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聴刻堂日乗

映画「ジョーカー」

映画「ジョーカー」を観た。

2019年のアメリカ映画。
監督はトッド・フィリップス。
出演はホアキン・フェニックス、
ロバート・デ・ニーロほか。

「バットマン」の敵役ジョーカー。
その原点を描いた内容。だがバット
マンの世界観とは全く違うらしい。
と言っても、バットマンの映画は
殆ど観てないのでよく判らないが。
本作だけ観ても十分に楽しめた。

楽しめた、と言ってしまったが、
楽しい映画ではない。何と言うか
厄介な映画だ。

市政が停滞し荒廃する町。老いた
母親と二人暮らしの男。神経精神
疾患で緊張すると笑い出してしま
う。周りの人には不気味がられ、
仕事も不安定。コメディアンにな
りたくて、夢想しては現実に引き
戻される。何一つ良いこともなく、
ろくでもない現実に。

交錯し混同してくる空想と現実。
溜まりゆく鬱憤。にわかに昂じる
破壊衝動。束の間の愉悦。

男を観て感じるのは、同情、嫌悪、
そして認めたくはないが共感だ。
大なり小なり、誰しも感じたこと
はあるだろう。世の中なんてクソ
くらえ!

この映画が怖いのは、ジョーカー
の不気味さではなく、ジョーカー
に共感してしまう自分なのよね。

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