ブログを休眠してから、 少し余裕が出来たので 空いた時間に本を読むことが多くなりました。
あ 婚活もやってまっせ♪
今日は、 最近 読んだ文庫本についての (かなり横着な) 感想を少々。
『インシテミル』 米澤穂信
時給11万2千円という魅力的なアルバイトは、謎に満ちた「実験」の被験者になることだった。
どこか怪しいと思いながらも、集まってきた12人の男女を待っていたのは・・?
そして、 生き残るのは誰だ?
設定からして、私には合わないかな… と思ったのですが、
信頼する 「文春ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!」で、
ベスト10に選出されていたので、 ついつい 手にとってしまいました。
率直な感想は、 「まるで、コミックの原作本・・」。
20代で本作を書き上げた著者は、このストーリーの流れを
スティーブン・キングの 『死のロングウォーク』 に求めたそうですが、
残念ながら かの名作に比肩しうる筆力を感じることはできませんでした。
ps ; 「インシテミル」って「淫してみる?」の意みたいです。 イミフだけど。
私的採点 ☆☆★ (5☆満点)
口直しに選んだのは、 十年ほど前の 直木賞受賞作。
『柔らかな頬』 桐野夏生
家族旅行先の北海道で失踪した5歳の愛娘・有香を探し続ける母・カスミ。
有香の失踪は、 カスミの愛人が持つ別荘で起こった。
『OUT』や『グロテスク』で、(心理的に)散々イヤな思いをさせられたというのに、
またも 桐野夏生の小説を選んでしまいました。 しかも上下巻(長!)
悪趣味な部分が多々あるにもかかわらず、私が桐野夏生を好きな理由は、
しっかりとした文章力 (前述の「インシテミル」と比較すると、その差は歴然)、
そして、
登場人物たちの心の襞を これでもかと描く執拗さに、 女流作家ならではの魅力を感じるからです。
主人公・カスミは、高校を卒業してすぐ 荒涼とした寒村(北海道の東北部)を飛び出します。
そして、 東京で生き抜き、 小さな印刷会社を経営する平凡な男と結婚、 娘二人にも恵まれました。
しかし、 カスミは、 印刷会社の得意先のデザイナーである石山と不倫関係に陥ります。
この不倫が、 かかわる全ての人たちの運命を大きく狂わせていくのです。
石山の別荘がある土地の老オーナー和泉とその妻、 若い使用人の狂った関係。
末期癌に蝕まれた元刑事・内海と、カスミ、 ふたつの孤独な魂の漂流と昇華。
すべての場面が、 鮮烈で 深遠で、 私の胸の奥に突き刺さりました。
誰が、有香ちゃんを・・・ という 犯人探し、
いわゆる フーダニット("WHO DONE IT")の部分も、 興味深く読み進める重要な要素となっています。
1年ぐらい後に、 もう一度読み直してみたいです。
できれば、 ひとり 旭川あたりの ホテルの部屋で。
もしも 内海、 カスミ、 そして、私の魂が重なり合えたなら・・・
私的採点 ☆☆☆☆☆ (5☆満点)
今日から、 引き続き 桐野作品が待っています。
『東京島』 桐野夏生
終戦前後期、アナタハン島(サイパンの近くの島)で、 実際に起こった
謎が多く、 かつ猟奇的な いわゆる
アナタハンの女王事件 を基に書かれた作品とのこと。
サイパンで 2年の月日を過ごした私にとっては、 興味津々の小説なんです。
ブログ時間を減らしても、 依然として 眼に悪い日々が続いてます・・・