上がらないといけないというわけです。4号と5号は収容人数も少ないので、上映される映画もそれなりのものになります。それで料金が安くなっているのでした。

しかし、この料金一覧を見て、また「あいやー!」が。ああ、そういえば香港にもシニア料金があったのでした! 香港ではシニアは「長者」と呼ばれるのですが(何がなし、「長者」と呼ばれるといい気分です、うふふ)、「学生・長者」は料金が10香港ドル安くなるのです。し、しまった、これまでの映画館でも「長者」割引があったはずなのに~~~。香港も「長者」は60歳以上なので、立派に資格があるのにすっかり忘れていたのでした。

『失恋33天』は、主演男優の文章(ウェンチェン)は好感度大だったものの、トレンディドラマみたいで見ているのがしんどかったです。ところが、続いて嘉禾旺角に移動して見た『愛LOVE』はとっても面白かったのでした。同じ旺角なので移動も簡単かと思っていたら、月曜日だというのに午後7時すぎはものすごい人・人・人。全然早く歩けません。おまけに、嘉禾旺角にやっと開始時間ジャストぐらいにたどり着いたら、チケット売り場にはこれまた長蛇の列。みんな~、仕事始めの月曜日の夜から映画を見るのォ? 香港の映画人気、随分盛り返した気がします。ここは喜ばないといけませんね。

ここでは、「私は長者じゃ~!」と叫んで、うまうまとシニア・チケットをゲット。何と40香港ドルです。この映画の正規料金がいくらかはチェックしなかったのですが、大幅に得した感じ。おまけに、10分ほど遅れて入ったのに映画を十二分に楽しめたので、ものすごく得した気分で夜道を帰りました。

『愛LOVE』は上のポスターでもおわかりのように、右下ニウ・チェンザー(監督も彼)とスー・チーのカップルに、阮経天(イーサン・ルアン)が介入、左下趙又延(マーク・チャオ)と趙薇(ヴィッキー・チャオ)のカップルは北京で最悪の出会いをし、左上のエディ・ポンと郭采潔(アンバー・クオ)のカップルには右上のアイヴィー・チェンがエディと関係を持って妊娠というハプニングが起こり、と、8人のスターによる3組の恋物語が描かれます。何と言っても『モンガに散る』のマーク・チャオとイーサン・ルアンが格好よく、鳳小岳(リディアン・ヴォーン)もちらっとカメオ出演してくれて、これだけでもう大満足。特に、青年実業家に扮するマーク・チャオが見事な変身を遂げています。

脚本もうまくて、薄っぺらなドラマになりそうなところを踏みとどまり、「愛さえあればいい」のテーマを上手に料理してくれていました。ニウ・チェンザー監督の手腕にも、ますます磨きがかかってきたような気がします。これで、自分がおいしい役をする、という悪癖(?)さえなくなれば、一流監督と認めてあげるんですが(笑)。

ところでエディ・ポンなのですが、何だか以前より目が大きくなったような....。来る時のキャセイの機内上映で見た『夏日樂悠悠』 でも印象が変わったなあ、と思ったのですが、以前と目の形が違っている気がします。気のせいかしら? 帰ったら、先日買った『ジャンプ! 阿信』のVCDでしっかり確認してみようと思います。

るんるん気分でホテルに帰ったら、また「あいやー!」事件が。私はソルト味の歯磨きを愛用しているのですが、残り少なくなったチューブを取って置いて、それを旅行に持ってきています。ほとんどなくなっている状態でもまだまだ1週間ぐらいOKなので、今度も右上隅のようなほぼぺったんこのチューブなのですが、今日戻ったら洗面台に携帯用の小さな歯磨きチューブが3つも置いてありました。旅館にあるような歯ブラシセットはこれも2人分、最初から棚の上に置いてあるのですが、今日は掃除のお姉さんがあまりにもぺったんこの歯磨きチューブに同情して、特別にさらに歯磨きチューブだけ3個置いていってくれた模様。あいやー、すみません。でも、このミニ歯磨きチューブは携帯にとっても便利なので、3つともありがたくいただいておきますね。日本では(いや、旅先でもなんですが)、食後必ず「よい子の歯磨き」をする私ですので、とってもありがたいです。

香港で「あいやー!」と叫べるのもあと少し。明日もいろんな「あいやー!」と出会いたいものです。

 


