増田カイロプラクティック【読書三昧】

増田カイロプラクティックセンターのスタッフ全員による読書三昧。
ダントツで院長増田裕DCの読書量が多いです…。

袴田巌は無実だ

2010-09-01 17:31:49 | 佐藤留美子
袴田巌は無実だ
矢澤 昇治
花伝社

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本書は3部構成になっています。

第1部では、お姉さまや支援者、冤罪被害者の方々からの「袴田巌を支援し救いたい」という思いからのメッセージが掲載されています。
その中に足利事件の冤罪被害者である菅家利和さんや富山連続婦女暴行冤罪被害者である柳原浩さんからの声が載せられています。本来は私たちの生活を守ってくれるはずの警察でこのような取調べが実際に行なわれているとしたら本当に怖いことです。誰に助けを求めたらよいのでしょうか。考えさせられます。
また袴田事件の主任裁判官であった熊本典道さんから2007年に「袴田さんの再審を求める会」宛に送られた手紙や2007年に最高裁判所に提出した上申書に添えられた陳述書では、熊本さんの思いが綴られています。
彼は苦悩を抱えたまま39年間沈黙を守っていました。それは評議の秘密を守るためでした。
しかし自分の苦悩より、もっと辛い思いをしている袴田さんを救いたい一心で非難を覚悟の上、公表したそうです。
「裁かれるのは我なり」の本でも熊本さんの無念さは十分に伝わってきましたが、この5ページの記事に約40年間の熊本さんの思いが凝縮されている気がします。

第2部では、事件・取調べ・証拠・凶器など事件捜査について絵や写真を用いて検証をしています。
本書まえがきには「警察により支離滅裂な事件像が捏造される。(中略)誘導されて犯行のストーリーが捏造される。そして、これに適合するような証拠も捏造される。」と書かれています。このように言い切れる経緯が第2部で検証されています。

第3部では、袴田さんの獄中からの書簡や手紙の一部が掲載されています。
これは「主よ、いつまでですか」と「獄中の祈り」の本から引用しているものです。どのような気持ちで一日一日を過ごしているのかを考えると胸のつまる思いです。
その他、ボクシング協会の支援委員会の新田渉世さんたちによる袴田さんとの面会の報告も掲載されています。新田さんのブログからの引用となっており、彼のブログでは面会の様子や支援団体の活動の一部を知ることができます。現在74歳である袴田さんの心身の健康状態も気になります。面会時の良い報告がある時は少しほっとしますが、40年以上日々死刑の恐怖と隣り合わせである状態を考えると普通ではいられるはずがありません。
直接袴田さんにエールを送ることはできませんが、袴田さんを支援する方々の本を購入して読む、ブログにアクセスする、そういった事で支援者の方々の力になることができればと思います。

著者は弁護士であり、現在法科大学院で教鞭を執っています。この本ではこの事件の経過を詳細に検証し、袴田さんの思いを多くの人に伝えるとともに、将来の法曹を目指している学生にも授業では学べない多くのメッセージを発信しているのだと思います。

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