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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

ルナナまであと何キロ? 『ブータン 山の教室』へ行こう!<2>

2021-04-04 | アジア映画全般

『ブータン 山の教室』が開校するまであと少し...と書き始めたのが4月1日。ところが、その後怒濤の校正が入って(「新たなるインド映画の世界」の校正で、こちらも完成まであと少し)&「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」とクリシュナ神話に絡め取られて(インド映画講座のレジュメ作り。昨日お越し下さった皆様、ありがとうございました!)、ルナナに行きたいのに行けませんでした。昨4月3日(土)は『ブータン 山の教室』の開校日、早くも劇場に行ってご覧下さった方も多かったのでは、と思います。公開が始まってしまったのですが、今回を含めてあと2回ほど、『ブータン 山の教室』について書いておきたいと思います。

©2019 ALL RIGHTS RESERVED

ところで、日本では間もなく新学期開始ですが、では、ブータンでは? インドは4月新学期なのですが、すぐに酷暑期がやってきて、北インドの内陸部は40度を超え50度近くになったりもするので、新学期が来たと思ったら夏休みになる、と聞いたことがあります。ブータンの学期はインドとは違うかも、と外務省のHPを見てみたら、すでに3月に新学期が始まっているようでした。この外務省HP、「ブータンの学校では今」と題して、とてもわかりやすくまとめてあります。それによるとブータンは2学期制で、1学期は3月10日~6月末、2学期は7月中旬~12月17日なのだとか。ブータンの気候の資料にも当たってみると、当たり前のことながらインドと違って4月は酷暑ではなく、首都のティンプーでも最高気温20度ぐらいでした。ティンプーよりさらに北で、標高も高いルナナはもっと気温が低いかも知れませんね。『ブータン 山の教室』の中では、雪が降る極寒期には学校も閉鎖というお話が出ていましたが、それが12月~3月なのかも知れません。

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さて、そんなブータンで子供たちが学ぶのは、国語であるゾンカ(Dzongkha)語です。チベット語群の中の一つで、文字はチベット文字を使うのですが、チベット語とは異なっており、互いには通じ合わないとのこと。でも、名前などは共通しているものも多く、意味も同じなのかなあ、とか思いながら本作を見ていました。面白いな、と思ったのは、「ゾンカ(Dzongkha)」という言葉が「ゾン(dzong)」+「カ(kha=言語)」から成っていることで、「ゾン」は各行政区にあるお役所兼僧院というか、昔は城砦として作られた建物で、軍事の中心でもあった場所を指す言葉なのです。ブータンの旅行記などを読んでいると、「プナカ・ゾン」など、各地のゾンが出てきます。このゾンへ行く時はきちんと正装をして行くそうで、男性だと民族衣装のゴ(ゴー/Gho)という丈も袖も短いどてらのような衣服の上に、「カムニ(Kabney)」という肩掛け布を斜め掛けするのが正装です。おお、と思ったのは、冒頭で教育庁に呼ばれた主人公ウゲン(シェラップ・ドルジ)がその格好をしていたことで、お役所に行くときは皆さんきちんと正装して行くのね、と感心しました。

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上の写真の左と真ん中は、wiki「Kabney」にあった画像です。カムニの色は階級や職業によって決まっているそうで、左の王様はサフラン色(黄色)、オレンジ色は大臣や政府の役人、赤色は「ダショー(Dasho)」と呼ばれる称号を与えられた人、等々が決められていて、一般人は白のカムニを付けます。右の写真は、日本人で長くブータンに住み、農業指導に力を注いだ西岡京治氏(1933-1992)の写真で、1980年に外国人として初めてダショーを授与されたため、赤いカムニ姿です。映画の主人公ウゲンはもちろん白色でしたが、木綿布ではなく、もうちょっと暖かそうな布でした。ショール代わりにもなるのかも知れません。カムニを付けた写真はないのですが、ウゲンとミチェン(ウゲン・ノルブ・ヘンドゥップ)の粋なゴ姿をご覧下さい。

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一方、女性の民族衣裳は「キラ(Kira)」といい、ルナナの女性たちがみんな着ているのでどんなドレスなのかおわかりいただけると思います。小学生たちも女の子はみんなキラを着ています。チラシには、キラ姿で光沢のある綺麗な上着を着ている学級委員のペムザムの写真が使ってありましたので、興味を持たれた方もいらっしゃるのでは? 一枚布のキラを体に巻いて、両肩で留める伝統的な着方を解説した動画もありましたので、関心のある方はこちらをどうぞ。でも、キラを東南アジアのサロン(腰巻き)のように使って着る着方も多くの人がやっているようで、そんな動画もたくさんアップされています。下にブラウスを着る→キラを体に巻く→腰に帯を巻く→上に上着を着る、というのは変わらなくても、肩までキラを引き上げて留めているか否かはそれぞれによって違う、というわけです。映画の中では、「ヤクに捧げる歌」をウゲンに教えてくれる若い女性セデュ(ケルドン・ハモ・グルン)がこの着方をしているようですが、いつもショールを羽織っているので、ちょっとわかりにくいですね。下は、出演した小学生たちのオフショット。みんな伝統衣裳姿でとてもかわいいです。

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こういうブータン文化にもいろいろ触れることができる『ブータン 山の教室』。お早めに、ぜひ学級参観なさって下さい。最後に映画のデータと予告編を付けておきます。

『ブータン 山の教室』 公式サイト
 2019年/ブータン/ゾンカ語/110分/原題:Lunana: A Yak in the Classroom
 監督:パオ・チョニン・ドルジ 
 出演:シェラップ・ドルジ, ウゲン・ノルブ・へンドゥップ, ケルドン・ハモ・グルン
 配給:ドマ
 公開日:4月3日(土)

映画「ブータン 山の教室」本予告

 


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