きょう、長年会社に勤めていた女性が退職した。30年近く勤務した方で、僕は仲良くしてもらったと思う。入社したてのころは怒られたこともあったけれど。
彼女が僕の席にあいさつに来た時、なんだかうまく言葉が出なくて、僕は神妙な顔で「お疲れ様でした」とだけようやく言った。何を話せば良いか分からなかったし、仮に分かっていても、それがうまく言葉として表に出てこないのだ。7年間もお世話になったのにね。
彼女が階段を降りていく時、僕は彼女を追いかけた。
「見送りに来ました」と伝えると、「うれしい」と言ってくれた。追いかけてきて良かったと思った。
玄関で別れる時、彼女が色々と話しかけてくたくたけれど、僕はそれでもまだ言葉が出てこなくて、一番伝えたい気持ちだけを言った。
「寂しいです」
彼女は笑顔を見せてくれた。
気の利いたことも言えないし、思っていることさえも上手く言えない。行動だって取れない。自分のことを不器用だと思う。そう考えて悲しくも、辛くもなる。
それが僕だ。
書くことは、だからそんな自分の内面を掘り下げ、自分で理解するためのものでもある。「私という存在」を定義し、自己確認し続ける作業だ。
彼女を追いかけて良かったと思う。もしかしたら、何も言えなかったかもしれなかったから。
その一言を伝えるだけなのに、僕はずっと緊張していた。心も体もさわさわとしていた。彼女と別れた後も、しばらくそれは続いた。
彼女が僕の席にあいさつに来た時、なんだかうまく言葉が出なくて、僕は神妙な顔で「お疲れ様でした」とだけようやく言った。何を話せば良いか分からなかったし、仮に分かっていても、それがうまく言葉として表に出てこないのだ。7年間もお世話になったのにね。
彼女が階段を降りていく時、僕は彼女を追いかけた。
「見送りに来ました」と伝えると、「うれしい」と言ってくれた。追いかけてきて良かったと思った。
玄関で別れる時、彼女が色々と話しかけてくたくたけれど、僕はそれでもまだ言葉が出てこなくて、一番伝えたい気持ちだけを言った。
「寂しいです」
彼女は笑顔を見せてくれた。
気の利いたことも言えないし、思っていることさえも上手く言えない。行動だって取れない。自分のことを不器用だと思う。そう考えて悲しくも、辛くもなる。
それが僕だ。
書くことは、だからそんな自分の内面を掘り下げ、自分で理解するためのものでもある。「私という存在」を定義し、自己確認し続ける作業だ。
彼女を追いかけて良かったと思う。もしかしたら、何も言えなかったかもしれなかったから。
その一言を伝えるだけなのに、僕はずっと緊張していた。心も体もさわさわとしていた。彼女と別れた後も、しばらくそれは続いた。