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12 コメント

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ある様:予定変更 (cinetama)
2014-03-23 00:34:36
先のコメントに書いた予定ですが、いろんなイベントのお知らせが映画祭側からどんどん届いて、予定が大幅に変更になりそうです。
今確実なのは、24日(月)午後8:30~文化中心で『香港仔』を見る&月~水の朝10時から午後2時頃までは臨時事務局にいる、という2つだけです。ごめんなさい。
どうも、お会いするのは難しそうですね....。
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ある様 (cinetama)
2014-03-21 16:18:04
コメント、というか、お約束をよく憶えていて下さって、ご連絡ありがとうございます。

実は4時間ほど前に香港に到着、ホテルのチェックインを待たされている間に文化中心に行ってプログラムをゲットしてきました。
映画祭は24日(月)から始まるのですが、私は3日間しか居られないため、映画祭の臨時事務局(文化中心の別棟4F展覧スペースに作られています)でずっとDVDを見せてもらう予定です。
ここはパスを持っている人しか入れないですが、入口で私の名前を言って呼び出していただくか、あるいは7時には閉まるため、月~水のどの日かの7時に事務局の入口にいて下されば、夕食などご一緒できます。
もっと確実な方がよろしければ、ご連絡先のメールアドレスをコメントにしていただければ、こちらからご連絡致します。そのコメントは、もちろんアップしないで消去しますので。
では、うまくお目にかかれますように~。
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大変ご無沙汰しております。 (ある)
2014-03-21 01:10:16
cinetama様

お久しぶりです、香港在住のあるです。
今年の香港映画祭23日から始まりますが、
cinetama様は今回ご来港されますでしょうか?
もし機会がありましたら、ぜひどこかでお会いできましたら幸甚です。または、映画館でお目にかかることができましたら嬉しいです(*^^*)

どうぞよろしくお願いいたします。
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しつこくコメント失礼いたします、、 (ある)
2012-04-02 14:21:05
cometama様
本当にいつも暖かく有益なお返事有難うございます。残念、、です、!是非どこかでお会いしたかったです。また来年の映画祭でお会いできると嬉しいです。
インドネシア語が取り掛かり易いとは、全く知らなかったです。有難うございました。挑戦してみます。佐々木様サイト情報も有難うございました。何度か拝読したことがありました。この映画祭が終わってからじっくりと読んでみます。
仰る通り映画は仕事の疲れを忘れさせますね、そして、次の日仕事モードへ戻るのに時間がかかってしまって、大変な思いをしがちです(^ ^)。
有難うございました。
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ある様 (cinetama)
2012-04-01 12:14:39
2度にわたるコメント、ありがとうごさいました。
残念ながらもう日本に帰ってきちゃったので、映画祭の会場ではお目にかかれそうにありません...。お仕事の後映画祭の会場に駆けつけられる、というのは大変だと思いますが、いい映画と出会われるとお仕事の疲れも吹っ飛ぶことでしょう。

インドネシア映画がお好きとのこと、インドネシア語は学びやすい言葉だと思いますので(ローマナイズ表記なので、文字を憶える必要がない)、香港でぜひ習得なさってみて下さい。私は日本で4日間か5日間の入門コースに通っただけですが、それだけでも映画を見る時や、タイトルの意味を知りたい時に助けになります。マレー語ともほぼ同じで、マレーシアでも使えますので、お得感のある(?)言語です。
がんばって下さいね!

なお、インドネシア映画の情報は、インドネシア語がご専門の佐々木信子先生のブログ「ガドガド」に時々載っています。あまり詳しい解説は付いていないことが多いのですが、ご参考までに。以下のアドレスです。
http://gadogado.exblog.jp/
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有難うございます。 (ある)
2012-04-01 02:23:27
cinetama様
こちらこそお忙しい中でお返事有難うございました。
本日の映画は、ご指摘の通り、インドネシアの硫黄鉱山で働くかたがたの生活に関するものでした。監督はアメリカ人女性でした。最近は、インドネシア映画に浸り続けています。インドネシアの言葉がわかればもっとよいなと強く感じています。

