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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

タミル語映画2本も追加の@シンガポール

2014-08-19 | インド映画

ホテルの目の前に映画館があるのはいいですね。上映替わりの時間に走って戻ってトイレに行けるし、なーんて考えていたら甘かったです。やっぱりシンガポールとはいえインド映画を上映する映画館はインド世界テリトリー。オーマイガーッ!の出来事が必ず起きます。

先日の記事ではタミル語映画『怖いもの知らず(Anjaan)』一色、と書いた映画館レックスでしたが、週日が始まると他の映画の上映が戻ってきました。相変わらず一番大きいホールRex 1(キャパ約500人だそう)と小ホールRex 2 & 3(いずれもキャパ80人)の片方では1日4回『怖いもの知らず』を上映していますが、Rex 3で2本タミル語映画をやってくれ始めたのです。というわけで、2本続けて見てきました。Rex 3はこんな感じです。


『冷たい心(Jigarthanda)』 予告編


 2014年8月1日現地公開/タミル語映画
 監督:カールティク・スッバラージ
 主演:シッダールト、ラクシュミー・メーナン、ボビー・シンハ


日本ロケにも来てくれたシッダールトですが、この『冷たい心』はちょっと変わった役柄で面白かったです。彼の役柄は映画監督志望青年カールティク。いろいろいきさつがあってある大物プロデューサーが映画を撮らせてくれることになったものの、「『ゴッドファーザー』みたいなマフィア映画かギャング映画を撮れ」と言われ、何よりも実物をリサーチしなければ、とマドゥライにやって来ます。というのも、マドゥライのドンであるセートゥがジャーナリストを焼き殺した、という新聞記事を読んだからです。カールティクと友人はあの手この手でリサーチし、ついには手下の一人に隠しマイクをこっそりと持たせる、というようなことまでやってしまい、彼らの行動がセートゥにバレてしまいます。

ところが、「あなたの半生を映画にしようとしている」と聞いたとたん、セートゥは大乗り気に。あろうことか、自分が主演を務める、とまで言い出します。さて、このお話の結末やいかに???

少々ストーリーを最後の方まで書いてしまいましたが、以前こちらに書いたように、マドゥライはタミルナードゥ州のコルシカみたいな所らしいです。原題になっている「冷たい心」もマドゥライ独特のコールドドリンクだそうで、「マドゥライもの」の1作ですね。マフィアたちの怖い姿を描きながら、一転して映画好きの人のいい一面を見せるなど、とても上手な脚本になっています。それにしても、セートゥと敵対する男が、家では『タイタニック』を見ながら妻と2人、ディカプリオとケイト・ウィンスレットのお面を被っていちゃいちゃしている、というシーンが出てきたり、日本のAVが大変な事件を引き起こすなど、映画がらみの笑えるシーンもたくさんあります。監督はきっとシネフィルなんですね。それにしても、タミル語映画もテルグ語映画も、なぜか紙のお面が大流行(笑)。

人を殺すシーンが多いのは困りものですが、「映画が王様の国」インドがよくわかる作品で、セートゥ役のボビー・シンハの好演もあって、とても楽しめました。

ただ、 上映の冒頭、音声状態が悪く、セリフの方のサウンドトラックがこもった音になってよく聞こえない状態に。観客は私を入れて5人だったのですが(なぜか5人とも同じ列に座っていた。シンガポールの人は真面目ですねー。移動すりゃいいのに)、その中の20歳すぎのお兄さんがすぐ飛び出して係の人にご注進。映写技師は画像を途中で止めて調整したものの、またその状態に戻ったりして、結局画像をストップさせること3回にも及びました。最後の方でも音が時々あやしいことがあり、DCPなのかBDなのかわかりませんが、観客を疲れさせてくれた上映でした。

『失業中の大卒男(Velaiyilla Pattathari)』 予告編


 2014年7月18日現地公開/タミル語映画
 監督:ヴェールラージ
 主演:ダヌシュ、アマラ・ポール

続いて見たのがダヌシュとアマラ・ポール(『神さまがくれた娘』のシュヴェータ役)の『失業中の大卒男』。結構情けない主人公で、2歳下の弟はすでに就職、車を買ったりしているのに、足こぎスクーターでトロトロ職探しをするかたわら、家事を手伝っているという設定になっています。隣に越してきたのがアマラ・ポールで、こちらは歯医者さんで月収何十万ルピー。前半はダメ男ぶりと彼の恋が描かれ、後半はある経緯から建築会社に就職した主人公が、数々の妨害にも負けず団地を完成させるまでを描きます。恋に家庭ドラマ、お仕事ドラマにアクションまで盛り込んで、もちろんダヌシュの上手な踊りもあり、と、少し調子はユルいのですが、こちらも楽しめる作品でした。


個人的には、ダヌシュの飛び蹴りが相変わらず冴えていることに大満足。2003年にダヌシュの『男の子、女の子(Thiruda Thirudi)』を見たのもシンガポールでしたが、あの時もブルース・リーばりの足技に惚れ惚れしたものでした。今回は、上のポスターのように上半身裸になって戦うシーンもあり、まさにインドのブルース・リーそのもの。予告編でも飛び蹴りが見られますので、ぜひご堪能下さい。ダヌシュ、何か日本に紹介できそうな作品に出てくれるといいんですが、現在R.バルキ監督(『マダム・イン・ニューヨーク』のガウリ・シンデー監督の夫)によるヒンディー語映画『シャミターブ(Shamitabh)』が製作中なので、それに期待することにしましょう。しかし、バルキ監督作品だと、飛び蹴りはナシかも知れませんね....。



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3 コメント

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タミル語は (Yoshida)
2014-08-21 23:39:33
そういえばタミル語はシンガポールの公用語のひとつでした。「現地公開」はチェンナイでの封切り日ですよね。
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ちなみに (Yoshida)
2014-08-21 23:56:59
こちらでコメントさせていただきました。
http://blog.goo.ne.jp/cinemaasia/e/eaf3516af1936ef3a0f1afb4a91cead0
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Yoshida様 (cinetama)
2014-08-22 01:14:41
昨年に引き続き、コメントをありがとうございました。

「現地公開」という表記、わかりにくくてすみません。
インドでの公開日、という意味です。他の記事ですが、製作国とシンガポールとの間で公開日にかなり差がある作品があり、こうしてみました。
それぞれの国名を入れた方がよかったか、あるいは「製作国公開日」とでもすればよかったですね。反省;;;

タミル語はおっしゃる通りシンガポールの公用語の1つ(他は英語、華語=普通話、マレー語)ですが、ヒンディー語映画の方にはマレー系の人とかが来ていたりするものの、タミル語映画を見る非インド系シンガポール人は少ないようです。
インド本国では字幕が一切ないので、シンガポールでの英語字幕付きインド映画鑑賞はオススメです!
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