中国生活の基礎知識~中国史の入門講座~

中国で生活するための基礎知識として、中国の歴史・文化を、楽しみながら学んでいきましょう。

幽王さんと褒ジちゃん~西周滅亡顛末記~

2011年10月20日 | 中国史
むかしむかし、今から2800年ほど昔(BC770年ぐらい)。
周という国に「幽王」さんという王様がいました。

幽王さんはとっても女性が好きでした。

お大臣・申侯の娘さんで王后になった申后さんとの間には
太子「宜臼」という息子もいましたが、それでも幽王さんは女性が好きでした。

ある時、幽王さんは1人の女性と出合います。
名前は「褒ジ」ちゃん。幽王さん好みの超イイ女でした。

でも、褒ジちゃんには1つ秘密がありました。

褒ジちゃんは、「笑わない」のです。

M-1チャンピオンクラスのコメディアンが来ても、
柳家小さん師匠級(人間国宝)の落語家が来ても、
褒ジちゃんは笑いませんでした。

しかし、「そこが神秘的でスキっ!!」と
幽王さんは褒ジちゃんにメロメロになってしまったのです。

それでも、政務を放り出して稽古を繰り返し、
練りに練った笑いがスベッた時、幽王さんはさすがに疳癪を起し、
近くにあったシルクを思いっきり引き裂きました。

その時です、褒ジちゃんがうっすらと微笑んだのは。
そして幽王さんは、その微笑みに、ますます夢中になりました。

ご存じの通り、基本的に男はバカな生き物です。
何としてでも笑わせちゃる」と
国中のシルクを集めては引き裂いて、
その音を褒ジちゃんに聞かせ始めました。

しかし、褒ジちゃんは笑いませんでした

幽王さんはガッカリでした。

やがてそんな2人の間にも愛の結晶が誕生します。
伯服」という男の子でした。
喜んだ幽王さんは、本来の太子である宜臼を引きずり降ろし
伯服を新しい太子に据えたのです。

もちろん、宜臼とお爺ちゃんの申侯は
とっても不満でしかたありませんでした。

それからしばらくしたある日、
突然、烽火が上がりました。
それは、西の民族・犬戎の侵入を告げる烽火でした。

それを見た各地の領主たちは
幽王さんを守るため、兵隊を率いて都へと駆け上りしました。

しかし、

着いてみてびっくり。
その烽火は、烽火台スタッフの誤操作によるミスだったのです。
集まって来た領主は、みんなガッカリとした表情を浮かべました。
そして、その表情はとっても滑稽でした。

その時です、褒ジちゃんが声を上げて笑ったのは。

その日を境に、しばしば烽火が上がるようになりました。
領主たちは、そのたびに急いで都に掛け登ります。
しかし、それは全部ウソだったのです、褒ジちゃんを笑わせるための。

毎回ガッカリした領主たちを見て、
褒ジちゃんは楽しそうに笑いました。
そして、それを見て、幽王さんもとっても幸せでした。

領主たちはとっても不満でした。
でも、申侯と宜臼はチョッと嬉しそうに、
お使いを西の犬戎へと走らせたのです。

そしてある日、また烽火が上がりました。
それは、西の民族・犬戎の侵入を告げる烽火でした。
でも、領主たちは誰も都へ行こうとしませんでした。

騙されて行って笑われるのが嫌だったのです。

でも、それは本当に西戎の侵入だったのでした。
申侯と宜臼は、犬戎と約束して、一緒に幽王を攻めたのです。

幽王さんと褒ジちゃん、そして伯服くんは
みんな殺されてしまいました。

やがて、宜臼は自分で王様になり、「平王さん」と呼ばれます。

でも、都は犬戎が壊してしまったので
住むことができませんでした。

そこで、平王さんは都を「洛邑」へと遷しました。
そのため、これからの周の国を「東周」と呼びます。

この日以来、領主たちは周の王様が実は偉くないことが分かってしまいました。
だから、自分が一番に成るために、勝手に戦争を始めたのです。

でも、それは、別の長い長いお話です。

とっぴんぱらりのぷぅ


最新の画像もっと見る