クリストファー・ドイルさんは、質疑応答前に帰っていきました。気さくそうな方ですね。最近の動向が分からないのですが、またあの映像世界を拝見したいものです。

有難うございました。
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有難うございました。 (ある)
2012-04-01 01:39:25
cinetama様
大変勉強になりました、映画祭とは実に色々なかたが参加しているのですね。ゲストパス、プレスパスがどのようなものか全く知らなかったです。毎年この映画祭を楽しみにしており、開催時期は、毎晩仕事のあと映画をはしごして大忙しですが、私の周辺で同じように映画にかかりっきりになるのは、ドイツ人女性友人が一人だったので、貴ブログを拝読し、とても嬉しかったのです。

最近は、東南アジアとドキュメンタリー映画を観ることが多くなりました。あと香港映画も観ています、「低俗喜劇」を観て、やはり広東語のリズム感は喜劇向きだなーとしみじみ思いました(^ ^)。

ブログを楽しみにしております。あと少しで映画祭も終わりですが、どこかの映画館でお会いできることを願っております。
私はいつも2列目か3列目真ん中あたりで、黄色いチェックのマフラーと黒いノートを持っています。modest reception , almanya, short film competition, dreileben, the snows of Kilimanjaro, the mill & the cross, this is not a film, fragments of kubelka, come as you areを観る予定です。

本当に有難うございました。


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ある様 (cinetama)
2012-04-01 01:04:02
お忙しいのにコメントありがとうごさいます。ご覧になった映画、私は見逃したのですが、中国語訳タイトルが『天地硫[石黄]』なので、硫黄採取を追ったものでしょうか? 舞台はインドネシアみたいですね。

クリストファー・ドイル、今は何を撮っているのでしょうね? また日本映画かしら?
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ご丁寧なお返事有難うございました。 (ある)
2012-03-31 16:25:52
cinetama様
本当に暖かいお返事有難うございました。。ご事情ご説明有難うございました。今ちょうどwhere heaven meets the hellを観ています、前にクリストファードイルがいます、、また後で書き込みます。
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ある様 (cinetama)
2012-03-28 01:09:15
香港からのコメント、ありがとうございました。きたきつねさんも今香港にいらっしゃるので、ややこしいですよね。実は、きたきつねさんには私もまだお会いしたことがないのですが、ちょっと憧れの方なので、間違っていただいて光栄です。

私も「Vulgaria」ことパン・ホーチョン監督の「低俗喜劇」を見て、大家樂でご飯をかきこんで(笑)さっき帰ってきたところです。同じ会場にいたのに残念ですねー。

DVD鑑賞ですが、おっしゃるとおり映画祭の事務局からパス(プレスパスまたはゲストパス)をもらっている人しか、映画祭の臨時事務局に入ることができず、従ってDVDブースも利用できません。
プレスパスは報道媒体を持っている人に与えられるもので、最近はブログでも大丈夫のようですが、媒体からの証明書が必要ですので、まったく個人的なブログでははねられるかも知れません。
ゲストパスは、上映作品の関係者やいろんな映画祭の関係者(たとえば、東京国際映画祭とかですね)、研究者などに与えられます。私は大学からの証明書をもらって、研究のために必要だということで(アジア映画の講義をいろんな大学でしているので、そのうちの一つからいただいています)これまでずっとゲストパスをもらっていたのですが、今年はブログの記事をつけたらなぜかプレスパスになっていました。
これらのパスがあると、満員でない限りホールや映画館での上映も見ることができます。そういった便宜に応えるために、せっせとブログでいかに香港国際映画祭が素晴らしいか宣伝しているわけですねー。

今日の「低俗喜劇」はチケット売り切れのはずでしたが、文化センターの大きなホールなので、入れていただくことができたのでした。香港国際映画祭はこういう融通を利かせてくれるところもすごく好きです。これからブログにアップしますので、映画のご感想など、ぜひコメントして下さいね。

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お名前間違ってしまいました、ごめんなさい! (ある)
2012-03-27 20:11:09
cinetama様
先程きたきつね様、とコメントしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。心からお詫び申し上げます。本当にごめんなさい!
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臨時事務局でDVD鑑賞 (ある)
2012-03-27 19:55:12
きたきつね様
初めまして、香港在住のあると申します。
私も毎日仕事帰りに映画館に通っております。アジア映画を中心に観ており、きたきつね様のブログで貴重な情報を頂いており、感謝です。
申し訳ございません、早速質問です、映画祭事務局でDVD鑑賞できるのは、きたきつね様が映画祭関係者だからで、一般人はできないことですよね?
突然お聞きして申し訳ございません、、。
これからVulgaria鑑賞です(^ ^)
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